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[2008/03/26]
 机上の空論 メタボ健診

<机上の空論、メタボ健診 新年度開始、自治体から疑問百出> 

メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の患者を減らすことで、医療費削減を目指す特定健診・保健指導(メタボ健診)。新年度からのスタートを前に毎日新聞が全国806市区を対象に実施した調査には「机上の空論」などと厳しい声が多数寄せられた。現場の担当者の声から問題点を探った。

■生活習慣病減らし、医療費削減目指すが

メタボ健診は「腹部に内臓脂肪がたまったメタボリックシンドロームの人は、脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患を起こしやすい」という学説に基づき計画された。メタボを防ぐことで生活習慣病の患者を減らし、医療費を削減することを目指している。

対象者は妊婦などを除く40-74歳の医療保険加入者全員。医療保険の保険者に実施が義務付けられる。組合健康保険など被用者保険は職場などで、国民健康保険は地元の医療機関などで実施する。被用者保険の扶養家族(専業主婦など)は、健保組合が委託した医療機関などで受ける場合が多いとみられる。

腹囲やBMIが基準以上で、血糖値、血圧、血中脂質の数値も基準を超えた人は、保健師や管理栄養士らの指導(保健指導)のもと、食事や運動など生活習慣の改善に取り組まなければならない。

■目標達成遠い、財政悪化拍車

自治体のメタボ健診は従来の住民健診を衣替えする。住民健診との最大の違いは、保険者へのペナルティーがあること。市町村の場合、12年度までに▽健診実施率65%▽指導対象者に対する保健指導実施率45%▽メタボ該当者・予備群の減少率10%--を達成できないと、後期高齢者医療制度への財政負担が最大10%加算される。

東京都内のある市の試算では最大2億円のペナルティーがあり得る。大都市ならさらに大きくなる。同市は「国民健康保険は高齢者や低所得者が多く、一般会計からの繰り入れや基金取り崩しで収支を保っている。ペナルティーは財政の不安定要因だ」と説明する。

健診実施率や指導実施率の目標達成も容易ではない。05年度の住民健診受診率は全国平均43・8%で、65%には程遠い。市町村国保の過半数は赤字で、ペナルティーによって保険料値上げが必要になる自治体が出る恐れがある。目標を達成できないと住民が連帯責任を負わされる形だ。

住民の健康への悪影響を懸念する声も上がる。兵庫県内の市は「ペナルティーで財政が悪化すればサービスも低下し、改善率などもさらに悪くなる。成績の悪い地域こそ支援してほしい」と指摘する。

財源の問題もある。国と都道府県が費用の3分の1ずつを負担するが、補助単価は全国一律。健診や指導の実施機関が多く人口も集積する大都市に比べ、地方はコスト高が予想される。秋田県内の市の見通しでは、国の補助が実際の費用の8分の1程度となる。担当者は「地方では健診などの各実施場所ごとに集まる人数が少なく、コストが高くなる。国はかかった実額の3分の1を負担してほしい」と訴える。

■見落とし発生、総合対策が先

メタボ健診は、内臓脂肪型肥満が原因の生活習慣病を主なターゲットとする。腹囲や体格指数(BMI)が基準値未満だと、血糖や血圧などに異常があっても、食事や生活習慣の改善を指導する保健指導の対象にすらならず、健診の質を疑問視する声も相次いだ。

福岡県内のある市の試算では、保健指導の対象者は同市の国保加入者のわずか3%。血糖などに異常があっても、腹囲は基準以下という人も多いからだ。同市は「メタボだけに焦点を当てては、国が掲げる『生活習慣病有病者・予備群の25%削減』は達成できない」と批判する。

がん検診と住民健診を同時に実施してきた自治体にとっては、がん検診の受診率低下も懸念される。従来は両健診とも市町村が全住民を対象に実施してきた。しかし、市町村のメタボ健診は原則として国保加入者だけが対象となり、国保加入者以外はがん検診を別に受ける必要が出てくる。山形県内の市は「住民健診受診者にがん検診も受けるよう呼びかけ、やっと受診率が伸びてきたのに。がん検診受診者が減れば、がんによる医療費増につながりかねない」と危惧(きぐ)する。

そもそも、メタボ基準には、腹囲の数値の妥当性などを巡って異論がある。基準策定に加わった日本内科学会が18日、「今後、新たな疫学研究や臨床研究を踏まえて科学的検討を行う」との見解を発表したほどだ。

健康には、労働環境など社会的な要因が深く関係している。京都府内の市担当者は「体にいい生活をと思っても、収入を得るためにできないこと、収入が少ないためにできないこともある。就労環境の改善や喫煙対策など、国を挙げて取り組むべき課題を抜きに、ペナルティー付きの制度を導入するのは矛盾を感じる」と漏らす。

■準備遅れ、人も不足

「介護保険制度は何回も改正が繰り返された。特定健診でも同じことになるのではないか」。秋田県内の別の市は懸念する。厚生労働省の情報提供の遅れによる準備不足を不安視する声が目立つ。

厚労省健康局が具体的な健診や指導の内容を盛り込んだ「標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)」を公表したのは、開始が1年後に迫った昨年4月。法的側面から解説する厚労省保険局の「手引」が出されたのは7月になってから。年明け以降も通知が五月雨式に出され、細かな変更も続く。京都府内の市は「確定版で準備を進めていたら、手引などで違うことが書かれていて困った」と不満を漏らす。

公務員の増員が困難な中、保健指導を担う職員の不足も深刻だ。京都府の別の市の担当課は「国が目標に掲げる『保健指導実施率45%』を実現しようにも、今の職員数では不可能だ」と話している。

(毎日新聞より)

<分娩の休止・制限を実施または予定の医療機関は77カ所>

厚生労働、総務、文部科学の3省担当者で構成する「地域医療に関する関係省庁連絡会議」が25日開かれ、今年1月以降、分娩の取り扱いを「休止」または「制限」している医療機関が全国で77カ所あることが報告された。また、77医療機関のうち特に支援が必要な7病院と、昨年までに休止・制限した3病院については、大学病院からの医師派遣などで対応することを了承した。
本年1月以降の分娩休止は28病院と17診療所、また分娩制限は19病院と13診療所。そのうち、産科医療機関の集約化に伴う休止は8医療機関。また、62医療機関については、近隣の医療機関で対応可能としており、地域内で分娩を継続できるとしている。


[2008/03/15]
 診療報酬改定情報

<今回の診療報酬改定「よかった人いない」>

日本医療法人協会の豊田堯(たかし)会長は3月14日の代議員会・総会のあいさつで、薬価を除く本体部分が8年ぶりに引き上げられる4月の診療報酬改定について「これでよかったという人はいないのではないか」と述べ、今回の引き上げ幅では病院医療の窮状を解消するには不十分との認識を示した。

豊田会長は、今回の診療報酬改定について「長年続いた(本体部分の)マイナス改定が下げ止まり、0.38%とわずかだがプラスになった」、「医療関係者に経緯がよく見える形で改定が行われた」と一定の評価を示した。

ただ、本体部分の引き上げが0.38%(医科はプラス0.42%)にとどまった点は「形だけはメリハリがついたが、実質的には今回の改定でよかったという人はいないのではないか」と述べた。その上で、良質な医療の提供にはどれだけの財源が必要なのかを明らかにした上で、それを確保していくことが不可欠との見方を示した。

また、本格的な制度運用が4月から始まる社会医療法人については「(改正医療法の成立から)1年9か月が経ってようやくアウトラインが決まった。実際に動き出すまでにあと2週間程度しかないところで政省令と告示のパブリックコメントを募集したり、ばたばたしている」と厚労省の段取りに苦言を呈した。

いったん社会医療法人の認定を受けた後、取り消しになった場合の税制面の取扱いなど、いまだに不明確な部分があることも不安視した。

<療養病床は「老健より回復期リハに転換を」>

日本大学医学部の大道久教授は3月14日、療養病床の転換について、国が5月に創設する介護療養型老人保健施設などの介護保険適用の施設よりも、医療療養型に移ろうとする病床の方が多くなるとの私見を示した。回復期リハビリテーション病棟入院料や亜急性期入院医療管理料を算定できる病床への転換も提案。「患者や家族の意向を踏まえた上で地域の実情に応じた転換となっていくだろう」と、国が示す方針通りに転換は進まないとの見通しを示した。シルバーサービス振興会が開いたセミナーで講演した。

大道教授は、神奈川県が昨年夏に実施した療養病床の転換意向についての調査を紹介した。調査によると、国が介護療養型を全廃する予定の2012年度の対応として、介護型4,197床のうち、医療型へ転換する病床が62%、一般病床への転換が6%だった。介護保険施設に移行する病床は10%にとどまった。医療型7,871床については、医療型を継続する病床が84%、一般病床への転換は6%、介護保険施設は1%のみだった。「介護型を持つ施設でも、患者へのケアを考えると医療型に移る方がよいと考えているところが多いようだ」と紹介した。

また、東京都や神奈川県内では、急性期の治療を終えた患者の受け皿となる回復期リハビリテーション病棟が少ないと指摘。「医療療養病床が回復期リハに移行することも現実味がある。リハ機能を担ってもらうのは地域にとっては重要な選択肢」との見方を示した。2008年度の診療報酬改定で、回復期リハビリテーション病棟の医師の要件が「専従」から「専任」に変更した点も強調し、回復期リハビリテーション病棟への転換促進になるとした。

今回の改定で「亜急性期入院管理料2」の新設が決まったことにも触れた。急性期以後の受け皿として同管理料を算定できる病床への移行も方向性の一つに示した。「回復期リハや亜急性期も選択肢に入る。現実的によく考えて選択するということだろう」と述べ、転換を考えている病床は、地域の実情を考えて移行することが現実的とした。

大道氏は、療養病床転換の動きが低調な点については、「患者や家族の考えがあるので、在宅やケアハウス(への移行)など、思うようにはいかない。医療療養がこの人のためになる、というならそうなっていくだろう」と、国が示す在宅ケアや介護保険施設への移行の方向に進むのは難しいと見通した。

療養病床再編の今後の課題として、3月3日に厚生労働省が示した介護療養型老健の報酬額によって今後の転換意向がどう変わるかや、小規模病院や有床診療所の転換の難しさを挙げた。


[2008/03/13]
 診療報酬改定情報

<厚労省保険局医療課長・原徳壽氏に聞く>

「外来管理加算」はあくまで「5分」が目安

―今改定で一番議論になったのは再診料です。病院と診療所を同一にすべきか否かについて、どうお考えですか。
私が医療課長補佐だった1996年の改定では、再診料の病診格差を広げました。「診療所の再診の方が価値が高い」という発想からです。
  
―「診療所の再診の方が価値が高い」とはどんな意味なのでしょうか。
同じ診療をやった場合でも、診療所の点数の方を高くしてもいいという考えです。医療全体を考えた場合、外来診療の多くは検査などを必要としません。したがって、外来診療の大半が診療所で可能であるという意味で、評価すべきだと考えました。
特に初診では、病院ではなく診療所に行くべきです。風邪などで病院を受診すべきではありません。だから、96年の改定では、診療所の初診料を引き上げました。一方、病院については紹介患者を中心にすべきであり、初診料を特定療養費化し、紹介以外の患者からは、初診料に上乗せする形で自己負担を求めることができるようにしました。
つまり私自身は、大きな流れとしては、再診料に病院と診療所の差があることには抵抗がありませんでした。
もう一つ、再診料についての考え方で、「再診料は技術料」とよく言われますが、イニシャルコストも含まれていると思います。そこで「外来管理加算」の話につながります。今改定で、外来管理加算を技術料ととらえ、「丁寧な診察」という要件を入れました。

―外来管理加算に「丁寧な診察」の要件を入れた狙いは。
外来診察には、基本的な診察と「丁寧な診察」があると思います。基本診察は再診料で評価します。一方、「丁寧な診察」は外来管理加算で、別途評価するという考え方です。「技術料」に相当する本当の意味での診察の評価は、外来管理加算の形で取り出すことができたことになります。
「外来管理加算は技術料」という考えなので、病院と診療所の点数は同一です。一般と老人の点数もそろえました。一方、再診料にはイニシャルコストも入るわけですから、病院と診療所は異なります。

―つまり、外来管理加算の考え方が変わったと。
はい。前述のように、診察の中から、「丁寧な診察」部分を取り出したわけです。その意義は大きいと思います。したがって、処置などを行った場合でも「丁寧な診察」を行えば、外来管理加算が算定できるという見方も成り立ちます。ただ、まずは今までの体系(外来管理加算と処置などは併算定できず)はあまり大きく崩さないという考えで改定しました。次のステップとして、処置を実施した場合などでも外来管理加算が算定できるようにすれば、本当の意味で「技術料」として独立した点数となるでしょう。

―従来、外来管理加算の意味が曖昧だったというわけですか。
はい。もともとは、「内科再診料」という考え方から始まった点数です。内科では、検査や処置などが少ない一方、「丁寧な診察」を行うことから、それを評価するために設けた点数ですが、今、実態としては、「丁寧な診察」が実施されているとは言えません。
 
―「5分を診療時間の目安とする」という要件を問題視する声が多いのですが、通知に要件として明記するのでしょうか。
そこは、なかなか難しいところですが、やはり「5分」ですね。なぜ「5分」にこだわっているか。一つには、財源の問題があります。改定時には、外来管理加算がどのくらい算定されるかを計算していますから、「5分」は崩せません。

―「5分」の根拠は何ですか。
丁寧な診察をして、患者さんが納得する診療をしてもらいたいということです。「3時間待ちで3分診療」がよく問題視されています。だから「3分診療」ではだめなのです。

―レセプトなどに診察時間を記載するのでしょうか。
外来管理加算を算定しているということは、「5分の診察」が前提なので、レセプトに書く必要はありません。しかし、どんな診察を行ったかについては、カルテに記載してください。
 

―医師による診察の前に、看護師さんなどが問診する場合もありますが、診察時間に含めていいのでしょうか。
いえ、あくまで医師の診察時間です。ただ、点数は患者1人当たり52点、1時間で12人診察した場合、6000円強です。点数的に十分かどうかは議論があるところですが、「医師の時間を占有する」、その対価という考え方になります。
もちろん、「薬のみ」の診察では算定できません。それとは分けましょうという考え方です。外来管理加算については、名称を変更する話もありましたが、今回はやめました。ただ、いずれは再診料への加算ではなく技術料として独立させて、名称を変えてもいいでしょう。

<健康保険組合連合会専務理事・対馬忠明氏に聞く>

「開業医の先生方には我慢してもらいたかった」

―まず医療供給体制に関する現状認識をお聞かせください。
われわれ支払側(保険者)と診療側の認識には、あまり相違はないのではないでしょうか。病院勤務医は多忙であり、特に小児科、産科、救急医療が厳しいということです。勤務医は、当直回数が多く、長時間勤務で、バーンアウトして病院をやめて開業するといった現状は問題でしょう。また患者さんにとっても、救急の受け入れ困難の問題は無視できません。
われわれ保険者は、医療の提供、つまり「医療の給付」があって初めて支払いを行うわけです。被保険者にとっては、「いざという時、医療を受けることができる」のが保険料を支払う前提です。したがって、地域によっては十分な給付が受けられない状態という問題には、対応しなければならないという認識です。

―では、医師不足の問題については、どうお考えですか。
全体的にどうなのかは、われわれの立場で言うのは難しいのですが、都市部と地方を比較すると、やはり地方では厳しいのではないかという認識を持っています。

―現在の医療費の水準、例えばGDP比で見た場合の水準についてどうお考えですか。
現在の日本の医療費は、「高いというわけではない」と思います。では安いかですが、これはなかなか難しい問題だと思います。特に統計的な難しさもあります。
というのも、2000年4月に介護保険がスタートした際、医療費が一時的に下がりましたが、医療の実態が変わったかというと、そうではありません。単純に医療費の一部が介護保険に移行したわけです。その上、日本はこれから本格的な高齢社会を迎えます。団塊の世代が前期・後期高齢者になる時期に、医療費をどうするかという問題があります。したがって、持続可能性を考えて議論する必要があります。
   
―医療費のあり方は日本固有の事情を踏まえて考えるべきであり、諸外国との比較は難しいということですか。
はい。医療費が、ただ高い、低いというのは難しい問題だと思います。その中で、指標になるのは、国民の「実感」なのではないでしょうか。一番分かりやすいのは、医師の給与だと思います。
開業医の生活ぶりを考えると、「これは大変だ、もう少し報酬を上げなければ」ということにはならないのだと思います。一方、病院勤務医の場合、仕事の内容の割には十分ではないのでしょう。ただ、医療の中で、少し「透明性に欠ける」部分があります。つまり、手術などの際に謝礼を受け取るケースがあります。この辺りの実態は表に出てきません。
自分たちの子供を医師にしたいかという視点もあります。医師の仕事の社会的意義という視点も重要ですが、給与的に見て医師にしたいかどうか。あまりに給与が低く、多忙であると、「医師になるのはやめた方がいい」と言うでしょう。今は勤務医の給与については、ぎりぎりの状況にあるかもしれません。ただ、まだ自分の子供が医師になりたいのであれば、「がんばれ」と言うのではないでしょうか。

―医療費を論じる際には、患者さんにとって、受けた医療と経済的な負担感という指標もありますが。
われわれが、2007年9月に一般の方を対象に実施した調査(「医療に関する国民意識調査」)では、国民医療費については「高い」が7割を超え、個人負担が「重い」との回答が8割近くに上がっています。いずれも10年前に比べると、増加しています。

―勤務医はぎりぎりの状況で働いていても、患者さんの負担感も強い、そうなると医療費を増やす議論は、いまだにやりにくいという認識ですか。
そういう視点もありますが、医療費は自然増などで年3〜4%増加します。これほど安定成長の産業は、他にはないでしょう。医療費については、単価を上げるか下げるかという側面と、全体の医療費がアップしていく側面から議論しなくてはなりません。したがって、単純に単価を上げる余地がないから厳しいのではなく、全体では3〜4%は上がっていく現実をどう考えるかという視点が必要です。
 
―では今改定について、どんな方針で臨んだのでしょうか。
診療報酬本体について、われわれ支払側は、過去数回の改定では、「引き下げるべきだ」と主張してきました。これに対して、今回は「引き上げる環境にはない」と表現しました。
その一方で、診療側は「大幅に引き上げるべき」との主張でした。
最終的な中央社会保険医療協議会(中医協)としての意見は、その間を取った形で、「引き下げる環境にはない」となったわけです。
 
―結果的に、診療報酬本体の上げ幅が0.38%になりました。
感想は、二つあります。一つは、わわわれの主張は、「引き上げる環境にはない」だったものの、結果的に上がったわけですから、主張が通らず、残念だということです。
また昨年夏のシーリングで、社会保障費の自然増を2200億円抑えることが決まりました。このための保険者の財政調整と、診療報酬改定が、同時並行的に議論されてきたわけです。健保組合と共済組合が1000億円拠出せざるを得なくなりました。これが可能になったために、診療報酬本体の引き上げができたという報道があります。つまり、われわれの拠出分が診療報酬本体の引き上げに使われたことになるわけですから、複雑な思いであるというのが、もう一つの感想です。

―では、診療報酬の各項目についてはどう評価されているのでしょうか。
改定の焦点は三つあると思います。勤務医対策、後期高齢者にふさわしい診療報酬体系のあり方、後発品の使用促進です。  
中でも今改定で一番重要なのは勤務医対策であるという認識は、支払側と診療側では一致していましたが、財源については残念ながら意見を異にしました。
なぜわざわざ「勤務医対策」というのか。それは換言すれば、「開業医の先生方には我慢してほしい」ということです。診療報酬本体の引き上げ分をすべて勤務医対策に充てても、それだけは足りませんから、開業医の先生方に我慢していただき、勤務医の先生方にエールを送ってほしいと、われわれは強く主張していたわけです。

―「開業医の先生方には我慢してほしい」とは、どのような意味ですか。
一番分かりやすいのが、再診料です。初診料は既に統一されています。再診料についても診療所の点数を下げて同一にし、その分を勤務医対策に充てるのが一番分かりやすいと考えていました。勤務医に対しても、そして国民に対しても、開業医が身を削ってくれたという一番のメッセージになったのではないでしょうか。この点が実現できず、非常にぼやけてしまいました。勤務医の先生方に対しては、申し訳ないという気持ちです。再診料の病診の格差が、せめて半分になる程度まで診療所の点数を下げていただきたかったと思います。

―しかし、その代わりに外来管理加算の算定要件が厳しくなりました。
それはある種の玄人、専門家の議論だと思います。一般の方には、「外来管理加算」と言っても、意味が分かりにくいのではないでしょうか。「外来管理加算については5分という要件を設け、それで浮いた財源を勤務医に…」と説明しても、一般の方には通じません。だから再診料を下げるべきだったのです。
ただ、「診療時間は5分が目安」という算定要件を入れる点については、支払側としても疑問でした。しかし、再診料を下げられないのであれば、別に財源を捻出しなければならないので、何らかの算定要件が必要になるわけです。むしろ、(再診料の引き下げができなかったために)やむを得ず時間の要件を設けたということです。

―では、後期高齢者の辺りはどうでしょうか。
後期高齢者は、様々な疾患を持つといった特性があります。また病気を治す視点だけではなく、家族背景も含めて、生活全般を診なくてはいけません。こうした観点から、後期高齢者診療料を新設したことは評価できると思います。
ただ、診療側と意見が分かれた点があります。われわれは初診の段階で、高齢者の心身の特性を見極めて、診療計画を立てることが必要だと考えました。再診以降はそれほど病態は変化しません。ですから、初診と再診では、診療内容が違うという観点から、後期高齢者診療料については、初診料を上げ、再診料を下げるべきだと主張しましたが、これは診療側には受け入れられませんでした。

―どのくらいの診療所が後期高齢者診療料を算定するとお考えですか。
月1回600点ですから、内科を中心に多くの診療所が算定するのではないでしょうか。ただ、日本の場合、高齢者を総合的に診る体制が整っていないという問題があります。患者さんを総合的に診る教育・研修はあまり行われてきませんでした。最初から100%は望めませんから、同時並行的にこの辺りの教育、研修も行っていく必要があるのだと思います。

―後発医薬品の使用促進では、処方せんの様式が変更されました。
今回は使用促進策として二つの仕掛けを作りました。一つは、処方せんの様式の変更です。従来は「後発医薬品への変更可」の場合に印を付ける方式でしたが、今改定では「変更不可」の場合に印を付ける形に変えました。また調剤薬局の診療報酬も、後発医薬品を調剤した方が点数が高くなるように設定しました。
従来、「変更可」にチェックしていたのは、処方せん全体の17%程度で、実際に後発医薬品が処方されたのは約6%です。今回の変更でどの程度、増えるかは分かりませんが、現在、後発医薬品の使用は、数量ベースで医薬品全体の16〜17%です。これを5年後に、30%まで上げるのが政府が決定した政策課題です。

―今改定で積み残した課題は何でしょうか。
今回は、全体的には、学会などの意見もお聞きして、かなりきめ細かな改定ができたと考えています。ですから、前回改定ほどには現場から異論は出ないと思います。
積み残しの課題は結構あります。まずは初・再診料のあり方です。また今改定の検証も必要です。後期高齢者診療料をどのくらいの施設が算定するのか、勤務医の負担軽減策の効果はどうか、診療所は「夜間・早朝等加算」を算定するのか、後発医薬品の使用は促進するか、などの点です。
最後に申し上げたいのですが、医療の第一線で働かれている先生方、当直明けも外来診療を行うなど休みもなく献身的に診療されている先生方に、支払側としても心から敬意を表しています。
支払側としては、努力をされている先生方に対して、できることは何でもしたいという思いがあります。支払側だからこそ、できることがあります。診療側といっても、病院の勤務医と開業医では異なり、学会についても似たような名前のものがあるなど、診療側の中でも意見がまとまらず、食い違うことが少なくありません。こうしたしがらみがない支払側は、患者さんの立場から見て、何が一番いいのかという視点から考えることが可能です。
これから本格的な高齢社会を迎える中で、支払側と診療側は、「皆保険丸」という船に一緒に乗っているのです。この船を難破させず、座礁させず、いかに航海するかが重要です。難破して一番困るのは患者さんです。お互いに厳しい場面もあるでしょうが、建設的な議論をしていきたいと考えています。  

<高齢者主治医「連携と情報共有がカギ」>

全国公私病院連盟と日本病院会が10日に開いた診療報酬改定説明会では、厚生労働省保険局の宇都宮啓企画官が、今年4月からスタートする後期高齢者医療制度の外来医療や在宅医療の中心となる「主治医」について、受診歴や服薬状況を把握して総合的な診療の提供などの役割を担うため、連携と情報共有が重要になることを改めて強調した。

同省が5日付けで出した通知では、主治医が算定する「後期高齢者診療料」(月1回600点)について、「当該患者に対して主病である慢性疾患の診療を行っている保険医療機関が算定」すると明記している。患者の同意を得た診療計画書に基づき必要な指導を行った場合に、計画の交付月から算定できる。

宇都宮氏は、「医政局が言う“総合医”は子どもやお年寄りまでを対象に、必要に応じて外科的な処置もできる。離島へき地で1人でも診察できるイメージだが、後期高齢者の主治医はお年寄りを診る内科医。大事なのは、患者の体だけでなく心や家庭環境などを全人的に診ること」と説明。その上で「例えば腰が痛くても(患者が)勝手に整形外科に行ってはいけないということではない。(整形外科を受診したという)情報が内科の主治医にも共有されることが大切」などと話した。

また、高齢者の受診・服薬状況を把握して無駄な投薬などをなくす必要性も強調した。
一方、後期高齢者が入院した場合には、身体機能などに関する総合的な評価をまず実施。退院を困難にする要因がある場合には総合評価を再度行い、その結果を踏まえた退院支援計画に沿って退院(転院)をサポートする。

宇都宮氏によれば、1回目の総合評価は「ある程度不安定な時期を超えた時期」に実施し、「後期高齢者総合評価加算」(入院中1回50点)を算定する。この段階で退院を困難にする要因が認められなければ、必要な入院医療を提供して退院につなげる。

ADLの低下や認知症の進行、家族による受け入れ困難など退院を妨げる要因が認められる場合は2回目の評価でその要因を明確にする。これらを踏まえた退院支援計画どおりに退院や転院ができた場合に「後期高齢者退院調整加算」(入院中1回100点)を算定する。
通知によれば、後期高齢者退院調整加算の退院支援計画は患者の同意を得た上で作成する。退院調整業務で2年以上の経験がある専従の看護師または社会福祉士が加わる「退院調整部門」(有床診療所では経験を有する専任者)の設置などが算定要件。


[2008/03/07]
 介護労働者の賃金、全国比で最低(沖縄)

<介護労働者の賃金、全国比で最低>

超高齢化社会が進展する中、人材の安定確保が望まれる介護労働者の低賃金や離職の多さが問題となっているが、県内の介護サービス施設従事者(月給者)の月平均賃金は18万5千円余で全国一低く、従事者の年間増加割合を表す増加率も2・0%で全国で最も低いことが介護労働安定センターの調べで分かった。

従事者の「現在の悩み」は「仕事の内容の割に賃金が低い」が32・4%(複数回答)で最も多かった。県内で人材確保に大きな課題があることが浮き彫りになり、超高齢社会へ不安材料を示した形だ。

県内のある事業者は「厳しい仕事の割に賃金が安いため福祉の理念とのギャップに悩まされ、主に若い人に早く辞める人が増えている」と指摘している。

調査は2006年秋に全国の事業所を対象に実施し1万1627事業所(回答率32%)から回答を得た。その結果、沖縄の月給者の平均賃金は18万5788円で、全国の21万3837円より約2万8000円低かった。全従事者の30・2%を占める非正社員の平均時給は1158円で全国平均より26円低かった。

1年前の従事者数に占める離職者数の割合を示す離職率は17・9%と、全国の20・3%よりもやや低いが、採用者数の割合を示す採用率は全国平均29・0%より大幅に低い19・8%で、全国一低かった。このため1年間で増えた従事者数の割合を示す増加率は、全国の8・7%より大幅に低い2・0%で、これも最も低かった。

本島南部にある小規模事業所のある経営者は「給与は利益に応じてしか決められない」と利用者が少ない小規模事業所の厳しい経営事情を語った。その上で「大規模事業所は利用者が多く給与を厚くできるが沖縄は全体的に賃金が安いため、周囲に合わせて安くしている。労働者より経営者の利益を重視する傾向がある」と指摘した。

ある従事者の女性(56)は「経営者と従事者の意識のギャップが大きく、ボランティア精神がないとできない仕事だ。人を好きでないと続かない。若い人はお金を求める傾向があり、自分に合わないと言って辞める人が多い」と話した。

介護労働安定センター県支部では国から補助を受け、昨年5月から失業者を対象に介護職員基礎研修を実施。20代から60代の幅広い年齢層の受講者に対し、就職面接会を開くなど介護労働者を“掘り起こし”、人材の安定確保に努めている。
(琉球新報より)

<外来管理加算の診療時間を明確化>

「外来管理加算」については、新たに問診と詳細な身体診察、患者への病状や療養上の注意点の説明、その要点のカルテヘの記載などが算定要件に加わり、その時間の目安に関して「患者が診察室に入室した時点を診療開始時間、退室した時点を診療終了時間とし、その間一貫して医師が患者に対して問診、身体診察、療養所上の指導を行っている場合の時間に限る」と明記した。

さらに、患者からの聴取事項や診療所見の要点をカルテに記載することに併せて、「外来管理加算の時間要件に該当する旨を記載する」とした。

外来管理加算は、標榜する科に関係なく算定できるが、患者が2以上の傷病で複数科を受診し、一方の科で処置または手術などを行った場合は、他科においては算定できない。

<後期高齢者診察料」は主病治療の医療機関>

「後期高齢者診察料」については、「当該患者に対して主病である慢性疾患の診療を行っている保険医療機関」が算定し、「2以上の診療科にわたり受診している場合においては、主病と認められる慢性疾患の治療に当たっている診療においてのみ」算定すると明記された。

この場合の主病とは、「患者の全身的な医学管理の中心となっている慢性疾患」をいう。また、継続的な診療を提供する観点から、「同一の保険医による診療を行うこと」を原則とした。 

病状の安定が見込まれた後できるだけ早期に、患者の基本的な日常生活能力、認知機能、意欲などについて総合的な評価を行った場合に算定できる「後期高齢者総合評価加算」では、医療機関内に総合的な機能評価に係る適切な研修を終了した常勤の医師が1人以上いることが要件。

「適切な研修」とは、日本医師会や日本老年学会、その他関係学会が実施するもので、研修内容には高齢者の病態の一般的な特徴、薬物療法、終末期医療、総合的な機能評価などが含まれていることとした。


[2008/03/01]
 ヘルパー1級過程、12年度に廃止へ

<ヘルパー1級課程、12年度に廃止へ>

厚生労働省は2012年度をめどに訪問介護員(ホームヘルパー)養成1級課程を廃止する方針を固めた。2級課程は当分の間続ける考え。
厚労省は介護職の専門資格について、国家試験に合格した介護福祉士と、一定時間の研修を修了すれば認定されるヘルパー2級では提供するサービスの質に差があるとして、将来的にヘルパー1級と2級をなくして介護福祉士に統一する方向で検討している。

ヘルパーが介護福祉士資格を取得できるよう、2006年度に「介護職員基礎研修」を創設。研修修了者が介護福祉士国家試験を受験できるようにする仕組みを現在検討中だ。
研修修了者はヘルパーの任用資格を得られるため介護現場で働くことができ、サービス提供責任者になれる。500時間の研修が必要だが、ヘルパー有資格者には研修時間の免除がある。ホームヘルパーの資格自体はすぐにはなくならないが、3級課程修了者は09年度から介護報酬の算定要件から外れるなど、厚労省は段階的に介護福祉士に統一する方針だ。

厚労省は2月27日、自治体の介護保険担当者向けの会議で、「まずは訪問介護員1級課程について、2012年度をめどに介護職員基礎研修に一元化を図る予定」と述べ、サービス事業者や関係団体などに周知するよう求めた。2級課程については「こういうルートも必要だということもあるので、当分の間は養成を継続する」と述べた。

◆基礎研修、実施自治体は半数
厚労省はまた、介護職員基礎研修について、実施しているのは29都道府県で134事業所にとどまるなど普及が進んでいない実態を説明。都道府県には積極的に研修を周知し、研修事業所の指定を進めてほしいと要望した。

500時間を必ず履修しなければならないと思い込んでいる有資格者もいるかもしれないとの懸念を示し、ヘルパー1級で実務経験が1年以上ある人は60時間の研修でよいなど、免除があることを周知してほしいと訴えた。

<看護師の離職率、大都市圏で高く>

病院に勤務する常勤看護職員の離職率は、大阪府や東京都などの大都市圏で高い傾向にあることが、日本看護協会(久常節子会長)が2月28日にまとめた調査から分かった。

また、離職率を下げるための取り組みでは、パートタイマー制など多様な勤務形態の導入に「効果があった」と感じている病院が多かった。日看協は「子育て期間中だけでも短時間で働ければ勤務は続けられる」と話している。

調査は昨年10月、全国の9、059病院を対象に実施し、2、815病院が回答した(回収率31.1%)。
結果によると、常勤看護職員の離職率の全国平均は12.4%。都道府県別では、大阪府(16.8%)、東京都・奈良県(16.0%)、神奈川県(15.4%)などで高く、逆に石川県(7.0%)、秋田県(6.4%)、山形県(5.6%)などでは低かった。

最高の大阪府と最低の山形県の間には3.0倍の格差があり、大都市圏での離職率の高さが際立っている。
また、現場が取り組んでいる離職防止策は「医療安全対策の充実」(95.5%)、「病院・看護部門の理念や方針の周知」(94.2%)、「教育研修体制の充実」(93.3%)など。

これらの対策で実際に効果を感じている病院が最も多かったのは、夜勤専従やパートタイマー、短時間労働の導入など「多様な勤務形態」の導入だった(取り組み病院の69.7%)。「子育て支援の充実」(同61.5%)や「教育研修体制の充実」(同61.1%)を挙げる病院も多かった。

◆新卒看護職員の離職率は看護配置手厚いほど低く
調査からはこのほか、病院で働き始めてから1年以内の新卒看護職員の離職率が、看護配置の手厚い病院ほど低くなる傾向にあることも分かった。

7人の患者に看護職員1人(7対1)を配置する病院の新卒看護職員の離職率が8.5%だったのに対し、患者15人に看護職員1人(15対1)を配置している病院では14.6%。看護配置が15対1に満たない場合の離職率は20.0%に跳ね上がった。

<女医バンク」就業件数53件に>

女性医師の再就職などを支援するため、昨年1月に開設された日本医師会(日医)の「女性医師バンク」の運用状況がまとまった。1年間で就業が成立したのは53件、再研修の紹介が4件だった。

同バンクは一昨年11月、日医が厚生労働省と「医師再就職支援事業」の委託契約を締結。日医内に「日本医師会女性医師バンク中央センター」を設け、昨年1月に業務を開始した。
業務開始から丸1年となる同バンクの登録状況では、求職登録者が256人、求人登録施設が715施設、求人登録が1、263件だった(今年1月29日現在)。その中で、就業成立は53件、再研修紹介が4件で、ほかに就業相談後に同バンクに登録がない医療機関に就業が決定したケースと現在の勤務先で就業継続につながったケースが合わせて8件あった。

また、登録時に就業中だった人の求職理由は、「非常勤勤務中であったが、時間・回数・内容の充実を求めた」、「非常勤勤務中であったが、常勤での勤務を求めた」、「常勤勤務中であったが、転居のため」などだった。

一方、登録時に未就業だった人の未就業理由は、「出産・育児」、「転居(結婚など家庭の事情)」、「本人の病気」の順に多かった。
出産・育児を理由に勤務を中断したケースが多いことなどについて、日医は「状況に応じて勤務を増やしていきたい女性医師のニーズが存在している」と指摘している。

さらに、就業・再研修決定者の現状に関しては、「継続中(常勤は全員)」が80.7%、「これから就業」が7.0%で、「中断」は12.3%に過ぎなかった。

中断理由は、「常勤での就業が可能な他施設への変更」や「通勤(時間)に無理があったため」などで、日医は「ほとんどの就業決定者が就業を継続しており、今後も継続の意志を持っている」とし、「女性医師の就業継続に向けて、女性医師のモチベーションをいかに維持するかについて考慮することが必要」とみている。

<4月から引き下げ」大勢 情報の公表手数料>

介護サービス事業者から「高すぎる」との大ブーイングだった情報の公表の調査事務手数料・公表事務手数料について、大半の都道府県が来年度から引き下げる見通しであることが本紙の調べで分かった。

新年度から予防サービスやショートステイなど22サービスが公表対象に加わるが、別途手数料は徴収しないというのが大勢だ。「制度施行から2年が経過し、事務作業の効率化が進んでいる」というのが引き下げの建前の理由だが、事業者からの突き上げや、厚労省からの引き下げ圧力がかかったことが実際の理由のようだ。

06年度から導入された介護サービスの情報の公表は、調査機関の調査員が各サービス事業所に出向いて調査を行う際の「調査事務手数料」と、その結果を都道府県が指定する情報公表センターが公表する際の「公表事務手数料」を、事業所が負担して費用をまかなう。手数料は都道府県ごとに設定する。初年度の手数料平均額は、公表手数料が1万2845円、調査事務手数料が4万2041円(厚労省、07年7月まとめ)。

調査手数料はサービスの種類ごとににかかるため、複数サービスを展開している事業所や小規模の事業所には重い負担だ。「手数料で天下り先をつくっている」「情報が利用者に活用されていない」という不満がくすぶっている。前回改正で導入された仕組みの中で、おそらく逆風はナンバーワン。 「高すぎ批判」を受け、昨年度香川県、高知県、岡山県、広島県、北海道の5道県は手数料を引き下げた。

(シルバー新報より)

<4つの柱が盛り込まれた点は評価できる 日看協>

日本看護協会は28日の記者会見で、2008年度診療報酬改定について「厚生労働省に要請していた『4つの柱』がすべて盛り込まれたのは成果といえる」との見解を示した。要請していたのは、?産科・小児科への重点評価?診療所・病院の役割分担等?病院勤務医の事務負担の軽減?救急医療対策―の4点。その中で、「7対1看護の堅持、退院時当日の訪問看護などの要望が実った」という点を特に評価した。

同協会は、要請実現を評価した一方で、「訪問看護支援医療費は12年ぶりに引き上げられたが、依然として低く、24時間体制の訪問看護を拡充し、盤石な在宅医療の仕組みを構築するには力不足と言わざるを得ない」とした。