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[2007/12/26]
 看護師の業務拡大、医療の質評価も

<看護師の業務拡大、医療の質評価も>

25日に決まった規制改革会議(議長=草刈隆郎・日本郵船株式会社代表取締役会長)の第2次答申には、医師の指示に基づく看護師による薬の投与量の調整や介護福祉士による施設内でのたん吸引を解禁するなど、医師と医師以外の医療関係職の役割分担を見直す方向を盛り込んだ。深刻化する医師不足問題への対策の一環で、今年度から順次措置するよう求めている。

答申では、医師が行うこととされている医療行為のうち、看護師などでも実施できるものについては医師以外による実施を積極的に認める方向を示している。
松井道夫委員(松井証券代表取締役社長)は、「医学部の定員増などの対策には、即効性はない。医師不足は緊急を要する」と述べ、業務範囲の見直しにより医師不足対策として即効性が見込めるとの見方を示した。

具体的な見直しの対象として答申では▽看護師による薬の投与量の調整 ▽訪問介護員等による経管栄養の取り扱い▽介護施設内での介護福祉士やヘルパーによるたんの吸引――の4点を列挙。業務上の役割分担の在り方を十分に検討し、速やかに措置を講じるよう求めた。
医療関連ではこのほか、医療の質を報酬にリンクさせる「ペイフォーパフォーマンス」(P4P)の導入に向けた検討を08年度中にスタートすることや、疾病ごとの治癒率などのアウトカム情報の公開を大学病院など大規模病院に義務化する方向を盛り込んだ。
このうちアウトカム情報の公開については年度内に検討を開始した上で、08年度に結論を出し措置するよう求めている。また、同年度以降の段階的な対象拡大の方向も示した。

<厚生連に特別養護老人ホームの設置を認める> 

厚生労働省はこのほど都道府県知事宛てに、老人福祉法の一部を改正し、厚生連(農業協同組合連合会)が特別養護老人ホームを設置することを認める通知を出した。

通知では、(1)特別養護老人ホームを設置する厚生連に対する地方公共団体の補助(2)組合員外の利用―について留意事項が記載されている。入所者の決定は公平・公正に決定すべきで、組合員以外の入所者を一方的に退所させたり、組合員でないという理由だけで新規入所を拒否したり、非組合員である入所者に組合への加入を強制したりすることは不適当である、と明記されている。


[2007/12/21]
 医療崩壊止まらず

<マイナス改定 医療崩壊止まらず>

来年4月の診療報酬改定で、本体部分は0.38%の引き上げとなったものの、全体ではマイナス0.82%にとどまったことに対し、全国保険医団体連合会は12月21日までに「これでは『医療崩壊』は止まらない 診療報酬改定率の政府決定について」と題する声明を発表した。保団連は「緊急に財源措置を行い、引き上げるように強く求める」と訴えている。

診療報酬改定をめぐっては、福田内閣が12月18日、舛添要一・厚生労働大臣と額賀福志郎・財務大臣との閣僚折衝で、本体部分を0.38%引き上げる方針を決定。しかし、薬剤・材料費は1.2%引き下げるため、全体では0.82%の減となり、4回連続のマイナス改定となった。
保団連は「改定率総枠マイナス0.82%では『医療崩壊』はストップできるところではない。

さらなる医療崩壊の連鎖をもたらす」と危惧。このことに関しては「産科や小児科、救急医療提供体制の減少に加え、『歯科医師の5人に1人がワーキングプア』といわれる状況の出現など、医療崩壊の根本原因は欧米諸国に比べて低い医療費を、さらに抑制した結果」と反発し、「進行する医療崩壊にストップをかえることが国民的課題であり、国民の命と健康に責任を持つべき政府が採るべき対策は診療報酬を引き上げることである」と強調している。

このような見解を基に、保団連は「診療報酬は、患者さんが医療保険で受けられる診療の内容を決めるものであり、改定率は患者さんへの医療内容を良くするのか、抑制するのかに直結する」と指摘。国会論戦での審議が不可欠として「国会において、『医療崩壊』を解決する観点から診療報酬改定率について正面から議論し、緊急に財源措置を行い、引き上げるように強く求める」と要望している。

<公立病院改革で特例債の発行容認>

総務省は12月21日、地方自治体による公立病院改革のガイドライン(GL)をまとめた。病床利用率が3年連続で70%を下回った公立病院に対して診療所への移行を含む抜本見直しを求めるなどの内容。資金不足の病院に対して、不良債務を長期債務に振り返る「公立病院特例債」の発行を認めるなど財政面での支援措置も講じる。

総務省は24日付けでGLを自治体に通知。公立病院の改革プランを08年度中に策定するよう自治体に促す。
GLでは、これまで明らかになっていなかった財政支援措置の具体的な中身を示した。それによると、医師不足などによって03年度以降に発生した不良債務を長期債務に振り返るため、「公立病院特例債」の発行を08年度に限って認める。償還期間は7年。

特例債を発行できるのは、医業収入に対する不良債務の割合(不良債務比率)が07年度時点で10%以上の公立病院事業。自治体が08年度内に改革プランを策定することが条件。

特例債の発行容認には、資金不足が足かせになり抜本改革に踏み切れない病院事業の債務返済を支援することで、再編・ネットワーク化を促す狙いがある。

総務省によれば、不良債務比率が10%以上の病院事業は06年度末時点で全国に67ある。債務の総額は03年度から06年度までに約560億円増えているといい、特例債の発行額については600億円を見込んでいる。

特例債の発行容認以外には、公立病院の再編・統合に伴う新たな医療施設の整備費用のほか、再編に伴い不要になった施設の整理費用や職員の退職手当などの支援を盛り込んだ。
GLでは、公立病院改革の視点として経営効率化 ▽再編・ネットワーク化 ▽経営形態の見直し――の3点を提示。これらの視点に立った改革を「一体的に推進することが必要」と指摘し、自治体に対して数値目標を明記した改革プランの策定を求めている。

経営効率化の視点では、「経常収支比率」と「職員給与費対医業収益比率」「病床利用率」の3点を必須の数値目標とし、病床利用率が3年連続で70%を割り込んだ病院については、病床削減や診療所への移行などを含む抜本見直しを促す方向を明記した。

<同居家族いても訪問介護を」厚労省が呼びかけ>

在宅で高齢者を支えることが重要視される中、厚生労働省は12月21日までに、介護保険上でホームヘルパーが行う「生活援助」について、利用者に同居家族がいても個々の状況に応じて判断するよう、各都道府県の担当課に呼びかけた。一部の市町村で、同居家族がいることのみを判断基準として機械的に介護給付を認めないなどの実態を考慮した。

訪問介護サービスには、食事や入浴を手伝う「身体介助」と調理や洗濯などを行う「生活援助」の2種類がある。生活援助の対象となるのは、一人暮らしの高齢者と、障害・疾病またそのほかのやむを得ない事情を持つ家族と同居する高齢者とされている。

しかし、自治体によっては、同居家族がいることによって「家事ができる」と判断し、介護給付の支給を認めない事例が続出している。

 東京介護福祉労働組合の清沢聖子書記長は、都内の現状について「同居家族がいるとかたくなに生活援助を認めない区が複数ある」と話す。また、作家の沖藤典子委員が厚労省の介護給付費分科会に提出した意見によると、90代の夫が80代の妻を介護する世帯、乳幼児のいる40代が要介護5の親を介護する二世帯同居などから「生活援助が打ち切りになった」という訴えが寄せられているという。

このような事情を受けて厚労省は、「生活援助への介護給付の支給について、市町村は、同居家族がいても個々の状況に応じて判断する」という旨の事務連絡を、各都道府県の介護保険主管課に対して実施。また、比較的介護の必要度が低い高齢者に対して提供される「介護予防訪問介護サービス」についても、個々の利用者の状況を同様に考慮することを求めた。

<病院数、ピーク時から1、000以上減>

2006年10月時点の全国の「病院」の施設数が9、000の大台を割り込み、8、943施設にまで減少していたことが、厚生労働省が12月21日までにまとめた「医療施設(動態)調査」から分かった。前年の9、026施設からだと83施設の減。ピーク時の1990年と比較すると1、000施設以上減ったことになる。

減少数をベッド数の規模別にみると、「20〜49床」(1、150施設)で前年から64施設の減。「50〜99床」(2、332施設)と「100〜149床」(1、427施設)の減少幅もそれぞれ12施設、15施設と大きく、149床以下の中小病院の減少が特に目立った。

長期入院を受け入れる「療養病床」のある病院数は4、243施設(前年比131施設減)と、1999年以降、初めて減少に転じた。国による療養病床削減の方針を受けた効果の表れとみられる。精神病床や療養病床などを除いた「一般病床」も、前年の2、544施設から373施設減り、2、171施設になった。

また診療科別では、「小児科」が前年から79施設減った=図。このほか、「外科」(77施設減)、「内科」(54施設減)、「産婦人科」(40施設減)なども減った。

一方、ベッド数が19床以下の「一般診療所」は9万8、609施設と、前年の9万7、442施設から1、167施設の増。ベッドがある「有床診療所」(1万2、858施設)は619施設減ったが、ベッドのない「無床診療所」(8万5、751施設)は1、786施設増加した。

調査は全国の医療施設の分布状況を把握することが目的。3年ごとに実施している「医療施設静態調査」の結果に医療施設の開設・廃止などの状況を順次、加減した。今回は、05年10月から1年間の状況をまとめた。

病院の施設数は1984年以降増え続け、90年には1万96施設に達した。しかし、それ以降は減少傾向に転じ、今回9、000の大台を割り込んだ。90年と比べると、06年までに1、153施設減ったことになる。

<開業医と勤務医の格差是正を>

経済財政諮問会議(議長=福田康夫首相)は2008年1月にとりまとめる「日本経済の進路と戦略」に、社会保障費分野での歳出・歳入改革を推進する上での課題として、病院・診療所・介護施設の役割分担や開業医と勤務医の格差是正を提示し、そのための具体策として、それぞれの役割を改めて明確化した上で、報酬のメリハリ付けなどを盛り込む方針。

17日までに示された原案によれば、05年の1人当たり医療費は、国民全体で年間26万円、後期高齢者のみでは年間82万円かかっている。「進路と戦略」には、サービスの質を維持・向上しつつこれらのコストを削減するため、「医療・介護サービスの質向上・効率化プログラム」に沿った改革に取り組む方向を盛り込む。

課題には、病院・診療所・介護施設の役割分担の明確化とともに、開業医と病院勤務医の格差是正を提示。これらを推進するための具体策として、施設ごとの役割の明確化やそれを受けた報酬のメリハリ付けなどを盛り込む方針だ。

また、診療報酬の包括化や後発医薬品の使用促進にも着手するほか、総務省が年内にまとめる公立病院改革ガイドラインに沿って、自治体による公立病院の再編・効率化を促す。一方、地域医療提供体制整備の具体策には、小児・産婦人科医不足の解消や救急医療の充実などを挙げる。

今回まとめる 「日本経済の進路と戦略」は、福田政権による初の中期的な経済指針。11年までが対象期間。高齢化と人口減少が進む今後10年程度を念頭に、成長力の強化や信頼できる社会保障制度構築のための課題、方針などをまとめる。

ケアマネ試験合格者は3万1658人に>

今年10月28日に行われた第10回の介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)の合格率は22・8%で、過去最低だった前年度を2・3ポイント上回ったことが本紙の調査で分かった。合格者数も、前年より3千人あまり多い3万1658人となった。ほぼ全都道府県で合格率が上昇していたこともあり、「合格基準が下がった」ことを理由として指摘する都道府県担当者が多かった。

各都道府県は10日に合格者の発表を行った。受験者数は、13万9006人で前年より744人の微増、合格者数は3万1658人であることが分かった。合格率については、茨城を除く全都道府県で上昇し、過去最低だった前年の合格率を2・3ポイント上回る22・8%となった。

合格率が上昇したことについて、各都道府県の担当者が理由として挙げたのが「合格基準が下がった」ことだ。合格基準は、正答率70%を基準として問題の難易度で補正することになっているが、今年は前年より保健医療福祉分野の「免除なし」の人で35点満点中2点引き下げられた。医師や歯科医師、看護師、介護福祉士などのそれぞれの専門で「免除あり」でも1〜2点下がっていた。

都道府県の指摘に対して、試験問題の作成・合格基準の設定を行っている社会福祉振興・試験センターでは、「受験者の質もあるので、一概に合格基準点の引き下げが合格率増の要因とはいえない」としている。学識者からなる委員会で問題作成から合格基準の設定までを行っている。

(シルバー新報より)

<36施設で指定取り消し>

厚生労働省は21日、診療報酬を不正に請求するなどした医療機関に対する2006年度の指導・監査結果を発表した。保険医療機関の指定を取り消されたのは36施設で前年度に比べ18施設減り、保険医の登録を取り消されたのは41人で13人減った。

 同省が医療機関に返還を求めた保険料の総額は約53億4000万円で、前年度に比べ約7億2000万円減った。同省は「返還額が2億円を超えるような大規模な不正請求が減ったため」と説明している

(時事通信より)


[2007/12/14]
 在宅療養支援病院の要件が決定

<在宅療養支援病院の要件が決定>

在宅医療を行う病院を診療報酬上で高く評価する「在宅療養支援病院」(仮称)について厚生労働省は12月14日、医療機関がない地域(無医地区)を調査する基準を参考に設定した要件を中央社会保険医療協議会(中医協)基本問題小委員会(会長=土田武史・早稲田大商学部教授)に提示し、大筋で了承された。

前回の会合で議論になった在宅療養支援病院の要件は、「その病院を中心とした半径4キロ以内に診療所がなく、在宅医療を病院が行わざるをえない病院」という厳しい内容に決定したが、「在宅医療は診療所で、病院は後方支援」という方針で在宅医療は進むのだろうか。

在宅医療を進めるため厚労省は、自宅で療養する患者の往診や訪問看護を24時間体制で実施する診療所(在宅療養支援診療所)を前回の診療報酬改定で新設した。

しかし、在宅療養支援診療所が地域ごとに偏在し、在宅医療を提供する環境の整備が不十分だった。

このため、厚労省は前回の同小委で「在宅療養支援病院」を提案。診療所がない地域の在宅医療は「病院」に支えてもらい、診療報酬上では「在宅療養支援診療所」と同等に高く評価する方針を示していた。

ところが、在宅療養支援病院として認められるためには「周囲5キロ以内に診療所がないこと」などが要件になっていたため、西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)が「5キロ以内に医療機関がまったくないのは北海道でも島ぐらい。半径5キロ以内という条件はなくしてほしい」と求めていた。

この日、厚労省は「半径5キロ以内」の要件を外さずに「4キロ」に緩和。西澤委員は「4キロの要件を満たす病院は全国でも数が知れているので、今後はもっと広げてほしい」と要望を出し、今回の提案については了承した。

◆ 在宅医療は進むか
土田会長が「今回はこれで了承ということで…」とまとめに入ったところで、公益委員である前田雅英委員(首都大学東京都市教養学部長)が珍しく発言した。
「在宅医療は個人的にも世話になっている。今回の案については異論がないが、在宅医療をさらに進める方向で検討していただきたい」

<社会医療法人の法人税、非課税に>

自民党・税制調査会(津島雄二会長)は12月13日、2008年度税制改正大綱をまとめた。医療関係で焦点になっていた「社会医療法人」については、同法人の「医療保健業」(附帯業務以外)に伴う所得への法人税を非課税にするなど優遇措置の導入を盛り込んだ。また、それ以外の収益業務などによる所得に対しては、法人税率を通常の30%から22%に引き下げることも決まった。

社会医療法人は、昨年の医療法人制度改革に伴ってことし4月にできた新しい医療法人類型。2008年度からスタートする都道府県ごとの新しい医療計画に基づいて、事業の実施状況に関する直近1年度の実績などを踏まえて都道府県知事が認可することになっているため、実際にはまだない。

厚労省は、へき地医療など通常よりも公益性が高い事業として都道府県が位置付ける医療サービスを同法人に担わせる一方、▽投資家から広く資金調達できる広募債(有価証券)の発行容認 ▽税制上の優遇措置の適用 ▽収益業務の実施容認――などのメリットの担保を目指してきた。

このうち税制面について、具体的には医療保健業に伴う所得に対する法人税(通常は30%)を社会医療法人に対しては非課税扱いにすることなどを07年度の税制改正でも重点要望していた。優遇税制が担保できなければ、「単なる規制強化に過ぎない」といった指摘もあった。

しかし、自民税調は昨年末、これらの問題を「長期検討課題」として結論を先送りした。そのため厚労省は今夏、08年度の税制改正で社会医療法人への優遇税制を適用するよう改めて要望。これにより今回、法人税の非課税扱いのほか、収益業務などによる所得には軽減税率(22%)を適用することになった。

税制上の扱いが決まったことで、今後は社会医療法人を認可する際の判断基準になる要件の具体化に焦点が移る。

認可要件としては、「救急医療」「災害医療」「へき地医療」「周産期医療」「小児医療(小児救急含む)」のどれかひとつを実施することなどがすでに決まっている。厚労省は、「実際にこれらの事業をどれだけやっているかなどを踏まえて認可する形になる」と話しており、事業に関する要件についてはハードルが高くなることが予想される。

厚労省は、都道府県による認可が始まるのに先立って、「年度内のできるだけ早い時期」に要件を固めたい考え。

<診療報酬改定の諮問は1月16日>

2008年度の診療報酬改定は08年1月16日、厚生労働大臣が中央社会保険医療協議会に諮問する。改定率は07年12月18日〜20日にかけて確定することから、改定率、社会保障審議会医療保険部会、同医療部会が策定した基本方針に基づいて改定案を作成するよう求める。同日中に「診療報酬改定に係る検討状況について(現時点の骨子)」を取りまとめ、ホームページで意見募集を行う予定だ。2月半ばには答申する。

<介護報酬改定、08年4月実施せず>

介護労働者の低賃金や事業の赤字経営が深刻となり、改善措置を検討してきた厚生労働省の「社会保障審議会介護給付費分科会」は12月10日、2009年4月の介護報酬改定を1年前倒しする緊急措置を見送り、08年4月には改定しない方向で合意した。

今年10月から関係団体からヒアリングを行い、介護サービス事業の実態把握を進めてきたワーキングチーム(WT)が「労働者の処遇や事業の経営状態に関する問題には、介護報酬の水準だけでなく、さまざまな要因が影響を与えている」と報告し、委員からも慎重かつ詳細な検討を求める意見が大勢を占めたため。

介護労働者や介護事業者の窮状を訴える声の高まりにより、同分科会は状況改善のために実態把握が必要と判断。これを受けて10月に設置されたWTは、9つの関係団体から計3回にわたるヒアリングを実施し、この日、現状や今後の検討課題を取りまとめた報告書を提出した。

報告では、介護労働者の賃金水準について「全産業平均と単純に比較すれば低い」とし、また介護サービス事業の経営についても「厳しさを増している」と明記。しかし、労働者の賃金には勤続年数・年齢・性別・就業形態といった条件が、また事業者の経営にはサービスの種類や事業規模などの違いがあると指摘。諸問題の解決のためには、介護報酬の水準▽事業に係る基準や規制の在り方▽介護保険サービスの在り方とその範囲▽事業市場の状況▽事業のマネジメント▽人事労務管理の在り方▽介護労働者市場や他の労働市場の状況▽サービス提供以外の事務負担―の8つの要因について十分な分析を行い、「幅広い観点からの施策を講じる必要がある」という基本的な考え方を示した。

そうした上で、今後の検討課題として、各事業に共通するものと事業ごとのものに分類した。

共通事項として挙げたのは、介護報酬の水準はもちろん、労働者の定着のために労働者の属性に応じた対策やキャリアアップの取り組みに対する評価。これに加えて、書類作成などにかかる負担が軽減される規制の見直しや給与などの地域水準を適切に反映する仕組みの検討も盛り込んだ。

訪問・通所系の事業としては、質の確保のために、サービス提供責任者などについて、人員配置基準の在り方とともに報酬上の評価を考えるほか、訪問介護の生活援助を保険サービスとしてすべて対応することの妥当性や、保険内で決められたサービス時間に保険外の費用で上乗せできる契約の是非についても言及。さらに、施設系の事業としては、入所者の重度化を考慮した人員配置基準の在り方などの検討も示している。

次の介護報酬改定は09年4月に行われることになっているが、緊急措置として08年4月に実施する選択肢もあった。しかし、会合では、WTのメンバーを務めた池田省三委員(龍谷大学教授)が「介護報酬を設定するには労働者や事業者の視点だけでなく、サービスの報酬単位や保険料に関する社会的な合意が必要」と話すなど、委員らは今後幅広い観点から詳細な検討を行うことでおおむね合意。会合後、厚労省の担当者も「08年4月に改定を行わない議論だったと理解している」と話した。

<グループホーム、離職者相次ぐ>

2005年以降に開設したグループホーム正規職員の約4分の1が、1年以内に離職していることが11月9日までに、全国認知症グループホーム協会の調査で分かった。離職者の平均在籍月数は21.7カ月と2年未満。各施設において人材確保が困難となっている実態が浮き彫りになった。

調査は同協会がグループホーム経営の実態を把握するため、会員を対象に06年1月から12月の間について実施。入職率と離職率を、開設時期による影響を考え、04年以前開設事業所と05年以降開設事業所に分けて集計した。

結果によると、04年以前開設事業所での正規職員の入職率は22.8%、離職率は19.1%となり、05年以降開設事業所では、入職率56.5%、離職率25.8%。離職者全体の平均在籍月数は21.7カ月と2年に満たなかった。

また、非正規職員については、04年以前開設事業所では、入職率37.0%、離職率27.3%、05年以降開設事業所では、入職率68.4%、離職率は36.7%。離職者の平均在籍月数は15.4カ月だった。

このほか給与についても調査。正規職員の平均月収は勤務1年目で15.7万円、6年目でも18.4万円にとどまり、他の介護職種と比較しても低い水準を示した。一方、非正規職員については、勤務1年目で13.1万円、6年目で15.0万円だった。

同協会は、これらの調査結果を提示し、09年度の介護報酬改定に向けて検討を進める厚生労働省の「介護サービス事業の実態把握のためのワーキングチーム(WT)」の11月8日の会合で意見。介護労働者の離職を防ぎ定着率を高める措置として、賃金アップを支える介護報酬の引き上げを求めるとともに、夜勤における不安解消のために緊急時対応の仕組み構築などを訴えた。

<訪問看護ST、約3割が赤字>

訪問看護ステーションの約3割が事業損益で赤字になっていることが11月13日、全国訪問看護事業協会の調べで明らかになった。とくに職員が3人未満のステーションでは約5割が赤字となるなど小規模な事業所ほど赤字の割合が高くなっていることも判明。

同協会は、このような訪問看護事業を取り巻く厳しい実態について厚生労働省が設置する「介護サービスの把握のためのワーキングチーム(WT)」(座長=慶応大学・田中滋教授)の会合で報告。業界や行政などが積極的に訪問看護事業の活性化に向けて取り組む必要性を訴えた。

調査は、同協会が今年3月の事業損益について今年7月に会員を対象に実施。それによると、回答を得たステーションの31.6%が赤字だった。

また、職員数別・利用者数別・延べ訪問回数別で調査し、ステーションの規模ごとの赤字割合も集計した。

職員数別では、3人未満のステーションで51.6%、3〜5人未満で35.6%、5〜10人未満で26.0%、10人以上で14.8%がそれぞれ赤字。さらに、利用者数別と延べ訪問回数別でも、小規模なステーションほど赤字の割合が高くなっていることが分かった。

このほか、同協会は、人材不足によって約4割のステーションが訪問看護の利用を断った経験があることや、半年間に退職者がいたステーションが約4割に上ることなどの調査結果、また全国的に事業所が偏在・不足していることなど、訪問看護事業を取り巻く厳しい実態についてWTで報告。

訪問看護事業の活性化の必要性を指摘し、それに向けて▽利用者把握の適正化▽事業経営の安定化▽訪問看護ステーションの共通するシステムの確立―について業界や行政などが取り組むことを訴えた。

<後期高齢者の診療報酬点数表、別に定めず>

2008年度から始まる75歳以上の後期高齢者医療の診療報酬点数表の方針について厚生労働省は12月7日、後期高齢者医療の診療報酬点数表を別個に定めずに一般の診療報酬点数表に後期高齢者に関する項目を盛り込むほか、老人診療報酬点数表上の「寝たきり老人訪問指導管理料」と「薬剤情報提供料の老人加算」を廃止する方針を中央社会保険医療協議会(中医協)基本問題小委員会(会長=土田武史・早稲田大商学部教授)に提示し、了承された。

来年度から始まる後期高齢者医療の診療報酬で評価される在宅医療や訪問看護などの項目について、厚労省は「75歳未満の者に対する診療報酬と重なる部分が多いこと」などを指摘。

また、別個の診療報酬点数表を定めずに簡素化する必要性もあることから、一般の診療報酬点数表を基本にした上で、後期高齢者について現在検討している診療報酬の項目を盛り込むことを提案し、了承された。

厚労省はまた、後期高齢者の診療報酬点数表を別個に定めずに1つの点数表に統一することから、次期診療報酬改定では老人診療報酬点数表も整理する方向で見直し、寝たきり老人訪問指導管理料(430点)と薬剤情報提供料の老人加算(5点)を廃止することも提案し、いずれも了承された。

現在、寝たきり老人訪問指導管理料は、自宅で寝たきりのまま療養している高齢者を医師が訪問して計画的な医学上の管理や指導を行った場合に算定できる。しかし、在宅療養支援診療所の届出件数が約1万件に達するなど、在宅医療を支える環境が整備されている。
また、処方した薬剤の効能や副作用などの情報を提供した場合、後期高齢者の医療制度では「お薬手帳」に情報を集約化し、手帳の活用により患者の薬歴などを把握する方針が既に決まっている。

このような状況も踏まえ、厚労省は寝たきり老人訪問指導管理料と薬剤情報提供料の老人加算を廃止する方針を決めた。

前回の診療報酬改定では、75歳以上を対象とする老人診療報酬点数表を整理する方向で見直したが、「寝たきり老人訪問指導管理料」と「薬剤情報提供料の老人加算」は廃止されずに残っていた。


[2007/12/04]
 今度はプラスの大合唱

<今度はプラスの大合唱 背景に地域医療の崩壊>

2008年度の診療報酬改定をめぐり、与党の厚生労働族議員や医師会を中心に「今度こそはプラス改定を」と引き上げ要求の流れが加速している。最近3回は連続マイナス。政府の改定率決定を今月中旬に控え「地域医療の崩壊を防げ」を合言葉に気勢を上げるが、厚労族議員の言葉の端々には早くも次期衆院選への思惑がにじむ。

▽選挙に直結

「病院の問題が選挙で取り上げられ『地域医療が危ない』と言われれば、自民党は負けるんですよ」。11月27日、同党本部で開かれた社会保障制度調査会医療委員会。医師出身の清水鴻一郎衆院議員(比例近畿ブロック)の発言に会場は静まり返った。

例に挙がったのは今年2月の京都府の舞鶴市長選。市民病院が医師の集団退職を機に経営が悪化。市長選で再建が争点となり、自民が推す前市長の後継候補は落選した。

医師不足から産科や小児科の診療を閉鎖する病院は各地で相次ぐ。「地域医療は崩壊の瀬戸際。今回もマイナス改定ならば2年後は確実に崩壊だ」と別の議員。

ほぼ2年ごとに見直される診療報酬のうち、薬価部分は長年マイナス続きだ。政府の医療費抑制路線で、医師の技術料である「本体部分」も02年度、初のマイナス改定。04年度は据え置かれたが、前回の06年度に再び引き下げられた。

さらに医師研修の仕組み変更が加わり、当直や外来に追われる勤務医が病院を去る現象が顕在化。「医療界の士気が低下しないよう報酬引き上げは不可欠」。それが、地元選挙区での医療崩壊を避けたい厚労族議員の共通認識となった。

▽シーリング

与党に足並みをそろえるように11月28日、厚労相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)が意見書をまとめた。勤務医対策を重視して「本体部分はマイナス改定の状況にない」と引き上げをにじませる内容だが、最終的な文言調整に手間取った。

議事録に残らない会場外での非公式協議では、日本医師会(日医)の委員が「地域医療を守る」との表現を盛り込むようこだわり、負担抑制を求める健康保険組合など支払い側委員は「引き上げは開業医もおしなべてという意味ではないですね」と念を押した。

文言は挿入されたが、支払い側委員の1人は「開業医の利益代表である日医が、病院勤務医の苦境を理由に報酬アップを言い募るのには違和感があった」と振り返る。

日医は5日、都内で「医療崩壊阻止!」を掲げ、改定率アップの決起大会を開く予定だ。

しかし、社会保障費約2200億円抑制の枠をはめた来年度予算の概算要求基準(シーリング)が持つ意味は重い。財務省は「約束事を守るのが大前提。診療報酬の改定率はその後の話」と引き上げ要求を突き放す。厚労省は抑制分を政府管掌健康保険への国庫負担削減や薬価引き下げなどで工面する方針だが「目途はまだ立たない」(幹部)。

診療報酬の1%アップは約800億円の歳出増。シーリングを達成してもなおプラス改定の財源探しは難しいが、族議員の間に「シーリングと診療報酬改定は別の問題」との"強行突破論"も台頭し、攻防は激化する一方だ。

(共同通信より)

<高齢者 介護施設で虐待498件…昨年度国調べ>

◆市町村把握の10倍

介護施設の高齢者に対し、施設職員が虐待とみられる行為を行った事例が昨年度、少なくとも498件あったことが、国による施設内虐待に関する初の全国調査でわかった。

市町村が把握した虐待件数の約10倍で、暴言を吐くなどの心理的虐待や、殴るけるなどの身体的虐待が目立った。虐待の定義や、職員の通報義務を定めた高齢者虐待防止法について、介護職員の約7割が内容を把握しておらず、同法の趣旨が徹底していない実態も明らかになった。

調査は、厚生労働省の研究事業として、「認知症介護研究・研修仙台センター」(仙台市)が中心となって今年2月に実施。全国の特別養護老人ホームと老人保健施設、計9082施設の現場責任者と介護職員に対し、虐待の定義などを調査票で示しながら、昨年4〜12月の実態について回答を求めた。有効回答率は、責任者が22%、介護職員が21%だった。

この結果、判明した虐待とみられる事例は498件で、市町村が把握した昨年度の施設内虐待件数(53件)の約10倍に上った。

虐待の内容(複数回答)は、暴言を吐いたり無視したりするなどの心理的虐待が190件で最も多く、身体的虐待が131件、緊急やむを得ない場合以外に体をベッドに縛ったりする身体拘束が108件、介護・世話の放棄・放任が81件だった。

施設内での虐待については、東京都の特別養護老人ホームで昨年8月、女性入所者が男性職員に性的な暴言を浴びせられていたことが明らかになったほか、北海道のグループホームで認知症の入所者を廊下に座らせるなどの虐待が行われていたとして、道が昨春、指定取り消し処分を行ったケースがある。

虐待を行った職員側の要因(複数回答)を介護職員に尋ねた質問では、「性格的な問題」(47%)が最多で、「虐待に関する知識や意識の不足」(43%)がそれに続いた。介護職員の3人に2人が防止法の内容を知らず、特に介護経験3年未満の職員では2割が法の存在自体も知らなかった。

さらに、施設職員には市町村への虐待の通報義務が課せられているものの、介護職員が直接通報した事例は1%強、現場責任者でも7%にとどまっていた。

高齢者虐待防止法 2006年4月に施行。「身体的虐待」「介護・世話の放棄・放任」「心理的虐待」「性的虐待」「経済的虐待」の5行為を虐待と定義づけた。施設職員による虐待を発見した場合、職員に市町村への通報を義務づけた一方、施設側が通報を理由に、職員に解雇などの不利益な取り扱いをすることを禁止した。

◆通報義務すら浸透せず

今回明らかになった498件という数字は、約2割という回答率から考えれば、実際に介護施設内で行われた虐待事例の氷山の一角だ。介護のプロであるべき職員が一部とはいえ、虐待に走り、通報義務すら知らないまま業務にあたっているのは見過ごすことができない。

虐待に対する介護職員の知識不足の背景には、高い離職率も関係している。介護労働安定センターの調査によれば、介護職員の年間離職率は2割に及び、離職者の8割が3年以内に辞めている。これほど短期間では知識も蓄えられないし、施設側も「すぐ辞める職員に研修をしても仕方ない」と思いがちだ。介護職員の労働環境の厳しさを指摘する声もある。だが、施設は、老後の安心が保障された場所でなければならない。

介護施設で暮らす高齢者の8割が、自ら被害を訴えることが困難な認知症だ。通報義務などの周知を徹底し、密室にしないよう努力するとともに、施設をあげて認知症ケアの質を上げ、虐待が起きない環境作りを進めるべきだ。

(読売新聞より)

<昨年、訪問介護職の従事者8000人減>

2006年の訪問介護職の従事者数が、前年比で4・5%減少したことが、厚生労働省が3日公表した介護サービス施設・事業所調査でわかった。

訪問介護職員数が減ったのは制度が発足した2000年以来、初めて。景気回復に伴う人手不足などが原因と見られる。

調査によると、2006年10月の訪問介護職の従事者数(常勤換算、介護予防事業含む)は17万6527人で、前年同月(18万4858人)に比べて4・5%減少した。

訪問介護を巡っては、2006年4月に、介護予防が導入されたため、軽い人の訪問介護利用が制限された。また、景気回復に伴い、介護職の中でも、低賃金や激務が問題になっている訪問介護職が敬遠されたことや、介護報酬切り下げに伴う採算の悪化で、事業主が職員を減らしたなどが理由として指摘されている。

このほか、訪問入浴の従事者数も9580人で、前年同月比12・9%減だったが、特別養護老人ホームやデイサービス施設などの従事者数は増加していた。

(読売新聞より)


[2007/12/03]
 連座制は緩和

<介護事業 自治体の関与を強化 連座制は緩和 厚労省方針>

訪問介護最大手だったコムスンの不正問題を受け、厚生労働省は3日、コムスンのような広域事業者の本社に国や自治体が直接立ち入り調査したり、業務内容を是正、勧告・指導できるよう介護保険法を改正する方針を決めた。一方、一部事業所の不正が全体の処分につながる連座制の適用は事実上緩和し、都道府県が個別に適用の有無を判断できるようにする。同省は来年の通常国会に同法改正案を提出する。
厚労省は6月、コムスンの事業所で、介護士を水増しするなどの不正な事業所申請などが相次いだことから、都道府県に対し、全国約2000事業所の更新を認めず、新規指定を4年半認めないよう通知した。これに対抗し、コムスンは、連結子会社に全介護事業を譲渡する処分逃れともみられる対応を発表した。この際、厚労省や自治体に本社への調査権限や指導権がないことなど、法体制の不備が指摘されていた。
一方、連座制は、1事業所が指定取り消し処分を受けると同一法人の事業所すべてに処分が及ぶ規定。問題のない事業所も処分されてしまうことや、介護の空白地を生む恐れもあるため、「厳しすぎる」との指摘があった。このため、見直しでは、組織的な不正の有無について自治体が国と情報交換しながら判断できるようにする。

(毎日新聞より)

<責任追及を目的にせず 医療事故調で自民が骨格案>

医療事故原因を究明する国の第三者組織づくりについて論議していた自民党の「医療紛争処理のあり方検討会」(座長・大村秀章衆院議員)は29日、新組織について「目的は医療関係者の責任追及ではなく、再発防止」と明記した骨格案をまとめた。12月中に正式に決定し公表する。これを受け、厚生労働省は本格的な法案づくりに乗り出す。

骨格案は1調査対象は死亡事例 2医療機関からの届け出先を警察ではなく新組織に一本化 3一定の場合に警察に引き継ぐ-などが柱で、厚労省が10月に公表した「医療事故調査委員会」(仮称)の原案にほぼ沿った内容。

警察に引き継ぐケースについて「故意や重大な過失、その他悪質なものに限定する」とし、医療ミスがあった場合は懲戒処分ではなく、研修などの再教育に重点を置くべきだとしている。

また医療機関や遺族から、事故の届け出や調査について相談を受け付ける仕組みをつくることも求めている。

(共同通信より)

<事業譲渡完了のコムスン、サービスの質の確保など課題>

介護報酬の不正請求発覚などで介護事業から撤退するコムスンは1日、大阪、京都、兵庫、福岡など6府県の訪問介護サービスを4法人に引き継いだ。11月1日に移行した41都道県とあわせ、これで撤退手続きはほぼ完了。親会社のグッドウィル・グループは来年3月末にもコムスンを清算する方針。不正問題は区切りを迎えたが、サービスの質の確保など課題は残る。

大阪府内の69事業所、利用者8500人を引き継いだのは日本ロングライフ。継承先となる同社傘下の「エルケア」が、大阪市北区で入社式を開き、コムスン出身のヘルパーら1500人のうち、訪問介護中をのぞく90人に辞令交付をした。

コムスン出身従業員を代表して大阪支社長だった諸留勝専務はあいさつで「コムスンショックのなか、どん底を味わった。火のついたたばこを投げつけられたり、ケアに行く途中に自転車の後ろを足げりされたり。深夜のケアに行く途中、乱暴な人にコムスンと書いた車が囲まれたこともある。それでも今日があるのは『あんたら信じているからな』という利用者さんたちの声だった」と、利用者への感謝の気持ちを述べ、その上で、「どん底で経験したことを糧にお客様の自立支援を追求し法令順守を徹底したい」と意気込みを語った。日本ロングライフの遠藤正一社長は「日本の高齢者ケアを担う責任と自覚をもって一緒に進みましょう」と話した。

兵庫、京都は、ニチイ学館が引き継いだ。兵庫では既存の90事業所に46事業所(利用者2300人)が、京都では32事業所に18事業所(同850人)が新たに加わった。

11月に移行した道県では、コムスンのヘルパーの大量退職で事業所が維持できないケースが相次いだ。ヘルパーの退職を防ぐため、兵庫県は就業継続確認書の提出を求め、京都府は全ヘルパーと個別面談を実施した。ニチイ学館によると「サービスの規模・内容とも継続できる」という。

コムスンは東京都葛飾区と高知県土佐市に1カ所ずつある介護事業所の運営を、自治体との委託契約の都合上、来年3月末まで続ける。コムスンは「順調にサービスを引き継げた」とするが、ヘルパーの大量退職によって閉鎖する事業所や、24時間訪問介護サービスの継続が難しいところも一部にある。厚生労働省や自治体は「サービスの質の維持をこれからも監視していく」としている。

<厚労省 リハビリ成果方式に3基準 患者選別防止へ>

厚生労働省は30日、平成20年度からの導入を目指している、脳卒中などの入院患者のリハビリテーションを対象に改善度合いで診療報酬に差を付ける「成果方式」について3つの評価基準をまとめた。自宅に戻ることができた患者が退院患者の一定割合以上いることなど、リハビリの「成果」を評価するもので、厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)に示した。
評価の基準は、1 退院患者の自宅復帰率が4分の3程度に達しているか2 回復見込みの高い軽症患者ばかり入院させることを防ぐため、重症患者も1〜2割程度受け入れているか 3リハビリを受けた重症患者が、退院時までに「介助なしに着替えが可能」などの日常生活機能で一定程度回復しているか−の3点。

条件をクリアした病棟を対象に、実績に応じて診療報酬を加算する。評価基準の具体値は、中医協でさらに調整する。成果方式の導入を目指す背景には、入院の長期化に歯止めをかけ、医療費の抑制につなげたいとの狙いもある。
一方、厚労省は、脳卒中や骨折などに関するリハビリについて、発症から1カ月以内といった早期に着手した場合の診療報酬を加算する方針も示した。これらのリハビリは発症から1、2カ月後に開始されるケースが多いが、早めに始めたほうが、より機能回復が見込めるためで、報酬を手厚くすることで早期リハビリ態勢を充実させる。

(産経新聞より)

<社会福祉士・介護福祉士法が成立 「実務3年に教育」13年試験から>

介護福祉士の資格取得要件に国家試験の合格を義務付けることなどを柱とした「社会福祉士及び介護福祉士法の一部を改正する法律案」が28日、第168臨時国会で成立した。来月早々にも公布し、2012年4月から施行される。介護福祉士養成施設卒業者と3年以上の介護実務経験者全員が、養成教育と国家試験を受けなければならなくなるのは、2013年1月に実施する試験からだ。審議の過程で猛反発を受けていた「准介護福祉士創設」は、法案修正で公布から5年以内に再検討することになったため、場合によってはなくなる可能性も残っている。
社会福祉士・介護福祉士法の改正は1987年の創設以来初めてとなる。改正法案は第166通常国会に提出され、4月27日参議院を通過したが、衆議院では審議未了で継続審議となっていた。今臨時国会では、2日に衆院厚生労働委員会で自民・公明・民主などの賛成多数で可決した後、会期が延長されたこともあって28日の参議院本会議で漸く成立にこぎつけた。
改正内容の大きな柱は、1 介護福祉士が行う介護を「心身の状況に応じた介護」に改めるなど両資格の定義規定の見直し、2 資格取得後も知識・技能の向上に努めるなど義務規定の見直し、3 養成校卒業者にも国家試験を義務付け、3年の実務経験者の受験資格に6カ月以上の養成教育課程を義務付ける「資格取得ルートの一元化」、4 身体障害者・知的障害者福祉司の任用資格に社会福祉士を位置付けるなど、社会福祉士の任用・活用の促進の4点。

(シルバー新報より)