
<最近増えているらしい世帯分離って何だ?>
◆介護保険料が安くなる
お父さんが世帯主、お母さんと子供が世帯員という家庭が多いだろうが、老親と住んでいるとおじいちゃんが世帯主だったり、おばあちゃんも世帯員だったりする。この老親と世帯を分離する家庭が増えている。世帯分離すると介護保険料が安くなったり、老親の入院時の負担が軽くなるからだ。
「世帯分離」しても生活は以前と同じ。一緒に暮らし、家計も変わらない。ただ、同じ屋根の下に2つの世帯ができるだけだ。世帯を分けることで、介護保険料、介護保険や医療費の利用者負担が安くなる。
手続きは簡単で、市役所や区役所で所定の用紙に記入して提出するだけ。なぜ世帯を分離するのかなどと聞かれることはないし、特別の証明書みたいなものの提示を求められることもない。では、どんなメリットがあるのだろう。
自治体によって保険料は異なるが、たとえば夫婦(夫55歳、妻54歳)と子供、収入は国民年金だけの母親(78歳)と東京・渋谷区に住んでいるAさんのケースで見てみよう。
Aさん宅の介護保険料は夫婦の均等割額(1人1万2000円)と所得割額(夫婦の住民税額の19%)におばあちゃんの4万600円を合わせたものだ。
これをおばあちゃんとの世帯分離にするとどうなるか。おばあちゃんの介護保険料が4万600円から2万7400円と1万3200円安くなる。
「“本人が住民税非課税で世帯に住民税課税者がいる世帯”から、おばあちゃん1人だけの“世帯全員が住民税非課税(基準所得80万円以下)”と区分が変わるからです」(ファイナンシャルプランナー)
ただ、お父さんが組合健保や政府管掌健保の場合は、おばあちゃんを健保の扶養からはずすと、おばあちゃんの国民健康保険料が発生してしまう。しかし、扶養は同一世帯という規定がなければ、世帯分離しても健保の扶養はそのままにしておくことは可能だ。
◆医療費負担が軽くなる
老人保健法の改正で老人の医療費負担が増え、入院時(一般病床)の食事費も払うことになった。負担額は「一定以上所得者」と「一般」「低所得者」に分けられているが、Aさんの家のおばあちゃんはもともと「一般」だったから、医療費負担は世帯を分離しても1割で変わらない。しかし、「食事費」は安くなる。
「一般のままだと食事費は1食につき260円ですが、世帯分離するとおばあちゃんは住民税非課税世帯になるので100円です。1日3食で480円、1カ月1万4880円も安くなります」(ファイナンシャルプランナー)
医療費の自己負担限度額も変わる。Aさんと同じ世帯のままなら外来が1カ月1万2000円、入院が同4万4400円だが、おばあちゃんの1人世帯になると外来8000円、入院2万4600円と低くなる。これは組合健保、政府管掌健保でも同じ。
組合健保などの場合、世帯分離してもお父さんの毎月の保険料は変わらないが、老親の介護保険料や医療費負担は減る。サラリーマン世帯も検討の余地ありじゃないか。
<人材各社、医師紹介拡大>
人材サービス各社が医師不足に悩む地方医療機関向けなどに、紹介事業を拡大する。結婚や出産でいったん離職した女性医師の活用や、自治体と組んだ人材の発掘を進める。新人の医師が研修先を自ら選ぶ制度の導入で、従来は研修医の多くを受け入れていた大学病院経由の人材供給の流れが細ってきたためだ。
テンプスタッフ・メディカライズ(東京・渋谷)は今夏にも、いったん離職した女性医師を医療機関に紹介する事業を始める。製薬会社や大学と連携して最新の医療技術や医薬品の情報を提供し、復帰を支援。3年後をメドに年間160人程度の紹介を目指す。
(日本経済新聞より)
<看護師不足、全国の病院で争奪戦>
◆「手厚い配置」で診療報酬アップ 医師会、地域医療崩壊懸念
全国の病院が看護師の確保に奔走している。昨年4月の診療報酬改定で、入院病棟の看護師配置によって、病院が受け取れる入院基本料が増減する新基準が導入されたためだ。
看護師集めを派手に展開する大病院に対し、防戦に追われる中小病院。看護師の不足感は強まり、診療報酬を決める厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)でも、混乱を鎮めようと議論が巻き起こっている。(社会部 岩永直子)
引き抜き恐れる中小病院 大病院は「総動員」で募集
◆「7対1」看護
「地域住民のことを考えた看護体制を組むと、病院経営が苦しくなる」。横浜市鶴見区の中規模病院「汐田(うしおだ)総合病院」の小田明美総看護師長(49)は思い悩む。外来患者が多いため、入院病棟に看護師を多く回すことができず、入院基本料が減算対象となってしまったためだ。年間収入は3000万〜5000万円も減る見込みだ。
近くに新しい病院ができて、主任クラスの看護師が何人も引き抜かれたこともあり、今年度は約120人の看護師のうち、すでに約20人が辞めた。新卒者などの採用で、その補充をしなければならない。
大阪府内の中堅病院は昨年5月、入院基本料加算の配置基準を満たした。その後、他病院からの引き抜きなどで退職者が相次いだのに、穴埋めできないでいる。基準を維持するため、非常勤の看護師を約20人採用する方針だ。看護部長(53)は、「非常勤では、安全管理面などで責任の所在があいまいになる」と懸念する。
昨年4月の診療報酬改定で、最高水準の看護配置として、入院患者7人に対して看護師1人という基準が新たに導入された。昼夜を問わず忙しい急性期の病棟に看護師を増やして看護の質を高め、看護師の労働環境も改善しようという狙いだった。
一般病棟で「7対1」の場合、入院基本料は入院患者1人当たり1555点(1点10円)。改定前の最高基準「10対1」(1209点)と比べ、格段に高い。「10対1」より配置が薄いと、逆に減算になることもある。
◆大幅な採用増
導入した厚労省にとって想定外だったのは、大病院が看護師確保になりふり構わず走ったことだ。
東大付属病院は昨年6月、「看護師確保対策本部」を設置、「7対1」実現のために300人の採用増を打ち出した。見込まれる収入増は約9億7000万円。職員が全国の看護学校を訪問し、医師も出身地の学校へ勧誘に行く「総動員体制」をとった。409人が採用試験を受け、287人が内定したが、辞退も多く、現在3度目の募集をかけている。
厚労省の昨年末の調査では、全国の大学病院128施設だけでも、今年度の看護職員の募集数は1万3816人で、昨年度と比べ4184人も増加。診療報酬改定の影響がはっきり出ている。
◆仏料理付き説明会
大病院に対抗して、看護師を確保しようという動きもある。
金沢脳神経外科病院(石川県野々市町、一般病床60床)は昨年8月、ホテルでフランス料理のフルコース付きの就職説明会を3回開いた。東大病院が石川県内の看護学校にも勧誘に来たと聞いて危機感を持ったためだった。看護師を15人増やせば「7対1」を満たすことができ、人件費を差し引いても約1500万円の収入増となる。目標達成まであと3人となっている。
中医協でも「7対1」導入による混乱が議題に上っている。昨年末の会合では、日本医師会などが「地域医療が崩壊する」として、看護の必要度の高い病棟だけに限るなど、条件をもっと厳しくするよう求めた。
これに対し、日本看護協会は、「看護師が不足しているという一部の声が強調され過ぎだ。現場からは、丁寧な看護ができるようになったという声が上がっている」と反論。古橋美智子副会長は「条件のいい病院に看護師が動くのは当然。働きやすい環境整備をするのが先決」と主張する。
日医は病院3098施設、看護学校1388校を対象に、看護師の需給実態を調べており、今月17日の中医協に報告する。厚労省保険局は「中医協の意見によっては、見直しが必要かどうか検討する」としている。
◆高い離職率、再就職促進が課題
厚労省によると、2005年の看護職員(看護師、保健師、助産師、准看護師)の就業者数は130万8409人。06年から5年間の需給見通しでは、需要に対し97〜99%の供給が可能とされている。ただ、この見通しには、昨年の診療報酬改定の影響は反映されていない。
毎年、約5万人が看護学校などを卒業し、新たに看護職員になっているが、1年以内の離職率(病院間の移動も含む)は、9・3%(04年)に上る。背景にあるのは、過酷な労働実態だ。日本看護協会は「労働環境を改善して、離職率を1%減らすだけで、年間8000人を確保できる」と強調する。
資格を持ちながら、現在は働いていない看護職員は、全国で約55万人といわれる。
厚労省は医療機関への再就職促進が看護師確保のカギとみており、看護師の就職あっせんをするナースセンター事業などを続けている。
診療報酬 患者が医療機関で診療を受けた場合、患者が加入する健康保険の保険者や患者から、医療機関が受け取る代金。国が医療行為の種類ごとに診療点数を定め、1点あたり10円で計算。点数は保険者と医療機関側らによる中央社会保険医療協議会で決める。
( 読売新聞より)
<厚労省/有床診の基準病床カウントで通知 1日施行の改正医療法>
有床診療所における48時間の患者の入院時間制限の努力義務規定を廃止したり、有床診の一般病床を基準病床数にカウントするなどの改正医療法が1月1日で施行された。施行に先立ち厚生労働省は昨年12月27日付で留意事項や経過措置などを盛り込んだ医政局長通知を各都道府県に発出した。
医療法改正により病床規制の対象となった診療所に一般病床を開設しようとするときは、基本的に都道府県知事の「許可」が必要となった。ただ例外規定として、病床過剰地域でも一定の条件を満たせば、都道府県知事の「許可」でなく「届出」で新規開設や増床を認める。一定条件とは、<1>診療報酬上の在宅療養支援診療所など<2>第10次へき地保健医療計画で示されている「無医地区」などで入院機能を持つ診療所<3>小児医療、周産期医療などを提供する診療所として医療計画に定められている診療所が一般病床を設置する場合-など。
都道府県が医療計画を策定するに当たって、個々の診療所を計画に記載する場合、一定条件に該当するかどうかについて、地域の実情を踏まえて検討する必要があることから、都道府県の医療審議会に諮るよう求めている。
一方、施行期日前に存在する診療所の療養病床以外の病床については、自動的に一般病床の設置の許可を受けたものとみなす経過措置を設けた。また、施行期日前に診療所開設の許可申請、病床数変更の許可申請などをしている療養病床以外の病床を「特定病床」と位置付け、都道府県知事の勧告対象とはしない。さらに、特定病床には一定期間、基準病床数にはカウントしない経過措置を設けた。
特定病床を持つ診療所が移転する場合、移転先の2次医療圏の既存病床数は特定病床分増えることになるが、移転の前後でその診療所の病床数が増えない時は、都道府県知事の勧告対象から外す。
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