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[2008/06/28]
 医学部定員、過去最大に

<医学部定員、過去最大程度に−骨太方針08>

政府は6月27日の臨時閣議で、「経済財政改革の基本方針2008」(骨太の方針2008)を決定した。骨太方針06で掲げた歳出削減の堅持を明記する一方、焦点の社会保障では、医師不足の解消や病院勤務医の就労環境改善などの重要課題に対して、現行の仕組みにとらわれない効果的な方策を講じるとしている。具体策として、医学部定員の削減を盛り込んだ1997年6月の閣議決定を見直し、早急に過去最大程度にまで増員する方針を示した。

また、消費税を含む税体系の抜本見直しに取り組み、社会保障を支える安定的な財源を確保する方向性を示したが、具体的な実施時期にまでは踏み込まなかった。

骨太方針08では、歳出・歳入改革を徹底することで、11年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を確実に達成する方向性を明記。社会保障分野については、サービスの質の維持・向上を図りつつ、徹底した効率化を図る方向性を示した。

具体的には、昨年策定された「医療・介護サービスの質向上・効率化プログラム」に沿って、▽後発医薬品の使用促進 ▽検査などの適正化 ▽不正・不適切な保険請求の是正 ▽レセプトオンライン化など医療IT化の推進 ▽社会保障カード(仮称)の導入 ▽公立病院改革―などに取り組む。

一方で、産科・小児科をはじめとする医師不足の解消や、病院勤務医の就労環境改善を重点課題に位置付けた上で、これらを実現するため、女性医師の就労支援や関係職種間の役割分担の見直し、メディカルクラークの配置などを推進するとした。また、医学部定員減を決めた97年の閣議決定を見直し、「早急に過去最大程度まで増員する」と明記。さらに、今後必要な医師養成についても検討する方針を示した。

後期高齢者(長寿)医療制度については、政府・与党協議会の決定に盛り込まれた対策を実施し、低所得者の負担軽減を図る。このほか、介護・福祉サービスを支える人材を確保するため、キャリアアップの仕組みの導入などによる処遇改善を目指す。

09年度予算については、骨太方針06で示した「5年間の歳出改革の3年目に当たる」とし、最大限の歳出削減を行う方向性も示した。重要課題の実現に必要な政策経費は、「ムダ・ゼロ、政策の棚卸し等を徹底し、一般会計、特別会計の歳出経費の削減を通じて対応する」とした。

<病院の未収金、具体策ないまま>

「何の進展もない。『病院はなお一層の努力をして回収しなさい』という結論だけ」―。病院経営に深刻な影響を与えている診療費の未払い(未収金)問題の解決策を探ろうと、病院団体からの強い要望で昨年6月に設置された厚生労働省の検討会は、具体的な対策を見いだせないまま最終回を終えた。「保険者による未収金負担」や「応召義務の解釈変更」などの法的な解決策には踏み込まず、未収金の発生防止(事前対策)や回収の努力(事後対策)などを強調する厚労省の「報告書案」に対し、病院側の委員から不満が噴出した。

厚労省は6月25日、「医療機関の未収金問題に関する検討会」(座長=岩村正彦・東大法学部教授)を開き、最終的な報告書案を大筋で取りまとめたが、病院側委員の不満は解消されていない。

医療機関が抱える未収金をめぐっては、「診療費を支払う意思がない患者に対する診療義務があるか」という本質的な問題がある。例えば、飲食店で所持金がないことを知りながら料理を注文する行為には、詐欺罪が成立する。ところが、医療機関は所持金がない患者であっても、別の患者を診察していて応じられないなどの理由(正当事由)がなければ、診療の求めを拒否することはできない(応召義務、医師法19条)。

「応召義務」の立法趣旨については、医師免許がある者だけに医療行為を認めている(医業独占)から、その“反射的効果”として診療を拒否できないとする見解や、国民の健康権の尊重(憲法13条、25条)を理由に挙げる見解などがある。このような医師法19条の趣旨から、医師の応召義務は「国に対する公法上の義務」とする見解が多い。

ところが、医師の治療ミスなどの場合に負う「不法行為責任」や「債務不履行責任」などを争う場合には、「医師と患者との関係」に置き換わる。

これと同様に、患者が医療機関に対して支払うべき診療費(一部負担金)の未払いがあった場合、患者は「医療機関」に対して債務を負うのだから、債権者は医療機関であって、回収するのは医療機関であると解釈されている。

しかし、診療費を支払えないことが最初から分かっているのに、診療を拒むことができないとする医師法19条の「正当な事由」の現在の解釈を疑問視する声もある。また、「保険者」「医療機関」「患者」の三者の関係の法的なとらえ方の違いによって、未収金の最終的な負担者を「保険者」とするか、「医療機関」とするかが異なるため、法律構成を工夫することによって、未収金を「保険者」に負担させるべきとする見解も有力になっている(第三者のためにする契約説)。

これまでの検討会では、以上の論点に触れながらも、抜本的な解決策を示していない。東大法学部の教授が座長を務めたにもかかわらず、法的な解釈問題をことごとく回避し、「未収金問題の解決は医療機関の努力次第」というシナリオに沿った会議運営だった。

院内暴力の増加や救急車の不正利用など、患者のモラルが著しく低下する中、1949年の旧厚生省の解釈通知を維持していいのか、医療機関の自助努力に限界はないのか―。

◆骨抜きの報告書案
報告書案では、未収金の主な発生原因を厚労省のアンケート調査から「生活困窮」と「悪質滞納」とした。しかし、正当な理由がない限り診療を拒むことができないとする「応召義務」(医師法19条)の解釈については、これまでの厚労省の見解を繰り返し、「医療費の不払いがあっても、直ちにこれを理由として診療を拒むことができない」と改めて明記した。

また、未収金の回収が難しいことを認め、「発生をいかに未然に防止するかが重要」とした。未収金の最終的な負担者を市町村や健康保険組合などの「保険者」とする法的な解決策には踏み込まず、「保険診療契約の解釈を議論するよりも、未収金をいかに発生させないようにするかを検討することが有用」として、医療機関の自助努力を強調した。

一方、病院が努力しても未収金が発生してしまった場合の「事後対策」として、保険者に回収を求める「保険者徴収制度」(健康保険法74条2項)の活用を挙げた。

しかし、同制度を活用するには、一義的に医療機関が十分な回収努力を行う必要性があることを指摘。市町村が保険料などを徴収する回収努力を引き合いに、「医療機関は、従来のような文書催告(内容証明付郵便)にとどまらず、踏み込んだ回収努力を行うことが必要」として、市町村と同様の努力を求めた。

質疑では、「応召義務の解釈」と「医療機関の回収努力」に関する意見が相次いだ。

◆ 医師法19条は削除できない
木村厚委員(全日本病院協会常任理事)は「応召義務を今後どうするのか。『今後の検討が必要である』などの記載を入れないとまずいのではないか」と指摘。「未然に防ぐという意味で言えば、院内の暴力患者などがトラブルを起こすので、『診療を拒むことができない』ということで終わっていいのか。応召義務の解釈について検討する場をつくるとか、今後の検討課題とすることなどを書くべきではないか」と不満を表した。

これに対し、厚労省の担当者は「検討して『どう解釈するか』という問題ではない」と一蹴(いっしゅう)。「社会通念上、(診療拒否が)是認されるかという問題なので、もし、法律の条項(医師法19条)をなくすことまで求めるなら、『それは検討することができない』というのが、われわれの立場だ」と回答した。

これまで、法的な解決策の議論を避けながら、医療機関の自助努力を再三にわたって強調してきた岩村座長も、厚労省の意見に賛同。「応召義務の解釈は医療制度の根幹にかかわる問題なので、軽々に議論できるわけがない。応召義務に関するやりとりは記録に残すので、了解してほしい」と理解を求めた。

河上正二委員(東北大法学部教授)もこれに加勢した。「医療は生存にかかわる重要な社会的資源なので、水道や電気などに比べると、ストップさせるときには慎重な配慮が必要だという話だ。厚労省の書きぶりは、そんなにぶれていない。(正当な理由があれば診療を拒めるため)厚労省は『必ず診療しろ』と言っているわけではない」

◆病院の回収努力が不十分
報告書案では、事後的な対策である「保険者徴収」があまり活用されていない理由として、「医療機関が十分に注意義務を果たしていないこと」や「回収努力が不十分と市町村において判断されるケースがあること」などを挙げた上で、市町村の回収努力を次のように示した。

「夜間、休日における家庭訪問や詳細な財産調査など、(市町村は)相当な回収努力を行っており、医療機関においても、少なくとも同程度の努力が求められる」

市町村と同様の回収努力を医療機関に求める記載に対し、崎原宏委員(日本病院会理事)がかみついた。「私的病院では(患者の)財産調査などできない。この部分は削除すべきではないか」。畔柳達雄委員(弁護士)も「この部分が引っ掛かった。『夜間、休日』とあるが、全国の市町村が本当にこんなにやっているのか」と同調した。

これに対し、厚労省の担当者は市町村の回収努力を強調。「年度末に管理職が個別訪問することが一般的に行われている。(患者宅に)かなり足を運んでいることは間違いないので、そういう意味での努力だ。財産調査をするという意味ではない」と説明したが、崎原委員は引かなかった。
「市町村は税金の滞納対策などで努力していることは分かっているが、それは市町村の職員の仕事だ。病院が未払い金を回収するのは、もともと(病院の仕事として)想定していない、後から発生した仕事。事後的な対策に限界があるということは、病院でも、この検討会でも認めているので、そのあたりとの整合性をうまく書いていただきたい」

議論の末、「医療機関においても、少なくとも同程度の努力が求められる」との部分を削除することで一致したが、病院側委員の不満は解消されなかった。

◆救急医療が止まる
報告書案では、医療機関に「従来以上の回収努力」を強く求めた上で、回収が困難な患者がいる場合には保険者にその情報を提供するなど、未払い患者の情報を市町村などと共有する必要性を示している。

これに対し、小森直之委員(日本医療法人協会医業経営管理部会員)は次のように述べ、事前・事後の「対策」を強調することに伴う危険性を指摘した。

「今回の最終的な取りまとめをすべての病院が見ている。この報告書だけが提示されると、何の進展もない。『病院はなお一層の努力をして回収しなさい』という結論だけが出る。ほとんどの医療機関が報告書の結果を待っているので、本格的な回収はしていないだろう。この報告書が出ると、回収が始まると考えていい。また、暴力患者や未払い患者などのリストが地域の病院に回っているので、救急医療が止まる可能性がある。対策ばかりを強調すると、『患者を診ない』ということが起こらないか」

<特養、老健の経営が悪化―東京都>

東京都はこのほど、「特別養護老人ホーム等経営実態調査」の結果をまとめた。調査は昨年10月12日から31日にかけて行われ、都内の特別養護老人ホームと、介護老人保健施設(04年4月2日以降に開設されたものを除く)が対象となっている。

職員配置数では、利用者10人当たりの職員数(介護職員、看護職員)は06年度、特養は4.58人、老健は4.81人。国は特養・老健の人員配置基準について、適切な施設運営を確保するために「利用者10人に対し3.33人」との基準を定めているが、その約1.4倍を配置していることになる。

在職中の職員の平均勤続年数は、特養の介護職員は、常勤で5.1年、非常勤では2.8年。看護職員は常勤で5.1年、非常勤で2.7年となっている。
また、老健の介護職員は常勤で3.7年、非常勤で2.1年。看護職員は常勤で4.1年、非常勤で2.6年となっている。

常勤の介護、看護職員の勤続年数は、特養、老健共に4割以上が3年未満となっている。
職員の人件費比率は、06年度は特養が63.9%、老健が56.5%で共に04年度に比べて上昇。国が定めている人件費率40%を大きく上回っている実態が明らかになった。
特養・老健の施設長に緊急に解決すべき課題を尋ねたところ、共に7割以上が「人材確保」と答え、次いで「財務状況」を挙げている。

「人材確保」が困難な理由については、共に「給与水準が低い」が最も多く、「業務内容が重労働である」が続いた。
人材育成の上での課題としては、「人事体系の整備・改善」が最も多く、次いで「長期的・安定的な雇用の提供」となっている。

施設の利用率は、特養、老健共に95%前後で、04年度と06年度を比較しても差はほとんどないが、収支差額率は特養が06年度3.56%で、04年度に比べ2.88ポイント悪化。老健は6.62%で、04年度に比べ1.12ポイント悪化している。

都では「基本的な例として、事業活動収入が2億円の特養で収支差額率が2%悪化すると、400万円の影響が出ることになるが、常勤の介護職員の平均給与が387.7万円であるため、職員1人分の給与が払えなくなることになる」と話している。

<看護師・介護士に外国人の“助っ人”到来>

日本とインドネシアのEPA(経済連携協定)に基づき、8月にも、インドネシアから看護師・介護士の候補生が来日し、日本での就労をスタートする。

この分野における政府間協定で「外国人労働者」が国内で就労するのは初めて。人手不足で悲鳴を上げている国内の医療・介護施設からは、強力な“助っ人”として期待されていると思ったら、実態はそう単純ではなさそうだ。

協定によると、日本は2008年度から2年間、最大で看護師400人、介護士600人の計1000人を受け入れる。候補生たちはまず半年間の日本語教育を受け、それから“配属先”の病院や介護施設(原則として1施設2人)で就労しながら、実務を学ぶ。
ここまではいい。問題は、その先だ。

というのは、候補生たちは日本人と同じ条件で、日本の国家試験を受け、パスしなければ就労できなくなるからだ。その期間は看護師が3年、介護士が4年。
その間、仕事をしながら日本語を学び、しかも筆記試験のある国家試験に受からなければ帰国しなければならない。

候補生にとって、これが非常に高いハードルであることは目に見えており、「表面は労働開国を装いながら、これでは事実上の労働鎖国と変わらず、国家的詐欺に等しい」(坂中英徳・外国人政策研究所長)という厳しい批判もある。

◆お役人の「開国意識」と現場感覚の落差
なぜそこまで厳しいハードルを設けなければならないかというと、そもそも日本側窓口の厚生労働省は「政府間協定でインドネシア側が望んだ希望に沿っただけであり、人手不足のために来てもらうのではない」としており、「労働開国」の意識はまったくない。

日本人並みの条件で仕事をしてもらい、それがむずかしいなら帰国もやむなし、という基本的立場なのだ。
近年、看護・介護現場の厳しさは知られており、勤務時間や賃金などの待遇を改善すれば、日本人の希望者も大きく増える可能性はありそうだ。
しかし、今度は健康保険や介護保険の負担増、財政の負担増といった問題に発展する。厚労省の頑ななまでのスタンスは日本の「低負担・高福祉」という実情に対する疑問を投げ掛けるもの、と考えることも不可能ではない。

しかし、実際の看護・介護現場の話を聞くと、そうした制度上の問題はともかく、利用者の希望に沿うには、とにかく人手を増やすしかない。
日本人でも外国人でもいい。そんな切羽詰った声が大勢を占める。

むずかしい手術や医師の補助業務などには、高度スキルの看護師が必要であろう。しかし、看護助手と呼ばれる人々の業務分野まで広げて考えれば、資格試験が必要とは思われない。
同様に、お年寄りの介護現場で、流暢な日本語が不要なことは実証済みだ。「日本語による引き継ぎができないと困る」といった理由まで持ち出すのは本末転倒ではないだろうか。
そんなことを議論しているうちに、いよいよ、インドネシアから候補生が来日する。せっかくの制度だ。候補生が失望して帰国することのないよう、政府は資格レベルの引き下げなど、就労環境の改善を図るべきだ。

<負債100億円超、最悪のペース 介護事業者の1−5月倒産>

介護事業者の倒産が2000年度の介護保険制度導入以来、08年は過去最悪のペースで増えていることが25日、民間信用調査会社の東京商工リサーチの調査で分かった。1〜5月の5カ月で、負債総額は100億9300万円と過去最悪だった06年1年間の114億7900万円の9割近くに達した。件数も21件と過去最悪だった07年の年間35件の6割の水準。

給付費抑制のため、事業者に支払われる介護報酬が06年度の改定で引き下げられたことに加え、人手不足が深刻化、人材を確保できない事業者が増えたことなどが要因。競争激化や行政による規制強化も背景にある。

利用者への影響も懸念され、09年度の次回改定では報酬引き上げを求める声が強まりそうだ。
08年の倒産の内訳は訪問介護が9件、有料老人ホームや特別養護老人ホームなどの施設系が12件。07年は訪問介護が18件、施設系が17件、負債額は77億7300万円と06年より減ったが、訪問介護最大手だったコムスンの事業撤退などは含まれていない。

<終末期支援料の凍結」異例の答申 再開は早ければ来年4月>

中医協(会長=遠藤久夫・学習院大教授)は25日、総会を開き、「後期高齢者終末期相談支援料」の算定を一時凍結することを了承した。同日、舛添要一厚生労働相に答申する。これで同支援料は7月から算定できなくなる。同支援料については、中医協の診療報酬改定結果検証部会での検証を経た上で、早ければ来年4月1日から算定を再開する。中医協で合意された診療報酬の点数項目が現場での運用状況を検証することなく、改定後3カ月で凍結されるという事態は極めて異例。

総会には舛添厚労相も出席し、凍結を諮問するに至った事情を説明した。
舛添厚労相は、「私が1月18日に、こうしてほしいと諮問しておいて、この時点で凍結してほしいというのはおかしいとの批判は100%正論だ。しかし、今の政治状況を考えると、無理なお願いでもしなければいけない」と述べた。

さらに、同支援料について、「75歳以上の人だけに導入したがために、医療費抑制が目的ではないのか、死の選択を迫ることになるのではないか、などの批判の声が出てきた。私がもっとも恐れたことは、批判の声が高まる中で、終末期が一切タブーになってしまうことだった。そうならないために、いったん凍結して、対象を全国民に広げるために国民的な議論を行う必要があると考えた」と説明した。

現場での運用状況を検証した上で、エビデンスに基づいて見直しを行う中医協のルールから逸脱することについては、「本来なら1年ほど経てからエビデンスによって見直すのがノーマルなやり方。しかし、参院で後期高齢者医療制度の廃止法案が可決された政治状況の意義は大きく、民主主義において国権の最高機関の意思は真摯(しんし)に受け止めなければならない」と述べ、ここでも「政治状況」という言葉を用いて理解を求めた。

◆終末期医療で国民的議論を喚起したい

舛添厚労相はまた、「凍結という残念なことになったとしても、これをきっかけに大きな果実を生むことになる。転んでもただでは起きないという気持ちで取り組みたい」と述べ、今回の異例の事態を乗り越えて、終末期医療についての国民的な議論を喚起する契機にしたいとの考えを強調した。

厚生労働省によると、今回の凍結による財政影響はほとんどない。凍結は7月1日からで、患者への相談支援を以前から始めていても文書提供を同日以降に行ったケースは算定できない。6月30日以前に文書を提供していれば、退院が7月1日以降になった場合でも算定できる。

◆新薬評価と薬価差縮小を両立 薬剤費全体は1.7兆円縮小

日本製薬団体連合会が中医協に提案している薬価制度改革案の具体的な内容が25日の中医協に配布された資料から明らかになった。

特許・再審査期間中の新薬の薬価維持については、新薬の適切な評価と薬価差拡大防止を両立させる仕組みを提案。提案通り改革を実施すれば、薬剤費全体で1.7兆円縮小するとの試算も示した。薬価維持は12年度から適用する。

薬価維持の対象は、特許・再審査期間中の新薬で、後発医薬品が初めて発売された時点で対象から外す。薬価差拡大を防ぐため、乖離(かいり)率が「薬価収載全品目の加重平均乖離率」よりも大きいものは対象に含めない。

改革案が薬剤費に与える影響を、2010年から20年までで見た試算では、新薬は3.3兆円増加するものの、長期収載医薬品減少と後発品使用促進で5.0兆円減少するため、差し引きで1.7兆円縮小する。


[2008/06/19]
 急性期病院の最低基準は10対1

<急性期病院の最低条件は10対1>

日本病院事務研究会(会長=合羽井昭雄・永寿総合病院理事)はこのほど、定例の勉強会を開き、診療報酬分析研究所の帯谷隆所長が今年4月の診療報酬改定の影響などについて講演した。

この中で、入院患者13人に看護職員1人を配置する「13対1入院基本料」について、「既に急性期医療の担い手としては実質的に位置付けられていないのではないか」と述べ、13対1よりランクが高い10対1以上の入院基本料の算定が急性期病院の最低条件との見方を示した。

講演で帯谷氏は、今回の診療報酬改定を「急性期、亜急性期、回復期のあるべき姿が、それぞれ明確に示された」と総括した。その上で、今後の病院運営について「都道府県が策定している保健医療計画の中で、自院がどう位置付けられているかを見極めて運営していく必要がある」と指摘。急性期病院としての生き残りが難しければ、医療計画上の位置付けを踏まえながら亜急性期や回復期部分を盛り込むことを検討するよう訴えた。

7対1入院基本料の算定要件に「看護必要度」が新しく組み込まれた点については、「患者数に対する看護職員数という従来の原則を撤廃し、急性期医療が担える条件を、医療を受けるべき対象患者の状態と、それに必要なマンパワー(医師)に規定する形に転換した」と分析。次回以降の改定で、10対1入院基本料にも看護必要度が拡大する可能性を指摘した。

一方、13対1入院基本料(1092点)の点数設定が、亜急性期入院医療管理料1、2(2050点)のほぼ半分になっていることにも着目。「13対1は既に急性期医療の担い手として実質的に位置付けられていない証拠ではないか」と述べた。

また、回復期リハビリテーション病棟入院料の再編にも言及した。今回の改定では、従来の同入院料が入院料1と2に区分された。このうち入院料1だけに「退院患者の在宅復帰率が6割以上」などの要件が組み込まれ、点数設定も高くなったが、帯谷氏は「回復期リハビリテーション病棟には、回復機能が求められて当然だ」と指摘。その上で、「回復期として位置付けられているのは、(患者の在宅復帰率が求められる)入院料1のみ」と述べ、入院料2の点数は今後、引き下げられる可能性が高いとの見通しを示した。

このほか、医療機関同士が連携して治療を行った場合に算定する「地域連携診療計画管理料」などの対象疾患に「脳卒中」が追加された点について、「将来的に、都道府県が保健医療計画に盛り込んでいる4疾病(脳卒中のほか急性心筋梗塞、がん、糖尿病)全てが対象になるのではないか」と述べた。

<特養など介護保険10サービス、経営が悪化 厚労省調査>

特別養護老人ホームなど介護保険10サービスの収支が3年前に比べて悪化し、訪問看護など7サービスで赤字になっていることが、厚生労働省が18日に公表した2007年介護事業経営概況調査でわかった。

介護職の人材難から人件費を引き上げたことなどが原因と見られ、来年度の介護報酬見直し作業に影響しそうだ。

調査は3年ごとに行われ、今回は15種類の介護サービスを提供する4800施設・事業所が対象。昨年9月の1か月間の経営状況などを聞き、計1377施設・事業所から回答を得た。

(読売新聞より)

<後期医療で病院職員の給料「遅延」も>

後期高齢者医療制度に伴い、医療機関への診療報酬(医療費)のうち、社会保険から移行した分の支払いが、制度の導入前より最大で10日も遅れるという問題が指摘されている。赤字経営の病院が全国で4割を超える中、医療費の入金の遅れで、資金繰りが厳しい病院では、職員の給料の支払いを先延ばしして対応する事態も想定される。

医療機関が受け取る診療報酬は、国民健康保険を対象にした「国民健康保険団体連合会(国保連合会)」と、社会保険を対象にした「社会保険診療報酬支払基金(支払基金)」に大別される。国保連合会は各都道府県に設置されており、支払日は毎月おおむね25-30日、支払基金では毎月20日ごろとなっている。

同制度は、都道府県単位の「後期高齢者医療広域連合」が運営しており、診療報酬は国保連合会を通じ、おおむね25-30日に支払われる。

同制度の施行で、社保に加入していた給与所得者(本人)と、社保の子ども世帯の扶養家族になっていた人(被扶養者)が、社保を脱退し、同制度に移行。同制度の対象者約1300万人のうち、社保からの移行は、本人約50万人と被扶養者約200万人の計約250万人に上る。

医療機関にとっては、同制度が導入されるまでは社保だった分の診療報酬の請求先が、支払基金から広域連合に変更になった。このため、20日ごろに支払われていた診療報酬が、25-30日にずれ込むことに。診療報酬の支払いを広域連合が30日にした場合は、従来に比べ10日遅れになる。

医療機関の多くが、支払基金からの診療報酬を基に、25日を職員の給料日に設定しており、25日は1か月のうちで最も多くの資金が必要になるという。しかし、入金日が遅れることで、厳しい経営を強いられている医療機関が、25日だった給料日をずらすなどの可能性も懸念されている。
実際、山形県内のある中小病院(約250床)の事務長は、「うちの病院では、社保の約15%が75歳以上だった。これまでは支払基金から21日に診療報酬が支払われていたが、制度の導入で国保連合会から28日に支払われることになった。その額は約3500万円になる。支払基金からの入金を基にして、25日を給料日にしているため、資金繰りが苦しくなった。何とかやりくりしているが、困っている」と話し、高齢者医療に力を入れている医療機関ほど影響が大きいのではないかと心配している。

この問題を指摘していた全日本民主医療機関連合会では、「入金の遅れで資金繰りが厳しくなる病院が増えると考えられる。医療を年齢で差別するという内容はもとより、医療機関への診療報酬の支払いにも影響を与えるなど、制度は問題ばかりで、すぐに廃止すべきだ」と話している。

<人材不足の介護事業者に破産手続き>

介護付き有料老人ホームの運営などを手掛けていた「エヌ総合企画」(埼玉県所沢市)は6月5日、東京地裁に破産手続きの開始を申請し、即日開始の決定を受けた。負債総額は約11億2700万円。

破産管財人によると、介護付き有料老人ホームなどの施設は、一部を除き別会社が運営を引き継ぐ見通し。職員の雇用も継続する方向で調整している。

また県高齢者福祉課では、入居者へのサービスについて「現時点では、今後も変わりなく提供される見通しだ」と話している。

東京商工リサーチによると、エヌ総合企画は1998年10月の創業。当初は建築工事を手掛けていたが、その後、介護事業に参入。介護付き有料老人ホームや短期滞在型介護施設(ショートステイ)などを関東地方に展開していた。

しかし、破産管財人の話では、ケアマネジャーなど介護スタッフの確保が次第に困難になり、最近は利用者を十分に受け入れることができない状況だったという。

このため、昨年9月に施設を売却するなどして事業の立て直しを図ったが、運転資金確保のめどが立たなくなった。

<医学部定員や社会保障費削減など見直しを要請>

医療現場の危機打開をめざす国会議員連盟は18日、医師不足・医療費削減に関する決議を経済財政担当相と厚労相に申し入れ、医療提供体制の崩壊を防ぐために「医学部定員削減」の閣議決定や「2200億円」の社会保障費削減などの政策を見直すよう求めた。

<介護事業は人件費増を受けて収支差率減少の傾向>

昨年10月に実施した介護事業の実施状況および収入・支出の状況の概況調査結果によると、全体傾向として「収入も増えているが人件費の伸び等を背景に支出の伸びはそれを上回っており、収支差率は減少の傾向」にあることが明らかになった。

ただし、介護療養型医療施設(病院)については、収入が増加し、支出が減少しているため、前回調査(04年)に比べ収支差率は増加。訪問介護では、収入が減少しているものの、給与費等支出が減少したため、収支差率は微増。その他の業態ではほどんどが収支差率が悪化していた。調査は、業態別に「介護老人福祉施設」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」など15種類に分類、それぞれについて利用者1人あたり収入や支出、事業全体での収支差率などを地域別・規模別に調べた。

<インドネシア人看護師受け入れで見解を改めて公表 日本看護協会>

日本看護協会は17日、8月からインドネシア人看護師候補者の受け入れが始まることを受け、同会の見解を改めて公表した。その中では「今回の受け入れは日本とインドネシアの経済連携協定に基づくもので、看護師不足への対応ではない」ことを再度強調。

外国人看護師を受け入れるにあたって、医療・看護の質を確保するため、外国人看護師の受け入れについて、▽日本の看護師国家試験を受験して看護師免許を取得すること▽安全な看護ケアが実施できるだけの日本語の能力を有すること▽日本で就業する場合は日本人看護師と同等以上の条件で雇用されること▽看護師免許の相互承認は認めないこと―の4条件を求めている。

社会保障国民会議中間報告骨子明らかに>

6月12日に開かれた「社会保障国民会議」で将来にわたる医療・介護サービスの改革には財源確保が課題であるとの骨子案を明らかにした。具体的な財源については言及を避けた。19日に開く国民会議で中間報告をまとめる。

骨子案によれば、これまでの社会保障改革は経済財政政策との整合性を基本として「制度の持続可能性」に重点をおいた改革で「一定の成果を達成」したとの認識を示した。「経済財政政策との整合性」を重視した小泉政権による改革が終焉し、改革が未達に終わったもの、改革の途上で発生した課題について、社会構造の変化という視点からあらたに改革を進めると明言した。

「制度の持続可能性」については、少子高齢化の進展により人口構成が変化した点、改革としては、医療費の窓口での自己負担3割の導入(平成13年)、介護保険制度の創設(平成12年度)などで、持続可能性は向上したと分析した。国民会議はこれからも改革を進める立場で、今日的課題を、「社会保障の機能強化=必要なサービスを保障し、国民生活の安定を確保する機能の強化」へシフトしなければならないと、社会経済構造の変化に着目した。

◆地域ケアの必要性が明確に

「中間報告骨子案」が指摘した「改革を行う過程で十分に対応できなかった問題」、「新しく出てきた問題」は、75歳以上高齢者の増大・家庭介護力の低下・地域サポート力の低下などであり、75歳以上高齢者の医療は、後期高齢者医療制度(長寿医療制度、新たな高齢者医療制度とも表記する)の対象者が増えたことから、制度を組み替え、窓口負担を増加した。必要な社会保障給付の財源確保へと政策転換をはかる原動力としようとする視点が明らかになったところ。

財源論では、消費税、タバコ税の値上げ論が周辺からも声が上がっているが、国民会議では、医療・介護サービスについて将来費用の推計を実施し、「社会保障全体の財源確保について検討を重ねる」としている。

次に、不十分の非効率なサービス提供体制では、救急医療、地域医療の崩壊、産科・小児科などの問題を構造問題と捉え、解決可能な視点を求めている。構造改革を行ってもなお、増大するサービスに対応するため、病院間の連携、高度医療と一般医療の連携を含む機能分化、ネットワーク、医療・介護・福祉を地域で一体的に引きうける地域包括ケアの提供体制の必要性などこれからとりかからなければならないものが指摘された。もちろんこれにも人的、物的資源が必要とされ、計画的に整備していかなければならないと指摘する。

これらの改革の実現には安定した財源が確保されなければならない。とくに資金投入が最重要課題である。

◆毎年2200億円の削減は堅持

一方、首相の諮問機関である経済財政諮問会議は、10日、月末にも公表する「骨太の方針08」を決定するため、社会保障費の削減目標について議論した。

政府は社会保障費の自然増について5年間で1・1兆円(毎年度2200億円)削減する目標を今年度も踏襲する方針を明らかにしているが、与党内でも毎年2200億円の削減は医療崩壊に繋がるとの意見をよそに、福田首相は医師不足、介護労働力の不足については他の分野の歳出を削減することで対応すると述べ、社会保障費の他分野の削減を示唆した。

後発医薬品の使用促進、不必要な検査入院の短縮や外来への振替、コンタクトレンズ処方や柔道整復に関する保険請求の適正化、開業医の再診料の見直しなどで対応する腹積もりだ。

新たな財源が必要と主張する社会保障国民会議と、社会保障費の削減目標推進を堅持する姿勢を崩さない経済財政諮問会議との間で深い溝がある。先行する6月末の「骨太の方針08」、8月末に予定される21年度予算概算要求(シーリング)の経緯如何によっては国民会議の提言も修整を余儀なくされるが、推移を見守りたい。

(重要用語)

社会保障国民会議=年金・医療などの社会保障制度は国民生活を支える重要な制度。近年の急速な少子高齢化の進展で費用がふくれあがり、現役世代の負担は重くなる一方である。社会保障制度につい、給付と負担のバランスをどう組み立てるかを議論する内閣総理大臣の諮問機関。平成20年1月発足。

経済財政諮問会議=平成13年小泉内閣で創設。内閣総理大臣の諮問機関。国の経済全般の運営方針、財政運営の基本、予算編成の基本方針その他の経済財政政策に関する重要事項についての調査審議を行う機関。毎年6月に予算編成の基本方針となる「骨太の方針」を決定し、閣議決定する。「骨太の方針」は正式には「経済財政改革の基本方針」(平成19年)。


[2008/06/12]
 小3まで子育て支援

<時短・残業免除を法制化、小3まで子育て支援…厚労省方針>

仕事と子育ての両立支援のあり方を検討している厚生労働省の「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会」(座長・佐藤博樹東大教授)の最終報告書が12日、明らかになった。
働く女性の子育て時間を確保するため、労働者が短時間勤務か残業免除を選択できる制度を企業に義務付ける法整備を求めた。

子育て支援の期間を現行の小学校就学前から、小学3年生までに拡大することや、母親の出産後8週間を「父親の産休」として、男性の育児休業の取得促進を求め、育休の再取得も特例的に認められるよう要件を緩和すべきだとしている。厚労省は、こうした措置を盛り込んだ育児・介護休業法の改正案を来年の通常国会に提出することを目指す。

現行の育児・介護休業法でも育休後に子育てしながら働き続けられる仕組みとして、〈1〉短時間勤務〈2〉フレックスタイム〈3〉始業終業時刻の繰り下げ・繰り上げ〈4〉残業の免除〈5〉事業所内託児所の設置−−の措置のいずれかを選んで講じることを企業に義務づけている。ただ、6割近くの企業は何の措置も講じておらず「仕事を続けたかったが、子育てとの両立が難しく辞めた」とする女性が多い。

(読売新聞より)

<医療と介護の一体型サービスの存続を―自民が提言>

自民党の「療養病床問題を考える国会議員の会」(会長・中山太郎衆院議員)は6月11日、2011年度末で廃止が決まっている介護療養型病床の機能の存続や、必要な受け皿を確保するための介護報酬の増額などを求める「介護療養型病床の廃止・転換に関する提言」を了承した。党内で提言に賛同する議員の署名を集め、党内手続きを経て福田康夫首相や舛添要一厚生労働相に提出する予定だ。

提言は、11年度末に介護療養型病床が廃止になった後も、介護と医療の両方が必要な高齢者に一体型でサービスを提供できるような受け入れ先を確保することを求めた。その際には、医師や看護職、介護職について、現行の配置基準を維持するか、それ以上とするよう求めた。そのために、来年度の介護報酬のプラス改定を要望している。また、再編後の療養病床数について、「厚生労働省はいたずらに削減圧力を掛けることなく」、地域の介護サービスなどへの需要を見た上で、必要な病床数を確保すべきとしている。

受け入れ先となる施設の人員配置については、医師や看護職は現行の配置を維持し、介護職については、利用者4人に対して1人を常時配置するよう求めた。ユニット型や認知症型など、重度患者を受け入れる施設については、さらに手厚い人員配置にすべきとしている。理学療法士や作業療法士などのリハビリテーションスタッフは、利用者50人に対して1人を配置し、出来高評価とするよう要望した。

国会議員の会は今後、党内で賛同する議員の署名を集め、党社会保障制度調査会介護委員会に提出する。党内手続きを経て、首相や厚労相に提言する予定。時期は未定だが、事務局の飯島夕雁衆院議員は「臨時国会より早い段階で提出したい」と話している。

新研修制度と医師不足の関連が明らかに>

日本医師会は6月11日の定例の記者会見で、「新医師臨床研修制度と医師偏在・医師不足に関する緊急アンケート調査」の結果を公表した。
同調査は、大学医学部の部長、医局の責任者(多くは主任教授)それぞれを対象に今年4月に実施された。

大学医学部の部長へのアンケート調査では、研修医の受け入れ数の年次推移などを質問。「初期研修医と後期研修医の受け入れ数」については、初期研修医の受け入れ数は減少しているが、後期研修医は増加傾向にあるなど、即戦力となり得る後期研修医を確保する動きが見られた、としている。

医局の責任者に対するアンケート調査では、医師派遣の中止・休止の有無や新医師臨床研修制度との関連などについて質問。「医局に入局した研修医数」については、同制度が導入された2004年度から2年間急激に落ち込み、3年目の06年度も01年度と比較して70%程度と回復していないことが明らかになった。

また、04年4月以降、関連医療機関への医師派遣を中止・休止した医局は76.6%に上り、このうち77.7%がその理由について同制度が主因であるとした。

さらに、医局から医師派遣を中止・休止された関連医療機関3003か所のうち、44.6%で診療制限などの問題が起き、16.5%が診療科閉鎖となった。
同制度導入後の診療科別の派遣医師数については、減少したと答えた割合が最も高かったのは産婦人科で、40.5%に上った。

また、人口当たりの一般病院(大学病院を除く病院)での従事医師数が最も少ない都道府県のグループで、派遣医師数の減少度が最高だった。これにより、もともと一般病院で従事する医師が少なかった地域で、派遣医師の減少によってさらに医師が不足している実態が明らかになった、としている。

<介護報酬改定に向け緊急提言―東京都>

東京都は6月9日、都内の特別養護老人ホームなどを対象に実施した経営状況、職員の勤務状況の実態調査の結果を踏まえ作成した緊急提言を厚生労働省に提出した。
提言は、社会保障費の抑制という国の指針に沿って介護報酬がマイナス改定を重ねたことで、特別養護老人ホームなどの事業者が苦しい経営を強いられていることや、労働力人口の減少や景気回復による他の業種の採用意欲の高まりにより、介護人材が不足していることなどを指摘。

こうした状況を改善するための10項目の介護報酬改定に向けた緊急提言、5項目の運営基準や規制緩和に関する提言が盛り込まれている。

介護報酬改定に向けては、施設側が国家資格の有資格者を積極的に配置しているが介護報酬上評価されていないことや、職員の資格取得のために施設が費用の補助、勤務時間上の便宜を図っていることを挙げ、「国家資格の有資格者を配置している場合は、有資格者に応じて介護報酬上評価すべき」などと提言している。

運営基準、規制緩和に関しては、特別養護老人ホームの建物が原則自己所有であることについて、地価の高い都市部では事業者の初期投資が莫大(ばくだい)なものになるとして、「施設建物の貸与を受けて設置することができるよう要件緩和すべき」などとしている。

<日本向け介護士応募、定数割れの115人…インドネシア>

来月1日に発効する日本とインドネシアの経済連携協定(EPA)に基づき、日本が外国人として初めて受け入れるインドネシアの介護士の募集が10日、締め切られた。

応募者は115人で、初年度受け入れ枠300人を大幅に下回った。
インドネシアに日本向け介護士養成コースがなく、受け入れを看護師の資格取得者に限ったのが原因。看護師の選抜試験では、受け入れ枠200人を上回る209人が合格した。インドネシア側は今後、介護士研修コースを設ける。

協定では、2年間で看護師400人、介護士600人の計1000人を受け入れ、初年度は半数の計500人が日本に向かう計画だった。日本側あっせん機関によると、介護士は計330人の受け入れ希望があり、初年度は大幅に不足する。

(読売新聞より)

<指定取り消し109カ所 コムスンから1年で>

コムスンが訪問介護事業所の指定を取り消されてから1年間で、虚偽申請や不正請求により指定を取り消された介護保険事業所が全国で109カ所に上ることが毎日新聞の調べで分かった。介護保険が始まった00年4月以降の各年度と比べ最も多く、自治体が取り消し業者に返還請求した保険料は21億円に上る。低い報酬と人材難の中で、利益を上げたい業者が不正に走る構図がコムスン後も変わらぬ実態が浮かんだ。

コムスンの教訓がどう生かされたかを調べるため、調査対象期間を今年6月6日までの1年とし、全国の都道府県や市区町村に処分状況を尋ねた。指定取り消し処分(取り消し相当も含む)を受けたのは21都道府県の109カ所で、年度別で最多の03年度(105カ所)を上回った。コムスンの事業所を除いても90カ所で06年度(73カ所)より増えた。

指定取り消し事業者に対し介護報酬の返還を求めた額は判明しただけで約21億7000万円で、06年度(約4億5000万円)の4.8倍に膨らんだ。

取り消し事業所のほとんどは訪問介護関連で、コムスンと同様に開設時に必要な人員が足りず虚偽の書類を作成するなどして指定を受けていた例が多い。実在しない職員の名前で記録を作成して介護報酬を不正請求するなどの不正も目立つ。

処分の基準があいまいなことから、当否をめぐり自治体と事業者が対立するケースもある。報酬返還に応じない事業者を自治体が提訴したり、事業者側が処分撤回を求める訴訟も起きている。

(毎日新聞より)

<医療新時代を 全国医師連盟発足>

病院勤務医の疲弊など医療崩壊が叫ばれる中、医師の労働環境改善などを目指す新組織「全国医師連盟」が6月8日に発足した。初代代表に就任した黒川衛氏(長崎県真珠園療養所勤務)は、設立集会の冒頭、「医師会や教授会と異なる新機軸として、医療新時代を築く」とあいさつした。当面は、労働環境改善に向けて、個人加盟制の医師職労働組合「ドクターズユニオン」結成などの課題に取り組むという。

同連盟は同日開いた総会で、医師の労働環境改善以外の当面の課題として、▽医療情報の発信による啓発活動 ▽医療過誤冤罪(えんざい)の防止と事故に遭った患者・家族の救済制度の設立―などに取り組む方針を固めた。また、財務、法務、渉外、広報などを担当する各委員会も設置した。

執行部によると、同連盟にはこの日までに約740人の医師が加入している。内訳は、勤務医75%、開業医15%、研究医3%など。平均年齢は45歳で、日医などに比べて若い。当面は、1万人規模の会員増加を目指す。役員の任期は1年で、年度ごとに総会を開き、会員による全員投票で代表を選出。代表が執行部のメンバーを指名する。

総会後に開いた設立集会には、全国から関係者ら150人が駆け付けた。黒川代表は集会冒頭のあいさつで、「医師に心のゆとりがなければ、患者さんの痛みや苦しみに共感できない」と述べ、勤務環境の改善により、医療の質を向上させる考えを強調した。また、「医療費を無駄金と考えるのは改めるべきだ。わたしたち医学・医療の力を生かせば、患者だけでなく社会を元気にすることもできる」と述べた。

集会後の記者会見では、医師会など既存の組織について、「先輩組織を見習いながらも、変容した医療崩壊といわれる時代に対峙(たいじ)し、解決の旗を掲げているかが疑問」と述べ、是々非々のスタンスで連携する考えを改めて強調した。

ドクターズユニオン設立を担当する執行部の角田鉄太郎氏(クリニック・サザンウィンド所長)は、「現場で最も忙しい医師たちは、こうした集会には来られないし、全医連の存在自体、知らないかもしれない。地道な活動でこうした人たちをどんどん増やしていきたい。この人たちに、自分たちで声を上げてほしい」などと呼び掛けた。

<介護経営概況利益率下がり現場の厳しさ浮き彫り> 

厚生労働省は5日、07年度介護事業経営概況調査の中間集計を発表した。介護サービス6事業の利益率(収入に占める利益の割合)は、居宅介護支援が15.8%の赤字だったのをはじめ、黒字の5事業も訪問介護を除き、3年前の前回調査を1〜6ポイント下回った。看護・介護職員の給与も訪問介護など3事業で前回比2〜9%の減となった。介護現場の厳しい実態は、来年度の介護報酬の改定にも影響しそうだ。

調査は4800施設・事業所を対象に、昨年9月の1カ月間の経営状況などを聞いてまとめた。6事業の利益率は▽介護老人福祉施設(特養)4.4%▽介護老人保健施設(老健)4.3%▽認知症対応型グループホーム(GH)7.7%▽訪問介護3.3%▽通所介護5.7%▽居宅介護支援マイナス15.8%。

このうち居宅介護支援事業は、前回に比べ2.9ポイントマイナス幅を広げた。訪問介護は前回比1.8ポイント増だったが、他の4事業は6.3ポイント減の老健をはじめ軒並み利益率を下げた。

報酬単価は都市部ほど高くなるよう市町村ごとに5段階で設定されているが、最高単価の東京23区で4事業の利益率が全国最下位になった。都市部ほど人件費や施設管理費が高いためとみられる。

一方、職員1人当たりの給与がアップしたのは特養、老健、GHの3事業だけだった。
3年ごとに見直しが行われる介護報酬は、03年度2.3%、06年度2.4%と連続のマイナス改定。厚労省老人保健課は「2度の報酬引き下げが人件費などに与える影響は否定できない。来年度の改定に向け実態をよく検討したい」と説明している。



[2008/06/03]
 介護職に普通の生活を・・緊急全国集会

<介護職に「普通の生活を」緊急全国集会開催>

全国老人保健施設連盟は6月5日正午から、東京都千代田区の日比谷公園大音楽堂で、「いまこそ、私たちの声を国会に、そして官庁に!」をテーマに「介護職員の生活を守る緊急全国集会」を開き、介護職員の待遇改善を求めるアピール活動を行う。

現場で働く介護職員や利用者とその家族、事業者などが集まり、現在の介護職の労働環境について報告する。全国老人保健施設協会が昨年から今年にかけて実施した、介護職の待遇向上を求める160万人分の署名活動のきっかけとなる手紙を書いた、埼玉県内の老健で働く男性職員も参加する。

介護職員による意見表明では、安心して生活できる給与の保障を訴える。「骨太の方針2006」が打ち出した、毎年の社会保障費2200億円削減の撤廃や、介護報酬のプラス改定を求める。与野党から国会議員も参加し、決意表明を聞く予定だ。
参加費は無料で、500人分の立ち見席がある。

<老人ホームGWG開設、設計との食い違いが800カ所>

グッドウィル・グループ(GWG)が06年に開設した東京都世田谷区の有料老人ホーム「バーリントンハウス馬事公苑」(7階建て、139室)で、鉄筋が少ないなど設計との食い違いが約800カ所あることが都の調査でわかった。都は関係者から事情を聴き、建築基準法上の耐震強度を満たしているか確認する。

GWGが事業停止命令を受け介護事業から撤退後、運営を引き継いだ不動産コンサルティング会社「ゼクス」(東京都)が書類などを調べたところ、建築確認を受けた設計と現状との食い違いが判明した。鉄筋の間隔が広いなど問題のある柱や梁(はり)は3000カ所中約800カ所あるという。

建物の所有者は今もGWG。同社とゼクスは30日、68人の入居者に説明した。ゼクスの担当者は「不安を感じる入居者には別の老人ホームを紹介する」と話している。
ホームは構造計画研究所(同)が構造設計し、指定確認検査機関の日本建築設備・昇降機センター(同)が建築確認、東急建設(同)が施工した。

(毎日新聞より)

<説明会に事業者殺到 インドネシア人介護士受け入れ>

EPAに基づきインドネシア人看護師・介護士候補の就労あっ旋業務を行う国際厚生事業団は22日から2日間、東京と大阪で受け入れ施設の募集に伴う説明会を開催した(写真=東京会場)。定員を上回る参加者が殺到し、この件に対する事業者の関心の高さが改めて浮き彫りになった。「人手不足で明日にでも来てほしい」とする積極派から、「どんなトラブルが発生するか想像がつかない。事業者支援が必要」という慎重派まで反応はさまざまだった。

日本での国家試験受験要件を満たすためには介護士候補者には7月末までに入国してもらわなければならない。そのため、7月17日には雇用契約を締結する突貫スケジュールだ。

募集の詳細について、まず、「日本人と同等以上」としなければならないとされている報酬については、「職務内容で決め、個々の施設で判断する」という解釈だとし、日本では無資格者として扱って差し支えないと説明した。

だが、インドネシア政府は交渉の最終段階まで具体的な賃金水準を明確にすることを求めていた。具体的には、「介護福祉士候補者で17万5千円以上、看護師候補者は20万円以上の月給」。受け入れ希望施設に政府の意向を伝えることが交渉成立の要件ともなったとした。

(シルバー新報より)

<精神科医、総合病院離れ 病床2割減、閉鎖も相次ぐ>

地域の中核病院などの総合病院で、医師不足から精神科病棟の閉鎖が相次いでいる。02年から4年間で、精神病床がある病院数は1割、病床数は2割近く減った。総合病院の精神科は、通常の治療だけでなく、自殺未遂者やがん患者の心のケアなど役割が広がっている。事態を重く見た関係学会や厚生労働省は現状把握の調査を検討している。

日本総合病院精神医学会の調査によると、02年に272あった精神病床を持つ総合病院は06年末に244に、病床数も2万1732床から1万7924床に減った。調査後も休止したり診療をやめたりする病院が続いている。

廃止になっているのは主に地方の公立病院だ。自殺率が12年連続全国1位で自殺予防に取り組む秋田県でも、精神病床がある八つの総合病院のうち、3カ所が入院病棟を閉鎖中。非常勤で維持してきた外来診療も、大学医局の医師引き揚げで厳しい状況にあるという。宮崎県では、四つの県立病院に十数人いた精神科医が昨年末に3人になった。

精神科専門の医師数は微増傾向だが、厚労省調査では、この10年で診療所と精神科病院に勤める医師数は増加したのに対し、総合病院などは1割減。夜間休日の救急対応などの忙しさから敬遠されたとみられる。また、他科より診療報酬収入が少なく、経営側に負担感が大きいという。

厚労省は、精神障害者が入院中心から脱して地域で生活できるよう単科精神科の病床数削減の方針を打ち出した。一方、自殺未遂で入院した患者を精神科医が診察すると診療報酬が加算されたり、がん対策基本法で緩和ケアチームに精神科医の関与が求められたりと、総合病院での精神科医の役割は増している。

水野雅文・東邦大医学部教授(精神医学)は「イタリアは精神科病院を全廃し、代わりに全総合病院に精神病床を置いた。日本は、精神科病院の病床削減は進まず、総合病院の病床が減るという正反対のことが起きている。総合病院の精神科医療の診療報酬を手厚くするなどの対策が必要だ」と話す。

<医療介護難民は11万人」―療養病床削減問題>

自民党の「療養病床問題を考える国会議員の会」(会長・中山太郎衆院議員)が5月14日に開いた会合で、厚生労働省の担当者と現場の医師、国会議員が療養病床削減問題をめぐり激しい応酬を繰り広げた。「介護療養型医療施設の存続を求める会」の吉岡充・上川病院理事長は、「厚労省の話を聞いていると頭に血が上る。介護療養型病床の削減により11万人の医療・介護難民が出るだろう」と述べ、介護療養型病床の存続を訴えた。

国は、医療費の抑制を目的に、2012年度末をめどに、いわゆる「社会的入院」が多いと指摘される療養病床37万床について、医療保険適用の医療型病床を25万床にまで減らし、介護保険適用の介護型病床を全廃する方針を打ち出している。

このため、療養病床には5月に創設した介護療養型老人保健施設への転換を勧めている。しかし、現場からは入院患者の行き場がなくなることへの懸念による反発が多く、「現在入院している患者のニーズを満たせない」として、介護型は医療型へ転換し、医療型は回復期リハビリテーション病棟へ転換するなどの動きが各地で見られ、厚労省の思惑通りには進んでいない現状がある。「国会議員の会」は、介護療養型病床を有する病院で医療ソーシャルワーカーとして働いた経験のある飯島夕雁衆院議員が中心となって、この問題を解決するために議論を続けてきた。

厚生労働省からは、老健局の鈴木康裕老人保健課長と、矢田真司老人保健課地域ケア・ 療養病床転換推進室長が、介護療養型老人保健施設(老健)の概要を説明した。特に夜間の看護師配置については「『えいや』と鉛筆で決めるのではなく、入っておられる方にどれぐらいの医療行為が必要なのか、時間がかかるのか、どのぐらいの看護職員の業務量が必要なのか、計算して決めさせていただいた」と述べた。

療養病床の転換を進めるために次々と打ち出した緩和措置についても説明し、「データに基づくやり方でやらせていただいた。今後の状況を見て必要に応じて見直しを行いたい」と締めくくった。

東京都内で介護型の療養病床などの慢性期病床を運営する吉岡理事長は、「鈴木課長のおっしゃることは、頭に血が上り、鼻血が出そうだ」と怒りをあらわにし、「介護療養型医療施設の患者は『要医療・重介護の高齢者』。この状態を受け入れられるのは介護療養型医療施設だけだ」と訴えた。

介護型療養病床に入院する患者の要介護度はすべての施設類型の中で最も重く、入院患者のうち要介護5の患者が老健の3倍以上で52.5%を占め、みとりも7倍あり、重度の認知症患者も多いなど、医療行為の必要性が高いと主張した。

その上で、「存続を求める会」が実施したアンケートを基に、10万床ある介護療養病床が廃止されると5万3000人の患者が、医療型療養病床からも5万5000人以上が行き場を失うとして、「医療・介護難民は11万人に上る」との試算を示した。

また、厚労省が療養病床再編の根拠としている、医療型と介護型の入院患者の状況に差がないとするデータについても、「作為的にデータの意味をすり替えたねつ造」と指摘した。また、介護療養型老健に転換した場合、スタッフの人数を減らさなければ総利益率が6.1%のマイナスとなり、「20%近い減収になる」とした。吉岡理事長は、「明らかに介護療養型医療施設は必要。国民の多くもこの問題を知らないため、いったん廃止するか延期するかして、費用負担やどういう死に方を望むのかなど、国民とともに考える時間をつくってほしい」と主張した。

「存続を求める会」の医師から、介護療養型老健への転換について「現実的にはできない状態。職員を減らす、(医療依存度の)軽い人を入れるというのは現場を無視した制度。患者の行き場がないのだから、それを考えてからやってほしい」とする意見や、「(療養病床再編は)医療費削減につながるという説明があったが、(介護型療養病床は)本来介護保険制度から出ているのだから、医療費削減につながるというのは詭弁(きべん)」とする意見が上がった。

「なぜいまさら特典が付くのか」
意見交換では、司会の飯島議員が「厚労省の説明と、『存続を求める会』とでは意見がだいぶ違っている」と述べ、議員からの意見を求めた。

松島みどり衆院議員は、療養病床削減により慢性期患者の受け入れ先がなくなることで、受け入れ不能などで疲弊する救急医療にさらに混乱を招くと指摘。「救急病院や救急車が(患者で)いっぱいになることを考えれば、療養病床削減の方がコストも掛からない」と述べ、療養病床の存続を求めた。

亀岡偉民衆院議員は、転換のための緩和措置が次々と打ち出されていることについて、「後から後から特典を付けているが、なぜ最初からできなかったのか」と指摘。鈴木課長はこれに対し、介護保険制度創設時に目指していた、療養病床における医療と介護のすみ分けが、実際にはうまくいっていなかったためだと主張した。「われわれの立場からすると重装備なところには重い方が入り、介護保険の施設には介護の必要な方が入る。機能分化が必要ということ」と述べた。

亀岡議員は「あくまで『機能的』と言うが、『機能的』ではない結果になっているということでは」と尋ね、鈴木課長は「混在していると、機能的になっていないということ」と答えた。

現場の医師からは、厚労省が療養病床削減の根拠としているデータの分析のやり方に意見が出た。「分析の仕方である程度どうにでも振れる。分析の仕方を厚労省とわれわれが一緒にやっていくともっと現場の状況が分かる。厚労省は、財務省や国会議員の一部の偏った政策のために、とばっちりが来ているように思う。一番大事なのは骨太の(方針2006の)2200億円削減方針、それを根本から見直すこと」と述べた。

◆「国は現場を見ていない」
原田けんじ衆院議員は「アンケートとか言うが、実際に現場の病院をどれぐらい見ているのか。前々から気になっているが、国の役所は現場を見ようとしない。数字とか『財務省からこう言われて予算に合わせないといけない』とかじゃなくて、実際に現場を見て、話をしている例はどれぐらいあるのか」と聞いた。

鈴木課長は「どれぐらいというのは難しいが、わたし自身も課の人間もいくつか行っている。現場を見ることや聞くこと、データやアンケート、そういう実態を踏まえることは必要だと思っている。数字に合わせるために現実を曲げているということではない」と主張した。

亀岡議員は、「入っている入院患者を見て、そんな簡単に介護と医療のすみ分けが、『機能的』にできたのか」と尋ねた。鈴木課長は、「われわれが見た施設は、ここにおられる先生方の施設を中心にうまくやっておられるところが多かった。だが、日本全体のマクロで見ると、医療保険の医療療養病床と、介護保険の介護療養病床が本来の趣旨通りの分担になっていなかった。重装備のところには重い人を、そうでない人は介護保険施設に、と思うが、今の介護保険施設では無理なので、施設を移ることなく、看板を付け替えていただくということ。入っている方を地域に無理やり出すとかではない」と答えた。

これを聞いた吉岡理事長は語気を荒らげ、「要医療で重介護の人の行き先がないということ。これがポイントなんだ。これが厚生労働省は分からない。だから鼻血が出そうなんだ」と訴えた。

議員に返答をせかされた鈴木課長は、「『要医療・重介護』がどの方たちを指しているのかということがある。介護が重ければ介護サービスが高い所に入っていなければならない。

医療の必要性として、どの程度の医療が必要なのかが非常に重要。医療区分3の人ならば、病院でないととても扱えないので医療療養が必要になるだろう。介護が必要な人でも介護だけということはないので、夜吸引が必要という人もいる。どの程度医療が必要かということだ」と返答した。

◆「根本的にやらなくていい制度」
飯島議員も、介護療養型老健について「医師配置が1名プラスアルファとなっているが、24時間医師が要るなら3人は必要。まるっきり現場の認識と違う」と指摘した。

元脳外科医でケアマネジャーの資格も持つ清水鴻一郎衆院議員は、「原点に戻って考えていただきたい。医療と介護は切り離せない。両方必要な人がいるため、『介護が必要だが、医療も必要なために病院にいる』という区分ができたことは介護保険ができた時のヒットで、国民に安心を与えた。表にすると差がない、というが、国民のニーズに応えてきた。

本当にこれ(介護型療養病床の全廃)を実施する意味があるのか、国民が幸せになるのか、もう一度考える必要がある」と述べた。また、後期高齢者医療制度で国民から不信を買っていることにも触れた。「長く生きてこられた方の人生のプライドを傷つけたかもしれない。

国民の75歳以上にとってうれしくない制度だったのは事実。これ(介護型療養病床の全廃)が進むと自民党は高齢者いじめと言われ、山口の補選でも負けたが、選挙にならないぐらい厳しくなるだろう。いろいろ言っても、根本的にやらなくてよかった制度が、医療費削減のためにやられていると国民には見えてしまう。2200億円の命題があるのは事実で、財務大臣はどうしてもやるという方向にあるので、根本的な考え方がどうなのかということ」と述べた。

療養病床再編への流れは「財政改革優先路線」
税制調査会長の津島雄二衆院議員は、「(2200億円削減を)来年やるということは決めてない」と述べた上で、厚労相を務めた2000年の介護保険創設当時を振り返った。

「医療と介護の両方が必要な人がいるという議論をしっかりしなかった。当時の発想は、それぞれの制度(医療型と介護型)を立てたのでその機能を発揮できるようにするにはどうすればいいかということだった。医療は健保組合、政管健保もある。しかし介護保険は自治体がベースになるので、責任は厚労省ではなく自治体が取るべきという考え方に流れてきた。

そのうち実態が違うと分かってきて、療養中心か介護中心かに分けようとした傾向がある。なぜそうなったかというと財政改革優先路線だったということだ」と述べ、異なる保険制度で療養病床を区分し、再編に進む現在の流れが財政に主導を取られていると明言した。

さらに、「少子・高齢社会で医療や年金の負担が上がるのは日本の宿命と認めて、向き合うことが必要。それをやらないで与党も野党もごまかしている。野党も毎年2兆円ずつ経常的に増える社会保障給付費用について、無駄を探せば2兆円できると言って逃げてしまう。これが続いているうちは日本の福祉制度の構築は難しい。

この日本を悪くしている。来年度予算編成の最大の問題はシーリング、特に厚労省のシーリングだ。これは現職の官僚に言っても駄目なので、わたしたち政治家が党内外で政治生命懸けてやる仕事だ。仮にシーリングをなくすなら負担と向き合わなければならないが、誰が国民に向かってその問題を対話できるかが問われていく。

この問題(介護型の全廃)も実態に合うように取り組んでいくし、少しは(厚労省の)担当者にもやりやすいようにしてあげたい」と述べた。

「国会議員の会」は、次回も厚労省との意見交換を予定しており、今国会会期中に療養病床削減の問題についての提言を取りまとめる予定だ。

●自民党としては衆院解散・総選挙をにらんで、「失策」と批判される後期高齢者医療制度の二の舞いを演じるわけにはいかず、社会保障費2200億円削減の方針については党内でも意見のばらつきも聞かれる。後期高齢者医療制度でも負担軽減の議論が始まった。

一方で、経済財政諮問会議が「骨太方針2008」の検討に着手し、財務省の財政制度等審議会も「建議」の議論を始め、09年度予算編成に向けた攻防の火ぶたは切られた。舛添要一厚労相は「2200億円のマイナスシーリングは限界」との発言を繰り返しており、2200億円の削減を回避できるかに注目が高まっている。厚労省も今年度中に、療養病床再編の方向性をまとめ、全国医療費適正化計画に数値を盛り込まねばならない。

さまざまな思惑が交錯する中で、継ぎはぎだらけの制度によって被害を受けるのは高齢者とその家族、現場の医療・介護従事者だ。しかし、この問題を知る国民はまだ少ない。

「存続を求める会」は行き先のない医療・介護難民は11万人に上ると試算した。団塊の世代の高齢化も控える中、政治家と官僚がこの数字にどう応えるか、許された時間は少ない。

<救急車搬送費用、利用者負担の検討を>

西川京子厚生労働副大臣は5月30日の「安心と希望の医療確保ビジョン会議」で、軽症患者による救急車の利用を抑制するため、搬送費用を利用者が負担する仕組みの導入について検討することを提案した。

西川副大臣は、軽症患者による救急者の利用が救急医療現場の疲弊につながっているとされる点について、「消防による救急搬送と病院の問題とが一緒くたになっているが、搬送は搬送の仕事だ」と述べた上で、「(搬送費用を)有料にすることをきちっと考えてみる必要が絶対にある。それによって国民の意識改革というか、本当に必要なときに(救急車を)呼ぶことにつながるのではないか」と提案した。

また、メディアによる後期高齢者医療関連の報道にも言及。「はっきり言って、ミスリードの部分がものすごくある。国民と協働するのだから、メディアにも協働してほしい」などと述べ、同会議がまとめる安心・安心を提供する医療に関する提言に、報道の在り方についても盛り込むよう求めた。

これに対し、松浪健太厚生労働政務官は、「メディアに分かってもらう以上に、厚労省に問題がある。メディア対策の人間を縦割りで置くのではなく、適性のある人材を省内で養成して、しっかりした担当者を置くべきだ」と応じた。

<「終末期相談支援料」凍結方向強まる>

舛添要一厚生労働相は、後期高齢者医療制度の運用改善に絡み、診療報酬の「終末期相談支援料」を凍結する意向を示した。舛添厚労相は、与党から廃止を含めた見直し論が台頭していることなどを踏まえ、一端運用を取りやめて対応を議論することで、中央社会保険医療協議会の了承を得たい考えだ。

しかし、中医協の委員からは「中医協としては事実に基づいて議論していく」「国会議員たちは政争の具にして不安を煽っているとしか思えない」などの反発が大きく、議論を呼びそうだ