
<病床利用率低い病院は「医療資源の無駄」>
総務省の「公立病院事務担当者会議」が15日、総務省内で開かれ、濱田省司地域企業経営企画室室長が昨年末に都道府県および指定都市に通知した公立病院改革ガイドラインのポイントについて解説した。地方公共団体が2008年度に策定予定の公立病院改革プランについては、公立病院に「権限と責任」を持った病院経営を遂行してもらうため、病院文化の変革につなげてほしいと強く要請した。濱田室長は、改革プランの作成に当たって、「税金をつぎ込んでまで運営する公立病院の存在意義は何か、それが改革プランの議論のスタートだ」とも指摘した。
公立病院改革ガイドラインでは、経営の効率化を進める目安として、「病床利用率が過去3年連続で70%未満の病院について、病床数などを抜本的に見直す」としている。この点について濱田室長は、病院の財務に関する改善指標として、経常収支比率、職員給与費比率、病床利用率の3指標を必ず設定することが必要とした。
その上で「病床利用率が恒常的に低い施設は、医療資源の無駄といわれても仕方がない」と厳しい判断を示した。また、現行の体制を是とするのではなく、当該公立病院の必要性の有無を十分に議論した上で、必要とされた公立病院をしっかり支えていく方向を示してもらいたいとも述べた。
◆「公立病院改革ガイドラインQ&A」を作成
総務省は、この日の会議で地方公共団体から質疑のあった事項をまとめた「公立病院改革ガイドラインQ&A」を配布した。
改革プランの目標数値の設定では通常の場合、最終目標数値は一般会計繰り入れ後の経常収支比率が100%以上、病床利用率は少なくとも70%以上となることを想定していると回答した。
例えば、医業収支比率(95%を11年度までに達成)、経常収支比率(100%を11年度までに達成)、職員給与費対医業収益比率(52%を11年度までに達成)、病床利用率(11年度までに80%を達成)、不良債務残高(07年度末不良債務残高を11年度までに解消)などを事例として挙げている。
会議での質疑応答では、都道府県担当者からの「改革プラン作成での3年間の対象年度はどうなるのか」との質問に対し、濱田室長は「05年度、06年度、07年度の3年度分を対象にする」と回答。また、2つの県立病院を保有する県からの「1施設は黒字決算になるが、もう1施設は継続的に赤字を計上しており、2病院での改革プランの作成は可能か」との質問には、「改革プランは基本的に病院単位」と説明。その上で、継続的な赤字については一般会計からの繰り出しの見直しが必要ではないかと問題提起した。
【公立病院改革ガイドラインQ&A(抜粋)】
第1 公立病院改革の必要性
1.公立病院の現状と課題
略
2.公立病院改革の目指すもの
(1)基本的な考え
Q3 公立病院改革を進める意図は何か。
A3 今般の公立病院改革の究極の目的は、改革を通じ、公・民の適切な役割分担の下、地域において必要な医療提供体制の確保を図ることにあると思料。具体的には、各公立病院がその地域で担うべき医療を適確に実施していけるよう、必要な医療機能を整備するとともに、経営の改革を進め、持続可能な公立病院を築き上げることにある。
Q4 病院経営は「医療の質の向上」と「健全経営」が両輪となって運営されるべきであり、経営効率化のみの視点だけでは現場の士気が上がらないのではないか。
A4 公立病院改革の究極の目的は、地域において必要な医療提供体制の確保を図ることにあると考えており、ご指摘の両輪で進めていくべきことは当然である。しかしながら、一方で経営効率化を軽視すると病院の経営が成り立たず、結局地域の医療提供体制に支障が生じてしまうことにもなりかねないことに留意が必要と考える。
(2)公立病院の果たすべき役割の明確化
Q5 医療サービスは民間提供が原則であり、公的医療機関は民間の補完的役割を担うということと理解してよいか。
A5 公立病院の責務と役割は、それぞれの病院の立地条件等により異なるものであるが、地域において必要な医療は公・民の適切な役割分担によって提供されるべきもの。この観点から、民間医療機関に委ねることが可能な分野については、民間医療機関に委ねるという考え方を基本に、公立病院改革に取り組むことが適当であると思料。
Q6 同一医療圏内に複数の病院等が並存している場合に、他の医療機関が引き受けない感染症医療や周産期センター等のような不採算な部分のみを引き受けさせられることも想定でき、逆に経営が悪くなってしまう可能性もあるのではないか。
A6 例えば感染症や救急医療などの不採算な部分の医療を提供するためには、病院自体に通常の医療提供に係る相応の規模・機能が必要となる場合が一般的であると考えられ、合理的に必要な範囲でこれを保持することは支障がないと考えられる。また、医療計画において当該公立病院が担うべきとされた不採算部門については、最終的に一般会計において所要の経費負担が行われるべきものである。
なお、大都市部等で、一般的に不採算部門とされる特殊な医療分野に特化した場合においても、スケールメリット等によリー定の採算性の確保が見込まれる場合には、そうした機能に特化することによる他の医療機関との役割分担の徹底も検討の対象とすべきものと考える。
一部略
3.公立病院改革の3つの視点
Q9 「経営効率化」、「再編・ネットワーク化」、「経営形態の見直し」の3つの視点とした理由は何か。
A9 3つの視点は、これまでも病院事業あるいは地方公営企業全体として取り組んできた課題であり、今日の公立病院の経営環境を踏まえれば、これらの3つの視点に立った改革を一体的に進めることで、各公立病院に真に必要とされている機能を安定的に確保する体制を構築することが求められることによる。
Q10 病院経営の健全性確保の根幹は、医療体制の整備、特に医師が確保できるかどうかにかかっているが、地方の公立病院としては、大学病院に医師の派遣を頼らざるをえない現実がある。派遣元の医局の医師不足が解決しない限り、地方の公立病院の健全化は厳しいのではないか。
A10 国として中長期的な医師の養成も含めた医師確保対策は講じているところであるが、各公立病院において十分な医師確保の見通しが立てられない場合には、これに対応した医療提供体制の見直し自体も検討していく必要があると考える。大学病院による医師派遣が不確実となった状況下、機能分担により基幹病院に医師を集約し、ネットワーク内の医療機関に医師を派遣するといったシステムを実現するためにも再編・ネットワーク化が必要。また、医師等の勤務環境整備のためにも、「医師にとっても魅力のある病院」が実現されるよう、自律的な経営形態の下での健全経営の確立が求められていると考える。
Q11 経営の効率化を優先すると「へき地医療」「救急医療」などの不採算部門の切捨てに繋がるのではないか。
A11 ガイドラインにおいては、地域医療の確保のために各公立病院が果たすべき役割を、まず明らかにし、所要の一般会計負担を求めた上で、病院を持続できるものとしていくために経営の効率化を求めているのであって、地域において真に必要な医療提供体制の確保よりも効率性の追求を優先させることを求めているものではない。財務内容の改善のみならず公立病院として果たすべき医療機能についても数値目標を設けるよう要請しているのは、このような位置づけにあるとご理解願いたい。
以下略
<介護職の雇用環境改善の議論開始>
厚生労働省は4月18日、「介護労働者の確保・定着等に関する研究会」(座長・大橋勇雄中央大大学院戦略経営研究科教授)の初会合を開き、雇用管理や処遇改善など、介護労働者がやりがいを持って働ける環境づくりに向けた議論を開始した。7月に中間報告をまとめ、内容を来年度予算に反映させたい考えだ。
研究会では今後、賃金実態などを含む介護労働市場の現状を踏まえて、介護労働が目指すべき姿のほか、雇用管理や処遇の在り方、生産性の向上などについて話し合う。このほか、介護福祉士などの潜在的な有資格者や多様な人材の参入についても議論し、ハローワークの求職と求人のマッチング機能や募集・採用ルートを検証するなどして、人材確保・定着の方策を考える。
この日の研究会では、賃金や離職率など介護職の現状について議論した。事務局が公表した産業・職種別年齢賃金カーブによると、男性の年収は、17歳までを除くすべての年齢層で製造業が最も高く、福祉施設介護員が最低だった。差が最も開いた45-49歳を見ると、製造業が712万7、000円で、福祉施設介護員が362万1、000円。女性は、ケアマネジャーが全年齢層で最も高く、18歳から54歳まではホームヘルパーが最低だった。45-49歳では、ケアマネジャーが409万4、300円で、ホームヘルパーが284万9、200円。
離職率を見ると、全産業の16.2%に対し、介護職は20.3%。事業所の規模が小さく、勤続年数が短いほど高かった。施設で働く職員の悩みとしては、「賃金が低い」や「夜間に何か起きないかと不安」が多く、訪問系では「決まったサービス行為以外を要求される」が多かった。訪問介護サービス事業所職員の分布を見ると、1年間の離職率がゼロの事業所と30%以上の事業所に多く、二極化が見られた。
事務局は介護職員の需要について、後期高齢者や要介護認定者数の増加などから、2014年には現在の100万人から140-160万人にまで増えるとの試算を明らかにしたが、算出方法についての疑念が出たため、改めて試算することにした。
次回会合は25日の予定で、全国老人保健施設協会や日本在宅介護協会などからヒアリングをする。
<後期高齢者診療料」各地で届出拒否の動き>
4月からの後期高齢者医療制度のスタートに伴って創設された「後期高齢者診療料」について、届出を行わないよう求める動きが、都道府県医師会や郡市医師会などで出始めている。山形、茨城などでは出来高払いで算定するよう求める文書を会員向けに送付した。
同診療料は糖尿病、高血圧などの慢性疾患を「主病」とする後期高齢者に対して、診療計画書に基づいて継続的な外来医療を行った場合に評価するもの。月一回につき600点となっている。医科点数表によれば、患者に対して行われた医学管理等、検査、画像診断、処置は「後期高齢者診療料」に含まれる。ただし、病状の急性増悪時に実施した検査、画像診断及び処置のうち、550点以上の項目については別途算定できるものとされている。算定基準では、治療管理にかかわる診療計画書(3月に1回あるいは最長1年間)を交付すること、年1回の健康診断、年2回以上の日常生活能力、認知機能、意欲等の生活機能評価を行うことになっている。
医師会では一つの医療機関しか算定できないことから、「患者の囲い込みがおきかねない」、「フリーアクセスの阻害に繋がる」と反発している。
高齢者の疾病の特性を見ると、糖尿病や高血圧などの複数の疾患を持っており、それぞれの疾患を診てもらうために複数の診療所に係っているケースが多い。そこで患者の慢性疾患を診ながら他の医療機関の受診状況の把握や服薬管理などを行う医療機関の主治医機能を評価する「後期高齢者診療料」が導入されたとされる。
◆ちらつく人頭制
同診療料創設には、国保中央会が提案した登録医制導入などが背景にあると考えられていて、登録医は人頭制を想定したと、日本医師会などが反発する理由の一つにはこのあたりではないかとされている。人頭制はイギリスで導入され、1医療機関に登録した患者しか診療できない制度で、登録した患者の数に応じて診療報酬が支払われるというもの。
保団連(全国保険医団体連合会)は、後期高齢者医療制度の診療報酬の基本的考え方が示された今年1月の段階で反対する意見を示していた。「慢性疾患に対する管理を通じて、高齢者が複数の医療機関にかからないよう受診と服薬の管理・抑制を図る」と指摘し、複数の疾患を抱えている高齢者の継続的な医学管理を行う担当医を1医療機関に限定することで他の医療機関が行う必要な治療が制限されかねない」、「担当医の受診が優先されフリーアクセスに制限が加わる」、「一人の医師が患者情報を管理し、生涯の総合的な医学管理を行うことは登録人頭制導入の布石」との危惧も示していた。
◆フリーアクセスを制限せずと対応に必死
厚労省は、同診療料を巡って問い合わせや反発が出ているため、3月28日に「疑義解釈」の事務連絡を各都道府県に向け発出した。同診療料を届け出ず、出来高で算定も可能としたほか、同一診療所で同診療料を算定する患者と算定しない患者の混在を認め、算定の際、診療所及び病院は在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院である必要がないことなどを示した。同一患者については同診療料を算定する月と算定しない月が混在を認めず、患者の都合で同一月内に同診療料を算定する診療所を変える場合は当該月の算定は前月まで算定していた診療所が算定できる旨も明記した。
患者の都合で複数の診療所を受診している場合は、「慢性疾患を主病とする後期高齢者に対し継続的な診療を提供し計画的な医学管理のもとに患者の心身の特性にふさわしい外来医療の提供を行う」との観点から、いずれの診療所も同診療料を算定できず、出来高となることも記している。
加えて、4月9日には「長寿医療制度の診療報酬について」と題する広報をホームページにアップし、医療関係者向けに、今まで受けていた医療が75歳を境に変わるものではないこと、フリーアクセスが制限されないことを強調した。生活を支える医療を前面に出し、入院中の患者を追い出すのではなく、在宅復帰し在宅医療に移行するとともに訪問看護を充実していくという内容を訴えた文面を発表した。
<入所者虐待>岡山の認知症施設NPO、事業者指定取り消し>
入所者に対する虐待があったなどとして、岡山県津山市は17日、同市の認知症対応型施設「グループホームRing」を運営するNPO法人に対し、介護保険法に基づき事業者指定を取り消す処分(30日付)を決めた。厚生労働省によると、入所者への虐待を理由にした指定取り消しは全国初。
市によると、法人は「高齢者介護研究研修実践の会Ring」(藤井諭理事長)。3月の監査で、70〜90代の入所女性5人のうち3人の体重が、入所後7〜15カ月で14〜17キロ減少していた。最も減った女性(93)は45キロから28キロになっており、3人とも医療機関で「低栄養またはそれに準ずる状態」と診断された。
市は、施設が衰弱した状態を知りながら放置するなど、介護義務を怠った虐待に当たると判断。他に勤務実態の虚偽報告もあったことなどから指定取り消しを決めた。
藤井理事長は「入所時の体重は(医師が)目算したもので、実測値ではない。体
重減少や長時間の放置、介護放棄は一切ない。市の説明は事実無根。客観的証拠を基に法的に反論する」と話した。
同ホームは03年12月に設立され、藤井理事長ら8人で運営する。定員18人に対し現在の入所者は3人。2人は既に受け入れ先が決まっており、残る1人への対応を市と家族が検討している。
(毎日新聞より)
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