
<後発薬の普及、じわりと拡大>
特許が切れた新薬と同じ成分を使う安価な「後発医薬品」(ジェネリック医薬品)の国内市場が、徐々に拡大している。医療費の抑制を狙う厚生労働省が利用を後押ししており、新薬メーカーや外資に参入の動きが広がってきた。
■4月から開始
厚労省は4月から、処方せんに医師の記名・押印があれば、患者が新薬の代わりに後発薬を選択できる制度を始めた。
これを受け、トヨタ自動車グループが運営する「トヨタ記念病院」(愛知県豊田市)は4月に電子カルテシステムを改めた。医師が230種類の新薬を処方する際、代わりに使える後発薬があれば自動的にパソコンに表示される仕組みだ。4〜6月は、後発薬で代替できるケースで、患者の約2%が後発薬を選んだ。
後発薬大手の沢井製薬(大阪市)は3月下旬から4月にかけ、テレビや新聞などで後発薬を集中的にPRした。同社がネットで行ったアンケートでは、後発薬を処方された患者の割合が昨年9月の1・0%から4月に2・5%に上昇した。
■新規参入も
後発薬メーカーで組織する医薬工業協議会によると、2004年度の後発薬のシェア(市場占有率)は数量ベースで医薬品全体の16・8%と、前年度比0・4ポイント増だった。米国や英国の50%超に比べてまだ低いが、厚労省が後発薬の使用を促し、高齢化で医薬品需要の拡大が見込めるため、市場参入が活発化している。
新薬メーカーの田辺製薬は、10年度までに市場参入する方針だ。調剤薬局を展開する日本調剤(東京都中央区)も4月、子会社を通じて後発薬の製造販売を始めた。世界最大の後発薬メーカー、テバ・ファーマスーティカル・インダストリーズ(イスラエル)は昨年11月に日本支社を設立、07年に日本で注射剤を発売する計画だ。
■課 題
後発薬の一層の普及には課題も多い。
多くの後発薬メーカーは新薬メーカーより経営規模が小さい。厚労省によると経営難で生産を突然打ち切った企業もあった。このため厚労省は3月、後発薬メーカーに医薬品の安定供給を求める通知を出した。
副作用などの医薬品情報を医師に提供する体制も課題だ。大手新薬メーカーは1社で2000人前後のMR(医薬情報担当者)を擁するが、後発薬メーカーは大手でも400人程度だ。
後発薬の子会社を持つ新薬大手のエーザイは「MRを増やせば後発薬メーカーは採算が合わず、MRに依存しない仕組みが必要だ」(内藤晴夫社長)と指摘する。安心して後発薬を選べるよう、情報提供への工夫も求められる。
後発医薬品 新薬の特許期間(20〜25年)が切れた後、他の製薬会社が製造した有効成分や効果などが同じ医薬品。新薬の開発に要する長期間の臨床試験が必要ないため、低コストで参入できる。新薬の7割以下の価格で販売されている。
(読売新聞より)
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