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[2008/01/30
 診療所の再診料引下げ、見送り

<診療所の再診料引き下げ、見送り>

2008年度の診療報酬改定で大きな争点となっていた診療所の再診料の引き下げについて、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=土田武史・早稲田大商学部教授)は1月30日の総会で、診療所の再診料は引き下げず、逆に病院(200床未満)の再診料を引き上げることを決定した。診療所の再診料をめぐる支払側と診療側の主張はこの日も平行線をたどったため、最終的に公益委員が判断を下した。

この日の総会で決定したのは、▽診療所の再診料は引き下げない、▽200床未満の病院の再診料を1点以上引き上げる、▽外来管理加算を算定するには5分程度の説明を必要とする要件を加える、▽デジタル映像化処理加算は2年程度の経過措置を設けた上で廃止し、経過前は点数を引き下げる――など。

現在、診療所の再診料は71点(710円)で、200床未満の病院の57点(570円)よりも14点(140円)高い。このため、病院の外来への軽症患者の集中を解消することで病院勤務医の負担を軽減する必要性が指摘されていた。
また、診療所の再診料を引き下げることによって生まれる財源を産科や小児科などの勤務医対策に回す必要もあった。しかし、診療所の再診料をめぐっては、会員の半数以上を開業医で占める日本医師会(日医)が強く反対してきた。この日の総会でも、日医は診療所の経営悪化や開業医の士気低下による地域医療の崩壊などを理由にこれまでと同様の主張を繰り返した。

竹嶋康弘委員(日本医師会副会長)は「心苦しいが、再診料の引き下げ、外来管理加算の見直し、デジタル映像化処理加算の廃止、いずれも反対する立場を維持せざるを得ない」と述べた。
土田会長は「もう少し両者の溝が埋まるかと思ったが、依然として隔たりが大きい」として、公益委員の立場から診療所の再診料は引き下げずに、病院の再診料を引き上げる最終案を示し、これに支払側と診療側ともに合意した。

◆勤務医の負担軽減策に約1、500億円
次期診療報酬改定では、医師不足が深刻化している病院勤務医の負担を軽減することが重点課題となっている。厚生労働省は、病院の産科や小児科などに勤務する医師の過重労働を軽減するための費用として、約1、500億円(医療費ベース)が必要であるとする試算をこの日の総会に示した。

これによると、薬価を除く診療報酬本体のプラス改定部分による財源で約1、000億円(同)余りあるが、なお500億円程度の財源が不足している。
このため、厚労省は検査判断料の引き下げと軽微な処置の包括化によって約200億円、残りの約300億円は(1)再診料の引き下げ(約120億円)、(2)外来管理加算の算定要件の見直し(約240億円)、(3)デジタル映像化処理加算の廃止(約100億円)――の3点で工面する考えを示していた。

今回、診療所の再診料引き下げは見送られたが、再診料の引き下げで見込んでいた120億円分は診療報酬の点数調整などで手当てできる見込みだという。

<現場の声で安心できる介護保険を>

介護の人材不足や利用者のサービス制限などから介護保険制度の“崩壊”が指摘されている中、「市民福祉情報オフィス・ハスカップ」(東京都内)は1月29日、国民集会「安心して利用できる介護保険を!」を参議院議員会館で開催した。介護事業者やサービス利用者がそれぞれの立場から現場で感じている制度の問題点を指摘。介護保険制度によって高齢者やその家族らが安心して地域で暮らすことができるよう、現場から声を上げていくことの重要性を確認し合った。

介護保険制度は2000年度に開始された。しかし、利用者の増加に伴い、介護費の総額が年々増加したため、国は06年4月、要介護状態になるのを防ぐ「介護予防」の促進を掲げ、実際には給付抑制を柱とする改正介護保険法を施行。それに伴い、訪問介護や通所介護のサービス回数が減少するなど利用者が必要とするサービスの制限を受けたほか、低待遇を理由として介護人材が去っていくなど、現在、制度に深刻なほころびが生じている。
このような状況の改善を目指し、ハスカップは今回の集会を開催した。

集会では、介護事業者やサービス利用者が現場で実感している制度上の問題点を指摘し、09年4月に実施される介護報酬改定などに向けて要望した。
訪問介護事業所や居宅介護支援事業所などを運営する「NPO法人暮らしネット・えん」代表理事の小島美里さんは、「ある自治体では、倒れている人をヘルパーが介助しても、ケアプランへの記載がなければ介護報酬を請求させないよう徹底している」と打ち上げながら、過度の給付費制限が行われている実態を厳しく批判。「利用者の立場に立った柔軟な対応が行える制度にしてほしい」と求めた。

同じく複数の介護事業所を運営する「NPO法人サポートハウス年輪」理事長の安岡厚子さんは、制度について「家族の負担を軽減すると導入しながら、同居家族がいる利用者が生活援助を受けられないなど、改正によって法の趣旨がねじ曲げられてしまっている」と指摘。介護人材の待遇改善に関しては「利用者負担を求めない形で行うべき」と述べた。また、利用者の立場からも切実な声が聞かれた。発言したのは、リマウチのために4つの人工関節を施しながら、現在、介護予防を目的とする「要支援2」の認定にとどまる女性。以前は「要介護1」だった彼女は「明らかに自分の状態が悪くなっているのに、認定が下がったことにどうしても納得がいかない」と心情を吐露。加えて、介護保険サービスには、入院や通院の際の付き添いや散歩の手伝いがないことを疑問視し、「地域で暮らすために介護保険料を払っているのに、これでは暮らせない」と訴えた。

さらに、「NPO法人渋谷介護サポートセンター」の事務局長でケアマネジャーの服部万里子さんは、厚生労働省に対して「改正によって利用者の自負負担がどのくらい増加しているのか実態調査を行うべき」と要求。09年4月の介護報酬改定に向けた議論の中で、サービス利用の際に介護給付と自己負担を合わせる「混合介護」が浮上していることについても触れ、「介護保険の利用者の間で格差を広げる。導入を阻止しなければならない」と呼びかけた。
このほか、認知症の人の家族会、「ブーケの会(練馬認知症の人と家族の会)」で会長を務める小泉晴子さんは、認知症で「自立できる」と診断される人は介護認定も低く、介護サービスをほとんど受けられないことを問題視し、「重度化する前であっても利用者それぞれに合わせた対応が不可欠」と主張した。

会場には民主党や社民党の国会議員も駆けつけ、制度の見直しについて議論していることを明かしながら、現場で困難に立ち向かっている人たちに激励の言葉を送った。
ハスカップを主宰する小竹雅子さんは「困難な状況をどのように乗り越えていくか、問題を共有しながら現場から声を上げることが大事」と語り、作家で社会保障審議会の委員を務める沖藤典子さんは「役人の都合ではなく、国民誰もが分かりやすく利用しやすい制度をつくろう」と結んだ。

<新標榜診療科名が4月1日スタート>

厚生労働省は医療法施行令(政令)を見直し、4月1日から医療機関が標榜する診療科名を改変する。内科と外科を基本とした上で、臓器や体の部位の名称、症状疾患の名称、患者の特性、診療方法の名称などを組み合わせる。

循環器科や胃腸科、消化器科などは3月31日以前に標榜しているものは引き続いての標榜を認めるものの、新たに標榜することは認めない。

4月以降、新たに標榜できる診療科名は、内科系では、呼吸器内科、循環器内科、心療内科など。外科系では呼吸器外科、心臓血管外科、乳腺外科、整形外科など。このほか、泌尿器科、小児科、精神科、産婦人科、皮膚科、眼科、救急科、アレルギー科、リウマチ科、放射線科なども標榜できるようになる。

これまで標榜できる診療科名は医療法施行今によって37種類と医療法施行規則(省令)によって1種類(麻酔科)に限定していた。

2006年に成立した改正医療法において、広告規制を緩和したことを受けて厚労省は、標榜診療科名についても患者などに分かりやすいものに変更することにした。

◆標榜診療科の見直し後の例(4月1日施行予定)

(医科)内科、呼吸器内科、循環器内科、血液・腫瘍内科(血液内科、腫瘍内科)、糖尿病・代謝内科、内分泌内科、腎臓内科、神経内科、心療内科、感染症内科、小児科、皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、アレルギー科、リウマチ科、放射線科(放射線診断科、放射線治療科)、外科、呼吸器外科、心臓血管外科、消化器外科、乳腺外科、小児外科、気管食道外科(耳鼻咽喉科などとの組み合わせも可)、肛門外科、整形外科、脳神経外科、形成外科、美容科、泌尿器科、産婦人科(産科、婦人科)、リハビリテーション科、救急科、病理診断科、臨床検査科

(歯科)歯科、小児歯科、矯正歯科、歯科口腔外科

◆4月1日以降、標榜できなくなる診療科名

神経科、消化器科、循環器科、皮膚泌尿器科、性病科、こう門科、気道食道科、胃腸科(4月1日以前から標榜している場合は引き続き広告することが可能)


[2008/01/22]
 診療所の未集金、産科と外科に多く

<診療所の未収金、産科と外科に多く>

救急患者のたらい回しが大きな社会問題となる一方で、未払いの治療代や入院費など医療機関が抱える未収金も深刻な問題となっている。日本医師会は1月21日、厚生労働省の「医療機関の未収金問題に関する検討会」(座長=岩村正彦・東京大学法学部教授)で、診療所の未収金について調査した結果を報告。未収金は産婦人科と外科に多く、入院用のベッドがある有床診療所や、救急患者を受け入れる診療所に未収金が発生しやすい傾向が見られた。

この未収金調査は全国の主な11医師会を通じて実施し、916診療所(有床152、無床742)から回答を得た(回収率54.0%)。
回答した診療所の2006年度末の未収金残高は計6、498万円で、そのうち発生から1年以上経過している未収金は2、615万円。

1診療所当たりの未収金は15〜16万円で、1年以上経過した未収金は約10万円だった。
調査によると、産婦人科の未収金が最も多く1診療所当たり約51万円(06年度末)。特に、分娩を取り扱っている1診療所当たりの未収金は約80万円で、発生から1年以上経過している未収金は約60万円と7割以上を占めていた。

救急対応をしている診療所の未収金は1診療所当たり約27万円で、救急対応のない診療所の約12万円の2倍以上。有床診療所の未収金は約39万円と、無床診療所の約6万円を大きく引き離している。
未収金が発生してしまう原因として診療所が感じているのは、「所持金不足」

が42.7%で最も多く、次いで「経済的理由」(25.5%)、「支払う意思がない」(13.0%)だった。
未払いのまま回収できない理由は、「催促しても払ってくれない」(52.2%)が最も多く、次いで「連絡がつかない」(27.4%)となっていた。「催促していない」と回答した診療所は12.5%と最も少なかった。

今村聡委員(日本医師会常任理事)は「未収金の多い診療所は少しでも未収を減らす取り組みをしている。カード決済など未収金が発生しない努力をしているから、この程度で済んでいるのかもしれない」と感想を述べた。質疑で、河上正二委員(東北大法学部教授)は「事前にサービスの内容が分からないのは医者と弁護士だけ。治療費がいくらか分からないが、治してほしいので病院に行く」と述べ、「5、000円札を1枚を持って行けば大丈夫だと思えるような方法はないだろうか。例えば、最初の治療だけは1万円以内で済むということは不可能だろうか」と尋ねた。

これに対して、小森直之委員(日本医療法人協会医業経営管理部会員)は「例えば救急隊が『軽症です』と言っても、よく調べてみたら重症だったということもある。医療というのは検査などをして調べてみて、ど

れだけの治療をするかが変わるので、(治療前に)金額に触れるのは難しい」と説明した。
この日の検討会では、畔柳達雄委員(弁護士)が債権回収の手続きについて説明。電話や文書による催促のほか、簡易裁判所による支払督促、少額訴訟、強制執行など一連の流れを実務的に解説した上で、「相手が誠実なら回収できるが、財産がなければ強制執行しても回
収できないので、法的手段は機能していない」と述べ、未収金回収の難しさを伝えた。

厚労省によると、国民健康保険の保険者である1、818の市区町村のうち、保険者が患者に直接取り立てる「保険者徴収」は2006年度に86件実施された。このうち、回収に成功したのは2件だった。

<白衣の天使へ男子が増加傾向>

看護職員の学校養成所に占める男子の入学比率が高まっている。2006(平成18)年に入学した学生の男子比率を見ると、看護師養成の3年課程の場合、大学が10.2%、養成所が11.0%、短大が6.7%。1997(平成9)年と比較すると、いずれも5ポイント前後増加している。准看護師養成の高等学校衛生看護科・養成所では20.9%(06年)にも達しており、日本医師会(日医)は「看護職員の男子へのさらなる窓口の開放が必要」としている。

日医の医療関係者対策委員会が今年1月に発表した報告書「看護職員の不足・偏在とその対策について」で明らかになった。
報告書によると、97年から06年にかけて看護師学校養成所に入学した学生の男子比率は、3年課程の場合、大学が4.1%から10.2%と6.1ポイント増、養成所が3.6%から11.0%と7.4ポイント増、短大は2.2%から6.7%と4.5ポイント増で、いずれも増加している。

また、2年課程の場合も、短大が1.7%から6.6%と4.9ポイント増となったほか、高等学校看護専攻科・養成所は8.6%から15.2%と6.6ポイント増加していた。さらに、高等学校衛生看護科・准看護師学校養成所の場合、10.3%から20.9%と倍増しており、男子学生の入学比率が極めて高くなっていることが分かった。01年に始まった5年一貫教育も同年の3.5%が05年には5.7%に増えていた。

こうした動向は、男性看護師の増加につながっている。06年12月末時点の看護師の就業者数は全国で81万1、972人(平成18年保健・衛生行政業務報告)と、初めて80万人を突破。前回(04年)調査に比べ、全体で5万1、751人(6.8%)増える中、男性は6、434人多くなり、増減率にすると20.4%もの大幅な増加となっている。

男性看護師が増えている要因について、日本看護協会は「看護師が専門職として認知されたことと、大学に看護学部が相次いで開設されたことに伴い、男性にとって学びやすい環境が整ったからではないか」と話している。

報告書を受けて日医は「(明らかになった)数字を見る限り、男子学生の看護職員に対する意欲はかなり高い」と指摘したうえで、「窓口をさらに開放し、男性が看護職員を目指しやすくする環境を整備することで、看護職員の充足対策とすべき」としている。

報告書では、看護職員確保のための具体策として、男子看護職員志望者の採用促進に加え、通信教育制度の充実や看護職員復職希望者へのプログラムの設置、准看護師養成の充実等を強調。准看護師養成に関して、日医は「一度社会に出た人々が新たな挑戦を行う機会を与える場となっている。限られた人的資源の中で、社会経験を有し看護職に意欲をもって望む人々に門戸を開くことは社会的な意義も深い。准看護師は地元定着率が高いとも言われ、地域偏在を防ぐことにもなる」と指摘している。


[2008/01/19
 診療所の再診料引下げ、また紛糾

<診療所の再診料引き下げ、また紛糾>

「私たちも大量の血を流しているので、勤務医の負担を軽減するためにもう少し血を流してほしい」――。このように支払側委員は診療所の再診料の引き下げを強く求めたが、日本医師会は反対の姿勢を崩さなかった。厚生労働省は1月18日の中央社会保険医療協議会(中医協)診療報酬基本問題小委員会(会長=土田武史・早稲田大商学部教授)に対し、2008年度の診療報酬改定の骨子案を提示し、前回議論がまとまらなかった16項目について審議。診療所の再診料の引き下げなど、意見がまとまらなかった5項目については両論併記のまま骨子案をまとめ、その後に開催された中医協総会に提示した。

前回の同委員会で、厚労省はこれまでの議論を整理した資料を提示し、診療報酬の支払い側と診療側から意見を聴いた。
この日、厚労省は前回の同委員会で委員から指摘された事項を提示。
(1)NICU(新生児特定集中治療室)の重点評価の内容、(2)診療所の再診料の引き下げ、(3)医療秘書(メディカルクラーク)の具体的な要件、(4)明細書の発行に伴う実費徴収、(5)外来管理加算の要件への時間の目安の導入、(6)4時間以上の人工透析の評価、(7)療養病棟入院基本料の全体的な引き下げ、(8)7対1入院基本料の新しい要件、(9)転換型老健施設の医師のオンコール体制、(10)歯科における医療安全体制の評価、(11)認知症患者の受け皿不足、(12)医療安全対策管理加算の専従要件、(13)デジタル映像化処理加算の廃止、(14)後発医薬品の調剤率30%以上の要件、(15)ニコチン管理料の見直し、(16)後期高齢者医療制度における診療所の初・再診料――の16項目について議論した。

この16項目の中で意見がまとまらなかったのは、▽診療所の再診料の引き下げ、▽外来管理加算の要件に時間の目安を設けること、▽療養病棟入院基本料の全体的な引き下げ、▽デジタル映像化処理加算の廃止、▽後期高齢者医療制度における診療所の初・再診料――の5項目で、両論併記のまま骨子案を取りまとめた。

質疑では、前回と同様に診療所の再診料の引き下げが大きな議論となった。診療所の再診料は現在71点(710円)で、200床未満の病院の57点(570円)よりも14点(140円)高い。

支払い側の対馬忠明委員(健康保険組合連合会専務理事)は「健保連も約750億から1千億円の負担を求められ、大量の血を流している。勤務医の負担を軽減するため、もう少し血を流してほしい。勇断、英断を」と診療側委員(日本医師会)の理解を求めた。

しかし、竹嶋康弘委員(日本医師会副会長)の代理で出席した同会常任理事の天本宏氏が「診療所の経営も厳しい環境にある」と反発。鈴木満委員(日本医師会常任理事)は「健保連の負担に感謝しなければいけない」としながらも、「再診料の引き下げは医師の技術料をカットすることだ」と反対した。
これに対して、支払い側の丸山誠委員(日経連医療改革部会長代理)は「病院と診療所で医師の技術料に差があるのか。勤務医の負担軽減策の1つに再診料の引き下げがある。勤務医対策の1つの原資として、再診料の引き下げを除外すべきではない」と反論し、意見はまとまらなかった。

また、天本氏は診療所の夜間加算を不要とした上で、再診料の引き下げ反対にこだわった。厚労省は当初、診療所の初・再診料を引き下げ、その財源を使って夜間の加算に充てるという提案をしていた。しかし、その後撤回して夜間の加算のみを認める方針に修正し、診療報酬の改定率の結果が出てから初・再診料見直しの再提案を検討するとしていた。

今回、厚労省は初診料の引き下げは提案せず、再診料の引き下げのみを提案している。
厚労省は、診療所の夜間診療に加算することで軽症の救急患者を診療所に振り向け、病院勤務医の負担を軽減したい考えだが、天本氏は「夜間加算は勤務医の負担軽減に直接つながらない。社会保障の中に軽症の救急患者の利便性を組み込むのか」」と強く反対した。
これに対して、対馬委員は「勤務医の負担軽減につながることはできる限りやりたいというのが大方の意見なので、まったく理解できない。重度か軽度かは患者は分からない。診療所が夜間開いていれば診療所に行くだろう」と首をかしげた。

土田会長は「結論を言うようになるが、私は(夜間加算を)一度はやってみていいと思う。この件については合意いただきたい」とまとめ、診療所の夜間加算については日医の了承を得た。しかし、再診料の引き下げについてはまとまらず、骨子案は「病院と診療所の格差是正について検討する」という表現にとどめた。

<7対1算定要件には「病床の10分の1以上の医師」>

厚生労働省は16日、本体0.38%のプラス改定の決定を受けて再開した中医協・診療報酬基本問題小委員会で、2008年度診療報酬改定の論点整理(案)を示した。焦点になっている勤務医の負担軽減をめぐり、厚労省は財源確保の一環として診療所の再診料を引き下げたい考えをあらためて示したが、日本医師会は猛反発。決着は次回以降に持ち越された。

厚労省は、08年度改定の緊急課題に病院勤務医の負担軽減を挙げ、その中で病院に比べて14点高く設定されている診療所の再診料の引き下げを提案した。背景には、08年度改定の本体プラス改定分となる0.38%(国費ベースで約300億円)だけでは、勤務医の負担軽減は十分な効果が上げられないとの懸念がある。

支払い側からは、対馬忠明委員(健保連専務理事)が「引き下げるだけでなく、(浮いた財源を)産科や小児科、救急の勤務医対策に回すことを明確にするべきだ」と主張。松浦稔明委員(香川県坂出市長)も、診療所の再診料が優遇されている点が勤務医の開業医志向を強めているとして是正を求めるなど、厚労省の方針を支持した。

一方、診療側の鈴木満委員(日医常任理事)は、再診料の病診格差は、病院は入院、診療所は外来を手厚く評価する過去の経緯から生じていると説明し、「技術料である再診料の引き下げは承服しかねる。絶対反対」と反対を表明。その上で「是正に反対ではないが、技術とモノの費用を分離することが先決」と訴えた。

また、代理出席した天本宏委員(日医常任理事)は、勤務医対策の一環として厚労省が診療所の夜間診療を加算で評価する方針を示しているのに対し、「勤務医の負担軽減にはつながらず、加算は必要ない」と反対する考えを示した。

この発言について厚労省は、「加算に財源を使うぐらいなら、再診料を下げないでほしいという意味だろう」(保険局医療課)と受け止める。

勤務医対策をめぐっては、医師の書類作成などの事務を担う医療事務補助者の配置を新たに評価する方針も示されている。ただ、対象が救急病院に限定される方向であるため、西澤寛俊委員(全日本病院協会長)は一般病床全体に拡大してほしいと要望。対馬委員も算定要件を詰める必要があるとし、さらに議論を深めることで一致した。

また同日の小委で厚労省は突如、療養病棟入院基本料を引き下げる方針も示した。昨年6月時点の医療経済実態調査で「一般病院に比べて療養型病院の利益率が高かったため」(医療課)だが、西澤委員や天本委員は「引き下げる根拠が明確でない」などと強く反対した。

◆7対1の看護必要度、7月から

7対1入院基本料の要件として新たに導入する看護必要度については、3カ月の準備期間を設け7月1日からの実施とする考えを提示した。必要度の判定に用いる新たな評価表で、何点以上の患者が何割以上入院していることを要件とするのかは今後詰める。
さらに、病床数の10分の1以上の医師が配置されていることも新たに算定要件に加え、満たせない場合は減算する。ただ、医師確保が困難なへき地にある病院については特別に配慮するという。

看護必要度と医師数要件は特定機能病院には適用しない。
また、今年度末の3月31日時点で7対1入院基本料を算定している病院で、看護必要度の導入によって基準を満たせなくなる場合は、激変緩和として10年度改定まで(10年3月31日)の間、10対1に看護補助加算の算定を認める。これまで厚労省は、10対1を算定するすべての病院に看護補助加算を認める方針を示していたが、財源が足りないことが判明したため、7対1から脱落した病院に限ることとした。

また、亜急性期入院医療管理料については、一般病院の1割以下である基準を緩める一方で、算定できる日数を短縮する新たな類型を新設する方向で検討する。
次回18日の総会で2008年度診療報酬改定の骨格をまとめ、パブリックコメントを募集する方針。

<療養病床の入院基本料引き下げへ 中医協骨子案>

厚生労働相の諮問機関、中央社会保険医療協議会(中医協)は18日、高齢者向けの入院施設「療養病床」の入院基本料を引き下げることなどを盛り込んだ08年度診療報酬改定骨子案をまとめた。

厚労省は06年2月、当時38万床あった療養病床を5年で15万床へ減らす方針を打ち出した。しかし、計画通り進んでおらず、近く目標値を下方修正する。削減方針自体は変更しないため、08年度改定でも引き続き療養病床を抱える医療機関の収入が減るようにし、病床数の削減を促す。

06年度改定では、療養病床入院患者を医療の必要度に応じてランク分けし、必要度を最低とみる「区分1」の入院基本料を約4割減の1日7640円に下げた。区分1の患者を多く抱える病院は経営が悪化し、患者を退院させる動きが出ており、日本医師会は「医療難民が発生する」と批判している。

こうした声に配慮し、18日の中医協では「区分1は配慮する」としたうえで全体の引き下げ方針を了承した。病院より高く設定されている診療所の再診料についても日医の強い反発により、「引き下げを検討する」としていた原案の表現を「病院と診療所の格差是正を検討する」に弱めた。


[2008/01/17]
 医療機関の倒産、前年の1.5倍増

<医療機関の倒産、前年の1.5倍増>

2007年1月から12月までに発生した病院・診療所・歯科診療所など医療機関の倒産が計48件に達することが1月17日、帝国データバンクの集計で分かった。前年の30件と比較すると、1.5倍以上増えたことになる。

帝国データによると、昨年には、1月に8件の医療機関が倒産するなど当初から高水準で推移。6月までの倒産件数は計31件になり、この時点で前年の30件を早くも追い越していた。その後も倒産は相次ぎ、年間では前年の1.5倍にあたる48件が発生。負債総額は476億6、200万円に達した。

集計は、経営難による破産や民事再生などの法的整理が対象で、いわゆる「資金ショート」や自主閉院などは含まれない。これらをカウントすれば、事業継続を断念したケースはさらに増えそうだ。

医療機関の倒産が急増する背景について帝国データは、バブル期の事業外投資などに伴う負債を抱える医療機関を、診療報酬の引き下げや医師不足、選択意識の高まりに伴う患者減などの要因が後押しした結果とみている。

06年4月には、診療報酬がトータル3.16%(本体部分は1.36%)ダウン。さらに、看護職員をどれだけ配置しているかで報酬に差をつける仕組みも強化されたため、病院を中心とする看護職員の争奪戦が社会問題化した。関係者の間には「これらの見直しによって経営的に行き詰まる病院が多発しかねない」という懸念が当初から広がっていた。

昨年には、千葉県内の医療法人が1月、看護師不足に伴う減収から民事再生に踏み切ったほか、7月には大阪府の医療法人が人件費高騰や他法人の買収失敗などから民再申請している。

<開業医再診料、厚労省が引き下げ提示> 

厚生労働省は16日の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関、中医協)で、開業医(診療所)の再診料(710円)を、08年度の診療報酬改定で引き下げる案を正式に示した。07年度中に下げ幅を決め、それで浮く財源を、医師不足が深刻な病院の産科、小児科、救急に配分する。

08年度診療報酬改定は「勤務医の負担軽減」が主要テーマ。医師の技術料など「本体部分」の改定率は0・38%(国庫負担ベースで304億円)の微増で、他に財源を工面する必要があった。このため、診療所の再診料を病院(570円)に近づけることにした。

診療所にも、平日の午後6-10時など早朝・夜間の診療に新たな加算措置を設ける。開業医の時間外診療を促して夜に患者が大病院に集中することを防ぎ、勤務医の仕事を軽減するのが狙い。

厚労省は7日以内なら一律だった救命救急センターの1日当たり入院料を、3日以内までは増額する方針も示した。入院日数の短縮が目的だ。

(毎日新聞より)

<事務職員らの業務範囲を明確化>

本来医師や看護師でなくとも対応可能な業務を病院勤務医や看護師が担っていることが疲弊の一因となっているとの指摘を踏まえ、厚生労働省は2007年12月28日、都道府県知事に対し、診断書や診療録、主治医意見書など、医師や看護師に代わって事務職員が対応できる事項をまとめ、医療機関に周知するよう依頼した。

職種間の連携や対応可能な業務の明確化を図った。

書類作成では、1診断書、診療録、処方せんの作成 2主治医意見書の作成 3診察や検査の予約一を例示した。看護師などの業務のうちベッドメーキンダ、物品の運搬・補充などについては、看護補助者の活用も挙げている。

書類作成のうち、診断書、診療録、処方せんの作成に関して「診察した医師が作成する書類で、作成責任は医師が負うが、医師が最終的に確認し署名することを条件に、事務職員が記載を代行することも可能」として、責任範囲を明確化した上で事務職員が作成することも可能だとした。

診断書や診療録、介護保険における主治医の意見書も同様の内容だ。

診察や検査の予約は、オーダリンダシステムの導入が進みつつあることを踏まえ、医師の判断や指示に基づいて事務職員が入力を代行することを認めている。

ベッドメーキンダについては、外部の業者などへの委託を認めた2000年11月の厚生労働省の「業務委託通知」を踏襲した。

院内の物品の運搬や補充、患者の検査室への移送などについては、医師や看護師が行うことにより病棟管理などが手薄になり医療の質や量の低下を招くとして、看護補助者の活用や院内の物品運搬システムの整備を求めた。

妊婦や母子の健康管理、分娩管理については医師と助産師の役割分担をするよう求めている。正常分娩などは積極的な助産師の活用によって、産科医療機関における医師の業務負担の軽減が図られ、医師の専門性の発揮を可能にするとしている。

このほか、薬剤の投与量の調整、静脈注射、救急医療における優先順位の決定、患者・家族への説明など、看護師の研さんを求めた。

<中核救急病院、2年で174カ所減 搬送遅れの要因に>

地域の救急患者を受け入れる中核的存在の「2次救急病院」が、この2年間で174カ所減ったことが、朝日新聞の全国調査でわかった。深刻化する医師不足や経営難が影を落とした結果、減少傾向が加速しており、新たに救急を掲げる病院がある一方、救急の看板を下ろしたのは、2年間で全体の5.6%にあたる235カ所に上る。急患の収容先選びが困難になり、搬送遅れが続発するなど市民生活への打撃は大きい。国の医療費抑制政策が救急医療の根幹を揺るがしている実態が、色濃く浮かんだ。

日本の救急医療機関は、開業医らが軽症患者を診る「1次(初期)救急」▽入院や手術の必要な患者を治療する「2次救急」▽救命救急センターなど重篤患者に対応する「3次救急」に分かれ、中でも、多くの市にある公立・民間の2次救急病院が地域医療の中心的担い手となっている。調査は、救急医療計画を策定する各都道府県を対象に、05年10月〜07年10月の増減状況を尋ねた。

全国の2次救急病院は05年10月時点で4170カ所あったが、2年後には3996カ所となり、174の純減。救急対応をやめた235カ所に加え、21カ所が3次救急に移行するなどした一方、新たに82カ所が2次救急病院になった。04年以前のデータがある自治体の多くで、05〜07年の年間減少数がそれ以前を上回り、減少率が高まっている。

2次救急病院の減少数トップは福岡県の26カ所。県東部の京築地区で市町村の補助金が打ち切られた結果、当番制で急患を受け入れる「輪番制度」がなくなり、10病院が一気に救急から外れたのが響いた。東京都の15カ所、大阪府の14カ所がこれに続き、診療報酬の改定に伴う収入減などで、診療体制を縮小する病院が都心部で増えている実情を裏づけている。当直の確保で人件費がかさむ救急が不採算部門になっている例も多く、東京では、5病院が破産や廃院に追い込まれていた。

地域別では、四国の落ち込みが著しく、全体の11%にあたる22カ所の減。北陸・甲信越でも8%(22カ所)減少し、激務などから救急勤務医の退職が相次ぐ地方病院の苦悩が際立っている。

こうした状況を背景に、各地で救急患者の搬送先探しが難しくなっており、兵庫県姫路市では昨年12月、吐血して搬送された男性が17病院に受け入れを拒まれた後に死亡。大阪府富田林市でも下痢や嘔吐(おうと)で搬送された女性が30病院に断られた翌日に亡くなった。福島市では同11月、交通事故に遭った女性が4病院に計8回搬送を拒否された後、死亡している。

このほか、2次救急に指定されている診療所も同時期に57カ所減り、404カ所になった。2年間で12%が消えたことになる。

調査と並行して、救急対応をやめた235病院のうち、自治体が公表しなかった病院などを除く227病院に撤退の理由(複数回答可)を聞き、204病院から回答を得た。

最多は「医師や看護師の不足」で66病院。次いで「診療所への変更」(40病院)が多く、「療養型病院などへの転換」も28病院あった。「地域の輪番制度がなくなった」が24病院、「倒産・廃院」は20病院だった。

スタッフ不足を挙げた病院は地方に顕著で、「大学の医局による医師引き揚げで常勤医が10人以上減った」「医師が半減し、当直態勢が取れなくなった」などと事情を説明。「看護師が給与の高い都市部へ流れ、夜間の救急体制が築けない」との声も多かった。

都市部では、人手不足を訴える病院が多い一方で、「救急での収益が期待できない」「病院の収支が厳しい中で続けるメリットがない」など、経営上の理由も目立った。中には「当直医の専門外の患者が来る救急は、訴訟リスクが高い」と回答した病院もあった。

(朝日新聞より)


[2008/01/12]
 医師確保対策に161億円

<厚労省平成20年度予算案決定 医師確保対策に161億円>

政府は12月24日の閣議で平成20年度予算案を決定した。厚労省予算案では緊急臨時的医師派遣等を含む医師確保対策のほか、肝炎対策、がん対策などが盛り込まれ、前年比6454億円(3.0%)増の22兆1223億円となった。社会保障関係費では、医療は1359億円(前年比1.6%)増の8兆5644億円となり、年金は4069億円(前年比5.8%)増の7兆4375億円。介護は423億円(前年比2.2%)減の1兆9062億円となった。

厚労省では、医師不足の深刻さを反映して医師確保対策を第一にあげた。医師派遣システム、病院勤務医の過重労働を解消するための勤務環境の整備などだ。さらに、議員立法による対応まで発展した肝炎対策、がん対策のほか、診療報酬改定を4月に控えた医療保険制度、少子化や人口減少に対応する地域・職域での少子化対策、自立支援と社会参加が重点となる障害者対策、崩壊寸前となっている地域社会の立て直しとして地域福祉の振興施策、福祉人材の確保対策、年金制度の構築となっている。

◆緊急臨時的医師派遣と派遣元病院も支援
医師確保対策では、医師が確保できない都道府県に対し、医師が確保できるまでの間、緊急臨時的に医師派遣を行う事業について6・6億円。新規事業として医師派遣に協力した派遣元病院に対し、派遣医師以外の医師の負担を軽減するため医療機器の整備など必要な経費を補助する事業として15億円。

病院勤務医の待遇改善として交代勤務制、変則勤務制を導入する病院に対し補助事業を創設するほか、医療補助者(メディカルクラーク)の配置を推進する。事業に係る予算は4・8億円。産科医療機関が減少している現状から、財政的支援を行う補助事業に12億円。
産科のある病院・診療所に「院内助産所」「助産師外来」を設置し、助産師の研修などを行う事業に1・6億円。

女性医師バンクを充実し、女性医師の復職研修、院内保育所の拡充など女性医師が働きやすい職場環境を整備するため20億円を計上した。
小児救急病院での救急支援事業と小児救急拠点病院の夜間休日の診療体制の確保に20億円等となっている。

◆健診・保健指導とがん対策に重点
平成20年度から40歳以上の被保険者・被扶養者に対して始まる特定健康診査・特定保健指導の実施が義務化されるのに伴って、保健師や管理栄養士の研修プログラム、関係機関との連携など拠点整備等を実施するため57億円。

がん対策では、がん診療連携拠点病院を整備し、先進的な放射線治療機器を緊急に整備する。がん医療の専門的な知識・技能を持つ医師、看護師ほかコメディカルの育成研修を行うほか、乳がん用マンモグラフィの緊急整備をあらたに創設。また、病理医の配置が十分でないがん診療連携拠点病院に対し、遠隔画像診断の体制整備を支援する。

◆療養転換支援と認知症ケア総合対策も
介護保険制度では、平成20年度の介護給付費6兆6559億円の国庫負担分として1兆8997億円が盛り込まれた。地域密着型サービスを中心とする介護基盤整備を進めるほか、「高齢者安心住空間整備事業」などのハード整備に地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金412億円があてられる。また、療養病床再編成を進めるため、過去に整備した療養病床に係る債務の円滑な償還のため、療養病床転換の促進を図る「療養病床転換支援資金(仮称)」をあらたに創設する。その他高齢者分野での新規事業は認知症の総合的な対策を進めるため「認知症ケア高度化推進事業」77百万円を創設し、団塊の世代を中心に高齢者の生きがいづくりや健康づくりなどの活動を進める「元気高齢者支援対策事業」69百万円を行う。

障害者分野では、社会的入院7万人といわれる精神障害者の退院促進のため「精神障害者地域移行支援特別対策事業」17億円をあらたに創設し、精神科救急医療体制の強化に17億円を予算化する。

<介護職賃上げ、民主党が衆院に法案提出>

深刻な介護人材の不足の解消を目指して、民主党は1月9日、今年4月に緊急の介護報酬改定を行い、平均賃金を一定額以上支給すると認定した事業所に介護報酬を3%加算する「介護労働者の人材確保に関する特別措置法案」を衆議院に提出した。成立すれば、現時点で全国の半数の事業所が対象になり、約40万人の労働者の賃金が2万円増える見込み。

高齢社会のさら進行するにもかかわらず、高齢者を支える介護人材の不足が深刻な社会問題となっている。その最大の原因として指摘されるのは介護労働者の低賃金。調査では、介護労働者の月収は全産業と比較して約10万円下回っており、「生活ができない」と止むをえず職場を去ってしまう人もあとを立たない。

このような現状を受けて、民主党は「介護労働者の待遇改善・賃金引上げが早急に必要」と判断。法案の提出に至った。提出したのは、同党が設置する「医療介護作業チーム」の三井辨雄・山田正彦・山井和則・菊田真紀子衆議院議員。

同法案では、地域別・サービス別に平均的賃金水準を決めたうえ、その基準を上回る事業所を「認定事業所」として、介護報酬を3%加算するよう明記。今年4月に介護報酬の緊急改定を行うことを求めている。全事業所が認定を受けた場合、約1、800億円の報酬の増額となり、介護労働者約80万人の月額2万円程度の賃金引上げが可能になる。

現時点では、約半数の事業所が認定され、40万人ほどが対象になる見通しで、財源規模は約900億円と推計。2008年度予算での対応を求めており、介護保険料の引き上げはせず、また認定事業所の加算分として利用者負担が変わることもない。

法案作成には、NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」(樋口恵子理事長)の活動の影響がある。同会は昨年9月、賃金に1人月額3万円を上乗せする「介護人材確保緊急措置法(3万円法)」の制定を柱とする緊急提言を各政党代表宛てに実施。同年12月には、この提言に即した15万筆におよぶ署名を提出していた。このような声に民主党が応えた形だ。

民主党関係者は「法案が目指すのはあくまで緊急措置であり、介護保険制度の抜本的な見直しについては通常国会で対応していく」と話している。


[2008/01/07]
 開業医の初・再診料下げ焦点

<来年度診療報酬改定 開業医の初・再診料下げ焦点 勤務医の負担軽減>

平成20年度の診療報酬改定は、今月中旬から、中央社会保険医療協議会(中医協=厚生労働相の諮問機関)で具体的な報酬額の議論に入る。診療報酬全体では引き下げられたとはいえ、医師の技術料にあたる本体部分は0・38%プラスになった。本体引き上げの理由となったのが勤務医の負担軽減策。そのカギとなる「開業医の初・再診料引き下げ」が焦点となる。75歳以上の後期高齢者医療の報酬体系や、後発医薬品の普及などの新施策もあり、活発な議論が行われそうだ。

◆開業医にも痛み
開業医の初・再診料引き下げ案は、医師不足の大きな原因となっている勤務医の待遇改善策の議論の中で浮上した。
厚労省は、夜間の救急患者が大病院に殺到し、勤務医に激務を強いている現状を踏まえ、開業医の夜間報酬を手厚くし、救急医療を分担してもらう方針を打ち出した。

現在救急指定のない開業医は、午後6時以降開業しても通常の診察料だが、来年度からは、救急指定がなくても午後6時過ぎには、一定の時間外加算を適用する内容だ。
その場合、値上げ分は患者の窓口負担に跳ね返る。そこで厚労省が考え出したのが、開業医の初診料および2回目以降の再診料を引き下げる案だった。

これが実現すると夜間診療を受け付けない開業医の報酬は下がることになる。このため、日本医師会などが強硬に反対、厚労省もいったんは「夜間加算と初・再診料は切り離す」と後退させた。
ところが、診療報酬の本体部分引き上げに伴い、結果的に健康保険組合がその財源を肩代わりする格好になった。このため、「勤務医対策のための報酬引き上げならば、サラリーマンだけでなく、高収入の開業医も痛みを分かち合うべきだ」との世論が広がった。

与党内からも「開業医の優遇となれば、世論の反発は避けられない」との声が出ている。再浮上した初・再診料引き下げにどこまで踏み込めるか。今回改定の最大ポイントとなる。

◆後期高齢者
75歳以上の後期高齢者を対象に新たに整備される診療報酬体系も大きな論点になる。
初診時に患者の病歴や受診歴に加え、利用中の医療・介護サービスなどを詳細に聞き取るため初診料の窓口負担を増やし、2回目以降の診療は経過観察や継続的な管理・指導が中心となるため、再診料を下げる方針が固まっている。

また、かかりつけの主治医を中心に在宅での治療が進められるよう、糖尿病や高血圧といった慢性疾患を抱える患者には、主治医が年間診療計画を作成し、継続的に病状管理していく方針だ。
ただ、後期高齢者は大きな病気にかかりやすく、医療費が高額になるケースが想定される。治療費の高騰を防ぐため、主治医の指導や検査、画像診断などを包括した定額払いを導入する考えだが、主治医の定義や、定額払いの範囲などが議論される。

◆後発薬の普及
医療費抑制の目玉として期待される後発医薬品の普及策も大きな課題だ。
現行では、医師が後発薬に変更してよいと判断したときに、処方箋(せん)の「変更可」の欄をチェックする。この様式を、医師が変更を認めない場合にのみ署名するよう変える。後発薬使用を前提とする180度の方針転換となる。

後発薬は不安、という人のために「お試し期間」を設けることや、在庫がない場合に薬剤師の判断で別の後発薬への変更も認めることも固まっている。
後発薬の普及には薬局の積極的な取り組みが不可欠だ。薬局の後発薬調剤率が3割以上となった場合、調剤報酬が上乗せされるため、引き上げ幅などが焦点となる。

このほか、今回の診療報酬改定では、義務化される診療報酬明細書(レセプト)並みの詳しい領収書発行の実費を患者から徴収することを認める。また、脳卒中などの入院患者のリハビリテーションを対象に、病状の改善度合いで診療報酬に差を付ける成果主義の導入も図られる。これらの具体的な額や基準の設定も中医協で協議される。

◆平成20年度診療報酬改定のポイント
・産科、小児科の医師不足解消
・開業医の夜間診療促進
・大病院は入院医療に特化
・勤務医の事務を補佐するメディカルクラーク(医療秘書)の導入
・大病院にレセプト並み領収書発行義務付け
・高度な化学療法などにより、がん患者治療を外来化
・保険薬局を休日を含め24時間対応可能に
・入院費の定額払いが可能な病院の拡大
・回復期リハビリに成果主義を導入
・患者7人に1人の看護師配置基準を見直し
・介護や福祉関係者と連携した在宅医療推進
・治療効果の高い薬剤の使用促進など、がんや脳卒中対策を強化
・後発薬の使用を前提に処方箋(せん)の様式を変更
・コンタクト医の不正防止のため、検査料基準を厳格化
・後期高齢者医療制度で、初診料を引き上げ、再診料を引き下げ

(産経新聞より)

<外来主治医 75歳以上1人に1人 医療費抑制狙い制度化>

厚生労働省は今年4月から始まる後期高齢者医療制度で、複数の病気にかかっていることも多い75歳以上の患者の心身状態を1人の医師が総合的に診察する「外来主治医」(仮称)制度を導入するが、5日までにその全容が固まった。

原則、患者1人に1人の主治医とし、高齢者が複数の医療機関にかからないようにすることで、医療費を抑制するのが狙いだ。資格は、お年寄りの日常生活能力を判定する機能評価の演習など4日間程度の研修を受け、厚労省に届け出た医師に与えられる。
患者は、外来主治医から1年間の治療・検査計画を記した「高齢者総合診療計画書」を示される。糖尿病や脳血管疾患などの診療には、計画書に患者の同意署名が必要となる。患者には月初めの受診時に、検査結果や次の受診日時などを記した文書が渡される。

新制度の導入に伴い、75歳以上を対象とした診療報酬に「医学管理料」を新設し、外来主治医が請求できるようにする。財源は、75歳以上の患者の再診料を引き下げて工面する。同管理料のほか、一部を除く検査、画像診断などについては何度実施しても一定の報酬しか払わない「定額制」を導入する。

複数の医師による薬の重複投与を防ぐため、外来主治医には、毎回患者に服薬状況を確認することも義務付ける。資格取得の前提となる研修は、日本医師会と学会でつくる組織が受け持ち、高齢者の薬物療法、認知症の診療、家族や介護者への指導方法なども習得させる。

(毎日新聞より)

<療養病床、削減幅を緩和 厚労省修正で存続5万床増>

慢性疾患の高齢者が長期入院する療養病床の削減問題で、厚生労働省は現在約36万床あるベッド数を12年度末に15万床まで減らす当初の計画を大幅に緩和し、5万床上乗せした20万床程度を存続させる方針を固めた。高齢者人口の伸びへの対応と、早期のリハビリテーションを重視する観点から計画修正に踏み切る。

厚労省は、療養病床の高齢者の半分近くは専門的な治療の必要性が低い「社会的入院」とみている。退院後の介護の見通しが立たないなどの理由で入院が続き、医療費を押し上げる一因となっていると分析。06年の医療制度改革では、費用を医療保険でまかなう「医療型」の25万床を12年度末に15万床へと減らし、介護保険でまかなう「介護型」は全廃する計画を打ち出した。介護型は当時13万床で、現在11万床まで減っている。

療養病床の廃止分は、よりコストの低い老人保健施設や有料老人ホームなどに転換し、厚労省は年間3000億円の医療・介護給付の削減を見込んでいた。これに対し、日本医師会や病院団体は「医療行為が必要な人も多く、行き場のない高齢者が続出する可能性がある」と反発していた。

だが、この削減計画は将来の高齢者人口の伸びを考慮していなかった。06年末に公表された最新の人口推計では、75歳以上の人口は06年の1216万人から12年には1526万人へと25%増える。厚労省は各都道府県に対し、12年度末時点で存続させる療養病床数の目標を出すよう求め、全容がほぼ固まりつつある。高齢者の人口増を反映させると、全国で18万床程度が必要になる。

さらに、当初計画では医療型の削減対象に含まれていたリハビリ用の療養病床2万床も存続させることにした。脳卒中や骨折の後などの早期リハビリを充実させ、寝たきりの高齢者が増えないようにする。この分も合わせ、存続ベッド数は計20万床程度となる。

ただ、療養病床の削減計画が大幅に緩和されることに伴い、医療費の削減効果も限定的にならざるを得ず、将来の税負担増や現役世代の保険料の引き上げにつながる可能性がある

(朝日新聞より)


[2008/01/01]
 地域医療崩壊に揺れた07年

<地域医療崩壊に揺れた07年 行き過ぎた改革のダメージ色濃く>

2007年は、病院勤務医を中心とした医師の偏在・不足に、史上最大の下げ幅となった06年度診療報酬マイナス改定のダメージが加わり、各地で地域医療崩壊が叫ばれる年となった。

政府・与党も、08年度政府予算編成、診療報酬改定論議を通じて医師不足対策を最優先するなど“行き過ぎた改革”による危機回避に舵を切った格好だ。次期診療報酬改定では本体部分が0.38%のプラスとなったが、改定財源は限られ、医療再生につながるのか楽観視はできない。

今年1月の中央社会保険医療協議会総会は、06年度診療報酬改定から1年もたたずに「7対1入院基本料に対する建議」を柳澤伯夫厚生労働相(当時)に提出した。一部の大病院が新卒看護師を大量に確保するなど、「地域医療に深刻な影響を与えることが懸念」されたのが理由だ。

医師、看護師の不足も絡み、経営環境の悪化は医療機関の倒産という形でも現れた。1-6月の上半期だけで31件と、前年実績を半年で上回るペースで伸び(帝国データバンク)、政府・与党も、状況を看過できないと地域医療の確保に向けた施策を打ち出した。

政府・与党が5月に示した6項目の「緊急医師確保対策」を受け、8月には厚生労働、文部科学、総務の3省による地域医療に関する関係省庁連絡会議が、北海道、岩手など5道県6病院を対象に緊急に医師を派遣するシステムの第1弾を決定。同時に、病院勤務医の労働環境改善、女性医師が働きやすい環境整備、医師不足地域での大学医学部定員枠の拡大-といった対策を固めた。

医師不足対策は08年度の厚労省予算案の筆頭に掲げられ、大幅増となる約161億円を確保した。政府予算編成で焦点となった次期診療報酬改定は、本体部分を8年ぶりに304億円、0.38%引き上げるプラス改定となった。ただ、医療現場からは、「この水準では医療崩壊を防げない」という声が挙がっている。

11年度までに社会保障費の国庫負担を1兆1000億円削減する歳出改革路線に対して、医療界はもちろん、政府・与党内からも新たな財源確保が不可避との声が強まっている。12月には自民党・社会保障制度調査会長の鈴木俊一氏が、年2200億円を削減する方針に「来年以降はもう無理」と限界感を示した。

来年1月には「社会保障に関する国民会議」(仮称)の初会合も予定される。有識者のほか、福田康夫首相や舛添要一厚労相らも加わり、社会保障の内容や給付と負担のバランス、消費税を含む財源確保などについて議論する。

現行の「中福祉・低負担」から「中福祉・中負担」への政策転換は図られるのか-。来年に控える衆院選が判断する最初の機会になる。自民・民主両党が、国民にどのような選択肢を示すのか、医療の将来を占う意味でも注目される。

<医療ニッポン 目標大きく下回る34%減 療養病床、約6割削減困難に> 

慢性期の高齢患者らが長期入院する療養病床を2012年度末までに約6割削減する目標を立てていた国の計画に対し、これまでに削減案を示した21都道府県の削減率は平均34%にとどまり、当初目標を大きく下回っていることが27日、共同通信社のまとめで分かった。

療養病床を抱える医療機関が介護施設への転換に消極的なのが要因とみられる。現状のままでは、国の目標達成は困難で、今後削減計画を見直すことになりそうだ。

厚生労働省は各都道府県に対し、今年末までに、11年度末までの療養病床削減計画を盛り込んだ「地域ケア体制整備構想」策定を求めているが、他の26府県は検討中で、多くは年明けになる見通し。

構想素案などによると、削減計画案を示した21都道府県合計の療養病床数は、07年度で約20万6000床。これが11年度末には約7万1000床減って約13万5000床となる見込みだ。

削減率は、国の目標に近いのは57%の高知、56%の香川などわずか。山形と神奈川は1けたにすぎず、地域差も目立った。

ただ、来年4月から療養病床を転換して設置が認められる新型の老人保健施設の報酬額などはまだ決まっていないため、意向を決めかねている医療機関も多いとみられる。

東京は医療機関へのアンケート結果だけを削減計画案に反映させているほか、見直しの予定もあり、21都道府県の削減数は変動する見通し。

国は全国に約35万床ある療養病床を15万床に削減する目標を設定。治療の必要性が低いのに家族の都合などで入院している「社会的入院」の解消を図るとともに、コストの低い介護施設への転換により社会保障費を抑制するのが狙いだ。

▽療養病床

療養病床 慢性の病気を抱え長期療養が必要な患者のための病床。高齢者の入院が多く、医療保険が適用される医療型が約23万床、介護保険適用の介護型が約12万床ある。厚生労働省は2011年度末までに介護型を全廃、12年度末までに医療型を15万床程度に減らす目標を立てている。コストがより低い介護老人保健(老健)施設などへの転換を進め、社会保障費の抑制につなげるのが狙い。転換支援策として、療養病床のある病棟を老健施設に活用できるようにし、改修費用などを助成する。

(共同通信より)

<公立病院、存続かけ正念場に>

総務省は12月24日、公立病院改革のガイドライン(GL)を全国の自治体などに通知した。GLは、病床利用率が3年連続で70%を下回った公立病院に対して、診療所への移行など病床数の抜本改革を促すことなどを盛り込んだ改革プランを2008年度内に策定するよう自治体に求める内容。経営不振に悩む公立病院は来年以降、存続をかけて正念場を迎えることになりそうだ。

GLでは、公立病院改革の視点として▽経営効率化 ▽再編・ネットワーク化 ▽経営形態の見直し――の3点を提示。これらの観点からの改革を「一体的に推進することが必要」と指摘し、自治体に対して数値目標を明記した改革プランを08年度内に策定するよう求めてい

病床利用率が3年連続で70%を割り込んだ病院については、病床削減や診療所への移行などを含む抜本的な見直しを促すことを明記するなど、経営難に悩む公立病院にとっては厳しい内容になった。総務省によれば、06年度に病床利用率70%を達成できなかった公立病院は全体の約35.0%に相当する310病院ある。統廃合を含めた最終的な判断は各自治体に委ねられる方針で、来年以降が正念場になる。

一方、医師不足などによる経営悪化に伴って03年度以降に発生した不良債務を長期債務に振り替える「公立病院特例債」の発行を認めるなど、財政支援措置も盛り込んだ。特例債の発行は08年度に限って認められ、償還期間は7年という。

特例債を発行できるのは、医業収入に対する不良債務比率が10%以上(07年度末時点)に達した公立病院事業で、自治体が08年度内に改革プランを策定することが条件。総務省は、特例債の発行額に600億円を見込んでいる。

総務省は、多額の債務が足かせになり抜本改革に踏み切れない病院事業の債務返済を支援することで、自治体による再編・ネットワーク化を後押しする考え。

公立病院の再編は、行き詰まる地方財政の再建という側面もある。
全国自治体病院協議会の調べでは、自治体が運営する全国の公立病院の7割以上が06年度決算時点で経常赤字に陥っている。

赤字に関しては、これまで多くの公立病院が自治体による一般会計からの繰り入れによる補てんに頼ってきたが、自治体そのものの財政難が深刻化する中で、これ以上の負担に耐えることは困難になりつつある。

また、自治体の支援に依存する経営体質には、民間病院などから「民業圧迫」との批判が根強い。「自治体の支援を受けているのに提供する医療サービスは民間と変わらない」といった指摘もある。

GLでは、「特に民間医療機関が多く存在する都市部における公立病院については、果たすべき役割に照らして現実に果たしている機能を厳しく精査した上で、必要性が乏しくなっているものについては廃止・統合を検討していくべき」と指摘している。

これらの課題を抱えてもなお、公立病院が担わなければならない医療とは何なのか? 来年以降は、民間病院では対応が難しい医療を担うなど、公立病院が自らの存在意義を示せるかどうかが存在の必然性を示せるかどうかが課題になる。

<病院救急車 全国初の共同利用、救命率アップ目指す 東京>

一つの病院が所有する救急車を複数の病院で共同利用する試みが全国で初めて東京都墨田区で始まっている。消防救急車の出動の約1割を占める転院搬送を病院救急車が担うことで、フル稼働が続く消防救急車の現場到着を早くし救命率アップを目指す。消防救急車が現場の傷病者搬送に専従できる体制作りに向けたモデルケースとして注目されている。

共用されているのは白鬚橋(しらひげばし)病院(同区東向島4、石原哲院長)の救急車で、墨田区から約5キロ圏内の21病院と6診療所が参加。平日の日中の転院で、医師が緊急搬送や医療措置をしながらの搬送が必要と判断した場合が対象になる。

医師が患者や家族に有料であることなどを説明し、同意を得て搬送日時、患者の傷病状態などを白鬚橋病院に連絡。救急救命士2人と、委託契約する民間救急事業者の運転手が救急車で要請した病院へ行き、サイレンを鳴らして患者を運ぶ。白鬚橋病院が救急救命管理料(診療報酬点数500点=5000円)を保険請求し、患者が自己負担分(3割など)を支払う。

開始した7月から11月末までの5カ月間の出動は124件。年換算すると、白鬚橋病院が昨年単独で使用した回数(178件)の1.7倍になる。同病院によると救急車の車両・装備費は約1400万円。運用には人件費などで年約1500万円必要だが、現行の診療報酬体系では酸素投与や点滴などの処置をしても請求できないため3000回出動しないと採算が取れない。

院内で医師への周知が不十分だったり、患者が費用負担を嫌がったりして従来通り消防救急車が使われた例もあり、利用数増加のため周知徹底や共用地域の拡大も課題となる。

東京消防庁の昨年の救急出動件数は68万6801件で頻度は46秒に1回。最寄りの消防署から駆けつけられないことも多く、現場到着まで6分10秒と6年前より40秒延びた。うち転院搬送は約5%の3万5464件、全国統計では1割近くを占める。石原院長は「地域の安全を確保する意味で、行政の補助なども得られれば、病院救急車の共同利用は広がるのではないか」と話している。

(毎日新聞より)

<メタボ 膨らむ市場 漢方薬や健康測定器>

生活習慣病の原因とされるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群、通称メタボ)の予防効果をうたった漢方薬や健康測定器の販売が伸びている。

来年4月から職場健診などでメタボを診断する「特定健診・特定保健指導」が始まるのも追い風だ。三菱UFJリサーチ&コンサルティングは、2005年に2兆円だったメタボ関連市場の規模は2010年に3・6兆円に拡大すると予想する。ただ、メタボの診断基準は専門家の間でも意見が分かれており、落ち着いた対応が必要だ。

厚生労働省の推計では、特定健診の対象となる40〜74歳の約5700万人のうちメタボの該当者や予備群は約1900万人。メタボへの関心が高まり、販売が伸びているのが肥満症や便秘などへの効果をうたった漢方薬だ。

ロート製薬の「防風(ぼうふう)通聖散(つうしょうさん)錠」を含む「和漢箋」シリーズは、06年11月からの1年間で30億円を超えるヒットになっている。

小林製薬の漢方内服薬「ナイシトール85」も06年3月の発売から1年間で売上高が35億円を超えた。07年4〜9月は前年同期比62・5%増の勢いで、2年目は50億円を見込む。

漢方薬はキキョウやシャクヤクなどの生薬を組み合わせて製造する。厚労省が認める210通りの組み合わせ方に沿っていれば、1〜2年で製造・販売の承認が得られるため、新製品を投入しやすい。

健康機器では、データの計測だけでなく、医療サービスと組み合わせた工夫をメーカーが始めている。

日立製作所は、腰に装着したセンサーで一日の運動量と消費カロリーを正確に測り、専用の携帯端末に無線通信で送信するシステムを開発した。携帯端末をかかりつけの医師が持てば、メタボの予防に効果的な指導ができるというわけだ。

健康測定器メーカーのタニタも、体脂肪量などの測定器で測ったデータを送信してもらい、専用データベースで記録を管理し、健康面のアドバイスを提供するサービスを3月に始めた。09年度までに45万人の会員獲得を目指している。

メタボ予防機器の先駆けと言える松下電器産業の乗馬型健康機器「ジョーバ」は5世代目に進化し、00年の発売から累計の販売台数は30万台を突破している。

◆特定健診・特定保健指導 

メタボリックシンドロームの早期発見を主な目的として、40〜74歳を対象に、企業の健保組合や市町村などに実施を義務付けた。腹囲が基準値(男性85センチ、女性90センチ)以上で、さらに血圧、脂質など2項目以上の異常があれば、食事などの改善を指導する。

(読売新聞より)