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[2008/05/21]
 後期高齢者診療料めぐり意見交換

<後期高齢者診療料めぐり意見交換>

中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大教授)は5月21日の総会で、後期高齢者(長寿)医療制度に合わせて今年4月の診療報酬改定で新設した「後期高齢者診療料」などの点数について、各委員から意見を聞いた。中医協の部会は、4月の診療報酬改定に伴う影響などを検証する予定で、厚生労働省も検証の結果を踏まえ、必要に応じて点数算定の仕組みを見直すなどの対応を取る方針だが、総会では「(後期高齢者医療)制度と診療報酬は区別して考える必要がある」など、現在の仕組みを直ちに見直すことには慎重な意見が相次いだ。

後期高齢者診療料は、「主病」である糖尿病などの慢性疾患を診る診療所の「担当医」が、患者の同意を得た計画に基づいて必要な指導や診療を行った場合に、毎月一律600点(1点は10円)を算定する仕組み。処置や検査などの費用が包括されるため、「必要な処置を受けられなくなりかねない」といった懸念の声も上がっている。

厚労省によると、4月14日現在、全国で8876医療機関が同診療料を算定しているが、青森県内では算定する医療機関がないなど、地域差がある。
総会で厚労省側は、同診療料を算定する医療機関で患者に提供する医療が制限されることはない点や、担当医を決めた後も別の医療機関をいつでも受診できる点などを強調。「逆に言うと、緩い仕組みになっている」と説明した。

委員による意見交換では、国会などでの同制度の取り上げ方について、「この問題を政争の具にして、逆に不安をあおっている」などと、制度への批判に“反論”する一幕もあった。

<後期高齢者医療制度に反対の意思表示を!>

5月20日に開かれた日本看護協会の2008年度通常総会。一般参加者や代議員から、後期高齢者医療制度に対する批判と、執行部に対する「反対の意思表示を!」という声が次々に上がった。

口火を切ったのは、東京の代議員。
「4月の看護協会声明を読ませていただいたが、残念ながら悲しいし、腹が立つし、情けないという思いがあった。訪問看護の評価についてはたくさん書かれていて、それはそれで納得はできるが、後期高齢者医療制度の全体像については、ほとんどと言っていいほど触れられていない。命を年齢で区切るなど許されないことであり、多くの医師会でも反対を表明している」
一般参加者からも、強硬な意見が出された。

「4月14日の声明は、世論と少しずれていると思います。国民の健康と福祉を守る職能団体として、制度の問題点をきちんととらえ、国民の声を聞き、国に対しても許せないことについてはしっかりと意見が言えるようにしてもらいたい」

こうした意見に対し古橋美智子副会長は、「現在、迷走しているのは保険制度そのもの、負担や保険料について。看護協会としては、後期高齢者と呼ばれる人たちの暮らしを重視して、その中で介護を考え、そして必要な医療を考える、というスタンスに立っている。その上での訪問看護。制度については、改めて議論が行われるということなので、その議論を待ちたい」と述べた。

さらに、それを受けた代議員の発言には大きな拍手がわき起こった。
「そもそも、国民はこの制度そのものに反対している。医師会も多くが反対。75歳以上の人たちはじめ、多くの国民は、怒っている。それなのに、看護協会は制度の是非を問うこともなく、『制度が通ったからこうしよう』と言っている。そのことは非常に残念。ぜひ、看護協会も医師会のように反対の声明を出せないものか、期待している」

<介護従事者処遇改善法案が成立へ>

介護従事者の待遇改善を図り、介護現場の人材不足を解消するため、超党派で提出した「介護従事者処遇改善法案」は5月20日、参院厚生労働委員会で全会一致で可決された。21日の参院本会議で成立する見通し。

介護人材の確保をめぐっては、民主党が今年1月、地域別、サービス内容別に平均的な賃金水準を決めた上で、その水準を上回る賃金を支給する介護事業所を「認定事業所」として介護報酬を3%加算することを柱とする法案を衆院に提出。この案では、介護労働者の賃金が月額2万円程度の引き上げとなる試算だった。

しかし、「財源の裏付けがない」などと自民党が批判。成立の見通しが立たない中、民主党が介護人材の確保に関する法整備を優先する観点から、提出した法案を取り下げた。その後、与野党協議を経て、超党派による「介護従事者処遇改善法案」が提出され、4月25日の衆院本会議で可決、参院に送られた。

同法案は「来年4月までに、介護従事者の賃金をはじめとする処遇を改善するための施策の在り方について検討し、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずる」としているだけで、早急な具体策が求められている。

この日の委員会では、介護サービス事業者の不正事案の再発防止などを目指す政府提出の「介護保険法改正案」も全会一致で可決された。

<社会福祉系大学で志願者離れ>

福祉現場の人材不足が深刻化し、担い手の養成や確保が重要な課題になりながら、社会福祉系大学への志願者が2005年をピークに大幅に減少していることが、5月20日までに分かった。大手予備校・河合塾(名古屋市)の集計では、社会福祉系大学への今年春の志願者は約3万4800人で、昨年に比べ2割近く減少。低賃金で劣悪な労働条件にある福祉職を学生が敬遠しているとみられ、若者が生涯の仕事として福祉職に魅力を感じる施策を国が早急に打ち出すことが求められている。

関係者約700人を集め、東京都内で18日に「福祉関係者共同フォーラム」を開いた実行委員会などによると、福祉労働者の賃金は正規職員でも月額十数万-20万円程度。全産業の約6割にとどまり、若年労働者の多くは年収200万円未満の“ワーキングプア”の状態に置かれている。介護職の場合、離職率は20.2%に上り、全産業平均の17.5%を上回っている。

こうした状況を反映し、社会福祉系の大学や専門学校で社会福祉士や介護福祉士などの資格を取得しても、「将来に展望を持てない」という理由で福祉職に就かない学生が増えている。社会福祉学科では有数の歴史を持つ都内の私立大では、学生の7-8割が社会福祉士の資格を取得していたが、約2年前からは4割程度にまで落ち込んでいるという。

社会福祉系大学への志願者減少の背景には、卒業後の進路に対する不安があるとみられる。河合塾によると、社会福祉系大学への志願者は05年をピークに次第に減少。社会福祉系の学科などを設置している全国の大学のうち、104私立大について今年の一般入試の延べ志願者数を調べたところ、3万4807人と昨年の4万2799人に比べ18.7%も減っている。

河合塾の話では、長引く不況から大企業などが求人を絞っていたころは「将来に備えるという目的で、学生の間に『資格志向』が根強く、介護福祉士や社会福祉士を取得できる社会福祉系の大学は人気が高かった」という。しかし、企業の業績が回復し、新卒への門戸を広げ始めた2-3年前から、様相が一変。社会福祉系への志願者が減り、就職時に選択の幅が比較的広い経済学部や法学部などの人気が高まってきている。

河合塾では「福祉職の厳しい現状を報道などで知り、そのような現場で働くことが想像以上に大変だと、受験生の意識が変わった面もあるのではないか」とみている。

<インドネシア人看護師らの受け入れ施設を募集>

インドネシアとの経済連携協定(EPA)に伴う、インドネシア人看護師・介護福祉士の受け入れ施設の募集が、5月19日始まった。

この日、「経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定に基づく看護及び介護分野におけるインドネシア人看護師等の受入れの実施に関する指針」が公示された。これにより、社団法人国際厚生事業団が唯一のあっせん機関となり、同事業団が受け入れ施設の募集を始めた。募集期間は6月1日まで。

看護師候補者の受け入れ施設は、看護師学校養成所の臨地実習受け入れ病院と同様の体制が整備されている病院であることが前提条件。その上で、看護師の人数など7項目の要件を満たす必要がある。

介護福祉士候補者の受け入れは、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などで定員が30人以上の介護施設。このほか4項目の要件を満たす必要がある。

また、同事業団では東京と大阪で説明会を開催する。東京は22日、国立がんセンター内の国際研究交流会館。大阪は23日、トーコーシティホテル梅田。

<インドネシア人看護師ら500人、7〜8月の来日が正式決定>

日本とインドネシアの経済連携協定(EPA)に基づき、7月下旬から8月初旬にかけ、インドネシア人看護師200人と介護士300人が来日することが19日、正式に決まった。

来夏も同様で、2年間で計1000人を受け入れる。人手不足が深刻な医療・福祉分野で、初の本格的な外国人労働者の受け入れとなる。

EPAは昨年8月に両国政府が署名、今月16日に日本の国会で承認された。これを受け、インドネシア海外労働者派遣・保護庁と、日本側受け入れ調整機関の厚生労働省の外郭団体「国際厚生事業団」(東京・新宿)が19日、ジャカルタで覚書を交わした。国内では同日、受け入れ施設の募集が始まり、インドネシアでも候補者の募集が行われる。

<年金改革 税方式「消費税上げ13%も」>

政府の社会保障国民会議は19日の所得確保・保障分科会で、読売新聞社、自民党の議員連盟「年金制度を抜本的に考える会」、日本経済新聞社などが提案した年金改革案に基づき、それぞれの案に必要となる消費税率などを計算した財政試算を発表した。

2009年度に改革を行う場合、日本経済新聞社などが提案した基礎年金を税でまかなう「全額税方式」を導入すると、現行5%の消費税率に4・5〜13%(1%を2・8兆円で換算)の上乗せが必要となることが分かった。これに対して、税と保険料でまかなう現行の「社会保険方式」を修正した読売案では2%の消費税率上乗せにとどまった。

政府が「全額税方式」の将来試算を行ったのは初めてで、試算にあたり、自民党の議員連盟や日経新聞などにより提案されている案を踏まえ〈1〉全員に基礎年金の満額(月6・6万円)を一律給付〈2〉過去の保険料未納分に応じて基礎年金を減額〈3〉全員に満額給付し、過去の保険料納付者に加算――の3類型に分けた。

それぞれの類型により、政府が決定した基礎年金の国庫負担率を3分の1から2分の1に引き上げるための2・3兆円のほかに、9〜33兆円の財源が必要という結果となった。

また、〈2〉〈3〉の場合は、制度の完全移行に65年間程度かかり、全額税方式を20年間かけて段階的に導入すると、85年かかるケースもある。

一方、読売案は、基礎年金満額の月7万円への引き上げに1・2兆円、低所得の高齢者世帯に対する5万円の最低保障年金創設に1兆円など新たに必要な財源は計5・7兆円だった。

また、「全額税方式」導入時の消費税負担の増加分と、「社会保険方式」廃止による保険料負担の減少分の差を比較した結果、勤労者世帯では消費税の負担が月平均0・7〜4・2万円増えるのに対し、保険料負担は同最大9000円減にとどまり、すべての年代で負担増になることが分かった。65歳以上の場合は、より負担が重くなる傾向がある。

過去の年金積立金を活用し、「全額税方式」導入時の税率引き上げを遅らせるとしても、最長で7年程度しかもたない。

(読売新聞より)

<保険免責1000円で医療費負担4割に>

健康保険から給付される医療のうち、一定の金額までは医療保険の適用を免除して全額を患者の自己負担とする「保険免責制」の導入を、財務相の諮問機関「財政制度等審議会」(西室泰三会長)が検討している。仮に1000円の保険免責制が導入されると、患者の自己負担が現行の3割から4.1割に跳ね上がるため、日本医師会などが「公的医療保険が崩壊する」と反対している。

日医などによると、医療制度の改革が議題となった4月25日の財政審では、保険免責制の導入について、2009年度予算編成に向けた建議(意見書)の取りまとめに向けた議論の中で検討するという意向が示された。

外来一人当たりの医療費と患者負担は、06年には一般の医療費が平均で6413円、老人(現在は後期高齢者)が7230円。患者負担は、一般が3割で1920円、老人が1割で720円だった。
免責額が1000円の場合には、医療費が1000円までは保険が適用されず、全額が自己負担に。そして、1000円を超える部分について、その超過額の3割が患者負担となる。

仮に1000円の免責制が導入されると、06年時点の6413円の一般医療費のうち、1000円が免責となり、残りの医療費5413円の3割(1620円)が患者負担となる。このため、免責額の1000円と3割負担分の1620円の計2620円が患者負担となり、医療費全体の4.1割を占めることになる。

これを老人医療費に当てはめると、06年の負担額720円は1620円となり、現行1割の2倍以上の2.2割の負担となる。
日医は「保険免責制は、保険の給付範囲を狭め、医療の格差を助長する」と指摘。「国の財政や経済界には、メリットをもたらすかもしれないが、将来は、疾病の重篤化を招き、公的医療保険の崩壊につながる恐れもある」と反対している。

また、全国保険医団体連合会なども「保険免責制が導入されれば、受診頻度が高い患者ほど負担が重くなる。保険証1枚でかかれる公的医療を縮小させて、保険がきかない医療を拡大することだ。国民皆保険制度を根底から崩すものであり、絶対に認められない」と批判している。

看護師1人で開業実現>

潜在看護師を掘り起こし、制度にとらわれない柔軟な支援で在宅ケアに携わる看護師を増やす活動などを行っている全国訪問ボランティアナースの会キャンナス(菅原由美代表)が中心となり、7月に「日本開業看護師会」を発足させる。現在は制度上、2・5人以上いなければ開設できない訪問看護ステーションの基準緩和を求めたり、開業意志を持つナースの全国的なネットワークづくりを行っていく。

呼びかけ人代表の菅原さんは、「人員基準が緩和されればもっとたくさんの看護師が独立し、地域で困っている人を支えることができる。自己責任、自己決定ができるナースが増えることは、在宅ケアを推進する原動力になるはず」と話している。発会式は7月19日、東京都港区の女性と仕事の未来館で開催する予定だ。

訪問看護ステーションは最低基準が2・5人以上となっており、医師やケアマネジャーのように看護師が1人で独立・開業することはできないのが現状だ。キャンナスでは昨年10月、在宅ケアや開業に関心のある看護師を対象に「1人開業」の実現に向けて活動していくネットワークづくりを呼びかける集会を開催したところ、150人が集まり、「1人で開業できるなら訪問看護事業をしたい」「看護師としての路を模索している中で参考になった」など賛同する声が多かったという。新しい看護師の働き方を切り拓く活動に発展させていくため、このほど開業看護師会として正式に発足させることとした。

(シルバー新報より)


[2008/05/10]
 医学界と国会議員が意見交換

<医学界と国会議員が意見交換>

超党派の「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」(会長・尾辻秀久元厚生労働相)は5月9日、衆院第二議員会館で会合を開き、元日本外科学会会長の門田守人阪大医学部教授と日本内科学会理事の池田康夫慶大大学院教授、日本耳鼻咽喉科学会理事長の八木聰明日本医科大主任教授が医師不足など医療の現状について講演した。会合には国会議員約20人が参加。医学界と同議連が、日本の医療の危機的状況を打開するため、今後の協力を確認し合った。

門田教授は講演で、医師全体の数は毎年約8000人ずつ増えてはいるものの、いわゆる「一般外科」の外科医は1996年には2万8245人いたが、8年間で約6%減少しており、当直明けの手術など過重労働や訴訟リスクなどが外科医不足に拍車を掛けていると述べた。

「救急医療の崩壊は、救急を担っている外科医の不足が問題」とも指摘。その上で、「世の中がここまで傾いている時に、議連が立ち上がったことは、わたしたちにとって非常に心強い。やっと立法府が動いてくれるという強い気持ちを持てる」との期待感を示した。国が進める医療費抑制政策については、必要な医療が提供できなくなるため憲法25条の生存権に反するとの見解を示し、議連には医療費の確保を求めた。

池田教授は「医学界は日本の医療についての社会的責任を持つため、行動しようという考えに移ってきている。こういう機会を多く持ち、医学界と国会議員のパイプをつくっていかねばならない」と述べ、学会という医師のコミュニティーと国会議員の交流が今後必要との考えを強調。また、これまで国会議員らと議論するのは医師会が多かったと指摘し、将来的な展望を見据えて医学界とも交流してほしいと要望した。さらに、今後医師が看護師や薬剤師などと医療の業務を分担していく方向性についても触れ、「法的な問題が出るので、国会議員の協力をお願いしたい」と述べた。

八木教授は医師不足について、「技術を継ぐ人がいなくなり、医療が発達しなくなる。次の世代が育たなくなることが問題」と、指導者がいなくなることへの懸念を表明。「議連と一緒に考えていきたい」との姿勢を示した。

◆「中医協はもっと幅広い議論を」

講演後の意見交換で、自民党の南野知恵子参院議員は「中央社会保険医療協議会(中医協)にはわれわれも正規の委員としては入れないので、(委員の枠を)もっと広げるべきだと思う。(医学界にも)声を出してもらわないと、インカムのバランスが取りにくい」と指摘した。

これに対し、門田教授は「中医協の占める役割は非常に大きいが、わたしたちも入れない。ぜひ国会議員にお願いしたい」と応じた。また、池田教授は「今、医療について多くの人たちが話し合うようになってきている。中医協はもっと幅広い議論をしていくべき」と指摘したが、南野参院議員は「なかなか変わらない」と述べた。

同議連副会長の公明党の坂口力衆院議員は閉会のあいさつで、「今回の議論で問題が浮き彫りになった」と感想を述べた。また、「経済財政諮問会議などは経済に医療を合わせようと真剣に言うのだが、できるわけがない。立場によって見方は違うが、医療費について合意を目指したい」と、医療費抑制政策の方向転換に向けた意気込みを強調、医学界と今後も協力していく姿勢を示した。

<高齢者診療料、72医師会で不算定>

日本医師会はこのほど、都道府県11か所と郡市区61か所の合わせて72か所の医師会が、「後期高齢者診療料」を算定しないよう会員に呼び掛けていることを明らかにした。

また、算定について慎重な対応を求めているのは都道府県14か所と郡市区36か所の医師会で、都道府県22か所と郡市区36か所の医師会では「対応を検討中か、対応しない」という。

日医が各医師会を対象にアンケートを実施し、同診療料への対応を聞いた。アンケートは現在、回収中で、5月8日時点の状況をまとめた。

後期高齢者診療料は、後期高齢者(長寿)医療制度の創設に合わせて4月の診療報酬改定を機に導入された。「主病」である糖尿病などの慢性疾患を診る診療所の「担当医」が、患者の同意を得た計画に基づいて必要な指導や診療を行った場合に、毎月一律600点(1点は10円)を算定する仕組み。

処置や検査などの費用が包括されるため、「必要な処置を受けられなくなる」といった懸念もある。
日医の竹嶋康弘副会長は8日の定例の記者会見で、同診療料について私見と前置きした上で、「あまりにもがたがたすると、国民は混乱するばかりだ。見据えるところは見据えるということもないといけない」と強調。その上で、各医師会の意向を踏まえながら、同診療料に対する日医としての見解を近くまとめる方針を示した。

<08年度末に新医療制度廃止 野党4党原案 6月上旬参院可決目指す>

民主、共産、社民、国民新の野党4党が参院に共同提出する「後期高齢者医療制度(長寿医療制度)廃止緊急措置法案」の原案が8日、明らかになった。2008年度いっぱいで新医療制度を廃止し、09年4月1日から、新制度導入以前の老人保健制度に戻すため、政府に対し必要な法制面や財政上の措置を講ずるよう義務付ける内容。

4党の政策責任者が13日から協議を始め、合意が得られれば5月下旬にも提出し、6月上旬に参院での可決を目指す。批判が強い新制度の廃止法案を衆院で与党に突き付け、福田政権を揺さぶる狙いがある。

ただ、制度を戻せば、新制度で負担が軽くなった一部の高齢者には逆に負担が重くなる恐れがある上、現行制度に替わる抜本的な医療制度改革のビジョンを示していないため、与党から「無責任」との批判が出る可能性もある。

原案では、新制度廃止に先立ち(1)保険料を年金から天引きする「特別徴収」を遅くとも08年10月分から停止(2)扶養家族だった人を対象に保険料徴収を半年間凍結する措置を1年間に延長-も盛り込んだ。70-74歳の医療費窓口負担についても、1割から2割への引き上げを1年間凍結している措置を、09年4月以降も継続する。

4党は当初、今年9月末の新制度廃止を検討していたが、廃止に伴う地方自治体の作業負担が大きいことから、半年間先延ばしした。

(共同通信より)

<介護労働職の安定確保へ研究会開催>
4月25日、厚生労働省において「介護労働者の確保・定着等に関する研究会」が第2回目の会合を開いた。研究会では人手不足が常態化している介護現場での労働環境の改善と、人材確保・定着や雇用管理など施策の方向性をまとめる。

同研究会では、最近の景気回復を受けて、他分野の求人も増加し、介護サービス分野の離職率と相俟って、一部の地域や事業所で人手不足感が生じている。その上、介護労働者の雇用管理の改善が必ずしも進んでいないことから、将来とも安定的に人材確保の仕組みの構築が必要であると現状を分析した。

潜在的な有資格者、多様な人材が介護サービス分野の労働者として確保されていないこと、雇用管理が十分でないことなどから、介護労働者の需給調整機能の強化や、雇用管理の改善などの対策を検討する。研究会がイメージしている雇用管理は、?人材の募集・採用や資格取得・人事評価などキャリア管理、?労働時間や賃金などの労働条件、?配置転換やシフトなどの配置管理、?能力開発、?福利厚生の5点。

◆年平均4〜6万人の介護職が必要

介護職員の需給見通しについて、平成16年の介護保険の介護職員数は100万人で、平成12年から平成16年まで毎年10万人程度増加し、平成26年には140〜160万人の介護職員が必要としており、今後、年平均では4万人〜6万人の介護職員が必要と見込んでいる。

介護労働の現場である福祉施設の場合、介護員やホームヘルパーは全産業と比較して女性労働者の比率が高く勤続年数は低い。(男:全産業68・8%=勤続年数13・5年、福祉施設介護員29・2%=勤続年数4・9年、ホームヘルパー15・2%=勤続年数3・9年)、(女:全産業31・2%=勤続年数8・8年、福祉施設介護員29・2%=勤続年数5・3年、ホームヘルパー15・2%=勤続年数4・5年)。現金給与額も全産業と比較して低い(男:全産業372・7千円、福祉施設介護員227・1千円、ホームペルパー230・6千円)、(女:全産業238・6千円、福祉施設介護員206・4千円、ホームペルパー197・0千円)。

訪問系の事業所では、非正社員の労働者が多い(入所系施設=正社員65・0%、非正社員34・8%、訪問系=正社員34・3%、非正社員65・3%)。
離職の状況では、全産業平均16・2%であるのに対して、介護職員、ホームヘルパーは20・3%となっている。

平成26年までの間に、介護職の人材が毎年4〜6万人必要とされるのに対して、給与額の低さ、定着率の低さ、非正社員の割合が高く、離職率も高いという条件のなかで人材確保は困難な状況だ。このため、研究会では、介護労働市場で安定的に人材を確保するために、介護福祉士の約4割は潜在的とされている有資格者の参入、多様な人材の参入、ハローワークなどの職業紹介を通じてのマッチング機能、募集・採用ルートを検証する。

4月25日に開かれた同研究会では、全国の特別養護老人ホームをまとめる全国老人福祉施設協議会(老施協)、老人保健施設が参加する全国老人保健施設協会(老健協)などの事業者団体に、介護現場の労働実態をヒアリングした。

老施協は、入所者の要介護度の重度化により医療処置を必要とする者が増加し、職員配置も基準(3対1)より厚い2・21対1から2・15対1に増加した実態を示した。医療行為が必要な入所者の増加は、今後療養病床の再編により、さらに医療の必要性を持った要介護者が増加する可能性を指摘した。

介護職員は医療関連行為が行えないため、日常的に「痰の吸引」、「胃ろう等の経管処置」、「褥瘡や創傷等の皮膚疾患など」医療管理を必要とする入所者の割合が増加し、これが介護職員の不安要因を増大させる結果になっていると報告した。

老健協は、入所者の多様なニーズ、ケアの質を確保するため、基準以上に手厚く配置され、介護職の半数以上が介護福祉士資格を取得している。介護スタッフの年齢層は男女とも20代から30代後半が中心で、低賃金など就労条件が悪い。介護職給与の上昇は維持されているが、原資は管理職給与分を削っていると報告した。

研究会では、介護労働のあるべき姿、ハローワークの支援による人材の参入促進など安定的に人材を確保する仕組みの構築、雇用管理のあり方などを検討し、7月末までに中間報告をまとめる予定。



[2008/05/08]
 介護施設送迎車が崖から転落

<介護施設送迎車が崖から転落、4人重軽傷>

2日午後1時5分ごろ、伊東市赤沢の別荘地内を走っていた市内の介護施設のワンボックス車が、カーブを曲がりきれずに高さ約20、30メートルのがけ下に転落した。車に乗っていた男女4人のうち、70歳代の女性1人が胸の骨を折るなどの重傷、ほか3人が軽傷を負った。伊東署の調べでは、車は介護施設の利用者を乗せていたといい、同署で運転手の特定などを急いでいる。

(産経新聞より)

<デイ送迎車が乗用車と衝突 8人けが>

2日午後4時すぎ、京都府宇治市伊勢田町南遊田で西小倉デイサービスセンター(同市小倉町)のワゴン車と近くの会社員(25)の乗用車が衝突。ワゴン車に乗っていた79−92歳の男女5人と運転手(32)、介護職員(49)、乗用車の会社員の計8人が手や足などに軽傷を負った。
宇治署の調べ

では、現場は住宅街にある信号のない交差点で、出合い頭に衝突したとみて調べている。
同センターによると、ワゴン車は入浴や昼食などのデイサービスを終えた利用者を自宅に送る途中だった。

センターを所管する市福祉サービス公社は「(現場は)狭い道路で徐行運転を徹底していただけに残念。今後は一層の安全運転に努めたい」としている。

(京都新聞より)

<介護認定調査、23項目が削除候補に>

厚生労働省は5月2日、要介護認定の調査項目(82項目)から削除する候補として「皮膚疾患」や「飲水」など23項目を決めた。これに伴い、市区町村の介護認定審査会が一次判定する際の認定ロジックも新たに開発し、来年度の実施に向け認定ソフトを完成させる。

このほか削除候補として決まったのは、▽拘縮(肘関節、足関節)▽じょくそう▽作話▽幻視幻聴▽暴言暴行▽大声を出す▽落ち着きなし▽外出して戻れない▽一人で出たがる▽収集癖▽火の不始末▽物や衣類を壊す▽不潔行為▽異食行動▽環境等の変化▽電話の利用▽指示への反応▽感情が不安定▽同じ話をする▽日中の生活―の21項目。

要介護認定における一次判定の仕組みについて検討している「要介護認定調査検討会」(委員長・開原成允国際医療福祉大大学院長)は、昨年度に「買い物」や「調理」など6項目を加えた88の調査項目によるモデル事業を141市町村で実施している。

2日の同検討会では、調査員が現場で悩むことが多かった項目や、削除しても認定結果への影響が少ない項目について、厚労省と委員から削除項目案が提案され、決定した。

調査項目が変わると、介護認定審査会で一次判定する際の認定ロジックも変更になるため、5月から6月にかけて新ロジックを開発し、夏をめどに試行認定ソフトを使った第二次モデル事業を実施する。11月には新ロジックを組み込んだ最終版認定ソフトを完成させ、来年度から実用化する。

また、介護認定審査会は2006年度から、一次判定で「要介護1相当」と示したものについて、二次判定でさらに認知機能や心身の状態などを判定して「要介護1」と「要支援2」に振り分けている。厚労省は、心身の状態の判定について蓄積しているこれまでの判別結果のデータをロジックに組み込んで振り分けられるようにするなどの新たな認定ロジックの方向性も提案し、了承された。

<社保病院RFOに譲渡し、売却先を探す>

社会保険庁が所管する社会保険病院は全国に53病院ある。厚生年金病院は10病院ある。社会保険庁は全国健康保険協会(平成20年10月設立)と日本年金機構(平成22年1月設立)に分割されることが決まっており、社会保険庁は社会保険病院と厚生年金病院を保有できなくなることになり、各病院の譲渡先を巡って検討が重ねられている。

政府・与党では、4月2日に開いた社会保障政策会議で社保病院と厚年病院を本年9月末までに「年金・健康保険福祉施設整理機構」(RFO)に譲渡して、平成22年10月までに売却先を探すことを決定した。社会保険庁は、それぞれの病院の経営状況や地域における位置づけと機能の整理を7月までに終えたい考えだ。

4月18日に社会保険庁で開かれた「社会保険病院等に関する専門家会議」では、これまで4回行った議論を整理した。

これによれば、社保病院の経営改善状況を評価した上で、「地域医療にとって重要な病院」、例えば「4疾病5事業を行う病院」、「感染症、精神科救急、疾病対策などの医療政策上の位置づけが明確な病院」、「回復期から維持期にかけてのリハなどの機能」を明確にするという内容。経営状況や地域への貢献度を踏まえて、?単独での経営自立できる病院、?単独での経営自立は困難だが地域医療にとって重要な病院、?その他の病院に分類する。「その他の病院」については、赤字経営で地域的に必要性の乏しい病院は統合、売却を検討することになっている。そのため、経営実績を指標化し検討する。

社会保険病院における経営状況は、経営改善前の平成14年度単年度収支で赤字病院は53病院中22病院だったが、経営改善を進めた平成17年度には赤字病院が2病院となり改善効果が明らかになったが、平成18年度には17病院が赤字になった。

一方、厚生年金病院の経営状況は、平成15年度において赤字病院はゼロであったが、平成18年度には4病院となっている。社会保険病院のうち、全国社会保険協会連合会(全社連)が運営する 49病院に関しては、各病院の責任で運営する考え方で経営改善計画を進めた。

その結果、職員を27名削減し、給与制度を見直したため、人件費1410億円から1297億円と113億円の縮減となった。しかし、平成18年度は赤字病院が顕在化した。社会保険病院は国有資産として固定資産税がかからない税制上の優遇措置があるが、民間に譲渡された場合、税制上の優遇措置が受けられず赤字に転落する病院が増えることが予想される。

◆年金保険料問題で合理化計画進まず

社会保険病院は政府管掌健康保険の保険料財源が投入され、施設整備が行われてきたが、政管健保の厳しい財政状況から、厚生労働省は平成14年3月に社会保険病院のあり方を見直し、施設整備について保険料財源を投入しないことを決め、経営改善計画を策定するなどの方針を取りまとめた。

厚生年金病院においても、施設整備に年金保険料財源を原資としていたため、平成16年3月には、与党年金制度改革協議会で厚生年金病院を含む年金福祉施設の施設整備に年金保険料を投入しないこと、委託先公益法人の天下りなどによる高コスト構造の見直し、整理合理化などが決まっていた。

既にRFOに移転している病院を除く保養施設などの年金・健康保険福祉施設302施設は、平成16年に政府・与党から保険料の無駄遣いとの厳しい指摘を受け、社会保険庁から移転したうち80施設あまりは平成19年までに売却された。

社会保険病院と厚生年金病院については地域医療を担っていることもあり、合理化計画を策定する予定だったが、平成18年、19年にかけて表面化した国民年金の年金記録漏れや国民年金保険料の不正免除問題の対応におわれ、合理化計画に遅れが生じていた。各病院が社会保険庁の手から離れる期限は9月末に迫っている。

<後発医薬品の使用指導を撤回>

厚生労働省は4月30日、生活保護の受給者に安価なジェネリック医薬品(後発医薬品)の使用を指導するよう都道府県などに求めた4月1日付の通知を撤回すると発表した。この通知には、国会などでの批判が相次いでいた。厚労省は同日、強制的な記述を改め、受給者が説明を受けて同意すれば、後発医薬品を選択するよう促す新たな通知を都道府県などに出した。

<厚労相、高齢者医療見直しを検討>

舛添厚生労働相は30日午前の閣議後の記者会見で、75歳以上が対象の後期高齢者医療制度(長寿医療制度)について、制度の見直しを検討する考えを表明した。

低所得者の保険料負担を軽減する補助金制度の創設などが焦点となりそうだ。政府の「社会保障国民会議」に新たな分科会などを設置し、具体的な見直しを議論する方針だ。

福田首相は同日の閣議後、国会内で舛添氏と会い、「(後期高齢者医療制度への対応を)引き続きしっかりやるように」と指示した。

政府は「後期高齢者医療制度によって、大半の高齢者の保険料が下がる」と説明してきた。しかし、国民健康保険など従来の制度では、仮に保険料が月3000円でも、低所得者らに対して自治体が独自の補助制度を実施して、本人の保険料負担を1000円に抑えるなどのケースがあった。この場合、後期高齢者医療制度で保険料が月2000円に下がったとしても、原則として自治体の補助が打ち切られるため、実質的には負担増となる。

舛添氏は「(負担増などで)本当に困っている人、困っている市町村や都道府県に、どういう施策ができるか。予算措置が必要なら財源も考えないといけない」と述べた。

制度の改善策につなげるため、厚労省は、全国の多くの自治体で2回目の保険料の年金天引きが実施される6月までに、制度の詳細な実施状況を調べる全国実態調査を実施する方針だ。実態調査は、〈1〉低所得者でも、実質的に保険料が負担増となった事例〈2〉新しい保険証が届かなかった事例〈3〉年金天引き対象者以外から、誤って保険料を天引きした事例などを調べる。

一方、批判の多かった保険料の年金天引きについては、舛添氏は「天引きをやめたら、保険料を払わなくていいわけではない。高齢者の利便性を考えた制度だ」と述べ、見直す考えがないことを繰り返した。また、「制度を撤廃しろというならば、代案を示してほしい」と述べた。

( 読売新聞より)

<介護従事者処遇改善法:自民案が成立へ 法制定を優先>

超党派による議員立法、介護従事者処遇改善法案は25日、衆院本会議で全会一致で可決された。今国会で成立する見通し。だが、介護現場で働く人材の確保策としては「09年4月までに施策のあり方について検討し、必要があると認める時は必要な措置を講じる」と記されているだけで、具体性に欠けている。

09年4月の介護報酬改定を視野に入れ、介護職員の賃金引き上げ機運を醸成する狙いで自民党が法案を作成、全会派が共同提案する形をとった。

民主党は地域別、サービス別に賃金水準を決め、それを上回る賃金の介護事業所への報酬を3%加算することなどを柱とする法案を先に提出済み。公明党も「自民党案は中身がない」と不満だったが、法律の制定を優先して民主党は自らの法案を断念、公明党も自民党案を受け入れた。

(毎日新聞より)