
<地域密着型市町村で高い報酬設定可能に>
地域密着型サービスに限って、この4月から市町村独自の介護報酬の加算が認められる。平成19、20年度の2カ年限り。報酬の単位は3月にも都道府県へ通知する。平成18年4月の介護報酬改定時に平成19年4月からと明記されたもの。
地域密着型サービスのうち、小規模多機能型居宅介護と夜間対応型訪問介護について、サービスの質の確保が重要なことから、通常の要件に加えて、専門職の配置、地域連携体制を整備しているところには市町村独自の高い報酬設定を可能とするもの。「市町村独自の」とした点は、個別ケアに徹したサービスが行われていることを市町村におかれる地域密着型サービス運営委員会で判断する必要があるため、サービス事業者のチェックにもつながるものとして期待されている。
◆認知症高齢者のケアに重点
小規模多機能型居宅介護の具体的な報酬は3段階。要件が3件以上あれば高い報酬、2件以上で中間の報酬、1件でも最低ランクの報酬が得られる。必須の要件は、A認知症高齢者と職員とのなじみの関係の確保で、その他の要件は、B専門性の高い人材の確保、C他の事業者や地域との連携体制、D利用者へのサービスの質の向上に資すると認められる要件だ。
夜間対応型訪問介護費の高い報酬設定は、利用者の通報により調整・対応するオペレーションセンターを設置している事業者とそれ以外に分かれ、オペレーションセンター設置のものは報酬設定が2段階。要件が2件以上のものは高い報酬、1要件のものは低い報酬設定だ。要件はA利用者への定期的な状況把握ができていること、B地域支援体制が確保されていること、C利用者へのサービスの質の向上に資すると認められるものだ。また、定期巡回サービスや巡回訪問サービスを行った場合、訪問1回につき加算される。加算要件は専門職の配置だ。随時訪問サービス費は1人で対応する場合と2人で対応する場合で加算額が異なる。
オペレーションセンターのない夜間対応型訪問介護は先の3要件に加え、専門職が配置されていることが条件だ。3要件を満たせば高い報酬設定で、2要件は中間の報酬、1要件では低い報酬になる。
◆市町村独自報酬検討委員会で審査
小規模多機能型居宅介護及び夜間対応型訪問介護の市町村独自の高い報酬設定は、市町村からの申請を厚生労働大臣が認定する形になるため、市町村では地域密着型サービス運営委員会を設け、報酬案を作成し、都道府県を通じて厚生労働大臣の下に置かれた「市町村独自報酬検討委員会」の審査を経て認定される。市町村からの申請は年2回あり、19年20年の2カ年で4回だ。
小規模多機能型サービスは、利用者一人ひとりの人格を尊重し、家庭的な環境の下で日常生活ができるように仕組まれたサービスで、ケアについては漫然と画一的にならないようなものが求められている。「2015年の高齢者介護」で明らかになった認知症高齢者の増加は、これに対応したケアが求められることを意味し、事業者は認知症高齢者に対応したケアの質に高める必要がある。認知症高齢者一人ひとりに対して虐待や身体拘束のないケアが求められる。
<軽度者の介護ベッドレンタル 判断基準見直しへ>
厚生労働省は19日、昨年4月からの介護報酬改定で、要支援・要介護1の高齢者の福祉用具レンタルを制限したことについて、パーキンソン病や末期がん、呼吸器疾患などの疾病により状態が変化しやすい人については、医師の判断などにより例外的に介護ベッドの利用を認めることを決めた。要介護認定の項目だけで判断する現行の基準が厳しすぎると、ケアマネジャーや事業者団体、自治体などから強い批判が相次いだため、昨年11月に実態調査を実施していた。今回の基準緩和はその分析結果を踏まえたものとしている。利用者にとっては救済策となるが、改正からわずか1年での見直しとなったことで、行政の″先走り″が浮き彫りになった形だ。新たな判断基準は今月からパブリックコメントを行い、四月から実施する予定だ。
(シルバー新報より)
<介護報酬マイナス改定後の事業展開>
介護報酬のマイナス改定の影響が業界に影を落としている。この先の事業展開をどう考えたらいいか。介護保険制度に詳しい慶應義塾大学大学院教授の田中滋氏に話を聞いた。業績悪化は個別事業所の問題で、市場による淘汰が正常に機能している証拠という。シナジー(相乗効果)が得られれば保険外サービスに取り組んでいくことも収入確保の一つの手段とした。
◆マイナス改定の影響が業績に現れ始めている。
「介護報酬の引き下げが強調されがちだが、介護報酬の変化は、経済全体の物価水準低下やここ数年の賃金下落幅より緩かった。さらに、一昨年十月に行われた施設入居者の食費・居住費自己負担化は、保険給付減であっても、総収入の減とは限らないことを意識する必要がある。サービスの品質に関するチェックが厳しくなっているなかで、質の高いサービスを効率的に展開している事業者の事業が立ちゆかなくなっているだろうか。決してそんなことはない。もしそういう事態に陥るようでは、介護保険の制度そのものを立て直す必要があるだろう。
劣勢を強いられているのは、経営環境の予測ができず、長期の視野とビジョンに基づく戦略的な考え方ができなかった事業者ではないだろうか。
質の高い介護サービスを効率的な方法で提供する事業者が生き残り、その一方で従事者の教育が不足している事業者、あるいは適正規模に達しない事業者が淘汰される姿は、介護保険が制度として正常に働き、市場が機能している証拠になると思う。
今回の改正によって、要介護度が低い層へしわよせがいったと考える向きは多い。しかし、介護保険制度は本質的には要介護度が高い人々及びその家族の負担を減らすための制度であることは、創設以来変わっていない。また、経済的弱者救済のシステムではない。高齢者が抱える問題の何もかもを保険給付内でまかなおうとするあり方には、そもそも無理がある」
(シルバー新報より)
<老人虐待:法務局、人権救済へ 聞き取り調査開始>
無届け有料老人ホーム「ぶるーくろす癒海館(ゆかいかん)」(千葉県浦安市)の入所者虐待疑惑で、千葉地方法務局と東京法務局が、「重大な人権侵害の疑いがある」として、虐待が疑われる事案に対して人権侵害の調査救済手続きを開始したことが分かった。千葉地方法務局は、毎日新聞の報道で疑惑発覚後、千葉県と浦安市に職員を派遣して情報収集していた。人権侵害の事実が確認され次第、刑事告発、関係行政機関への通告などの措置に踏み切る方針だ。
両法務局は28日、手続きの一環として、虐待を告発した元職員から約3時間にわたり施設の運営実態などについて聞き取り調査した。昨年11月ごろ、30代の障害者の男性がペット用の柵(さく)に入れられたケースや、金属製の手錠で男性入所者が拘束されたことなど、個々の身体拘束事案についても詳細に聞き取った模様だ。
今後、元職員の証言を精査したうえ、施設運営会社「ぶるーくろす健康開発協会」(東京都中央区)の中原健次郎社長(71)、施設の中原規容子事務長(36)ら責任者からの聞き取りや施設の調査を行う方針。虐待による人権侵害の事実が固まれば、悪質さに応じて、捜査当局への刑事告発、関係行政機関に適切な処置を求める通告、文書で改善を求める勧告などの救済措置を取る。
人権侵害は「法律に違反した行為に限らず、憲法や人権に関する諸条約、世界人権宣言などに反する行為」とされ、虐待のほか、差別やいじめなどが該当する。
法務省によると、老人ホームなど高齢者福祉施設の職員による入所者への人権侵害事件は最近増加傾向にある。03年6件、04年28件、05年18件の救済手続きが取られている。
◇ことば 人権侵害の調査救済手続き 差別的扱い、暴行、虐待やプライバシー侵害などの被害の申告を受け、法務省や各地の法務局が人権侵害に当たるかどうかを調査し、人権侵害に当たる場合に救済措置を講じる手続き。法務省設置法第4条26号に明文化されている。悪質さに応じ、(1)刑事告発(2)通告(3)勧告(4)説示(5)要請(6)調整(7)援助−−などの救済措置がある。
■社長、ペット柵使用認める
無届け有料老人ホーム「ぶるーくろす癒海館(ゆかいかん)」(千葉県浦安市)の入所者虐待疑惑で、施設運営会社「ぶるーくろす健康開発協会」(東京都中央区)の中原健次郎社長(71)が28日、東京都内で毎日新聞のインタビューに応じ、入所者をペット用の柵(さく)に一時的に入れていたことを認めた。入所者の身体拘束についても認めたが、「他の患者を守るため一時的にやったと聞いている」と釈明。「閉鎖ではなく移転だ」と強調しながら、現施設での介護活動を中止する意向も明らかにした。
登記簿や民間信用調査会社などによると、中原社長は1961年に医師資格を取得し、東京都港区に71年、夜間診療所を開いて循環器科専門病院の設立を目指した。その後、76年に同社を設立し社長に、95年に医療法人社団「ぶるーくろす」を設立し理事長に就任。同法人は埼玉県入間市と東京都中央区に診療所を開所し、03年開設の「ぶるーくろす癒海館」では医療管理をしている。同法人のホームページでは、患者を拘束する医療機関を批判、「患者にとっては地獄(?)である。これで病気が治ると期待できるのか、疑問が生じる」などと記述している。
中原社長はインタビューで、「隣で寝ている患者さんを落としたりしたことがあったので、一時的にペットサークルに入れたことがあったと聞いている」と説明。入所者を金属製手錠で拘束したことについては「知らない」と述べた。施設の中原規容子事務長(36)はこれまで、「ペット用ではなく子供用の柵」などと説明していた。
無届けで施設を運営していたことについては、「開設した当時は届け出る必要がなかったが、昨年8月に新しい法律ができて届け出が必要になったことを知らなかった」と説明した。一方、施設の老朽化などを理由に、今後、別の場所に移転する考えであることも明らかにした。県によると、施設は00年11月に「ぶるーくろす浦安循環器科」として医療法に基づく開設許可を受けたが、03年6月30日付で診療所の廃止届が出されている。
■中原健次郎社長との主な一問一答は次の通り。
−−身体拘束はやむを得なかったのか。
◆何が何でも(拘束が)いけないというのが間違っている。場合によってはせざるを得ないケースもあり、それなりの理由がある。患者が憎らしいから(拘束)するなんてはずがない。
−−オリや金具による拘束は行っていたのか。
◆オリではない。隣で寝ている患者さんを落としたりしたことがあったので、一時的にペットサークルに入れたことがあったとは聞いている。金具については知らない。
−−他の方法はなかったのか。
◆極端に言えば、薬で眠らせたり、そもそもそういう(拘束が必要な)患者は最初から受け入れないという方法が一番だが、そこが今の医療の問題点になってくる。うちの施設は、他の病院では手に負えないような患者さんを受け入れる「準病院」のようなもので、普通の介護施設ではない。手間がかかって他の病院を追い出された患者さんの受け皿になっている。
−−多様な症状の患者がいるということか。
◆そうだ。例えば、鼻腔栄養のチューブをすぐに抜いてしまう患者さんのケースだと、すぐに入れ直すとなっても保険が使えるのは月に1回がせいぜい。職員数の問題もあり度々入れ直すという訳にもいかず、手間とお金がかかる。そういう患者に対し、ベッドに手を完全に固定するのではなく、鼻のところまで届かないようにする処置は、家族の許可を得れば当然あり得る。
−−施設を閉鎖するのか。
◆閉鎖ではなく移転だ。現在の施設は築30年近くで老朽化も目立ってきており、いずれ出ようと前々から考えていた。今回の問題とは関係ない。時期や移転先は未定だ。
(毎日新聞より)
<特定健診実施率の目標は70% 厚労省 2012年度までに>
厚生労働省は2月28日、2012年度の特定健診実施率全国目標値を70%に、特定保健指導実施率目標値を45%に設定することを案を提示した。メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少率は、08年度と比較して10%減少させる。特定健康診査等実施計画(第1期)の参酌標準案として示した。
<ICU医師全員退職へ 国循センター 執刀との分業困難>
国立循環器病センター(大阪府吹田市)で、外科系集中治療室(ICU)の専属医師5人全員が、3月末で同時退職することが28日、分かった。同センターは国内で実施された心臓移植の半数を手掛けるなど循環器病治療の国内最高峰で、ICUは心臓血管外科手術後の患者の術後管理・集中治療を受け持ち、診療成績を下支えしてきた。同センターはICU態勢の見直しを検討している。
同センターによると、ICUには5人の専門医が所属。所属長の医長を含む2人のベテラン医師が辞職を表明したのをきっかけに、指導を仰げなくなる部下の3人の医師も辞職を決めたという。
ベテラン医師2人は辞職の理由を「心身ともに疲れ切った」と説明しているという。
同センターのICUが対象とするのは、先天性心疾患や冠動脈・弁疾患、心臓移植、大血管疾患などさまざまな心臓血管外科系の難病患者。成人だけでなく小児も対象とし、外科手術後の患者の最も危険な時期の全身管理や集中治療を24時間態勢で行ってきた。
ICUの入院病床は20床で、年間1100症例を超える重篤な患者を受け入れ、常に患者の容体の急変に備え、緊張を強いられる環境にあった。
同センターは、5人に残るよう慰留を続けているが、辞職の決意は固いという。
このため4月以降は、他部署からICUの専属要員を確保するものの、ICUでの患者の超急性期管理・集中治療は、執刀した外科チームが責任を持って行う態勢にすることを検討している。
同センター運営局は「特にベテラン2人に代わる人材はおらず、これまでのように執刀チームとICUの分業ができなくなる。しかし、手術件数を減らしたりICUでの管理が不十分になるなど患者に影響を与えるようなことはない」と話している。
(産経新聞より)
<世界の認知症患者、2030年には4400万人に>
世界保健機関(WHO)は27日、認知症の患者数が2005年時点で約2440万人に上り、30年には同患者数が約1・8倍の約4400万人に増加すると推計した報告書を発表した。
報告書は、認知症の患者数について、高齢化の程度によって大きな差があると指摘。高齢化が進んでいる日本や欧米などの高所得国では、05年時点で人口1000人当たりの患者数がすでに約11・4人に達しており、30年には同約17・5人に増加すると予測した。
世界平均は05年が同約3・8人、30年が同約5・6人。高所得国では、認知症患者の割合が平均の約3倍に達すると分析している。
(読売新聞より)
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