
<新型老健、名称は「介護療養型老健」に>
療養病床削減の受け皿として2008年4月に創設する転換型の介護老人保健施設(老健)について検討している厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会(座長・大森彌東京大学名誉教授)は2月20日、転換型老健の名称を「介護療養型老人保健施設」にすることを決めた。大森座長は「利用していただく方々にとって分かりやすく、安心していただける言い方にするには『療養』という言葉を入れるべき」と、転換型老健の法律上の位置付けとなる「介護老人保健施設」と組み合わせたと説明した。
<居住系への在宅医療 大幅減 転換老健 緊急往診に500点>
今年4月からの診療報酬が、13日に決まった。有料老人ホームや高齢者専用賃貸住宅などへの在宅医療、訪問看護が引き下げられ、療養病床から転換した老人保健施設への夜間、休日の往診が創設される一方、医療療養病床の報酬は引き下げに。介護保険やこれにかかわる事業者にも密接にかかわる部分をピックアップする。
高齢者住宅などの居住系施設に入居する高齢者への訪問診療などは、これまでは自宅への訪問と同じ報酬設定だったが、別立ての報酬体系が設けられた。特定の病気で通院ができない高齢者を定期的に往診し週3回まで算定できる在宅患者訪問診療料でみると院外処方の場合の830点が200点に。約8割の大幅減となる。計画的な医学管理の下の訪問診療について算定される医学総合管理料も、通常の在宅時医学総合管理料に比べると1200点下げられる。
基準によると、「居住系施設」には、有料老人ホームなど特定施設、認知症グループホームだけでなく、老人福祉施設や小規模多機能型居宅介護も含まれる。訪問看護、訪問リハ、薬剤管理、栄養指導も同様だ。
(シルバー新報より)
<08年度診療報酬改定で中小病院は>
2008年度診療報酬改定では、医科報酬プラス分の財源が勤務医対策に充てられるなど病院にとって比較的手厚い内容になった。しかし、10対1入院基本料や再診料の引き上げが決まる一方で、療養病棟入院基本料は軒並み引き下げられるなど、病院が受ける影響は一様ではない。今回の改定が中小病院にもたらすものは? 関係者の反応をまとめた。
◆10対1でも「かろうじてプラスという程度」
10対1入院基本料の引き上げは、地域で急性期医療を担う病院による算定が多い一方、この入院基本料を算定する病院で経営悪化が特に深刻化しているという判断からだ。具体的には、現在の1,269点を1,300点まで引き上げ、よりランクの高い7対1入院基本料(1,555点)との格差を縮小する。
30点以上の大幅な引き上げだが、これがどれだけ追い風になるかは分からない。
10対1を算定する東京都内の病院(一般82床)では、新しい診療報酬の具体的な運用に関する通知が出そろう3月以降に、今回の改定による影響を詳しく検証する。
ただ、現時点の粗い試算では大幅な増収までは見込めず、「かろうじてプラスが期待できる程度」という見立て。入院基本料からの増収は期待できても、「デジタル映像化処理加算」など廃止・減算が決まったものもあるためだ。
同病院の事務長は「せいぜい年間800万円ぐらいの増収ではないか。(点数が据え置かれる)13対1や15対1を算定している病院はかなり苦戦するだろう」と話す。
◆医療の質評価の試みも
療養病棟入院基本料では、「医療区分1・ADL区分3」だけは現在の885点に据え置くことが決まったものの、それ以外の区分の点数は14〜31点引き下げ「認知機能障害加算」(1日5点)も廃止する。
また、患者が同意した「退院支援計画」どおりに退院できた場合に算定できる加算を新設するなど、早期退院を促す仕組みも整える。
療養病棟入院基本料は患者の状態像に応じて報酬に差を付ける仕組みなので、軽症患者が多い病棟ではこれまで以上に苦戦を強いられることになりそうだ。
東京都市部の病院(一般59床、療養56床)の事務局長は「厚労省にすれば、前回(06年)の改定で導入された患者分類を今回初めて検証した結果、収益の多いことが分かった部分を削っただけ」と話す。
ただ、「(報酬が高くなる)医療必要度の高い患者をメーンに受け入れるなら、それなりの看護配置が必要だ。現在の点数設定では費用をカバーできない」とも。
「一般病棟の入院患者が動けないのは手術直後ぐらいだが、療養ではそうはいかない」
医療機関の経営計画策定支援などの事業を展開するメディカルマネジメントオフィス(神奈川県大和市)の工藤高代表は、点数自体の引き下げよりも、医療の質の評価を実現するための布石が組み込まれた点に注目している。
今回の改定で療養病棟には、「褥(じょく)そう」の発生割合やADLの低下度合いなどを継続的に測定・評価し、記録することが義務付けられる。厚労省によれば、将来的に医療の質を評価できるようにするのが狙いだ。
工藤さんは「医療の質に対する評価で、従来の患者分類から一歩踏み込んだ内容になった」と受け止めている。
成果主義的な考え方は回復期リハビリテーション病棟にも導入される。
「こうした考えは今後も広がる。入院した時点よりも特定の指標が悪化していたら報酬が低くなる時代が始まる」
◆再診料「引き上げでも…」
200床未満の中小病院が算定する再診料の3点引き上げに対する受け止め方も複雑だ。「外来管理加算」に、診察時間の目安として「最低でも5分以上の時間が必要」という考え方が盛り込まれたからだ。
外来管理加算はこれまで、処置や検査などを必要としない患者に丁寧な説明をした場合などに算定してきた。患者にとっては、形のあるサービスを受けていないのに医療費だけを負担するように感じられるため、「処置をしない方が支払い額が高い」など分かりにくさを指摘する声があった。
今回の見直しは、こうした分かりにくさを解消して医療サービスを受けていることを実感しやすくするための措置だ。
例えば薬の処方などのためだけに外来を受診するいわゆる“お薬外来”では算定できなくなり、単純計算では、医師1人が1時間に診察できるのは12人になる。
福岡県内の病院(189床)の医事担当者は「外来患者が多い病院ほど受ける影響が大きいのではないか。再診料の引き上げ分をマイナスが上回るかもしれない」と危ぐしている
<介護付き有料老人ホーム 「認知症に対応」6割>
介護付き有料老人ホームに対する読売調査では、対応が難しい認知症高齢者に対し、ケアを行う体制が「整っている」とした所も6割に上った。
一方で、認知症による問題行動が原因で退去したという例もあり、安心できる「ついのすみか」に向けた課題が浮き彫りとなった。
◆入居前に家庭訪問
入居者の約7割が認知症という奈良市の介護付き有料老人ホーム「エスティームライフ学園前」。月1回の職員ミーティングで、90歳代の認知症の女性へのケアが話し合われた。
「家事が好きだった人。調理への参加を勧めたい」「何でも口に入れてしまうので心配。皿ふきなら可能では」。様々な意見が飛び交った。
「暴力、徘徊(はいかい)などのいわゆる問題行動が見られた時、まず行動に至った理由を職員がチームとなって探す。個々に合った適切なケアで問題行動がなくなる場合も多い」と三浦龍館長(52)は言う。介護の上乗せ費用は必要だが、入居者に対する看護・介護職員の割合は基準の3倍近くと、手厚い人員体制をとっている。
入居前には家庭訪問を行い、家族構成や経歴、若いころの趣味などを聞き取る。「認知症の人は記憶が若いころに戻ることが多く、介護する際のヒントが隠されているから」だ。
さいたま市にある「センチュリーシティ大宮公園」でも、ケアが難しい入居者への対応事例を基に、独自のケアマニュアルを作成。家族への面談や主治医からの説明の機会も頻繁に設けている。
◆早期診断は7割
調査では、認知症による対応困難な入居者にケアを行う体制が「整っている」と答えたホームは63%に上り、「どちらとも言えない」は32%、「整っていない」は4%だった。
また、68%のホームが「専門医による認知症の早期診断を心がけている」と答えたほか、「施錠など、行動制限は行っていない」は78%だった。徘徊する人などには、やむを得ず行動を制限する場合があるが、「身体拘束の排除に関するケアマニュアルに従って対応している」は89%を占めた。
ケアへの取り組みで前向きな回答が多かった背景には、認知症高齢者の増加に伴い、現実に対応せざるを得ないケースが増えてきたことがあると見られる。全国有料老人ホーム協会(東京)によると、「自立」を入居時の条件とするホームの場合、入居時の平均年齢は72歳、「要介護」が条件の場合では80歳。10年前に比べ、いずれも2歳前後高くなっているという。
「介護保険制度が始まってからは、在宅介護サービスを利用しながら自宅にぎりぎりまでいて、認知症などの要介護状態になってからホームに移る例が増えてきた」ためだ。また、情報公表の動きにあわせ、ケアの質に対する関心が高まってきたことも挙げられる。
◆トラブルや悩み
一方、調査では、現場が抱える様々な悩みも寄せられた。最も多かったのが、認知症とそうでない人の間でのトラブルだ。
「全室個室だが、徘徊する入居者が他室に入り、苦情が出る」(広島県内のホーム)など、多くのホームが対応に苦慮している様子がうかがえる。
診断に関する悩みも目立った。「専門医が少なく、内科医に相談すると、安易に精神安定剤を出されてしまう」(大阪府内のホーム)「正確な診断を受けていない人が少なくない。事故などによる脳の障害と認知症の違いが分からない医療機関も多い」(愛知県内のホーム)などの声が多く寄せられた。
◆有料老人ホーム
高齢者を対象に、食事や介護サービスなどを提供する施設。「介護付き」(原則、ホームのスタッフが介護サービスを提供)、「住宅型」(外部の在宅介護サービスを利用)、「健康型」(介護が必要になったら退去)の3タイプがある。
◆問題行動、対応に差
調査では、過去1年間に退去者がいたホーム(死亡退去は除く)のうち、認知症のため集団生活が困難との理由で退去した人がいたホームが1割あることも判明した。
2件の退去事例があったという大阪府内のホームの場合、1人は職員や他の入居者に暴行。もう1人は窓ガラスを割るなどの行動が見られたため、家族と相談の上、いずれも退去してもらった。「どちらも24時間の見守りが必要で、今の人員体制ではとても無理」とこのホームでは話す。
多くのホームでは契約書に、他の入居者に危害を加えたり、通常の介護方法では問題行動を防げなかったりする場合は、事業者から契約を解除できるという条項を設けている。「集団生活を営む限り、現実問題として必要。そうでなければ体を縛ったり、薬で静かにさせたりすることになってしまう」と都内のホームの施設長は打ち明ける。
だが、そうした条項を設けていないホームもある。川崎市にある「ヒルデモアたまプラーザ」では、解約条項を2年前に削除した。「利用者や家族が一番困るのは、途中で出ていってくれと言われること。『ついのすみか』をうたう限り、最後まで介護できないのはどうか」との考えからだ。同ホームでは、提携医療機関の医師による勉強会を定期的に開催している。
前国民生活センター調査室長の木間昭子さんは「介護付き有料老人ホームの設置運営指導指針には『介護が必要となっても居室で生活を継続することが可能』なホームとあり、認知症による行動を理由に事業者側から解除できるとする条項は問題。介護できない場合があるなら、それを明示する必要がある」と言う。
ただ、実際問題として退去を迫られた場合、入居者らが拒否するのは難しいため、「ホームを選ぶ際は都道府県の『介護サービス情報の公表』で退去者数をチェックするほか、介護できない場合はどういう状態かをよく確認してから契約を結ぶことが必要」と木間さんは話している。
( 読売新聞より)
<介護付き有料ホーム、看取り体制半数が整備>
老後の住まいとして関心が高まっている介護付き有料老人ホームについて、読売新聞社は、医療や認知症ケアの体制などに関する全国調査を実施した。
その結果、ターミナルケア(終末医療)を行えるというホームが全体の約半数に上り、ニーズの高まりを受けて体制整備を急いでいる傾向が明らかになった。国もこうした動きを重視、有料老人ホームでの看取(みと)りを支援するため、実態調査を進めている。
調査は、全国の介護付き有料老人ホーム2086ホームを対象に、昨年12月に実施。814ホームから回答を得た。
「ホーム内で最期を迎えたいと希望する人に、ターミナルケアを行って応えることができるか」を聞いたところ、「できる」と回答したホームは47%。「できない」は8%、「どちらとも言えない」は44%だった。
ターミナルケアを支える夜間の医療体制については、71%が「24時間体制で往診してくれる協力医がいる」と回答。夜間の看護体制については、「常駐」は16%だったものの、必要に応じて駆けつける「オンコール体制」は65%だった。
医療費抑制で長期入院の是正が課題となっていることなどから、厚生労働省は2006年、特別養護老人ホームを対象に介護報酬の「看取り介護加算」を新設、医療機関以外での看取りを推進している。調査では、有料老人ホームにも加算の適用を求める声が強かった。同省では、「看取りのニーズは今後ますます高まることが予想される。現在、国が進めている調査の結果を受け、報酬の見直しやターミナルケアのあり方などを検討したい」(老健局)としている。
(読売新聞より)
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