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[2007/11/27]
 長期的な医療ビジョンを策定へ

<長期的な医療ビジョンを策定へ>

舛添要一厚生労働大臣は11月26日、「近いうちに国民に安心や希望を与えるために長期的な医療ビジョンを検討する研究会を私の下に作って、きちんと議論したい」と述べ、日本の医療の長期ビジョンを策定することを明らかにした。研究会では外国人医師の診療の可否や混合診療の導入、医師の養成数の在り方などを幅広く議論していく。

<自治体病院 累積赤字1兆8585億円 財政圧迫を露呈>

全国の自治体病院の累積赤字が06年度末で1兆8585億円に上ることが、毎日新聞の調査で明らかになった。総務省によると、全地方自治体の医療関連収入の約半分にあたり、累積赤字を抱える自治体は全体(約670)の8割以上になる。国は08年度決算から、地方公営企業会計などを含めた連結の収支で財政の健全度を測る制度を導入することにしており、病院事業の赤字が自治体財政を圧迫する状況が顕在化するのは必至だ。

毎日新聞が全国の本支社、総支局を通じ、都道府県などの担当部署に取材した。自治体病院は06年度、968施設。自治体は一般会計などから計7000億円近くを補てんしているが、年度ごとの収支の赤字を示す純損失は計約1970億円と05年度末から約500億円増加。累積赤字も約900億円膨らんだ。

自治体ごとに病院会計への補てんの基準が異なり、単純比較はできないが、都道府県立と市町村立、組合立の累積赤字の合計が北海道(1941億円)、兵庫(1911億円)、大阪(1486億円)で1000億円を超え、愛知でも900億円台に達した。自治体病院が多い地域ほど赤字額も大きい傾向にあるが、計8施設の沖縄では500億円を超えた。

都道府県立では、兵庫(12施設)の累積赤字が724億円で全国最大。次いで北海道の612億円(7施設)だった。市町村立(政令市を除く)、組合立は北海道が1166億円(94施設)、大阪が914億円(17施設)。

累積赤字が巨額になった背景には、施設建て替えの償却費用が膨らんでいることに加え、職員給与や人事体系の硬直化、資材調達での非効率が指摘されている。さらに診療報酬のマイナス改定や医師・看護師の不足に伴う診療科の縮小が患者離れと経営悪化に拍車をかけている。地方では人口減少で経営の悪化が進む一方、都市部では各自治体がそれぞれ総合病院を運営し、連携不足で医師や患者を奪い合うケースも多い。
総務省の懇談会は今月、公立(自治体)病院の改革ガイドライン(指針)案を策定。自治体に各病院が3年以内に経営の効率化を進め、一般会計の補てんを含め単年度での黒字に転換するよう求める方針だ。
ただ、代替病院などが整う都市部に比べ、過疎地では自治体病院が地域医療の中核を担っている地域が多い。閉鎖や縮小は住民に悪影響を及ぼす可能性があり、財政再建と地域医療確保の両立が課題となる。

【ことば】◇公立(自治体)病院改革ガイドライン◇ 自治体病院の経営改善のため、国が地方自治体に数値目標を含めた改革案の作成を求める指針。今月、総務省の有識者懇談会が案をまとめた。数値目標を掲げ、3年連続して病床利用率7割未満の病院には病床数の削減や診療所への転換などを求めている。また、地域の基幹病院を機能集約し、周辺病院の診療所化など再編も促している。総務省は病院再編への財政支援などを合わせた指針を年内に正式にまとめる。

(毎日新聞より)


[2007/11/24]
 診療報酬改定情報

<技術料 上げ要請も 診療報酬改定で中医協>
 

来年度の診療報酬改定をめぐり、中央社会保険医療協議会(中医協)は21日、総会を開き本格論議を始めた。最近3回はマイナス改定が続いたが、地域医療や病院勤務医への配慮の必要性について各委員の認識は一致しており、診療報酬のうち医師の技術料である「本体部分」に限り、引き上げを求める可能性も出てきた。

中医協は来週にも意見書を舛添要一厚生労働相に提出する。意見書に拘束力はないが、政府はこれも参考として来年度予算編成前に改定率を決定する。

厚労省は「ある程度上げないと医者のなり手がなくなる」(舛添氏)との立場だが、財務省の意向が反映される財政制度等審議会は建議で3・6%程度の報酬引き下げを求めており、攻防が予想される。

診療報酬は、公的保険から医療機関や薬局に支払われる医療技術やサービス、薬剤などの公定価格。本体部分と薬価・材料部分で構成、ほぼ2年ごとに改定される。

この日の中医協総会では、健康保険組合連合会や日本経団連など支払い側委員は連名で「国民の負担感を勘案すると診療報酬を引き上げる環境にない」との意見書を提出。日本医師会など診療側委員は「大幅な引き上げの実現」を要望した。

支払い側は「医師の人件費は高く経営努力が足りない」としたが、診療側は「度重なるマイナス改定で多くの病院の経営が悪化した」と応じた。

だが、中立的な公益委員の1人、遠藤久夫学習院大教授が「私見」として「賃金と物価は上昇傾向にあり、引き上げるのが妥当だ」と異例の意見を表明。さらに支払い側からも連合代表の委員が「本体の引き上げは必要」と意見を述べた。

▽最近の診療報酬改定

最近の診療報酬改定 小泉純一郎元首相の構造改革路線やデフレの影響で、診療報酬は3回連続でマイナス改定。2002年度は2・7%のマイナス、うち医師の技術料である「本体部分」はマイナス1・3%で初の引き下げとなった。04年度に本体は維持されたが薬価引き下げで全体はマイナス1・0%。06年度はマイナス3・16%(本体1・36%、薬価1・8%)と過去最大の下げ幅だった。本体引き上げは2000年度のプラス1・9%以来、実現していない。

(共同通信より)

<07年度準備病院は09年度から対象病院と確定せず DPCで中医協>

中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会は21日、診療報酬調査専門組織DPC評価分科会の西岡清分科会長から2008年度診療報酬改定におけるDPC病院に対する評価の提案を受けた。3日以内の再入院は一連の入院として扱うこと、DPC準備病院に2年間のデータ提出を求めることを決めたものの、重症患者を主体とする急性期病院に限定するか、軽症患者を扱う病院まで拡大するかの結論は得られなかった。また、07年度DPC準備病院(698病院)を09年度からDPC対象病院とするかどうかも決まっていない。12月以降の基本問題小委で検討する。

<ケアマネが連携の要に>

日本介護支援専門員協会の木村隆次会長は16日、さいたま市で開催されたセミナーで、後期高齢者医療制度とケアマネジャーの関係について講演した。同制度の診療報酬が主治医とケアマネジャーの連携を評価する方向で議論されていることに触れ、ケアマネの役割が多方面から期待されていると説明。積極的に連携役を務めていく必要があると話した。一方、次期介護報酬改定については、現在協会内で要望内容を検討しているが、制度を維持していくためには給付の適正化が必要であり、ケアマネジャーはインフォーマルサービスなどの構築によって必要のない保険サービスを減らしていく役割を担うことが重要だとした。
セミナーは、市内でケアマネジメントの質の向上や専門職のネットワークづくりを行っているNPO、ケアマネージメントサポートセンター(長谷川佳和理事長)が企画。500人が参加した。
後期高齢者医療制度は、75歳以上を対象に創設される新たな医療保険制度だ。現在、厚労省内で診療報酬の設定などの議論が進められているが、複数の疾患や認知症を持つ人への対応が重要になることから、今年4月に社会保障審議会の「後期高齢者医療の在り方に関する特別部会」がまとめた診療報酬体系の骨子の中では、介護・福祉サービスとの連携を進めるため「主治医等とケアマネジャーを中心として情報共有を進める必要がある」と盛り込まれた。

(シルバー新報より)


[2007/11/21]
 診療報酬改定情報

<財政制度等審議会が08年度予算編成で建議(診療報酬)>

財務省の財政制度等審議会(西室泰三会長)は19日、「2008年度予算の編成等に関する建議」を取りまとめ、額賀福志郎財務相に提出した。

今回の予算編成で焦点の医療分野については、診療報酬・薬価の見直し、後発医薬品の使用促進、被用者保険間の財政調整など聖域を設けずに取り組む必要性を強調。医療界への影響が大きい診療報酬改定については、1999年度以降のいわゆるデフレ期間の賃金・物価動向を医療費の費用構造に照らしても「3.6%程度のかい離がある」として、「これを是正する方向で見直す」と明記した。

また、診療所と病院間の点数格差にも触れ、診療所への手厚い配分を見直し、全体として効率化を図る考えを示した。

◆病院・診療所間の点数格差是正求める

建議では、引き続き財政健全化に向け、歳出・歳入一体改革の確実な実施を求めた。すでに医療・年金・介護などの社会保障費は、政府方針として5年間で自然増の伸びを1.1兆円削減する方向が示されており、今回の08年度予算編成においても、自然増分として2200億円の圧縮が求められている。

今回の予算編成で焦点となる、次期診療報酬改定について建議では、「医療機関等に対し医師等の人件費を始め経費の縮減・合理化努力を引き続き進めていく必要がある」として、診療報酬引き下げへの圧力をにじませた。

ただ、診療所と病院とで常勤医師の従業時間に大きな差があることや、休日・時間外診療を実施している診療所が少ないこと、さらには同じ診療行為であっても病院に比べ診療所の方が高く点数設定されていることなども指摘。「全般的に診療所に手厚い診療報酬の配分を見直し、診療科間などでメリハリを付けつつ、全体として効率化を図る必要がある」と強調し、診療報酬点数の内容に応じてメリハリを付けながら改定作業を行うよう求める考えを明記した。
一方、薬価・医療材料については、市場実勢価格に応じた引き下げに加え、医療機器の内外価格差の縮小などを通じて、薬剤費などの徹底した合理化を求めた。加えて、医療コストの適正化の観点から後発品の使用促進を求めており、政府目標に掲げた数量シェア30%以上に向けた環境整備を求めている。

そのほか、相対的に治療効果の低くなった技術や、診療報酬で賄う必要性の乏しいものについて評価の見直しを行うほか、包括払いの一層の促進などを求めている。
さらに、来年4月に創設する後期高齢者医療制度における診療報酬体系については、長期入院や頻回受診・重複投与などの高齢者医療の現状などを踏まえて、効率化を図るべきとした。

◆2200億円めぐる議論スタート

財政審建議が公表されたことで、年末の予算編成作業が本格化する。社会保障費については、自然増分2200億円の圧縮幅を何で手当てするかが焦点となる。
まず、薬価・診療報酬改定だが、薬価については過去の改定と同様に市場実勢価格に伴う薬価引き下げが行われる。例年どおりの改定であれば、医療費ベースで800億円程度の財源が確保できる見通し。加えて、今回は後発品の使用促進策として、処方せん様式の再見直しなどで200億円程度がねん出できる。

これにより2200億円のうち、約1000億円は薬剤関係で確保できるわけだ。
一方、診療報酬改定については、財政審建議で診療報酬の引き下げ圧力をにじませたものの、病院勤務医をめぐる過剰勤務の実態や、産科・小児科医療をめぐる問題なども議論されており、前回改定のように診療報酬本体にまで切り込むようなトーンは弱い。すでに、中医協診療報酬基本問題小委員会での議論も進んでおり、初再診料の格差是正などが議論の俎上(そじょう)に上がっているところ。

自民党元総務会長の丹羽雄哉氏は17日の講演で、「全体としてプラス改定する実態にないのも事実」と発言。今年7月の08年度予算概算要求基準の決定の際に浮上した被用者保険間の財政調整が不調に終わった場合には、薬価の追加的引き下げも考えざるを得ないとの認識を示している。
中医協も来週28日には次期改定に関する意見具申を厚生労働相に提出する方針。12月中旬の08年度予算案取りまとめに向け、厚労・財務、自民・公明、日本医師会など医療団体などによるネゴシエーションが活発化する

◆「建議」より診療報酬改定

医療費については、診療報酬単価等を一定としても、今後増えつづける見込み。医療費は保険料や税といった国民の負担で賄われていることを踏まえれば、医療機関等に対し医師等の人件費を始め経費の縮減・合理化努力を引き続き求めていく必要がある。
その際、これまでの診療報酬本体の改定率を保険料・税を負担する国民の賃金や物価の動向と比較してみると、近年のデフレの期間だけでみても、引き続き大きな乖離(3.6%)があり、これを是正する方向で見直していく必要がある。
診療所と病院を比較してみると、

<1>診療所と病院常勤医では、若手医師を中心に従業時間に差がある

<2>休日・時間外診療を実施する診療所は少ない

<3>同様の診療行為であっても病院に比べて診療所の方が高い点数となっている例もあるなど。

<通院精神は一定時間以上の再診を引き上げ>

通院精神療法は、初診時の通院精神療法で30分を超えた場合に500点を算定でき、それ以外の場合は病院で330点、診療所で360点となっているが、診療時間が長時間になる場合もあれば短時間で終了する場合もあるため、初診時の30分を超える通院精神療法は据え置くが、再診時などについて、一定時間以上の評価を引き上げるものの、短時間部分は引き下げる。

薬剤の処方では麻薬取締法によって、一部を除いて14日投与が上限になっている。

このため、患者は少なくとも月2回は医療機関を受診しなければならず、社会復帰を阻害しているとの指摘があった。

診療報酬改定では、一部の医薬品を30日処方に見直す。 30日投与した場合、再診時に残薬と重複処方の有無の患者への確認を義務付ける。

精神保健福祉対策本部が04年9月にまとめた「精神保健医療福祉の改革ビジョン」では、入院医療から地域生活への重点化、受け入れ条件が整えば退院可能な

患者(いわゆる社会的入院患者)の10年間での解消を打ち出していた。

現在の精神病床における入院患者は最近10年間は約32万人で一定しているが、新規入院患者は毎年2万人ずつ増加している。ただ、短期での他院が増加傾向にあるために、総入院患者数はほとんど増加していない。

長期入院患者数は減少傾向になく、患者の高齢化なども課題になりつつあるのが現状だ。

<特定健診の受託は半数が診療所> 

来年度から始まる特定健診・特定保健指導について、特定健診の受託を考えている事業者の中で最も多かったのは診療所で全体の47パーセントと、病院の39パーセントを上回っていたことが分かった。

株式会社の割合は0.06パーセントにとどまった。

厚生労働省はこのほど、7〜9月に国立保健医療科学院のデータベースヘ特定健診今特定

保健指導の受託を登録した事業者の情報を基に調査した、特定健診・特定保健指導のアウトソーシング先実態調査の結果を公表した。

実施形態は、医療機関などで行う「施設型」が80.9パーセント、検診車などを使った「巡回型」が1.1パーセント、「施設・巡回ともに実施」は17.9パーセントだった。

事業者ごとの年間実施可能件数は、「500件未満」15.2パーセント、「500件〜5000件未満」58パーセント、「5000件〜1万5000件未満」15.2パーセント、「1万5000件〜5万件未満」は7.2パーセント、「5万件以上」は4.1パーセントという状況だ。

特定健診・特定保健指導の受託希望者は、受診者の利便性を考え休日や夜間の実施を検討するよう定められているが、健診実施予定日時(複数回答)で「平日の夜間(月曜日から金曜日までの平均)」は11.5パーセントだったほか、「土曜日の夜間」は1.パーセント、日曜・祝日は午前・午後・夜間を通じて1割に満たなかった。「平日の午前中(同)」に実施を予定しているのは90.4パーセント、「土曜の午前中」は73.6パーセントなどだった。

健診の単価については、「6000円未満」44.0パーセント、「6000円〜1万1000円未満」

47.5パーセント、「1万1000円〜1万6000円未満」6.3パーセント、「1万6000円以上」1.9パーセントという結果となった。

◆保健指導は病院が診療所より多く

特定保健指導の受託を予定する事業者の内訳は、病院42.4パーセント、診療所37.パーセント、株式会社3.6パーセントで、特定健診とは逆に診療所よりも病院の方が多い。

全体の95.9パーセントが動機付け支援と積極的支援の両方を行う予定としている。

保健指導の実施予定日時(複数回答)は、「平日の午前中(月曜日から金曜日までの平均)」は77.8パーセント、「平目の午後(同)」は78.6パーセント、「平日の夜間(同)」は14.7パーセントという状況だ。「土曜日の午前中」に実施するのは66. パーセント、「土曜日の

午後」は29.4パーセント、「土曜日の夜間」は5.2パーセントとされており、月曜日から土曜日までを通して午後・夜間の実施が健診よりも若干多い。

日曜・祝日に行うとした割合は、「日曜の午前中」が10.8パーセントだったほかは、1割未満だった。動機付け支援の単価は、「6000円未満」が42.パーセント、「6000円〜1万1000円未満」34.3パーセント、「1万1000円〜1万6000円未満」12.9パーセント、「1万6000円以上」7.5パーセントという結果となった。

積極的支援は「1万6000円未満」12パーセント、「1万6000円〜3万円未満」44.5パーセント、「3万円〜5万円未満」32パーセント、「5万円以上」8.5パーセントという状況で、1万6000円から5万円の価格帯に集中している。

<医療費 負担感じる人、8割に増える…健保連調査>

大手企業健保などの全国組織「健康保険組合連合会」は20日、9月に実施した「医療に関する国民意識調査」の結果を公表した。医療費の自己負担について「重いと感じる」「やや重いと感じる」人は計79.3%で、98年に比べ12.8ポイント増。負担が重いと感じるものを複数回答で聞いたところ、トップは「保険料」の62.2%。「窓口負担」と答えた人は前回より14・3ポイント増の48.2%で最も増えた。03年度にサラリーマンの医療機関での窓口負担割合が2割から3割になったことが影響しているとみられる。
医療機関への要望では「待ち時間を短くしてほしい」が70.2%で1位。医療に関する今後の希望で最多は「医療従事者の確保・育成」(71.5%)だった。
調査対象は2000人で、回収率は63.2%。

(毎日新聞より)

<診療報酬 「ゼロ改定」見通しが強まる>

平成20年度の診療報酬改定率をめぐり政府・与党内で「ゼロ改定」との見方が急速に広まっている。財務省が求めている2200億円の社会保障費抑制の代替案としてあてにしていた、政府管掌健康保険(政管健保)の国の補助金を健康保険組合に肩代わりさせる案に見通しが立たず、診療報酬を下げるぐらいしか選択肢がなくなりつつあるためだ。危機感を強める医療関係団体は巻き返しを狙っており、年末決着に向けた攻防は激しさを増しつつある。

「われわれの調査ではみな減収減益。なぜこういう分析をするのか理解に苦しむ」。14日の厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)で、日本医師会の中川俊男常任理事は黒字続きの開業医の厚遇ぶりを指摘した健康保険組合連合会(健保連)の配布資料にかみついた。医師会がこうした資料に過敏に反応する背景には、政府・与党内で医師の技術料である診療報酬本体部分は「ゼロ改定」との見方が広がりつつあることへの焦りがある。

診療報酬改定は小泉構造改革のもとで平成14、16、18年度と過去3回マイナス改定が続いた。この間、地域医療の疲弊や産科・小児科医不足が社会問題化したこともあり、与党や厚生労働省内では当初、「これ以上の引き下げは医療現場の混乱が避けられない」と引き上げ意見が強かった。

政府・与党内の風向きが変わってきたのは、診療報酬アップのために厚労省が提示した、政管健保の国庫負担2200億円を健保組合などに肩代わりさせる案が、負担増となる健保組合や大企業の猛反対で頓挫しかかっているためだ。
「伸びを抑制しなければならない社会保障費2200億円のうち、1000億円は後発薬の普及など薬の関係で何とかなりそうだが、もう一方の大きな柱のめどが全く立っていない」。17日夜に都内で開かれた薬剤師団体の会合で講演した丹羽雄哉元厚相は、まだ社会保障費抑制策の半分ほどしか見通しが立っていないことを明らかにした。

自民党内では肩代わり額を圧縮する妥協案を模索する動きも出てきているが、実現には健康保険法の改正が必要。民主党が「安易な財源の付け替えには断固反対する」との姿勢を示し、公明党も「このようなやり方は受け入れられない」(渡辺孝男厚労部会長)としており、妥協案ですら見通しは暗い。与党が高齢者医療費の負担増凍結を決めたことも影響している。凍結で今年度の補正予算案に1500億円超を新たに計上することになり、財務省は20年度予算案でこれ以上の社会保障費の伸びを認めない方針。「他に代替案がない以上、診療報酬を上げる環境ではなくなった」(自民党中堅議員)というわけだ。

福田康夫首相が14日の経済財政諮問会議で「必要なところは充実させ、効率化できるところは大胆に削る」との方針を示したこともあり、「たとえ肩代わり案が実現しても、薬価の引き下げ分は医師不足対策などの懸案事項に充てられ、今回の診療報酬本体部分はゼロ改定が精いっぱいだ」との見方も出始めている。

こうした風向きの変化に危機感を募らせる医師会などは、自民党の厚生関係議員を中心に働きかけを強化しているが、どこまで功を奏するかは不透明だ。

(産経新聞より)


[2007/11/18]
 転換型老健の医療強化

<病院からの入所者数要件に 医療区分1,2受け入れ 転換老健の医療強化>

社会保障審議会介護給付費分科会は12日、療養病床から老人保健施設に転換した場合も引き続き、一定の医療サービスを提供できるようにする場合の施設要件などの検討に入った。一般の老人保健施設と差別化するために、医療機関から入所する人が家庭から入所する人よりどれだけ多いか、過去、3カ月間に実際に医療処置を受けた人の割合など実態に基づいた条件をつける方針だ。
厚生労働省によると、介護療養病床が11年度末で廃止されることになったが、一般病床からの退院の受け皿としての機能は一部残す必要があるという。具体的にイメージしているのは、医療療養病床では報酬が低く設定されている医療区分1、2の患者だ。看護師を24時間体制にしたり、夜間などの医師の往診を認めるが、介護療養病床から転換した全ての老人保健施設に認めるわけではなく、一定の要件を設ける。
具体的には、病院からの入所者が家庭からの入所者より一定以上多い、実際に行った医療処置で判断するの2つ。現行の介護療養病床でみると、医療区分1、2の入所者の69%が病院から、21・9%が家庭からで差が3・2倍ある。現行の老人保健施設と比較して喀たん吸引で3・9倍、経管栄養が6・7倍の開きがあることからこれらのデータを踏まえて具体的な基準設定を行う。

(シルバー新報より)

<混合診療「全面解禁を」 来月の答申に盛り込みへ 規制改革会議>

政府の規制改革会議(草刈隆郎議長)は15日、保険診療と保険外診療を併用する「混合診療」の全面解禁について、12月にまとめる第2次答申に重点事項として盛り込む方針を決めた。

混合診療を巡っては、小泉内閣時代の規制改革・民間開放推進会議(当時)が04年に解禁を提言。しかし、厚生労働省は「所得のある人とない人で格差が生じる」などとして、一部の高度先進医療だけに導入を認め、原則として保険給付の対象外にしていた。

これに対して、東京地裁は今月7日、厚労省の判断を違法とし、原告患者に保険給付を受けられる権利を認める判決を出した。

混合診療を原則として禁止する国の政策を違法とする初めての司法判断を受け、規制改革会議は全面解禁を求めることにした。

同会議が15日、患者に行ったヒアリングでも、「混合診療としてたった一つの保険外診療を受けるだけで、診療全体が保険外になるという扱いはおかしい」「保険医療だけでは、死亡率は減らない」などの批判が続出。一定の保険給付を前提とした混合診療の解禁を訴える意見が相次いだ。

(毎日新聞より)

<看護師の業務拡大など重点項目に>

政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)が12月の第2次答申に向けて取り組む重点項目が16日、固まった。医療分野では、保険診療と保険外診療を併用する「混合診療」の全面解禁のほか、医師不足に対応するため、看護師ら医療従事者の業務範囲の拡大を目指す。同会議は今後、各省庁との折衝を本格化し、合意事項を答申に盛り込む。
看護師が医師と離れて薬を処方することや、介護福祉施設内で介護福祉士が、たんの吸引を行うことは法令で禁止されている。同会議は、医療従事者への規制を緩和することで、医師の代わりに看護師が往診に出ることなどが可能になり、医師の労働負担の減少につながると見ている。
外国人が国内で日本人と結婚した場合は住民基本台帳に記載されないため、実際の家族構成が把握しにくく、課税面などで弊害が出ている。同会議は外国人登録制度と住民基本台帳制度をリンクさせることも求める。

(毎日新聞より)


[2007/11/15]
 日本医師会 財務省との対決姿勢を強調

<日本医師会 財務省との対決姿勢を強調 診療報酬改定率で>

日本医師会の中川俊男常任理事は8日、本紙の取材に応じ、日医の主張する診療報酬本体5.7%増の実現に向けて、財務省との対決姿勢を強めていく考えを示した。2008年度診療報酬改定について、財政制度等審議会が「マイナス改定」を求める方向で一致したことに対し中川常任理事は、「変化の把握には適さない医療経済実態調査の結果を基にした財政審の主張は問題が多い。こちらはTKC全国会の定点調査によるデータを基に主張している。より信頼性の高いTKC全国会のデータを用いた日医の主張を支持する意見は、医療関係議員の間でも広まっている」と指摘。財務省の主張を切り崩すことは可能との考えを強調した。

日医のプラス5.7%改定の主張に対し、財務省が「約2兆円の国民負担増になる」「医師の給与を引き上げた上で、医療機関の収支を公立病院も含め一律に黒字化しようとするものであり、不適当」と指摘したことに対し、中川常任理事は「在るべき医療費の増額要求を国民負担増と表現するのはおかしい。国民の負担増によって医師の給与の引き上げを要求しているかのような意図的な表現はやめてほしい」と注文を付けた。

財務省が「1998年度を起点として、人事院勧告と消費者物価指数を勘案した場合、診療報酬は賃金・物価と比べて3.6%かい離しており、この差をまず埋める必要がある」と主張していることに対して、日医は7日に発表した見解の中で、「人事院勧告ではなく実質賃金を用いて、小泉改革(2001年度)以降に着目すると、逆に改定率の方が1%下回る」と反論している。中川常任理事は「仮に財務省と同じく98年度を起点としても、実質賃金を基に比較すると、賃金・物価はマイナス0.8%、診療報酬もマイナス0.8%と同程度であり、財務省の主張は崩れている」と述べた。

また、財務省が実調結果を基に、「医療法人立の一般病院の経営は改善している」と指摘したことに関しては、「TKC医業経営指標によると前年比で減収・減益になっている」と説明。「実調を基にした分析は医療現場の実態を反映していない」とあらためて主張した。
 一方、個人開業医と勤務医の給与に2.0倍の格差があるとの指摘については、「勤務医に比べて開業医の給与が高いという指摘があるが、勤務医は大手マスコミや製薬メーカーの社員と同程度。むしろ勤務医の給与のほうが低いとみるべき」と反論した。

◆公的医療費は米国より低い

日医は、日本の総医療費の対GDP比を現行の8.0%からOECD平均の8.9%に引き上げるよう主張している。それに対し、財務省は「公的医療費(公費負担+社会保険)を対GDP比で見ると、日本は6.6%であり、OECD平均6.4%を上回っている」と主張している。中川常任理事は「仮に公的医療費に着目しても、日本は29カ国中15位と平均すれすれ。民間保険主体の米国でさえ6.8%であり、日本はそれより低い」と指摘した。

<診療報酬改定 引き上げ?引き下げ?中医協で攻防始まる> 

08年度の診療報酬改定率をめぐる攻防が14日、来月中の政府・与党による決着に向けて厚生労働相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)で始まった。構造改革路線の小泉政権下では事実上削減幅が争点だったが、地域医療の疲弊に加え、福田政権の誕生で引き上げを求める診療側に追い風は吹いている。それでも、経済界や財務省は引き下げを求め、譲らない構えだ。

14日の中医協は、会場が一瞬静まり返った。中立の立場の土田武史会長(早大教授)が、「プラス改定が正常」と、異例の発言をしたためだ。

2年に1度の診療報酬改定は、06年度も3.16%減で決着するなど3回連続のマイナス改定。ただ今回は医師不足など医療の危機的状況に、土田会長も揺れたとみられる。厚労省も同日、「06〜07年度は公務員賃金、物価とも累計0.7%増」との資料を配布し、日本医師会は5.7%増を主張した。与党内も「今回の減額は無理」との空気が大勢を占める。
これに対し、支払い側の健保組合や経済界の代表は「診療所の収支は経年的に黒字」とのデータを示してけん制。「診療報酬で医師不足は解消できない」と反論した。14日は経済財政諮問会議でも民間議員が減額改定を迫った。
既に5日には財務相の諮問機関、財政制度等審議会が引き下げ方針で一致している。

診療報酬は、医師の技術料など「本体」と「薬価」に大別される。08年度も薬価は1%程度削減する方向が固まっており、焦点は本体の動向。前回は1.36%減だっただけに、診療側は引き上げを最重要課題に掲げる。
一方、保険料負担に響く支払い側だけでなく、財務省が減額に躍起なのは、診療報酬を1%下げると国庫負担を約800億円減らせるため。08年度予算編成で、同省は薬価と政府管掌健康保険の国庫負担減を想定していたが、政管健保の方は与党の慎重論が強く、診療報酬本体を引き下げないと予算が組めない可能性も出ている。

改定率の決定権は、中医協委員の汚職を機に中医協から内閣に移った。今後は中医協の意見を踏まえ官邸・与党が12月中の政治決着を目指す運びとなるが、政府内の調整は難航が避けられない。

(毎日新聞より)

<高所得高齢者の負担増を提言>

政府の経済財政諮問会議が14日開かれ、大田弘子経済財政担当相が、今後増大する社会保障費用をまかなうために取り組む税制改革について、これまでの議論を整理し改革で打ち出すべき方向性を文書で提示した。

高齢者の中で所得格差が拡大している現状を踏まえ、所得の高い高齢者に対しては、公的年金控除の見直しなどを通じ「相応の負担を求める」と明記。また所得税については、税額控除を含む各種控除の見直しも提案した。

改革の前提となる経済成長については「成長率の違いで将来の負担増は大きく異なる」と指摘。諮問会議として、引き続き成長を重視する姿勢をにじませた。
同日の諮問会議では、医療・介護制度の高コスト構造是正についても議論。御手洗冨士夫・日本経団連会長ら民間メンバー4人が来年度の診療報酬改定に向け、病院に比べて高い診療所の初診・再診料の引き下げや産科・小児科の報酬引き上げなどを提言した。

(毎日新聞)

<後発品使用促進に処方せん様式を変更>
11月9日、中央社会保険医療協議会は平成20年度診療報酬改定の審議に当たり、後発品の使用を促進するため、処方せんの様式を変更することを決めた。
後発品の使用については、処方医が、処方せんに記載した先発品を後発品に変更することに差し支えがあると判断した際には、新たに設けられる「後発品への変更不可」欄に署名又は記名・押印する方式に変わる。また、先発品の一部に後発品への変更が差し支えるとされる際には、処方せんの先発品の銘柄の横に「変更不可」と記載することになる。

処方せんを様式変更しようとする背景には、平成18年度診療報酬改定で導入した処方せんでは、「後発品への変更可」欄にチェックがあれば後発品を調剤するという消極的なスタイルだったため、「後発品への変更可」欄にチェックがある処方せんの割合は全体の処方せんの17・4%に止まっていた(平成19年度後発医薬品の使用状況調査)。

◆後発品処方8割の医師が「こだわりない」
また、「後発品への変更可」欄にチェックがある処方せんを薬局で調剤した割合は8・2%であり、全処方せん枚数のうち、後発品に変更した処方せんは1・4%という結果になっている。
後発品を処方する医師は、「患者からの要望がなくても後発品を積極的に処方」が11・0%で、「特にこだわりがない」とするのは69・2%と合わせて8割を超えている。

◆薬剤師の調剤権を重視
薬局では、「後発品への変更不可」欄にチェックがない処方せんについて、記載された後発品(処方医が先発品の銘柄を記載しても「後発品に変更不可」欄にチェックがないため、後発品を調剤する処方せんに成り代わる)を、処方医に変更してよいかどうか照会することなく、別銘柄の後発品に変更して調剤できるようにする。
剤形についても変更できるようにする。例えば、処方せんに記載された先発品は口腔内崩壊錠(A)、薬局の後発品は普通錠(B)であり、いずれも先発の普通錠(X)と同等性が確認されている場合(AとXが同等、BとXが同等の場合)に、AをBに変更して調剤することができる。

◆薬局へのインセンティブ
後発品の使用を進めるにあたって、後発品の在庫管理コストの負担を軽減するため、薬局における後発品の調剤率が一定以上を超える場合、重点的に評価する。
また、平成14年度診療報酬改定で加算項目となっている「後発医薬品調剤加算(後発医薬品を調剤した場合は一調剤あたり2点)」は、「変更不可」欄にチェックがない処方せんが多数出てくることが予想されることから、これを廃止する。
薬局を訪れる患者は、後発品を使用するにあたり不安を持つことから、この不安を和らげるため、お試し期間を設けて分割調剤する薬局に対し評価する。
なお、医師と薬剤師の療養担当規則に後発品の使用、調剤に関して努力義務規定を設けることも決まった。
後発品使用促進の議題があがると、中医協の場では、診療側から意見が出されたことであるが、後発品使用促進にあたり、各界からの意見を集約し、厚労省は10月15日に「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」を策定したところである。同プログラムによれば、医療

場の意見は後発品使用の難点は、
・採算性の問題から製造販売が中止になる、
・発注から納品まで時間がかかる、
・先発品にある規格の一部が製造されていない、
・小包装がないことがある等の点に集約されるため、平成19年度中、遅くとも平成20年度内に
これらの点を解決するため、達成目標を掲げた。


[2007/11/12]
 後発品変更可→変更不可へ変更 処方せん様式

<後発品変更可→変更不可へ変更 処方せん様式>

2008年4月の診療報酬改定で処方せん様式を変更し備考欄に「後発医薬品への変更不可の場合、以下に署名」欄を設ける。これによって、医師が処方せんの備考欄に署名しない場合、保険薬局では医師に問い合わせをせずに後発医薬品に変更できるようになる。中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会は9日、処方せん様式の変更を決めた。

<一定以上調剤の薬局に報酬加算 処方箋変更 厚労省>

厚生労働省は9日、先発医薬品と同じ成分・効果を持ちながら価格が安い後発医薬品(ジェネリック医薬品)の普及策の全体像を、厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)に示した。一定割合以上の後発薬を調剤した薬局の調剤報酬を引き上げることを新たに打ち出したほか、後発薬使用を前提とした処方箋(せん)の様式変更などを盛り込んだ。平成20年度の診療報酬改定で実現を目指す。
一定割合以上の後発薬を調剤した薬局への報酬上乗せは、流通量の少ない後発薬の在庫管理コストの負担軽減が狙い。
具体的基準は今後検討するが、6月に実施した医療経済実態調査では、法人薬局での後発薬の調剤割合(処方箋ベース)が平均31・1%だった。このため、数カ月間に受け付けた全処方箋のうち、後発薬調剤が3〜4割を超えた場合に調剤報酬を加算する考えだ。
一方、処方箋の見直しは、現行では、医師が後発薬に変更してよいと判断したときに、「後発薬への変更可」とした欄をチェックする様式となっている。
だが、今回の全体像では、これを百八十度転換し、医師が後発薬への転換を認めない時にのみ署名する方式に改める。中医協は9日、大筋で了承した。
厚労省は、後発薬が前提の処方箋様式への変更に伴って「変更不可」欄に署名のない処方箋が、大幅に増加するとみられることから、後発薬を含んで薬を処方した場合に、医師の診療報酬を加算している現行の後発薬優遇制度は廃止する考え。
在庫がない場合に薬剤師の判断で別銘柄の後発薬への変更を認めることや、「お試し期間」を設けることなども盛り込んだ。

(産経新聞より)

<診療報酬引き下げ求める方針を決定>

2008年度予算編成について、社会保障関係の検討を始めた財務省の財政制度等審議会財政制度分科会、財政構造改革部会(部会長・西室泰三東京証券取引所グループ取締役会長兼代表執行役)は5日、診療報酬の引き下げを求める建議を取りまとめる方針を決めた。

財政制度分科会は11月下旬、予算編成に関する建議をまとめ、これを受ける形で12月下旬に財務省が原案を取りまとめる。そこから1週間以内には政府案が決まり、診療報酬改定率が明らかになる。

財務省がまとめた賃金・物価動向と診療報酬の推移を見ると、1998年を100とした場合、診療報酬の本体は07年度は99.2パーセントだった。消費者物価指数は年々下がり続け、07年度は97.0パーセント。人事院勧告による平均給与は07年度で93.1パーセントとなっており、物価や給与に比べて診療報酬が高止まりしているとの認識だ。

また、診療報酬全体に占める人件費率と物件費率の加重平均で4.4パーセント下落しており、診療報酬全体の下落と比較した乖離率は3.6パーセントとなっていると指摘している。

さらに、医療経済実態調査から、開業医(法人)の年収は2532万円、病院勤務医の1415万円の1.8倍になっていると、診療所の年収の高さを指摘した。

これらを例に、診療所の診療報酬の適正化を求めている。具体的には、診療所と病院で点数が異なる再診料(病院57点、診療所71点)、特定疾患療養管理料(病院87〜147点、診療所225点)を挙げた。

財務省は「国民負担の軽減を図る観点から、効率化余地があると思われる領域について評価の見直し・適正化を行っていくことが必要」とした上で、医療技術の進展と普及に件う技術評価の見直し(陳腐化した技術の廃止)、医療の必要性に応じた評価の見直し(医療必要度などに応じた点数付け)−を挙げた。

日本医師会が10月30日に診療報酬の5.7パーセントの引き上げ要望を行ったことについ

ては、「約2兆円の国民負担増」「公立病院を含めて一律に黒字化しようとするもので不適当」と反論している。

同部会では今後、建議の素案審議に移るが、政府関係者の間では病院医療の崩壊を危ぐする意見が強まっており、病院と診療所のバランスや一般歳出に占める社会保障費の在り方を検討する中で建議を固めることになる。

ただ、診療所に対する風当たりはかなり強いことが予想される。

<有床診の夜間看護職複数配置を加算で評価>

第5次医療法改正によって、有床診療所の48時間の入院期間の制限がなくなったことから、医師の診療体制確保を評価する。

48時間を超えて入院医療を継続することから、夜間の複数看護配置を評価する、入院基本科への加算という形になる見通しだ。

日医総研が実施した調査によると、有床診療所における夜間の看護体制は、8割近い施設で1人となっており、複数の配置は1割余りにとどまる。中には、夜間は看護師がいない施設もあった。


[2007/11/08]
 混合診療禁止は違法 全額自己負担に根拠なし

<混合診療禁止は違法 全額自己負担に根拠なし 男性がん患者が勝訴>

健康保険法に基づき保険が適用される診療に、適用されない自由診療を加えて受けると、保険適用診療まで含め医療費が全額自己負担となるのは違法として、がん患者の男性が訴えた訴訟で、東京地裁は7日、男性勝訴の判決を言い渡した。

国は保険診療と自由診療を併用する「混合診療」を原則禁止しているが、定塚誠(じょうづか・まこと)裁判長は、この政策を「法的根拠はない」として違法とする初の判断を示し、男性に保険適用診療分の受給権があると認めた。

混合診療をめぐっては、がん患者らが「保険対象外の抗がん剤などを使えば自己負担が膨大になる」と解禁を求める声も多い一方、「高所得層だけが良い医療を受けられるようになり国民皆保険制度の崩壊につながる」との懸念も強く、判決はこうした議論や医療現場に大きな影響を与えそうだ。

原告は、神奈川県藤沢市の団体職員清郷伸人(きよさと・のぶひと)さん(60)で、弁護士を付けず1人で裁判を続けてきた。

国側は「保険診療に自由診療が加わった場合は、不可分一体の1つの新たな医療行為とみるべきだ」と主張したが、判決は「一体と解釈すべきという法的根拠を見いだせない。法は診療行為ごとに、適用診療かどうかを判断する仕組みを採用している」と退けた。

混合診療の原則禁止について「医療の平等を保障する必要性や、解禁すれば患者の負担が増大する恐れがあり合理的」との国の指摘に対しては、「今回の訴訟の問題は、いかなる法的根拠によって、自由診療と併用すると、保険適用診療の受給もできなくなると解釈できるのかという点。混合診療全体の在り方の問題とは次元が異なる」と判断した。

 判決などによると、清郷さんは2001年9月から、神奈川県立がんセンターで腎臓がん治療のため、保険適用のインターフェロン治療に加え、適用対象外の「活性化自己リンパ球移入療法」を併用していた。

▽混合診療

混合診療 公的医療保険が適用される保険診療と、自己負担の自由診療を併用すること。原則禁止され、保険適用外の薬品や治療を受けると、通常なら保険診療の対象となる検査や手術、投薬、入院料までも全額自己負担となる。国は例外的に混合診療を認める「保険外併用療養費」制度も導入。先進医療や医薬品の治験など一定のケースで保険診療との併用が認められている。未承認薬や先端医療を受けたい患者や経済界からは混合診療の解禁を求める声も上がっているが、日本医師会は国民皆保険制度を維持する立場から反対している。

(共同通信より)

<厚労省、血液製剤納入7000医療機関の名前再公表へ>

厚生労働省は6日、C型肝炎ウイルスが混入している恐れのある血液製剤フィブリノゲンを納入した約7000の医療機関名を再公表することを決めた。3年前に新聞広告などで公表したが、再度広告を掲載し、検診の受診を呼び掛ける。

同省は13日から18日にかけて、まず73紙に広告掲載。同省ホームページで医療機関名を確認できることなども盛り込む。今月下旬には、さらに詳しい情報の広告掲載を検討している。

舛添要一厚労相は6日、C型肝炎ウイルスの感染の有無を調べる検診について「年明けにも無料化できるようにしたい」と述べた。

(日経新聞より)

<特殊疾患療養病棟入院料の廃止を撤回 中医協>

2008年3月末で廃止が決まっていた特殊疾患療養病棟入院料が、神経難病などに疾患を限定した上で、08年4月以降も継続することが決まった。現在対象になっている脳卒中などによる障害者や精神病床の特殊疾患療養病棟入院料算定病棟で多くを占める認知症患者は対象から除外する。中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会が7日、一般病床、精神病床における特殊疾患療養病棟入院料廃止後の取り扱いを検討した。


[2007/11/06]
 実態探り制度見直しへ

<実態探り制度見直しへ 報酬上げ要望続々>

社会保障審議会介護給付費分科会の「介護サービス事業の実態把握のためのワーキングチーム」が10月30日からスタートした。コムスン事件の背景として、制度見直しや報酬改定による介護事業の収益の採算性が悪化していることが指摘されていたのを受け、事業の現状について実態を探り、必要な見直しにつなげるのがねらいだ。30日にヒアリングを行った介護事業の労働者側の代表らからは介護報酬の引き上げを求める声が相次いだ。
冒頭、阿曽沼慎司老健局長は、「コムスン事件では広域的な事業者への規制のあり方と、介護業界、介護労働者の問題が課題として指摘された。前者については有識者会議で検討している。ワーキングチームで、後者について現状の課題を浮き彫りにしてもらい、対応を考えていきたい」と急遽WTを立ち上げた経緯を説明した。具体的なテーマとしてあげたのは、市場原理が健全に働いているか、事業運営に阻害要因があるか、事務処理が課題になっていないか、介護労働者はどうすれば定着するかなどだ。WTでは11月中旬までに3回にわたり、介護労働者・事業者団体からヒアリングを行い12月中には分科会に報告する予定だ。
同省の分析によると、訪問介護では02年3月の収益率は0・6%だったのに、05年3月ではマイナス0・1%に悪化している。利用者数は05年11月をピークに下がっているのにもかかわらず、事業所数は伸び続けており結果として、1事業所当たりの利用者数は減少している。つまり、「過当競争」の状況にあるのではないかという見方だ。

(シルバー新報より)

後期高齢者保険料 半年凍結後1割徴収>

高齢者医療費の負担増凍結を検討していた自民・公明両党の与党プロジェクトチームは10月30日、4月から新たに保険料負担が発生する予定だった75歳以上の高齢者の保険料を半年間免除し、その後半年も保険料額の1割の徴収にとどめることを決定した。70〜74歳の窓口負担の2割への引き上げも1年間凍結し、1割負担に据え置く。
負担凍結に必要な財源は、70〜74歳の窓口負担凍結で1100億円、75歳以上の保険料軽減で約360億円、4月からの保険料徴収に向け開発を進めていた市町村のシステムを、凍結に伴い改修する費用に約100億円で、合わせて約1500億円の計算。今年度の補正予算で対応する。

(シルバー新報より)

<診療報酬引き下げ、財政審建議へ 財務省方針 医師会の反発必至>

財務省は5日、医師の給与などに充てる診療報酬を08年度に引き下げる方針を固めた。08年度予算の概算要求基準(シーリング)では、少子高齢化に伴って増え続ける社会保障関係費を約2200億円圧縮することを決めており、「確実に達成するには、大幅に増加が見込まれる医療分野の見直しは不可欠」と判断した。日本医師会は「過去の厳しいマイナス改定で医療崩壊が現実化している」と大幅引き上げを厚生労働省に求めており、改定率が決まる年末に向けて省庁間の調整が難航しそうだ。【須佐美玲子】

財務省が5日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)で示した試算によると、デフレが始まった98年度を起点に、07年度までの人件費(人事院勧告)と物件費(消費者物価指数)の推移をみたところ、人件費と物件費の加重平均は4・4%減になった。一方、薬価改定を除いた診療報酬本体は0・8%減にとどまっており、財務省は「近年の賃金や物価の下落を十分反映できておらず、引き下げの余地はある」と求めた。

財政審で異論はなく、今月下旬にまとめる建議(意見書)に盛り込む。国民医療費(患者負担含む)は06年度は約33兆円で、25年度には56兆円に増加する見通しだ。医師などの人件費はそのうち約5割を占めている。

日本医師会は10月30日、地域医療支援や医療安全対策、医療の質確保の費用として5・7%の診療報酬引き上げを求めた要望書をまとめており、今回の財務省の方針に対する反発が予想される。

診療報酬は1%引き下げると医療費ベースで約800億円の削減につながり、前回の06年度改定では過去最大の3・16%引き下げた。次は08年度が改定期となる。

財務省は、診療報酬は引き下げるが、今年5月末にまとめた政府・与党合意の「緊急医師確保対策」に基づき、地方に必要な医師の確保などは行う方針だ。

(毎日新聞より)

<タミフル供給、今冬は半減の600万人分に>

インフルエンザ治療薬「タミフル」の国内唯一の輸入販売元である中外製薬(東京都中央区)は5日、今冬の国内のタミフル供給計画を昨冬より半減し、600万人分にすると発表した。
服用後の飛び降りなどの「異常行動」が報告され、厚生労働省が10代について原則使用中止とする措置を取ったことなどを受け、同社は「処方患者数はほぼ半減する」とみている。
中外製薬は、親会社のスイス製薬大手ロシュからタミフルを輸入し、2001年から国内販売している。インフルエンザが大流行した02年冬には供給不足が問題化した。
厚労省の作業部会は10月、中外製薬に指示した動物実験の結果について「異常行動と関連づけられるデータは今のところない」とする中間結果を発表するなど、因果関係は明確になっていない。

(読売新聞より)


[2007/11/02]
 診療報酬改定 病院勤務医の負担軽減策を提示

<診療報酬改定 病院勤務医の負担軽減策を提示 厚労省>

厚生労働省は2日の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関、中医協)で、08年度診療報酬改定で実施する病院勤務医の負担軽減策を提示した。開業医の診療報酬について、外来患者を時間外に診療した場合の加算を手厚くする代わりに初・再診料を引き下げ、夜間や休日に診療をしないと高収益を望めない体系に改めることが柱。地域の診療所に夜も患者を受け入れさせることで患者が大病院に集中しないようにし、開業医と病院との役割分担・連携を強化する狙いだ。
今回の方針は、医師不足対策としての勤務医の負担軽減とともに、定時診療しかしない開業医の収入を抑えることに狙いがある。在宅医療に力を入れている開業医を支援するための施策となる。
この日の審議で、日本医師会の代表は初・再診料の削減方針に対して強く反発し、「時間外診療をするために医者が泣け、というのは断固反対だ」と異論を唱えた。
また、厚労省は同時に、急性の重篤患者を常時受け入れられる人員、設備を整え、産科、小児科、精神科を含む総合的医療を提供できる医療機関への報酬を手厚くする方針も表明。書類作成業務など医師の事務作業を補助する事務職員を配置する際に加算措置を設けることも打ち出した。
一方、来年4月からスタートする75歳以上の後期高齢者医療制度に関連し、外来患者を診る主治医の初診料を引き上げる一方、再診料は下げる考えを示した。高齢者の場合、初診時には過去の受診歴や、受けている介護サービスなどを詳しく聞く必要がある半面、2回目以降は慢性疾患の経過観察などが中心になるためとしている。

(毎日新聞より)

<従業員2万人・利用8万人、41都道県でコムスン事業譲渡>

事業所指定の虚偽申請が発覚したことを機に、介護事業からの撤退が決まった「コムスン」(本社・東京)の事業譲渡が1日、全国41都道県で行われた。
コムスンの事業譲渡の対象は、訪問介護や通所介護など在宅系サービス1268事業所と有料老人ホーム26か所、グループホーム183か所。企業や社会福祉法人など14事業者に移行する従業員は約2万人、利用者は約8万人に上る。
大阪府など残る6府県内の在宅系サービスは、行政への届け出手続きの都合で12月1日に事業移行が行われる。

(毎日新聞より)

<社会保障カード11年度導入へ向け検討

年金記録漏れの対応策として脚光を浴びることになった社会保障カード(仮称)構想は、厚労省の検討会でこれまで3回議論を重ねている。2011年度4月スタートに向け、本年12月には「とりまとめ」を報告の予定である。
社会保障カード(仮称)は1枚のカードで年金・医療・介護の被保険者証として使え、住所の異動、転職なども変更手続きだけで使い続けることができ、加入手続き漏れの防止にも役立つ。また、ICチップの搭載により、紛失・盗難の場合にも、プライバシー性の高い情報が盗まれたり、悪用されることはないとされている。自宅のパソコンから年金記録の確認、社会保険事務所などの端末でも記録の確認ができる。希望者には自分の医療費情報を閲覧可能で、年金受給権者の住所や支払機関の変更をオンラインでできる。
健康保険証の代替機能と医療情報の閲覧が可能となれば、医療機関の複数受診や多重検査、多重投薬の防止も期待される。
介護分野では医療情報と介護情報の閲覧ができることにより、ケアプランの作成に利用でき、地域医療連携体制に資するツールとしての機能が注目されている。
平成20年度から始まる特定健診・特定保健指導で行われるメタボリック対策として行われる健診結果の履歴なども閲覧できることにより、被保険者自身が自ら健康管理することが想定されるという点が期待を集めている。

◆カード導入に不安も
カード導入で、年金に関する情報のほか、医療、介護、健康の情報も一元的に管理されることから、個人のプライバシー権を侵害するものとの意見、ICチップに収録する情報の範囲によっては、職歴、疾病、既往歴、これまでかかった医療機関、介護の必要度などにより、受診履歴の参照が可能、セカンドオピニオンが受けにくいのではないかなどとする意見がある。
検討会での議論は、当初、年金・医療・介護分野を対象とし、将来的には雇用保険や住民基本台帳カードの機能と合わせたカードとする構想もあるが、議論の中心は、年金手帳、医療保険証、介護保険証としての役割になりそうだ。
カードは、医療情報やその他の情報にアクセスするためのツールで本人確認と最低限の情報に限られ、アクセスするための鍵の管理に優れたICカードを導入し、紛失した場合に備えて、情報漏洩と悪用を防止する機能を持たせる。
具体的な情報はカード上には書き込まれないで、パソコンなどからデータベースに接続し、本人に間違いない確認をする鍵の役割を果たす。
本人確認では、地方公共団体ですでに実施されている公的個人認証サービスの活用が議論され、レベルの高いセキュリティと信頼性から、活用への検討が進んでいる。

◆データベースの一元管理が肝
カード発行の際、カードの収録情報は、年金・医療・介護の各制度が持つデータベースを統一化する必要が出てくる。このため各制度のデータベースの資格情報を結びつけるため、一元的管理には各制度の対象者の範囲の違いも含め、最低限の結び付けとアクセス方法が検討されている。一元管理に時間と手間がかかることが予想され、手順としては検討会の12月に予定される「とりまとめ」に続いてワーキングチームを立ち上げ、具体的な結び付けを検討することになっている。
その他、課題として上がっているのは、カードの収録情報が本人以外の者によって目的外に活用されることがないように、収録情報に応じた利用の制限を設けること。カード発行の費用負担。社会保障カード(仮称)の身分証明書としての機能の検討。カードの有効期限。などである。
10月23日の検討会では、住民基本台帳カードの利活用について報告された。住基ネット、公的個人認証、住民票などの証明書の自動交付、印鑑登録証、図書館カード、その他に利用できることにな
っていることから、社会保障カード(仮称)との併用の可能性も検討課題に上がっている。