
<療養病床で介護サミット 11月、全国8都市で開催>
厚生労働省は30日、介護保険を運営する市区町村長との意見交換会(介護保険サミット)を11月に全国8都市で開催することを決めた。療養病床の再編について理解を求め、地域ケア、介護保険料の抑制に向けた取り組みなどについて、話し合う。
医療費削減のため政府が打ち出した療養病床の再編については、2011年度末までに療養病床38万床を15万床に削減、介護保険適用の老人保健施設などへの転換を促すことが決まっている。
だが、共同通信社がことし5−6月、全国の市区町村長を対象に実施したアンケートでは、患者の退院後の受け皿が不安であることを理由に、6割近くが再編に「反対」の考えを示すなど、消極的な意見が多く、現地に赴いて意見を交わす必要があると判断した。
意見交換会には、同省幹部が参加、病院から老健施設などに移行しやすいよう施設基準の弾力化や、既存病床の計画的な転換など「地域ケア整備構想」を策定して中長期的な受け皿づくりをどう打ち出すかなど意見交換し、首長らの不安を解消させたい考えだ。
介護保険料の上昇傾向についても、給付を抑制するためにコストがかかる施設介護から在宅介護へとどう取り組んでいくのか意見交換する。
(共同通信より)
<病院前の客待ちタクシー、禁煙車限定じわり進む>
客待ちするタクシーを禁煙車に限る病院が出てきた。健康増進法が施行されて公共施設の禁煙・分煙が進むなか、たばこのにおいがこもるタクシーの規制に病院が取り組み始めた。禁煙車はまだ少ないが、ビジネスチャンスとみて増やすタクシー会社もある。
「『禁煙タクシー』のみ許可致します」
東京都港区の虎の門病院の正面玄関前には、こんな看板がある。
今年1月に設置した。禁煙マークのないタクシーが入ってくると職員が注意する。
外来患者は1日に約3200人。ポスターによる告知など理解を得るための準備に2カ月かけ、優先的に禁煙車を回す国際自動車(港区)の協力で実現した。
「帰宅の際のことも含めて患者の方に対する医療サービスの一環と考えました。禁煙は時代の流れです」と吉村邦彦・呼吸器センター内科部長は説明する。
「禁煙車」とは車内で一度もたばこが吸われたことがなく、屋根の上やボディーに禁煙マークが付いている車をさす。
東京大学医学系研究科の中田ゆりさんの研究によると、車内で1人が喫煙すると粉じん濃度は通常の12倍に、2人喫煙すると31.6倍になる。「車内で吸わなくても、直前まで吸っていた人が乗ると肺に残っていた煙が吐き出され、粉じん濃度は約4倍になります」と中田さん。「車内で多くの人が受動喫煙を強いられていることを知ってほしい」と指摘する。
国際自動車は04年12月に禁煙車を導入し始めた。現在は全体の2割強にあたる約340台が禁煙車で、今年度内に500台まで増やす計画だ。
全国的には札幌市の札幌社会保険総合病院(秦温信(はた・よしのぶ)病院長)がいち早く禁煙車限定に踏み切った。保有する45台すべてが禁煙車という山崎自動車工業(北海道江別市)が協力している。
東京都中央区の聖路加国際病院も禁煙車以外の乗り入れ制限に踏み切り、昨年12月、都内のタクシー会社約60社に理解を求める文書を送った。しかし、通常車の乗り入れは続き、今年8月に再度申し入れた。
それでも時折は通常車を見かける。ある運転手は「並んでいるのが禁煙車ばかりだとためらうが、きょうはみんな通常車だった」と苦笑する。
03年に健康増進法が施行され、病院を含め、公共施設では分煙、禁煙化が進む。今年4月の診療報酬改定で禁煙指導に保険点数がつくようになり、施設内の全面禁煙がその条件になったことも禁煙化への取り組みを後押しする。
とはいえ国土交通省などによると、禁煙タクシーは05年度末現在で全国に5867台。前年度より2300台余増えたが、それでも全体の約3%に過ぎない。
「たばこを吸いたい客もおり、禁煙車にすると売り上げが減る」とタクシー会社が心配するためと東京乗用旅客自動車協会はみる。
昨年6月に禁煙車を導入し、現在は2割にあたる約150台が禁煙車の日の丸交通(文京区)も「今後増やすかどうかは社会情勢を見ながら決めたい」と慎重だ。神奈川県タクシー協会によると、加盟社が持つ約1万台のうち禁煙車はまだ約360台にすぎない。
◆今年8月から「禁煙車限定」を掲げた東京都文京区の順天堂医院。
タクシー乗り場にいた女性(42)は「禁煙車でないと、車内で窓を開けてもたばこのにおいが消えず、具合が悪くなることもあります。他の病院も禁煙車だけにしてほしい」と話す。
呼吸器内科の瀬山邦明助教授は禁煙外来も担当する。昼休みに職員十数人と見回り、医院の外の道で吸い殻を拾う。構内で通常車を見つければ、運転手に禁煙車限定の取り組みを丁寧に伝える。そうやって地道に働きかけていくつもりだ。
(朝日新聞より)
<タミフルと異常言動、関連性「なし」 厚労省研究班>
抗インフルエンザウイルス薬オセルタミビル(商品名タミフル)の服用者が異常言動で死亡した例などが報告されているが、「小児のタミフル服用と異常言動の関連性は認められなかった」という研究結果が厚生労働省の研究班(主任研究者、横田俊平・横浜市立大教授)の調査で分かった。
異常言動は、インフルエンザの合併症として多く発生する脳症の前にも出るとされるが、タミフルの服用が影響しているのか注目されていた。
調査は昨年度、全国12都県の小児科医を通して行い、2846件(99.5%が0歳から15歳まで)の回答を得た。発熱後7日間の服薬状況や肺炎や中耳炎の併発、けいれんや意識障害、幻覚やうわごとなどの異常言動があったか答えてもらった。
調査対象の患者の9割がタミフルを服用していた。服用した患者の異常言動発生率は11.9%。一方、服用しなかった患者の異常言動の発生率は10.6%だった。統計学的に意味がある差ではなかったという。
医師への調査とは別に、患者の親らにも調査票を配って調べたところ、2545件の回答があった。こちらもタミフル服用による異常言動の発生率の上昇はみられなかった。
厚労省によると、01年の販売開始から今年6月末までに、タミフル服用後に異常言動などで死亡した16歳以下の患者は15人。医薬品による副作用被害に救済金を支給する国の制度に申請した例もあるが、これまでのところ、副作用と認められたケースはない。
タミフルは、鳥インフルエンザが変異して起きるとされる新型インフルエンザの治療薬としても期待され、国や自治体が備蓄を進めている。
横田教授は「明確な結論を得るにはさらなる検討が必要で今年度も詳細な研究をする」と話す。
(朝日新聞より)
<看護師、上京ラッシュ 地方は流出に危機感>
地方の看護学生さん、都会の病院へいらっしゃい――東京の大病院が、地方から看護師の卵を連れて来ようと勧誘に精を出している。診療報酬の改定を機に増員を図る病院が多いためで、東大病院(東京都)は今秋、初めて地方で試験を行った。看護学生にも上京希望が強く、現代版「集団就職」の様相だ。人材を奪われる地方の病院は、最低限の態勢確保も危うくなると危機感を募らせる。
秋田県の北部、大館市にある秋田看護福祉大には今年、「学生さんをぜひうちの病院に」と東京やその周辺の病院の職員が頻繁に訪れる。昨年度の求人件数は262件だったが、今年は10月上旬の時点ですでに338件にのぼる。
10年前に短大として開校し、昨年4年制に改編したばかり。「うちのような新参者はこちらからお願いしなければいけないのに」と、就職担当の後藤忠志助教授は驚く。
東京の病院から続々と内定通知が届く。都内の大学病院に内定した学生(21)は「ずっと東北に住んでいたので、一度は東京で働きたい」と話す。別の大学病院に決まった学生(21)も「都会の大規模病院で最前線の救急医療を経験したい」。この病院には同級生4人も就職する予定だ。
東京の病院が採用活動に熱を入れる背景には、4月からの診療報酬制度の変更がある。
新たな基準に従って看護師をこれまでより手厚く配置すると、入院患者に対する診療報酬が従来より多く支払われるようになった。「人件費が増えるので利益は出ないが、高度医療と患者サービスにつながる」と東大病院の櫛山博副院長。
東大病院は来春、例年の約2.5倍の300人を採用する予定だ。9月30日には仙台や福岡など5カ所で地方試験を実施。教授らも、学会で訪れた地方の看護大などを回ってPRにいそしむ。
東京の大病院の攻勢を受ける地方の病院は厳しい状況に置かれている。
「都会の大病院に学生が流れてとても太刀打ちできない」。宮城県内で4カ所の病院を運営する宮城厚生協会の佐藤道子看護部長は頭を抱える。来春50人程度を採用したいが見通しが立っていない。12の訪問看護ステーションも運営しているがこちらの応募も減っており、病院部門から看護師を派遣して態勢を維持しているという。
東北医療の中心、東北大病院(仙台市)でさえ苦戦を強いられている。例年の倍近い190人程度の採用が目標だが、めどが立たない。「国立大の法人化で大学病院も競争の時代。他大学の行動を制限できないし」(病院総務課)と渋い表情だ。
(朝日新聞より)
<業務停止の介護老健施設、借金と内紛の果てに閉鎖>
介護老人保健施設として、全国で初めて介護保険法に基づく業務停止命令を受けた「すず
しろの郷(さと)」(東京都練馬区)が来月1日、閉鎖される。
都は経営主体の医療法人「杏稜(きょうりょう)会」についても、近く設立認可を取り消す。介護保険の導入で、経営体力も経験もない事業者が参入し、行政側もそれに目をつぶってきたという問題が背景にある。
◆〈「何だ、これは?」。出勤すると、職員食堂に紙が張り出されていた。理事長が、事務長ら4人を解雇したという内容だ。4人はこの日から姿を消した〉
理事同士の反目が表面化したのは、「すずしろの郷」が開設されてまだ4か月後の2000年5月。当時の職員のメモには、理由も示されないままの解雇騒ぎに、職場に動揺が広がった様子がつづられている。
「杏稜会」は「すずしろの郷」を経営するために1998年2月に設立された。関係者によると、土地を持っていた地元の農家が、「介護保険制度で毎月、理事報酬や地代が入る」と知人から持ちかけられたのが始まりだったという。
ところが、登記簿によると、土地は法人設立時には借金4億円の担保に差し出されていた。杏稜会は土地を買い取らざるを得なくなったうえ、施設建設のために「社会福祉・医療事業団」(現・独立行政法人「福祉医療機構」)などから計12億円の借り入れをした。
スタート時から金利負担が経営を圧迫。施設の開設許可は都から下りたものの、トラブルの種が、経営陣の深刻な対立を生むまでに時間はかからなかった。
◆異業種参入続々 施設数10年で3倍
介護保険が導入された00年4月当時は施設が足りず、行政は「負担あってサービスなし」との批判を懸念し、施設や法人の審査は甘くなりがちだった。
老人保健施設は95年に全国で1195か所だったが、昨年は3278か所と、10年間で3倍近くに増えた。異業種からの参入も相次ぎ、中には不適格業者も交じっていたが、その典型が「すずしろの郷」だった。
〈「施設の混乱に対し、都から指導できないのですか?」「都は医療法人にはできますが、現場への指導は練馬区の役割です」〉
職員のメモには、都や区に対し異常な実態を再三訴えた記録がある。都などが、形ばかりの改善指導を繰り返すうちに内紛はエスカレートした。
本来、置かなければならない常勤の医師がいないため、入居者の健康管理はおろそかになり、約1か月で10人が入院。皮膚病が発生したこともあった。負担が重くなったことに嫌気がさした看護師8人が次々に退職した。経営の逼迫(ひっぱく)で給食業者への支払いは遅れ、債権者を名乗る暴力団関係者とみられる人物も出入りするようになった。
◆今年4月に施行された改正介護保険法では、介護老人保健施設に対し、改善命令や業務停止に至らなくても改善を勧告できるようになり、行政がきめ細かな対応をできるようになった。
都福祉保健局では法改正直後に「すずしろの郷」への改善勧告を検討したが、結局、8月中旬まで見送られた。幹部は「月額3000万円近い介護報酬があり、何とか持ち直してほしいという期待があった」と打ち明ける。ところが、その介護報酬は、勧告を見送った直後に債権者から差し押さえられ、都の甘い期待はあっさりついえた。
すずしろの郷の土地・建物は、すでに競売開始が決定。申し立てた福祉医療機構は、新たな経営母体による施設再建を前提に、競売参加者を社会福祉法人や医療法人に限定するよう東京地裁に上申書を出したが、聞き入れられなかったという。
施設建設には都などの補助金約5億4000万円もつぎ込まれているが、戻ってくる見込みは薄い。老健施設として再生される可能性も限りなくゼロに近い、と都はみている。
◆情報開示不十分…移転先、自治体責任で
介護老人保健施設を巡っては、京都府の医療法人が運営していた2施設が虚偽の勤務表を提出したり、介護報酬約2億9000万円を不正受給したりしたことがわかり、府は今年3月、開設許可を取り消した。
しかし、この施設の運営は入居者や職員ごと別の医療法人に引き継がれ、再建されている。「すずしろの郷」のように施設自体が実質的に閉鎖させられるのは、介護保険法改正前を含めても極めて珍しい。
都福祉保健局によると、入居者72人の受け入れ先は決まったものの、リハビリの設備がない特別養護老人ホームを割り振られた人もいる。家族からは「代わりの施設には『3か月で出て』と言われた」といった不安も漏れる。また、通所リハビリの登録者109人については、ケアマネジャーが受け皿探しに奔走しているが、全員に代替施設が行き渡る見通しは立っていない。
入居者や利用者の立場で介護施設の経営実態をチェックすることは可能なのか。介護の質については今年4月に情報公表が義務付けられたが、経営面はいまだ不十分。介護保険法などを改正して一律に情報開示を求めることには、施設や自治体の負担が大きくなり過ぎるとして、「現実的でない」とする専門家が多い。
真野俊樹・多摩大医療リスクマネジメントセンター教授は「施設が自主的に公表するのが望ましい。赤字・黒字の状況や職員の離職率を、目指す介護のレベルと連動させて示せれば、信頼も得られる」と提案する。
介護報酬の減額で追い込まれる施設が増えている中で、経営状況を事前につかめれば突然退所を迫られる事態を避けられる。
田中滋・慶応大大学院経営管理研究科教授は「質の悪い施設が淘汰(とうた)されるのは、悪いことではない。ただ、自治体には、施設が閉鎖された際、利用者の行き場を確保する責任がある」と話している。
(読売新聞より)
|