サイト内検索


[2007/10/29]
 病院は収入、費用ともマイナス

<病院は収入、費用ともマイナス 医療経済実態調査>

2007年6月診療分を対象にした医療経済実態調査によると、医療法人病院の医業収入は05年6月に比べて−8.0%だったが、医業費用はこれを上回る−9.1%となり、医業収支差額は+2.5%で、05年6月調査よりも1.2ポイントアップした。6月1カ月分の医業収支差額は308万9000円だった。一般診療所(個人・無床)は、金額の伸びが4.3%、費用の伸びが8.3%、収支差額は35.8%、05年6月よりも2.8ポイント下落した。医療法人などの一般診療所(無床)は、医業収入2.4%、医業費用7.8%、収支差額9.3%だった。厚生労働省は26日、中央社会保険医療協議会調査実施小委員会に報告した。

<在宅患者応急入院診療加算を引き上げ 後期高齢者医療制度>

現在の診療報酬で居宅で療養している患者の病状急変時に、医師の求めに応じて入院させた場合、在宅患者応急入院診療加算(650点)として評価しているが、後期高齢者医療制度では、さらに引き上げる。あらかじめ入院する医療機関と診療内容や患者の意向を踏まえた診療が行われるよう連携をしていることが要件になる。

<後期高齢者在宅医療 主治医支援 報酬手厚く>

厚生労働省は26日、75歳以上の後期高齢者の在宅医療に関する診療報酬の基本方針を、厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)に示した。かかりつけの主治医を“後方支援”する歯科医や薬剤師、訪問看護ステーションの看護師らの活動に対し、診療報酬を手厚くすることが柱。厚労省は平成20年度の診療報酬改定で実現を図る。
基本方針では、後期高齢者の在宅医療について「主治医が中心となり、医療従事者間の情報共有を図りながら、介護・福祉関係者との連携も行う必要がある」と指摘。連携強化のため、関係者の打ち合わせ会議(カンファレンス)を行い、患者に療養生活に必要な指導や助言を行った場合に診療報酬を加算する。
在宅医療の中心となる訪問看護に対しては、24時間体制を充実させた訪問看護ステーションを診療報酬で評価するほか、人工呼吸器の装着などで患者宅への訪問時間が長時間に及んだ場合も評価する。在宅医療に従事する地域の歯科医については訪問診療料を手厚くするほか、主治医の急な求めに応じて薬剤師が患者宅を訪れ調剤した場合も診療報酬で評価する。
終末期医療をスムーズに行うため、5月にまとめた厚労省のガイドラインに基づき、患者や家族と相談の上で、事前に終末期の診療内容などを書面にまとめた場合にも診療報酬を手厚くする。

(産経新聞より)

<病床利用率、70%下回れば削減も 公立病院改革>

赤字経営の多い公立病院の経営改善を促すため、総務省が自治体に求める改革のガイドライン(指針)案がわかった。08年度中に改革プランを策定し、3年以内に黒字化を達成するよう求め、特に病床利用率が過去3年間連続で70%未満の病院には病床数削減や診療所(病床数20床未満)への転換など抜本的見直しを求める。病院経営に具体的な数値目標を示し、自治体財政の悪化に歯止めをかけるのが狙いだ。過疎地医療を担う地方の公立病院も病床利用率が低迷していれば、早期の経営改善を迫られる。

7月に総務省が発足させた有識者による公立病院改革懇談会が来週中にもこの指針案を了承した後、同省が全国の自治体に通知する。

指針案では、自治体は08年度中に公立病院改革プランを策定し、経営効率化は3年以内、病院の再編・ネットワーク化や経営形態の見直しは5年以内に実現するよう求める。経営効率化の指標には、経常収支比率▽医療サービスの提供による医業収支比率▽職員給与費や材料費の比率▽病床利用率、などを採用する。

経営効率化では、一般会計からの繰り入れにより病院会計に財政支援をした後、経常黒字を達成できる水準をめどとするよう求める。同一地域に民間病院がある場合は、民間病院並みの効率性を達成する、としている。

赤字経営でも特に厳しいケースとして「おおむね過去3年間連続して病床利用率が70%未満となった病院」を挙げ、自治体の改革プランで病床数削減や診療所化など抜本的な見直しを行うよう求めた。

このほかに経営の透明度を高めるため、病院の財政状況を示す病院会計準則に従い、貸借対照表など民間と比較可能な財務情報を開示するよう要請。人事・予算の権限などを経営責任者に一本化し、経営感覚に富んだ人材の登用や施設整備費の抑制も求めている。

病院の再編・ネットワーク化については、経営主体の統合をはかるべきだと指摘。経営形態の見直しでは、民間への譲渡や、民間企業に管理を委託する指定管理者制度の導入、地方独立行政法人化などを選択肢とすべきだとしている。

(産経新聞より)

<終末期の治療法、意思確認に診療報酬 厚労省方針>

厚生労働省は26日の中央社会保険医療協議会(中医協)で、患者の終末期の治療方法を文書で確認した場合に診療報酬を医療機関に支払う方針を提示した。終末期を自宅で迎えたい人や、病院での延命治療を望まない人の希望を尊重する医療へ転換を促すのが狙い。2008年度の診療報酬改定で実現を図る。

終末期医療を巡っては、体調の急変などで患者が自分の治療方法に関する意思表明をできなくなるケースも多く、本人が望まなかった延命治療なども行われているとみられている。

(日本経済新聞より)

<在宅で看取り2万7000人 過去1年本社集計>

◆支援診療所3割が「ゼロ」

高齢者の自宅などでの療養を支援する在宅療養支援診療所が過去1年間に在宅で看取(みと)った患者は、全国で2万7000人に上ることが、読売新聞社の調査でわかった。在宅での看取りの実数が明らかになったのは初めて。

支援診療所が本来の機能を果たしているかを測る指標となるが、一人も看取ったことがない施設が3割を占めた上、地域差も目立った。

支援診療所は、高齢者医療を支える中核施設として、昨年4月に創設された。24時間365日往診できる体制を整えることなどが条件で、往診料などを一般の診療所に比べて高く請求できる。終末期医療も担うため、看取り数の報告が義務づけられている。

調査は、支援診療所が看取った患者数について、全国の9777施設が今年7月、各都道府県の社会保険事務局に報告したデータを読売新聞社が情報公開請求して集計した。対象期間は、昨年7月から1年間。

それによると、在宅で亡くなった患者は2万7072人。このうち、2万1724人が自宅で、5348人が特別養護老人ホームや老人保健施設などで亡くなっていた。地域別では、東京が4514人で最も多く、大阪2345人、神奈川1844人などの都市部が続き、少ないのは高知、富山などだった。75歳以上の死亡者数1万人当たりで見ると、787人の東京がトップで、大阪(587人)、奈良(559人)が続いた。関東、近畿などの大都市圏で看取りの割合が高く、北海道・東北、甲信越、中国地方が低かった。

診療所別に看取った人数をみると、0人が3168施設(32%)に上り、在宅で最期まで看取るという機能を果たしていない施設が多いことがわかった。

国立長寿医療センターの大島伸一総長の話「看取りの数は予想していたよりも非常に少ない。手を挙げながら、実際には機能していない支援診療所が多いことが裏付けられた形だ」

在宅での看取り 医師が定期的に自宅などを訪問診療し、死に至るまで見届けること。在宅死は、かつては8割を占めていたが、病院が整備された結果、1割強に落ちている。政府は医療費抑制と患者の生活の質の向上を掲げ、在宅での看取り推進を医療制度改革の柱に据えている。

(読売新聞より)

<療養病床再編のメリット>

高齢者が長期に入院する「介護療養病床」は2012年に廃止される。療養病床は現在、35万床。医療保険で賄われるタイプと、介護保険で賄われるタイプがある。いずれも、扱いは「病院」だから、医師が夜間も対応するということで、看護師も含めて手厚い配置がされている。

療養病床の再編は、介護保険で賄われている病床を5年後に廃止し、老人保健施設などに転換してもらおうというものである。

療養病床に現在、入院している人のおよそ半数は、入院医療ではなく、介護を必要としており、いわゆる「社会的入院」になっている実態に基づいた改革である。療養病床に入院している人の平均入院期間は2年弱。削減は昨年から6年かけて行われることで、現在の入院患者には迷惑をかけず、病床を介護施設などに転換する施策だ。

これにより、仮に20万床が老人保健施設に転換されると、単純計算で最大2万人に上る看護師と医師を一般病院に振り向けられる。

療養病床は患者100人に対して医師3人、看護師17人が必要。だが、医師1人、看護師9人で済む老人保健施設に転換されれば、医療スタッフの再配置が可能となる。スタッフが一般病院に移れば、医療の質が向上する意味合いもある。

老人保健施設や特別養護老人ホームは、介護を専門とする施設だから、従来なら介護のために療養病床に入院していた患者を、これらの施設に任せることで、高齢者の状態は改善されるはずだ。

療養病床には、栄養剤を胃に直接、流し込む「胃ろう」や、たんの吸引などのニーズのある人も多い。こうした処置に看護師を必要とする人のため、老人保健施設などへ看護師の増配も検討されている。ただ、家族ならできる行為を、医療行為に位置づけている現状の見直しを検討する必要もあろう。

1970年代からの病床増は、医療保険による老人の入院増が理由だったが、その後、介護保険が創設され、今や地方自治体の判断で介護施設が運営でき、医療法人も介護の特定施設を整備できる。

療養病床の削減で、介護病床の医療費や医療スタッフが削減できれば、急性期病院の人員を増やす下地もできる。さらに、病院で手術を受けたお年寄りに、食事介助をするスタッフなどを置くことができれば、急性期病院で胃ろうなどの手術が頻繁に行われるのを防ぐこともできよう。

(産経新聞より/立教大学講師 磯部文雄)


[2007/10/24]
 コムスン問題で広域介護業者を指導・監督へ

<コムスン問題で広域介護業者を国が指導・監督へ 厚労省>

訪問介護最大手「コムスン」による不正問題の再発防止策として、厚生労働省は24日、コムスンのように都道府県を超えた広域事業者を規制するために、国に監督権限を持たせる方針を固めた。同日開かれた有識者会議で意見が一致した。
介護保険法では事業者への指導、監督は都道府県単位で行われ、国の規制権限は明文化されていない。このためコムスンによる従業員の水増しなどの問題が起きた際には、国会などでも法の不備が指摘されていた。同省は今後、都道府県などと連携して広域事業者本体の指導・監督や調査をする−−などの内容で法改正を検討する。
また、現在は事後届け出となっている事業所廃止を事前にする▽処分後の同一グループ内での事業譲渡に一定の制限を課す、などの方針も決まった。

(毎日新聞より)

<急性期病院 高度と一般に分類か>
厚労省の諮問機関である中央社会保険医療協議会は平成20年度診療報酬改定に向かって審議を進めているところだが、急性期病院を「高度急性期病院」と「一般急性期病院」(いずれも仮称)に分化して整備する方針が固まったと、新聞各紙は報じた。
脳梗塞や心臓病などの治療の難易度の高い技術が必要で緊急性を求められる医療に対応できる「高度急性期病院(仮称)」を新設する方針だ。人口30万から50万人に1か所で国公立病院や大規模な民間病院からの移行が考えられている。
現在、これらの病院はかぜなど症状が比較的軽い外来患者も受け入れ、外来と難易度の高い手術を行い、勤務医の過剰労働の原因となっており、急性期の入院医療に十分対応できていないためだ。一方、これら以外の急性期病院では、難易度が高い治療が行われる場合もあり、医師の配分の分散につながっている。

このため、高度急性期病院(仮称)は他の医療機関からの紹介などによる専門的な外来を基本に入院治療に特化し、各診療科の専門医など十分な人員配置を図り、総合的かつ専門的な診察ができる態勢をとる。

最新鋭の高度な医療機器を導入し、難易度の高い手術にも対応できる環境を整える。国公立病院からの移行を念頭に十数か所設置したい考えだ。
「一般急性期病院」は、救急搬送の患者や外来患者を受け入れ、比較的簡単な手術を実施するほか、各地域医療連携の拠点としての役割を持たせる。高度急性期病院(仮称)から退院した患者を受け入れる。

厚労省は、平成20年度の診療報酬改定に合わせて導入を目指しており、医師看護師を手厚く配置し、一般病院より優遇する方針を固めている。
一般急性期病院は救急搬送の患者や外来患者を受け入れる。軽度の手術を実施するほか、各地域の医療拠点としての役割を担当する。高度急性期病院からの退院後の患者に対し入院治療が必要な場合の受け皿機能を持つ。(読売、朝日)

◆四病協 地域一般病棟創設の提案書
四病院団体協議会(四病協)は10月11日付けで厚生労働大臣にあて「地域一般病棟」の新設など4項目の提案書を提出した。地域一般病棟の新設以外に提案するのは、?大学医学部定員の増加、?地域の実情に応じた診療報酬体系の創設、?精神科重症合併症治療病棟の新設の各項目。

「地域一般病棟」制度の提案理由は、各地域で医療連携する際、高度急性期病院から退院した患者の受け皿となる病棟として、亜急性期入院医療・地域連携型入院医療の機能を担う病棟の必要性からだ。「地域一般病棟」の果たす役割は、急性期以降の入院医療と地域医療連携の拠点病院として、退院した患者の在宅療養生活支援の機能、また、退院した患者が在宅機能を持った介護保険施設に入所した際、なお引き続き継続的に療養管理を必要とする際の後方支援機能などを担う。

したがって、急性期病棟から退院しリハビリテーション、病状不安定な患者であって、肺炎・脳梗塞・骨折など、軽度から中度の急性期疾患・慢性期疾患増悪・繰り返し入院などの患者を24時間体制で受け入れる。

◆入院から在宅療養までの一貫した流れ
9月に公表された「厚生労働白書」では医療提供体制の改善方策として、急性期病院のあるべき姿を示している。「急性期の病院は高度な医療機器の整備や専門医の十分な配置による質の高い入院医療が24時間提供されるよう、原則として入院治療と専門的な外来のみを基本とすること」としており、明らかに「高度急性期病院」をイメージが描かれている。
一方、高度急性期以外の病院については、「都市部の中小病院は、高度な急性期医療を担っている大病院と連携し、大病院の急性期を終えた後の回復期のリハビリ機能や、軽度の急性期医療への対応など、地域の診療所と連携した在宅医療の支援拠点機能を持つ」としており、「高度急性期」、「一般急性期」、「療養」、「診療所」という提供体制が描かれたことになる。これらの診療報酬点数の行方が注目される。

<高齢者医療負担増、「半年凍結、次の半年2割」自民案>

高齢者の医療費負担増の凍結問題で、自民党は22日、来年4月に予定されている75歳以上の約200万人からの新たな保険料徴収について、「凍結期間は半年とし、次の半年(08年10月〜09年3月)は本来の額の2割だけを負担してもらう」との案を公明党に示した。

与党プロジェクトチーム(PT)では、凍結期間を半年とすることで調整していたが、公明党から「9カ月に延ばすべきだ」との意見が出ていた。このため自民が、「半年凍結」の方針を維持しながら、追加の負担減を盛り込んだ妥協案を提示した。

もともと、08、09年度の2年間は、新たに保険料を支払う高齢者の負担を本来の半額とする激変緩和措置が盛り込まれている。今回の自民案でまとまれば、「最初の半年間は負担ゼロ、その後の半年間は2割、09年度の1年間は半額」という段階的な減免措置が取られることになる。

(朝日新聞より)


[2007/10/22]
 余った食品を寄附

<余った食品を寄付「フードドライブ」活動 カーブスジャパン>

女性のためのフィットネスクラブを全国展開する「カーブスジャパン」は11月から、家庭などで余っている保存可能な食品を各店舗で募り、児童養護施設などへ寄付する「フードドライブ」活動を茨城県内でも初めて実施する。全国的に行う活動の一環で、同社では「これをきっかけにボランティア精神を持ってもらえれば」と話している。
同社は5月、東京都の直営3店舗でフードドライブ活動を試行。500人以上が持ち寄った食品約500キログラムを、都内の介護施設などへ寄付した。賛同した人たちや店舗主からは、「『もったいない』と思いながら捨てていた食品を役立ててもらえてありがたい」「自分の店舗でも実施したい」といった声が多かったことから、全国約600店舗で実施することを決めた。
募っている食品は、保存のきく缶詰▽レトルト食品▽乾めん▽米▽調味料−などで、消費期限が平成20年2月1日以降のもの。生ものや冷凍保存が必要な食品、消費期限が3カ月未満の食品は受け付けない。
県内では水戸市などの12店舗で11月1〜30日、フィットネスクラブ会員のほか個人や企業、団体からの持ち寄りも幅広く受け入れる。集まった食品は、県内の児童養護施設などへ寄付する予定という。
同社広報事務局は「生活保護世帯数が増えていることもあり、食生活に困っている人たちは思っている以上に多い。ぜひ協力してほしい」と呼びかけている。

(毎日新聞より)

報酬設定に地域差反映>

都市部で特に深刻化している介護職不足を解消するには、人件費率や物価指数の地域差を適正に反映させた介護報酬単価の見直しが必要。東京都社会福祉協議会は12日、都内の介護施設職員や一般市民を対象にフォーラムを開催し、次期介護報酬改定に向けて報酬の地域係数是正を求めていくことをアピールした。現行の介護報酬は人件費率を四割で設定しているが、ここ数年都内介護施設では七割近くに達しているのが実態だ。事業者と利用者が一致団結して声を上げていくことが必要だと協力を求めた。
都内の特養ホームなどが加盟する東社協高齢者施設福祉部会が中心となってまとめた「緊急提言」は、次期介護報酬改定に対して、「大都市東京の介護報酬は人件費率を65%、地域差指数を30%に引き上げて計算し、12.37円の単価とすること」を柱とする四項目。今月4日に厚生労働省に提出した。
副部会長の鈴木恂子氏(府中市立特養ホームあさひ苑施設長)は、この報酬単価の根拠には、会員施設を対象に行った経営実態調査結果で、補助金を除いた人件費率が2003年度以降69〜70%と高い水準を維持していること、平均利用率が95%の施設でも三割が赤字となっていることなどを上げた。

(シルバー新報より)

<医療・介護水準維持 国民1人の負担増10〜12万円>

医療・介護給付の水準を将来にわたって維持するには、2025年時点で、20歳以上の1人あたりの税と保険料を合わせた負担増は年間10万〜12万円程度になるとの厚生労働省の試算が18日、明らかになった。内閣府が17日公表した試算(対象は20〜64歳)では、現行より3割、41万円の負担増としていた。試算の前提条件が違うが、政府内で大幅に異なる結果となり、議論を呼びそうだ。

経済財政諮問会議に提出された内閣府の試算では、給付水準の維持のためには税と保険料を合わせた負担は11兆〜12兆円増え、財政再建分も含めると25年度には14兆〜31兆円の増税が必要とした。20〜64歳の現役世代の1人あたりの負担は08年度の121万円から162万円に増える。

これに対し、厚労省は、内閣府の試算のうち11兆〜12兆円の負担増分だけを取り出した。名目成長率が3.2%の「成長ケース」の場合、1人あたり10.6万円程度の増加、名目成長率2.1%の「制約ケース」では、12万円程度の増だ。

試算結果が異なるのは、内閣府が現役世代(25年度時点で6700万人)がすべて負担することを前提にしているのに対し、厚労省は高齢者も税や保険料を支払うことから、20歳以上の全国民(1億235万人)で負担を分け合うためだ。

また、厚労省の試算では、国民所得に占める社会保障の税負担の比率は07年度の7.9%から15年度は8.5%に増えるが、その分を消費税でまかなっても「1%程度の引き上げで済む」と楽観的な数字を挙げている。

(朝日新聞より)

<激しさ増す研修医争奪戦「大学病院離れ」が定着>

医大生らの希望に基づき臨床研修先を決める「マッチング」は5回目を迎え、大学病院は3年連続で50%を割り込んだ。大学病院より民間や公立の市中病院、地方より都市部を選ぶ流れが定着し、偏在による医師不足を加速させていると指摘される一方で、都市から離れた場所でも人気を集める病院はあり、巻き返しを狙う大学病院も加わって研修医の"争奪戦"は激しさを増している。

▽ランキング

東京からJRの特急で2時間。房総半島南部の亀田総合病院(千葉県鴨川市)は、マッチング第1希望者数のランキングで毎年、都心の有名病院と肩を並べる。病院側の希望順位を決めるため8月に実施した試験には、定員18人を大きく上回る80人が臨んだ。一人一人の将来の希望に応じたきめ細かい研修内容のほか、病院全体で若手医師を指導する教育態勢、米国人の指導医がほぼ毎日行う英語だけの研修会などが魅力だ。

外科医を目指し、4月から研修を受けている杉本卓哉(すぎもと・たくや)さん(28)は「学ぶ意欲があれば、チャンスが与えられる。指導も熱心で、理想通りの研修生活を送ることができる」と満足そう。亀田信介(かめだ・しんすけ)院長は「指導スタッフの質と量を備え、ほかにない特色を出すことができれば、地方でも研修医を集めることはできる」と強調した。

▽医師不足

医師免許取得後、2年間の臨床研修が2004年に義務化されたのに伴い、マッチングは導入された。導入前に研修医の約70%が下積みを経験していた大学病院は、04年には53%となり、05年には市中病院と順位が逆転した。

厚生労働省が昨年実施した臨床研修の調査では、市中病院は「雰囲気がよい」「症例が多い」などと研修医の満足度が高いのに対し、大学病院は「雑用が多い」など不満の方が多かった。

「大学病院の1年間でやることが、市中病院だと3カ月でできる」。都内の医学部6年の男子学生(24)は希望通り、栃木県の民間病院が研修先に決まった。

全国医学部長病院長会議によると、北海道や東北、中四国などで研修医の大学病院離れが目立ち、若手医師が減った大学病院は市中病院に派遣していた医師を引き揚げるケースが出ている。臨床研修の義務化が医師不足を加速させたと指摘されるのはこのためだ。

これに対し、厚労省医師臨床研修推進室は「研修医の大学病院離れや都市部への集中は、学生の自由な選択の結果。臨床研修やマッチングの制度自体の問題ではない」と説明。関係者は「研修医は自分の腕を磨きたいと考え、研修内容や指導医の質を見ている。大事なのは中身だ」と言う。

▽教えるプロ

巻き返しを図る地方の大学病院も現れた。和歌山県立医大病院(和歌山市)は今回、募集定員64人に対し57人(充足率89%)が決まり、都内の有名大学に引けを取らない人気を集めた。

救急救命の研修に力を入れ、3カ月に1回は研修医の意見を聴き、研修内容の改善に生かす。板倉徹(いたくら・とおる)病院長は「大学病院は人を教えることに関してはプロ。『日本一の研修病院』を合言葉に、人と金、時間をかけている」と胸を張る。

今回マッチングに参加した学生約8500人に対し、研修医の募集定員は約1万1600人。この"超売り手市場"が研修医の都市部集中につながるとみる厚労省は、都市部の定員を削減し、その分を地方に誘導する対策を検討する。目指すのは「大学病院と市中病院が競い合うのではなく、連携し地域全体で医師を育てる環境整備」(医師臨床研修推進室)だ。

▽マッチング

マッチング 国家試験に合格した医師が2年間の臨床研修を受ける病院を、学生と病院双方の希望を基にして決める方式。2004年から臨床研修が義務化されたのに合わせて導入された。毎年10月、翌年春の国家試験受験予定者を対象に行われる。学生は事前に、研修を受けたい病院を第1希望から順位を付けて登録。病院側も採用試験や面接の結果を基に受け入れたい学生の氏名を登録し、コンピューターで双方の希望を合致させて研修先を決定する。

(共同通信より)


[2007/10/15]
 主治医と連携に手厚い報酬

<主治医と連携に手厚い報酬 75歳以上入院を在宅へ誘導 中医協で議論スタート>

75歳以上が対象の後期高齢者医療制度が来年4月に創設されるのを控え、中央社会保険医療協議会(中医協)で12日、同制度独自の診療報酬体系をめぐる議論がスタートした。厚生労働省は病院などでの入院医療の評価基準について、在宅医療を担う地域の「主治医」との連携を密にしたケースに対し、診療報酬を手厚くすることを提案した。

高齢者医療費の膨張要因となっている長期入院を減らし、症状が慢性化した患者の治療は在宅で行うよう誘導する狙い。

手厚い報酬とする具体例として(1)主治医の要請に応じ、症状が急変した患者の入院受け入れ(2)患者の日常生活能力や認知機能などをチェックし、退院後を見越した診療計画の策定(3)訪問看護ステーションの看護師らによる退院時の支援-などを挙げた。

入院先の医療機関にも退院後の療養生活を視野に入れた診療実施を求めるとともに、患者が最も不安を感じるとされる退院直後について重点的な支援を図る内容だ。

「主治医」について厚労省は、複数の病気を併発したり長期化しやすい高齢者の特性から、患者の心身を総合的に把握する1人の医師とする考えだが、この日の会合では、主治医の定義に関して委員から疑問も出た。

主治医の在り方を含め今後、在宅医療や外来医療、終末期医療とテーマごとに議論。本年度中に個別の報酬額を決める。

後期高齢者医療制度をめぐっては、開始に伴い75歳以上の高齢者のうち、会社員の子どもなどに扶養されている約200万人に新たな保険料負担が生じるが、与党は徴収を半年間凍結する方向で調整中。

▽後期高齢者医療制度

後期高齢者医療制度 75歳以上を対象とする新制度。複数の疾患を抱え、長期化しやすい高齢者の特性に合った診療報酬を設定することになっている。窓口負担は原則1割。現在、加入している国民健康保険などの公的医療保険から移って、一人一人が保険料を負担する。患者負担を除く医療給付費は保険料で1割、現役世代の支援金で4割、税金で5割を賄う。

(共同通信より)

<メタボ健診 来春スタート>

来年度から、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を主眼にした新しい健康診断「特定健診・保健指導」が始まる。厚生労働省は、糖尿病などの生活習慣病を予防し、医療費の削減を目指すが、判定基準を巡って異論があり、思惑通りに進むかどうかは不透明だ。(医療情報部 利根川昌紀)

◆医療費「減量」疑問

「1、2、3、4……」。千葉県白子町の役場内にある施設。集まった約10人の男女が、声を出しながらダンベルやゴムチューブなどを使って運動を繰り返す。週1回、保健師らの指導で1時間半、汗を流す。歩数計などで1週間の運動量もチェックする。

特定健診に備えたモデル事業で、参加者はメタボリックシンドローム(通称メタボ)やその予備軍と判定された人たちだ。昨年9月から1年で、太めだった参加者の8割が減量した。

特定健診は、現行の健診の項目に、腹囲測定が加わるのが特徴だ。メタボかその予備軍と判定されると、保健師や管理栄養士らから、面接などで食事や運動の指導(保健指導)を受ける。現在の健診では、異常があっても「要精密検査」などと通知するにとどまるのに対し、生活習慣の改善指導が企業の健保組合などに義務づけられる。

指導は、「動機づけ支援」と「積極的支援」の2種類ある。「動機づけ支援」は主に予備軍の人が対象で、面接は原則1回だ。一方、「積極的支援」はメタボの人が対象で、初回に面接を行い、その後、電話やメールなどで3〜6か月間、継続的に指導する。

厚生労働省によると、特定健診の対象者は約5700万人。同省が今年発表した国民健康・栄養調査では、男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボまたは予備軍に当てはまり、合計約1900万人に上る。健診と保健指導により、2015年度までに糖尿病などの生活習慣病とその予備軍を25%減少させる計画だ。この結果、25年度には医療費を2兆円削減できるとしている。

だが、この皮算用を疑問視する専門家は少なくない。

東海大医学部の大櫛陽一教授(医学教育情報学)が、40〜74歳の5万人を対象にした日本総合健診医学会の健診データを基に試算したところ、今回の基準では男性の94%、女性の83%が何らかの異常を指摘されることが分かった。また、受診者のうち男性の6割、女性の5割は、医療機関の受診を勧奨されるという。

大櫛教授は「健診対象者5700万人のうち3000万人が受診することになり、診察料だけで5兆円が必要になる。投薬すれば、さらに費用がかさみ、医療費はむしろ増える」と予測する。

それでも、健診によって糖尿病などが減るなら、医療費削減が期待できそうだが、これにも異論がある。

日本糖尿病協会理事を務める菅原正弘医師は「糖尿病は遺伝的要素もあり、腹囲が基準以下でも糖尿病の恐れのある人はいる。腹囲の数値にとらわれると、こうした人たちを見逃す可能性がある」と話す。

大阪府立成人病センターの大島明がん相談支援センター所長も「新たな健診が、従来の健診と比べ、糖尿病や心筋梗塞(こうそく)などの生活習慣病を減らすという科学的なデータはない」と指摘する。

メタボが糖尿病などを引き起こすとしても、現在の診断基準を基に指導した場合、効果が上がるかどうかは分からないというのだ。

◆特定健診・保健指導 

40〜74歳の人を対象に来年度から始まる新しい健診。企業の健康保険組合や市町村など保険者に実施が義務づけられる。健保組合の場合、現在のように従業員(被保険者)ばかりでなく、従業員の被扶養者も対象となる。

◆健診・指導…費用3倍の試算も

特定健診の実施を義務付けられる企業の健康保険組合や、国民健康保険を運営する市町村などは、来年度のスタートに向けて準備に追われている。

特定健診の対象者が約1万9000人と見込まれる、神奈川県のある市。初年度は45%の人が受診すると想定し、健診や指導にかかる費用は計約1億2000万円と試算する。

この市の担当保健師は「国民健康保険の加入者は企業を退職した高齢者も多く、保健指導の対象者も増える。従来の市の健康づくり事業に比べ、費用は3倍以上に膨らむ」と言う。だが、人手や費用をかけても、「保健指導の期間が終われば、元の生活習慣に戻り、効果が長続きしないのではないか」と不安ものぞく。

新日本製鉄健康保険組合君津支部(千葉県君津市)は昨年度、新たに健診の対象となる従業員(保険加入者)の配偶者ら被扶養者に、試験的に特定健診と保健指導を実施した。

職場を健診会場にしたところ、995人の対象者のうち、実際に受診したのは25%にとどまった。同支部の久保根稔事務長は「従業員の家族が自宅近くの医療機関で受診できるようにするなど、受診率を上げる工夫が必要」と話す。

受診率が問題になるのは、健診の受診率や保健指導の実施率が低いと、健保組合に財政的なペナルティーが科されるからだ。

厚生労働省は、75歳以上を対象に来年度始まる後期高齢者医療制度について、企業の健保組合などに財政負担を義務付ける。5年後には、特定健診の受診率などにより、この負担額を10%の範囲で加算・減算する。受診率の引き上げが狙いだが、前述の保健師は「実施率を上げるより、ペナルティーを受けた方が財政負担が軽くて済む、と言う自治体の担当者もいる」と打ち明ける。

地域の保健事業に詳しい篠崎次男・元立命館大客員教授は「3か月程度の保健指導で生活習慣が改まることは、あまり期待できないのではないか。仮に生活習慣病が減って治療費が節約できたとしても、健診と指導で費用がかかる分、全体の費用は変わらないだろう」とみている。

( 読売新聞より)

<転換型老健は加算で評価 〜次回介護報酬改定 基準設定が課題に>

厚生労働省は12日、社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長・大森彌東京大学名誉教授)に対し、療養病床から転換した介護老人保健施設(老健)の介護報酬の論点を提示した。新しい施設サービス費を設けるのではなく、看護必要度など一定の入所基準を設定した上で、介護報酬上の加算で評価する方向だ。厚労省は転換型老健に限って加算を認めるとしたが、入所基準の設定内容によっては既存の老健でも基準を満たす場合もあり得るため、納得のいく基準設定が課題になる。厚労省は11月の次回会合で、転換型老健の方向性や入所基準案を出す見通しだ。

<小規模老健の施設要件緩和へ>

厚生労働省は12日の社会保障審議会介護給付費分科会に、小規模介護老人保健施設の人員基準や算定日数上限を緩和する措置を提案した。29人以下の小規模老健に義務づけられている支援相談員や介護支援専門員の常勤配置を非常勤でも認めることや、180日の算定日数上限を緩和するとしている。

<介護人材不足について労働者などからヒアリング>

社会保障審議会介護給付費分科会は12日、「介護サービス事業の実態把握のためのワーキングチーム」を発足することを了承した。介護人材不足が深刻な中、介護サービス事業の経営実態を把握して、介護労働者の定着率の向上や中核層を担う職員の育成などを検討する際の基礎資料とする。

<1本で1日分の野菜ジュース、35品が落第>

「1本で1日分の野菜を使用」などと表示された野菜ジュース類の多くは、「厚生労働省が推奨する1日の野菜摂取量350グラム」を下回る量の栄養素しか含んでいないことが、名古屋市消費生活センターの実施した成分分析でわかった。「飲むだけで栄養素を十分摂取できると受け取れる表示には問題がある」として、消費者団体の主婦連合会は公正取引委員会と厚労省に実態調査をするよう申し入れた。

成分分析は野菜100%ジュース16銘柄と果汁配合の19銘柄で実施。ほとんどの容器には「1日分の緑黄色野菜を使用」「1本で野菜350グラム」などと記されていた。

野菜の摂取量について厚労省は01年発表の「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」の中で1日350グラムを目標と設定。うちニンジンやホウレンソウなど緑黄色野菜は1日120グラムを目標量としている。

国民生活センターなどの目安では、緑黄色野菜120グラムを食べれば、栄養素として総カロテン3641マイクログラム▽ビタミンC47.9ミリグラム▽カリウム480ミリグラム▽カルシウム68.5ミリグラム▽マグネシウム27ミリグラムを取れるとされる。

だが、35銘柄の分析結果では、総カロテンは15銘柄で目安量を下回り、うち2銘柄の測定値はゼロ。ビタミンCとカルシウムは33銘柄が下回った。カリウムで24銘柄、マグネシウムも30銘柄が目安量に届かなかった。

五つの栄養成分すべてで目安量を上回った商品はなく、逆に全成分で下回った商品は13銘柄あった。うち4銘柄は「1日分の緑黄色野菜」「1本で約100グラムの緑黄色野菜」と表示していた。

分析結果について、名古屋市消費生活センターは「野菜ジュースの栄養は1日分でなく、小鉢1皿程度と考えたほうがよいだろう」と指摘する。


[2007/10/09]
 今月中にも報酬議論

<今月中旬にも報酬議論 医療機能強化型老健 積み残し課題は仕切り直し>

厚生労働省は9月28日、「介護施設等の在り方に関する委員会」を開催し、これまでの議論の取りまとめを行った。療養病床からの転換の受け皿として、創設が提案されていた「医療機能強化型老健」については来年度実施に向けて、今月中旬にも介護給付費分科会を立ち上げ、具体的な基準や報酬設定を議論していく。委員会の議論で出た「介護施設での医療提供の在り方」や「介護保険と医療保険の適用関係」など全体にわたるテーマについては仕切り直し、介護保険部会に議論の場を移す方針が示された。
介護保険三施設は、医師・看護師の配置基準が異なる。介護療養病床は医師3人で医師・看護師が24時間体制なのに対し、老人保健施設は医師1人、夜間・休日は医療職は不在だ。
医療機能強化型老健はこのギャップを埋めるために提案された。具体的には、急性増悪での緊急対応や、痰の吸引や経管栄養など昼・夜間を問わずに日常的な医療行為を必要とする患者のための対応として、医師とのオンコール体制や併設医療機関からの往診を認める。また、看護師も増員し、夜間も配置できるようにする。さらに、看取りを行う場合には、現在、療養病床で行っているような高度な医療処置も行うことができるようにする。病院から転換した老健だけに算定を認める方針だ。

(シルバー新報より)

<医療強化型老健、介護報酬審議へ>

療養病床から介護施設への転換先として医療強化型老健のあり方を巡って審議していた「介護施設等のあり方に関する委員会」は9月28日の会合でこれまでの意見をまとめ委員会を終了した。医療必要度のある入所者を抱える医療強化型老健の人員配置については緩和措置がとられる。
同委員会は療養病床からの転換先として示された特別養護老人ホーム、老人保健施設、特定施設、有料老人ホーム、高齢者専用賃貸住宅の入所者に対する医療の提供の在り方について検討することが厚労省から付託された。同日の委員会では議論を整理するに止まった「介護施設は住まい・食事・介護・医療・見守りに分解でき、介護・医療サービスは施設の間で差がないようにすべきである。特養はケア付住宅か低所得者の福祉施設か検討を要する」などの意見が集約されたに過ぎなかった。検討を進める視点として「見守り機能付の高齢者住宅の在り方、リバースモゲージ、持ち家家賃などの住み替えによる高齢者の住まい方、自己完結型から地域内完結型へのケアへの転換、介護施設でのターミナルケアの在り方、在宅療養を進める際の医療機関や訪問看護サービスの仕組み、介護施設での医療処置の在り方」などの意見を列記した。

◆医療強化型老健と療養病床の違いは
これに先立つ6月に委員会は医療機能強化型老健の創設をまとめたが、老健協委員からは医療の必要度を重視する老健の創設に反対する意見、医療強化型老健は療養病床の看板の架け替えだとする意見、老施協委員から医療法人の特養創設を認める法改正に反対する意見などが噴出した。最終的まとめは「療養病床から転換する医療機能強化型老健では医療区分1と医療区分2の一部の患者を想定して、医療必要度がある入所者に対応する体制、夜間体制整備、看取り体制の必要性」が明記された。
 施設によって医療サービスに差が出ないようにすべきというテーマは、同委員会の枠を大きく超え、介護必要度、医療必要度の兼ね合いを整理する必要があり、将来、医療従事者に限られる医療行為と介護職の医療行為への参加の検討も喫緊の課題である。

◆介護報酬改定ほか転換促進へ
医療機能強化型老健は平成20年4月からスタートするため、介護報酬改定の審議にステージが移る。夜間や休日に必要とされる体制は3夜間帯で約1・9人程度(60床あたり)。日常的な医療処置(喀痰吸引、経管栄養)では1夜間帯で約20・6人程度(60床あたり)。看取り体制では1月で約1・4人程度が想定されている。こうした要件や基準について、今週にも始まる介護給付費分科会で検討される。
医療法人による特別養護老人ホームの設置は、平成20年通常国会に関連法を提出し成立後施行する。
本体施設とサテライト型施設については人員基準の規制緩和や報酬の検討を行い、平成20年4月施行する。また、小規模老健についても180日の算定上限を撤廃し、ケアマネージャーの人員基準を緩和する。
有料老人ホームや診療所を併設する高齢者専用賃貸住宅は設置が平成19年から認められているが、診療所の診療報酬は平成20年4月施行される。
そのほか再編に伴う支援措置は、過去に療養病床整備に要した借入金を長期の融資へ借り換えを行う措置や、第四期介護保険事業計画での療養病床転換では定員枠を設けずに受け入れるなどの措置がとられる。


[2007/10/06]
 介護事業所のHP掲載手数料 高すぎる

<介護事業所のHP掲載手数料 大阪は高すぎる!苦情相次ぎ、来年度減額>

大阪府は5日、ホームページ(HP)での紹介が義務づけられている介護サービス事業所の掲載手数料について、来年度から減額する方針を決めた。手数料が近畿2府4県で格段に高いことが原因で、事業所からの苦情が1年間で300件を超えていた。昨年4月に施行された改正介護保険法で、自治体側がHPを立ち上げて事業内容を紹介することが定められたが、スタート1年半で見直しを迫られた形だ。
HPの掲載は、介護サービスを受ける利用者が事業所を選びやすいよう情報提供するのがねらい。都道府県が法人を指定し、介護事業所用のHPを開設したうえで、事業所から手数料を徴収する。
ところが、各自治体による料金設定はまちまちで、大阪府の場合、1サービスの紹介で6万1600円。サービスを増やせば高くなり、10種類では60万円を超える。一方、近畿の他府県の1サービスあたりの手数料は、京都府4万7000円、兵庫県4万9000円、和歌山県と奈良県が5万2000円で、大阪府が突出している。
手数料には、システムの維持管理費や事業所の調査費などが含まれているが、料金の設定は各自治体の試算に任されており、それぞれの条例で定めている。
このため、新制度が始まった昨年4月以降、HPを運営する府の出資法人・府地域福祉推進財団には苦情が殺到。「高くて支払えない」「何とか分割できないか」などという電話やメールも相次いだ。新規登録が多かった最初の1年間で、計335件にのぼり、ほぼ毎日苦情が来ていた計算になる。
手数料を独自に試算した事業所からは「見積もった価格より高すぎる」という不満も寄せられていたことから、見直しに乗り出した。
府によると、減額は近畿では初めてで、今後他府県の例などを参考にして新しい手数料を算出。来年2月府議会に条例改正案を提出し、4月から新価格にしたいとしている。担当の府事業者指導課は「手数料を下げることで、事業所のサービス向上に期待したい」と話している。

(産経新聞より)

<病院別のがん生存率を公表 施設ごとに大きな差 中核病院の全国協議会>

全国のがん治療の中心的な病院が加盟する「全国がん(成人病)センター協議会」は5日までに、加盟施設ごとに胃、肺、乳、大腸の各がんの治療5年後の生存率をまとめ、一部は施設名を含めて公表。施設によって生存率に大きな差があることが分かった。

同協議会が施設名を明らかにして生存率を公表するのは初。重症患者の比率に差があるなど、公表された生存率によって医療の質を単純に比較することはできないという。

取りまとめた厚生労働省研究班の主任研究者で群馬県立がんセンターの猿木信裕(さるき・のぶひろ)手術部長は「生存率が平均より低かった施設は原因を分析して、診療体制の見直しに役立ててもらいたい。病院で医師に手術法などを相談する際の材料に活用してほしい」と話している。

加盟30施設のうち25施設を調査。1999年に初めて入院したがん患者について、患者数や追跡年数など一定の基準を満たすことができた施設の生存率を算定した。公表に同意した施設については施設名を明らかにした。

胃がんでは、生存率が最も高いのは国立がんセンター中央病院の84・1%。最も低かった匿名の施設の45・5%と大きな差があった。乳がんで最も高い施設は92・9%、最も低いのは72・3%。大腸がんは87・6%と63・8%、肺がんは55・5%と24・7%と、やはり差は大きかった

(共同通信より)

<後期高齢者の診療報酬骨子まとまる>

社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会は4日、訪問看護や終末期医療について診療報酬によって評価する方向性を盛り込んだ後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子を取りまとめた。中央社会保険医療協議会は10月、11月で検討項目を一巡する方針であることから、後期高齢者の診療報酬に関する検討が始まる見通しだ。


[2007/10/04]
 特別養護老人ホームの逆格差

<特別養護老人ホームの「逆格差」大都市ほど経営難/東京>

◆背景に高物価、高賃金
2000年度に始まった介護保険制度で、都内の特別養護老人ホームが、深刻な「逆格差」に直面している。地方自治の世界では「都市富裕論」「地方の衰退」が通説だが、介護の世界、とりわけ特養ホーム業界では逆に、都会の方が厳しい経営難にさらされているというのだ。その原因を探ると、「独り勝ち」と言われる大都市・東京ならではの事情が浮かび上がった。
◆介護報酬の相次ぐ引き下げ
介護保険制度の開始後、介護報酬が初めて改定されたのは03年4月。この時、賃金や物価の下落傾向を受けて全体で2・3%の引き下げがあり、特養については4%の大幅ダウンとなった。
次の06年4月改定ではさらなる引き下げは免れた。しかし半年前の05年10月、施設系サービスで食費や居住費の利用者負担がスタートし、代わりに介護報酬が減額された。その結果、全国平均で1施設当たり差し引き3・3%の収入減となり、施設にとっては引き下げと同じ効果をもたらした。
厚生労働省は「特養ホームは経営が好調」と説明する。厚労省の介護事業経営実態調査によると、05年4月時点で特養ホーム1施設の1カ月当たりの損益割合は、全国平均で収入が支出を13・6%上回る大幅な黒字だった。食費・居住費の見直しによる減収後も10%超の黒字で、厚労省の主張を後押しする。
◆東京の実情
ところが都内に目を転じると、黒字幅は5・7%と全国平均を大きく下回る。都独自の運営費補助金を除くと、3・1%まで下がる。
最初の改定があった03年度決算で既に、全237施設の32%に当たる76施設は、補助金がなければ赤字転落という状態で、34施設は補助金を加味しても赤字だった。全国平均並みの10%超黒字を達成した施設は、「補助金あり」で2割、「なし」では1割を切った。
「逆格差」を生む主な要因が、高い物価とそれに伴う高い給与だ。
総務省によると、東京23区における04年の平均消費者物価指数は、全国平均より10%超高い。地価も全国平均比で住宅地が5・5倍、商業地が8・8倍と高く、特養ホームの運営に欠かせない土地・建物費の負担が大きいことがうかがえる。

また、「財団法人介護労働安定センター」による06年6月調査では、都内で勤務する介護職員や看護師の賃金は、全国平均より2〜3割高かった。しかし現状の算定方法では、物価水準や人件費の地域差は介護報酬にほとんど反映されない。
こうした事態に都福祉保健局は今年5月、介護報酬の算定方法見直しを厚労省に提言。09年度の次期介護報酬改定を前に、「逆格差」是正の議論を始めるよう求めている。
◆しわ寄せは利用者に
都内では6月、文京区の特養ホーム「くすのきの郷」がフィリピン人ボランティアに夜勤をさせ、介護報酬を不正請求していたとして、施設開設者の区が都から介護保険法に基づく指定取り消し処分を受けた。しかし、業界関係者には同施設に同情する声が少なくない。
都の有効求人倍率(パートタイム含む)は昨年、全職種が1・46倍(全国平均1・02倍)だったのに対し、介護関連に限定すると2・72倍(同1・68倍)に上った。介護分野は「重労働で夜勤もあり、肉体的にきつい」「他の職種に比べて給料が低い」と離職者も多い。同情論の背景には、介護報酬の減額が施設の経営難に拍車をかけ、職員の待遇改善が進まない現状への不満がある。
NPO(非営利組織)「特養ホームを良くする市民の会」は、「人手不足で勤務が過酷になれば離職者がさらに増え、サービスの質が低下して利用者にしわ寄せが行ってしまう。国は介護現場の過酷な実態をちゃんと見てほしい」と話す。

(毎日新聞より)

<報酬加算「看護必要度」に転換「7対1」一律増を廃止 厚労省方針>

厚生労働省は3日、「患者7人に看護師1人」の手厚い看護配置基準(7対1)を満たす医療機関の収入を一律増としている診療報酬体系を廃止し、がんの化学治療に取り組むなど、患者にとって「看護必要度」の高い医療機関でなければ報酬加算を認めないようにする08年度診療報酬改定方針を、中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関、中医協)の小委員会に示した。

7対1加算は手厚い看護による入院日数短縮を狙った06年度改定の目玉の一つだったが、収入増を狙う大病院が大量の看護師を抱え込むなどの問題を引き起こし、2年で見直すことになった。

06年度改定で、厚労省は7対1を達成した医療機関の入院基本料を一律に増額。ところが、国立大病院などが看護師の大量確保に乗り出し、一部の地方、中小病院が看護師不足に陥ったほか、故意に病床数を減らして7対1とし、軽症患者に過剰看護をする病院も現れた。このため、同省は、7対1加算の対象を真に手厚い看護が必要な患者が入院する医療機関に限定することにした。

具体的には、患者の看護必要度を点数化し、総点数が一定以上の医療機関のみ収入が増えるようにする。

(毎日新聞より)

<小児医療の拠点病院、診療報酬引き上げ・厚労省検討>

厚生労働省は3日、手厚い小児医療体制を整備した病院を対象に診療報酬の引き上げを検討する方針を中央社会医療保険協議会(中医協)に提示した。小児科医の不足や勤務医の負担の重さが指摘されているため、待遇の改善を図る狙い。2008年度の改定に向けて具体化を目指す。

引き上げを検討するのは小児医療機関のうち、医師配置が基準を上回る機関にかかわる部分。最も報酬が高い区分は「常勤医師5人」が適用条件となっているが、専門医療機関などでは、この基準を超えて常勤医を配置しているケースも多い。こうした実態を踏まえ、勤務医の労働実態にも配慮し、10人以上の常勤小児科医を配置した病院の診療報酬を手厚くする方針だ。

(日本経済新聞より)

<社会医療法人などへの税制優遇を>

MMPG(大山哲代表理事)はこのほど、厚生労働省と財務省、自由民主党に対し、2008年度税制改正に関する意見書を提出した。第五次医療法改正に伴い創設された社会医療法人、解散時に拠出金を超える残余財産が厚労省令で定める国、地方公共団体、医療法人などに帰属することとなった基金拠出型法人に関する税制のあり方や今般の改正により経過措置下に置かれた医療法人の事業承継税制について等17項目の意見を盛っている。社会医療法人については、「安定した医業経営の実現が必要である」とした上で、社会医療法人に移行する際の税制については、「非課税にすべきである」、また、法人税については、「社会医療法人は、公益性が高く、地域医療の安定的確保のためには欠くことのできない法人であり、不採算医療に積極的に取り組めるように、社会医療法人においては医療保健業に係る収益は、法人税を非課税とすると共に、それ以外の収益については軽減税率に、収益事業に係る所得については、みなし寄附金制度を適応すべきである。」等と訴えた。基金拠出型法人については、法人税率に、「安全で安心のできる地域医療を守る観点から軽減税率とするべき」とした。また、旧来の持分の定めのある社団医療法人を基金拠出型法人へ移行した場合の課税については、「旧来の持分の定めのある社団医療法人の社員は残余財産分配請求権を有しているが、解散時に残余財産がある場合において、これを国等に帰属させることが医療法に明記された基金拠出型法人に移行するに際しては、その非営利性が担保されていることから、非課税で移行できるようにするべきである。」と訴えた。さらに、事業用資産を現物拠出した場合、拠出者に対する譲渡所得課税を返還時とするべきとした。経過措置型医療法人については、「事業承継が円滑に進められるような税制の整備について、出資評価に対する減額措置の規定の見直しを行うべきであり、特に、出資評価に対する減額措置については、小規模宅地等の評価減額特例とのイコール・フッティングを考慮した税制措置を検討すべきである。」等と訴えた。
その他に消費税における非課税制度(社会保険診療報酬等)の見直しとして、「社会保険診療報酬等に対する消費税等は非課税となっている。これにより医療機関において損税が発生していることから、非課税制度を改め、ゼロ税率ないしは軽減税率とするべきである。」や社会保険診療報酬の所得計算の特例措置として、租税特別措置法上の社会保険診療報酬の所得計算の特例措置(いわゆる4段階制)を存続するべきであるとした。