
<ワイドショー ミスマッチの悲劇>
介護ビジネスという言葉に違和感を持つ人は少なくないと思う。介護とビジネスという不釣り合いな2つの単語の組み合わせはとても変だ。「スパ大爆発」という言葉も妙である。やすらぐはずのスパ施設と爆発という組み合わせは馴染むものではない。6月のワイドショーをにぎわしたコムスンの経営破綻問題と渋谷の温泉施設シエスパの爆発事故は、多くの市民に悲劇をもたらした。
訪問介護事業大手のコムスンが、各地の事業所でヘルパーの数を偽って申請していた事実が発覚し、厚生労働省は指定を取り消す処分を決めた。
コムスンの親会社、グッドウィル・グループの折口雅博会長(45)は総合商社・日商岩井の商社マンだった。バブル時代の象徴のひとつだったディスコ「ジュリアナ東京」の仕掛け人としても有名だが、当時、商社とディスコという組み合わせも「何とも妙だな」と感じた人は少なくないだろう。
その後、日商岩井はニチメンと合併し、双日となって再建に取り組んでいるが、安易な事業拡大がそもそも商社としての凋落(ちょうらく)を迎える原因ではなかったか?
転身し起業した折口会長が、介護保険制度を利用した訪問介護事業を始めたとき、多くの経済アナリストたちが「将来、有望な会社」としてコムスンを取り上げたが、この時、介護とビジネスを結びつける危うさを誰もが見抜けなかった。
折口会長が経済誌などで時代の寵児(ちょうじ)ともてはやされていたころ、記者は奈良支局で地元選出の国会議員や県議らが競うようにして介護・福祉施設の経営に乗り出す姿を見てきた。
「福祉事業だから表向きがよく、国の補助を受けるから損はしない」
本末転倒である。安易に福祉とビジネスという相いれない概念を結びつけた結果、続々と不正が噴出し始める。コムスン同様に従業員の水増し請求や入所者へのサービスを低下し、補助費を浮かせるなどの犯罪行為が明るみに出始めた。取材で痛感したのは、介護の一線で働く人たちが命を削って高齢者や身障者と向き合っているということ。一方で事業者側には真剣に介護・福祉に取り組もうという覚悟を感じなかった。覚悟のない事業者たちに簡単に経営許可を与え、補助費を出す国の制度自体も問われる。保険制度改正は遅過ぎた。
シエスパ爆発事故でも経営者の責任、行政の管理責任が問われた。
このスパの近くに住む漫画家、江川達也氏が事故後、こんな事実を明かしていた。周囲は住宅街で、スパの建設計画が持ち上がったとき、地元住民は反対運動をし、すでにガスの危険性を指摘していたという。だが、行政や区議会は無視し続け、結果、事故は起きた。
事故や犯罪を抑止する機会や転機は、どこかに必ずあると信じたい。違和感を覚えたときは、それが正しいことなのかを疑う必要がある。ミス・マッチの言葉に閉じこめられた“違和感のマグマ”に敏感でありたい。
(産経新聞より)
<再入院患者が増加 日数は短縮 医療費定額制>
厚生労働相の諮問機関、中央社会保険医療協議会の小委員会は11日、1日の医療費を定額とするDPC(入院費包括払い)を導入(準備含む)する731の病院で、昨年7-12月に退院した約258万人の追跡調査結果を踏まえ、DPCの評価報告書をまとめた。初年度の03年度から取り入れた82病院は、06年の平均入院日数が17・35日と導入前の21・22日(02年)から着実に減り、「入院医療の効率化が進んでいる」とした。しかし、同じ病気で6週間以内に再入院した人は3・94%から7・09%へと増えた。
「治癒」した患者の割合は11・73%から5・05%に落ちる一方、「軽快」の割合は67・08%から74・07%へ増え、「前倒し」で退院させている実態がうかがえる。(毎日新聞より)
<介護給付適正化へチェック強化>
厚生労働省は都道府県に介護給付適正化計画の作成を指示した。適正化の要は介護認定の適正化、ケアマネジメント、介護報酬請求の3つ。コムスンの不正請求事例の摘発などを踏まえ、取組の強化も予想される。
厚生労働省は、六月二十九日、全国の介護保険担当者を集め、介護給付適正化計画の作成を指示した。平成18年度の指定取消処分は50事例、平成12年度から平成18年度では398事業所にも及ぶ。こうした不適切な事例の解消と、必要とされる利用者に適切なサービスを提供するため、介護給付適正化事業が平成20年度から実施される。これに先立ち都道府県は平成19年度の10月頃までに暫定計画を作り、平成20年4月からの実施に備える。
◆不適正事例など指導・監査
要介護認定では、医師のおざなりな対応により意見書が提出され困惑している状況が報告され、要介護認定の現場で混乱があるほか、ケアプランについてはケアマネジャーに関わりの深い事業者のサービスが多くプランニングされるなどサービス提供の偏りも指摘されているところである。介護現場では、密室であるが故に訪問介護員の虐待行為が散見されるなど不適切な事例が後を絶たない。事業者においては無資格の従業者を有資格として、不正な手段により指定申請するほか、不適正なサービスが提供され、不適正な介護報酬の請求が行われることなどがあがっている。
介護給付の適正化は、こうした行為をなくし、介護給付を必要とする受給者を適切に認定した上で、受給者が必要とするサービスを事業者が適正なルールに従って提供することを促すことにあって、不適切な給付を削減し、利用者の介護サービスを確保することで介護保険の信頼性を高めることにあるというのが基本姿勢だ。
◆調査指導員を養成
介護給付適正化事業を行うにあたり、保険者(市町村)は都道府県と一体になって平成19年度中に「介護給付適正化計画」を策定する。都道府県では監査・指導を強化し、保険者が行う事業を支援する。適正化事業は要介護認定の適正化、ケアマネジメントの適切化、サービス提供体制と介護報酬請求の適正化の3つ。
国が行うのはシステムの改善、情報提供などだが、要介護認定に関して、認定調査の中核となり、認定調査員への指導的役割を果たす「調査指導員」を養成する。また、市町村からの派遣要請に応じて、認定審査会での指導的助言を行う要介護認定に精通した者を派遣する。
ケアマネジメントの適切化では、ケアプランの点検体制整備、ケアプラン点検支援マニュアルを平成19年度中にまとめる。
サービス提供体制と介護報酬請求の適正化では、指導・監査に必要な地方交付税を財務当局に要求していく。
◆全ての営利法人を指導・監査
都道府県は平成24年度までに全ての営利法人の介護サービス事業所に、指導・監査を行う。要介護認定を確実なものとするため、認定調査員の研修を実施する。
市町村を中心とした保険者は、要介護認定において、認定調査員を市町村職員自らがチェックする。一次判定から二次判定の軽重度変更率、変更・更新の調査についても調査分析する。ケアマネジメントについては、ケアプランのチェック、住宅改修の事前訪問調査などを行う。サービス提供体制のチェックは株式会社を中心に指導監査を行い、保険者や国保連に寄せられた苦情や通報を分析し、事業者を指導する。不正請求や誤請求に眼を光らせ指導する。利用者からの架空請求や過剰請求の情報から監査を実施する。
<診療報酬新基準、中小病院中心に1年余で800か所が導入>
看護師を手厚く配置すると、入院基本料が上乗せされる新基準を導入した病院(一般病棟)が、昨年4月の診療報酬改定後、今年5月までの1年余りで、800か所を超えたことが厚生労働省の調べでわかった。
新基準を巡っては、看護師不足の中で大病院に人材が集中することが懸念されていたが、導入した病院の半数以上を中小病院が占める結果になっている。
新基準は入院患者7人に対し看護師1人を配置するもの。厚労省の調査によると、今年5月現在、「7対1」基準の届け出をした医療機関は814か所で、昨年5月時点の299か所から急増。一般病棟を持つ病院の病床数全体の約24%を占めた。
新基準を巡っては、収入アップを見込んで看護師採用の大幅増を打ち出す病院が増え、全国的に看護師の争奪戦が起こった。このため、厚労省の中央社会保険医療協議会が今年1月、「一部の大病院の大量採用で、地域医療に深刻な影響を与える懸念がある」と表明、見直しを打ち出した。
(読売新聞より)
<終末期入院医療費は1日3万1800円、同年代の1・5倍>
75歳以上で死亡した入院患者にかかる死亡前1か月間(終末期)の入院医療費は1日あたり3万1800円で、同年代の入院医療費の約1・5倍になることが、日本医師会の調査でわかった。
医師会は「終末期の医療費が突出して高いとはいえず、保険がきくことも考え合わせると、家族が治療を控える理由にはならない」としている。
病床数135床〜556床の3病院で、2006年度に死亡した75歳以上の入院患者403人について、死亡日から30日間さかのぼって分析した。
その結果、終末期の1日あたりの入院医療費(技術料、薬剤料、入院料など)は平均で3万1800円となり、同年代の入院医療費の平均2万1500円に比べ約1・5倍となった。死亡までの入院期間が7日未満の人が、急性期で搬送されて手厚い治療が行われるため5万6600円で最も高い。
(読売新聞より)
<療養病床の削減促進、介護報酬改定1年前倒し>
慢性疾患のお年寄りが長期入院する療養病床を減らし、新型の老人保健施設(老健)などへの転換を促すため、厚生労働省は介護報酬改定の一部を1年前倒しし、08年春に行う方針を固めた。新型老健などの報酬単価を優遇する。また、転換の足かせとされてきた施設別の増設枠を撤廃し、地域の総枠のなかで老健や特別養護老人ホームなどを自由につくれるようにする。療養病床の削減分を他施設の増設に充てられるようにし、削減・転換を加速させる考えだ。
療養病床には医療保険を使って入院するベッド約25万床と介護保険を使う約12万床があるが、患者の半数は、医療サービスの必要性が高くない「社会的入院」とされる。社会保障費抑制などの観点から厚労省は、介護型を11年度末に全廃、医療型も12年度末までに15万床をある程度超える水準まで減らす方針だ。
しかし、療養病床の廃止は医療機関の判断による。必要な医療が施せなくなるとの懸念や経営上の不安などから、削減や転換はほとんど進んでいない。
そのため、厚労省は抜本対策として、3年ごとに実施する介護報酬の改定を1年前倒しすることを決めた。終末期のみとりや夜間看護など、従来型に比べて医療的ケアを充実させた「新型老健」を介護報酬上で新たに評価し、報酬を手厚くする。単価は介護型の療養病床(1人あたり月額約41万円)と、従来型老健(同約31万円)との中間程度に設定する方針。
定員30人未満の小規模な老健では180日以上滞在できない、という介護報酬上の日数制限も前倒しして撤廃。診療所にある療養病床を小規模老健に転換しやすくする。
また、都道府県ごとの整備計画で、老健や特養など施設別の増設枠を年度ごとに定める規制もなくす。療養病床を転換しようとしても施設別の枠を超えることができず、受け皿を十分に用意できない問題を解消する狙い。施設の種類を問わないようにすることで、介護型療養病床が減った分を他施設の増設分に回せるようにし、転換を加速させる考えだ。
療養病床の他施設への転換が進んだ場合、医療対応が必要な重度者の受け皿が不足し、「介護難民」が発生するおそれがある。このため、厚労省は今秋、各都道府県が見積もった療養病床の必要数をもとに、12年度末時点で存続させる療養病床の数を決める方針だ。
(朝日新聞より)
<コムスン 46施設開業できず 地域介護に影響拡大も>
訪問介護最大手コムスンが計画しながら、介護事業所の指定取り消し処分で開業できなくなった介護付き有料老人ホームなどの施設が、全国で四十六カ所に上ることが八日分かった。コムスンは、こうした施設も含め一括して譲渡先を探すとしているが、建物の所有者からは早期開業を求める声が出ている。宙に浮いた状況が長引けば、地域の介護に影響が広がることも懸念される。
コムスンによると、建設中か完成したものの地方自治体から新たに指定を受けられない施設は、有料老人ホームが十七カ所、グループホーム四カ所、小規模多機能型居宅介護施設が二十五カ所。地域別では関東が十六カ所と最も多く、次いで北海道と関西、九州が六カ所、東海は五カ所。中国は三カ所、東北と北信越は二カ所、四国はなかった。
こうした施設はコムスンが建設せず賃貸で入居する計画で、建物の所有者らには「個別に譲渡せず一括で対応する」とし、譲渡先決定までの間の家賃など必要経費を支払うと説明。事業譲渡した場合も、契約した家賃や保証金の額は変えないとして理解を求めている。
しかし、建物の所有者からは「無人のまま放置されると困る」として、開業を求める声が強い。居酒屋チェーンのワタミや、介護施設運営のウイズネット(さいたま市)は、こうした複数の所有者から引き受け要請を受けたことを認めている。
開業できなければ、地域の介護に影響が広がる可能性もある。ただ自治体は「認可前の施設への表立った指導は難しい」(介護事業担当者)のが現状だ。厚生労働省も開業中の施設への対応を優先せざるを得ないのが本音とみられ、宙に浮いた施設の取り扱いが決まるまでには時間がかかりそうだ。
(東京新聞より)
|