
<外来患者ら“置き去り”影響大きい集団リハビリ廃止>
4月から、医療で行うリハビリの集団療法が、廃止された。この影響で、一部の病院では、リハビリの回数が半減し、長期のリハビリを余儀なくされている患者からは不満や不安の声が上がっている。リハビリの頻度を維持するため、やむなく一部の患者を無報酬で見る医療機関もある。
「これまで外来リハビリは平均月2回だったが、月1回もできない状態。これまでのリハビリで機能を維持してきた人もいるので、回数は当然減らしたくない…」
名古屋市総合リハビリテーションセンターの蒲沢秀洋・第一リハビリテーション部長は、苦悩の表情を浮かべる。今回の診療報酬改正では、リハビリの日数制限が論議を呼んだが、集団リハビリ廃止の影響も大きいという。
医療機関が何人の患者にリハビリを施せるかは、理学療法士らリハビリ従事者の人数で決まる。これまでの個別リハビリでは従事者一人が一日に施せる上限は6時間。週5日勤務、患者一人1時間として一週間で30人を見られる。集団リハビリは一日延べ18時間が上限。患者一人当たりの時間や従事者の勤務日数が同じなら、従事者一人で週90人まで対応できた。
同センターは、この仕組みをうまく活用してきた。人の補助がないと歩行訓練中に転倒する恐れのある重症者には、これまでも患者一人に理学療法士ら一人がつく個別リハビリで対応。リハビリの経験も積んだ症状の軽い人は「集団」で受け入れてきた。「集団」の診療報酬は「個別」の40%と少なく、患者負担も少なくて済む。
「集団」を「個別」に置き換えれば、受け入れられる患者数は減る。個別リハビリの上限は、今回の改定で従事者一人あたり週36時間に引き上げられたが、患者一人1時間とすれば、週36人の患者しかみられない。やはり大幅な減少だ。
同センターに通うのは、脳血管疾患によるまひや、高次脳機能障害の人、リウマチ患者ら。リハビリの頻度が減った外来患者からは「回数が減って、関節の動きが悪くなった」「前にリハビリでできていたことができなくなった」などの不満が寄せられている。
理学療法士らを増やせば、これまで通りのリハビリも可能。しかし、同センターは公立で、名古屋市の予算の制約を受ける。市にはこれから増員を求めていく考えだが、いつ何人増えるか、めどは立っていない。
交通事故などで高次脳機能障害になった人たちのリハビリに取り組む奈良市の神経内科「やまぐちクリニック」も、診療報酬改正で収入が減り、経営を圧迫している。
高次脳機能障害では、感情のコントロールが効かない、新しいことを覚えられないなどの障害が現れる。同クリニックには約百人が週一回、集団リハビリに通っている。患者同士が向き合い、一週間に起きた出来事や絵を描いて発表し、他の患者はその話を聞き、質問する。言語療法士と一対一でなく、多くの人とのコミュニケーションを通じて、障害を自覚し、感情のコントロール法などを身につけるのが、グループリハビリの効果だという。
同クリニックの常勤のリハビリスタッフは言語療法士1人。一日20〜30人のリハビリ患者が来るが、改定後は一部の患者の分しか診療報酬を請求できず、半数以上は無償のサービスになった。リハビリ部門の収入は月40万〜50万円から、約35万円に減り、赤字が拡大した。
厚生労働省は「長期にわたり効果的でない集団リハビリが行われているとの指摘があったから」と、廃止の理由を説明するが、山口研一郎院長は「集団リハビリだからこそ出る効果もある。画一的に集団リハビリを否定するのでなく、再評価してほしい」と訴える。
(東京新聞より)
<療養病床再編に高知県関係者悲鳴>
「患者も病院も共倒れだ」「大きな社会問題になる」14日成立した医療制度改革関連法。その中に盛り込まれた療養病床の再編に対し、県内の病院関係者は一様に危機感をあらわにする。
高知県の医療・介護療養病床数は人口比で全国最多。計8263床のうち、県の試算では約5000床が削減・廃止対象となり、相応の患者が行き場を失う恐れがある。
療養病床再編と併せ、関係する診療報酬なども7月1日から事実上引き下げに。新しい診療報酬区分で医療の必要度が低いとされる患者を受け入れた場合、それだけ病院の持ち出しが増える。
「とはいえ、県内の在宅医療・サービスの基盤は脆弱(ぜいじゃく)。独居老人や老老介護、夫婦共働きも多く、こんな家庭環境でどうやって『帰れ』と言えますか」。高知市内の病院長は頭を抱える。
診療報酬の引き下げなどは同時に経営面も直撃。「病院によっては1億から2億円の減収となり、倒産の恐れも。県内では一部の一般病院しか生き残れないとさえ言われている」。今年3月に定例代議員会で同法案反対を決議するなど、急激な制度改革に反発してきた県医師会の幹部は深刻な表情を浮かべる。
中でも6年後に全廃される介護型療養病床(県内2932床)は、12年度の介護保険導入を機に制度化されたが、「それを廃止するとは…」。定まらない国の政策を批判する。
7月を前に制度改革の影響はじわじわ押し寄せており、「うちでは既に(療養病床の)患者さん10人ほどに退院してもらわざるを得なかった」と明かす病院関係者も。
「多くの病院が倒産すれば、4万人以上いる医療・福祉関係従事者の雇用不安を引き起こす」。そんな予測すら聞かれるほど、療養病床再編が医療にもたらす影響は計り知れない。
(高知新聞より)
<出産扱わない「産婦人科」、病院・診療所の35%>
産科や産婦人科の看板を掲げている医療機関の中で、妊婦健診などを行うだけで実際には出産を扱っていない病院や診療所が3分の1以上に上るという実態が14日、日本産科婦人科学会の調査で明らかになった。
調査は、同学会の検討委員会(委員長=吉川裕之・筑波大教授)が、産科医不足の実態把握などを目的に、各都道府県に設置されている地方部会を通じて昨年12月1日現在のデータをまとめた。
それによると、産科や産婦人科を診療科目としている医療機関は、病院が1428施設、診療所が3312施設の計4740施設。このうち、妊婦健診は行っていたものの、出産を扱っていなかったのは、病院が148施設、診療所が1529施設の計1677施設で、その割合は35%に達した。診療所に限ると、46%が出産を扱っていなかったことになる。
(読売新聞)
<患者取り違えなど事故18件 全国の医療機関 >
旧国立病院や民間病院など全国560の医療機関で、平成16年10月から18年3月までに、患者の取り違えといった医療事故が18件あったことが15日、財団法人「日本医療機能評価機構」(東京都千代田区)の集計で分かった。このうち3件は患者に障害が残る可能性が高い事故だった。
報告書によると、18件のうち患者の取り違え事故は9件。うち血液型の異なる別患者の輸血用血液を誤って輸血した事故が2件あった。このうち1件の患者は障害が残る可能性が高いという。
取り違えでは、別の患者の検査結果に基づき抗がん剤投与が行われたり、白内障手術で別の患者の眼内レンズが使用された事故もあった。
残り9件は左右や部位を間違えた事故で、手術で穴を開ける場所を間違えたり、医師がレントゲン写真を左右逆に見て反対側に胸腔ドレーンを挿入した例もあった。
事故には至らなかった「ヒヤリ・ハット事例」は昨年4月から半年間で343の医療機関から256件寄せられた。別の名前を呼ばれた患者が返事をしたことが原因となったケースも多かった。
(産経新聞より)
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