
<低賃金で激務 利用者にしわ寄せも… 悪化する介護労働の現場>
介護現場の労働環境が悪化している。厚生労働省所管の財団法人「介護労働安定センター」の調査で、介護労働者の半数が「低賃金」と回答。5人に1人が1年間で職場を去っているという。こうした職場環境のしわ寄せが、事故の危険や衛生面の悪化という形で施設利用者に波及することが懸念される。
調査は昨年11〜12月、全国の介護事業所とそこで勤務する介護労働者を対象に実施。4783事業所と1万3089人が回答した。
介護労働者の平均月収は17万9000円。平均時間給は1044円で、49.4%が「仕事内容の割に低賃金」と回答した。労働条件で悩みや不安が「ない」と答えたのはわずか7%だ。
介護自体が重労働なのに加え、介護サービス利用者からの暴言も5人に1人は経験、1割はセクハラ(性的嫌がらせ)や暴力を受けているという。
半数が「働き続けられる限り勤めたい」と前向きな姿勢を示している一方で、1年間で辞めた職員の割合を示す離職率は21.6%。全産業平均の16.2%と比べ5ポイント以上高く、働きがいはあるものの、継続困難と考える職員も多い実態が浮かび上がる。
「介護用ゴム手袋は施設の備品ではなく、職員に自費購入させていた」。都内の介護付き老人ホームに勤務していた元職員はこう証言する。施設側の経費節減により、介護職員に負担を強いるケースがあるのだ。
感染症予防のため、おむつ交換の際には手袋は1回ごとに使い捨てることが望ましいが、都内のこの施設では、職員が自分の出費を抑えるため1枚の手袋で複数のおむつ交換をしているほか、おむつを換えた手袋のまま高齢者の口腔(こうくう)ケアなども実施していた。
介護職員も極端に少なかったため、週2回の入浴が10日に1回程度と少なく、入浴もストレッチャーに乗せてシャワーで済ませていた。職員不足を補うため、緊急時にしか認められていない認知症高齢者の身体拘束を日常的に実施していたとして都は昨年、この施設に業務改善命令を出した。
介護労働安定センターの調査でも、重大事故につながりかねない「ヒヤリ・ハット」の経験は51.8%が「あった」と回答。とりわけ入所型施設の職員は4人に3人が経験していた。いずれも職員不足によるところが大きいとみられる。
国からの介護報酬が少ないため、介護事業所が労働者の給与を抑制。離職率が増加し就職希望者が減少するという悪循環に陥っている。NPO法人「介護者サポートネットワークセンター・アラジン」の牧野史子理事長は「排泄(はいせつ)や入浴などの作業について、社会全体の評価が低い。キャリアアップ制を導入したり報酬を上げるなどモチベーションを保たせる対策を取らないと担い手はますます減少する」と介護業界の空洞化を懸念している。
(産経新聞より)
<インドネシア人看護師、受け入れ後の支援が課題>
インドネシアとの経済連携協定(EPA)に基づいて、インドネシア人看護師・介護福祉士候補者らの第一陣が、先ごろ来日した。山口市の医療法人和同会山口リハビリテーション病院(180床)でも、早ければ来年2月に2人の看護師候補者が勤務を開始。日本の資格取得を目指すことになるが、最大の懸念は、せっかく来てくれた看護師が異国の風土になじんで暮らしていけるかどうかだ。同病院では、「公私にわたってサポートしていきたい」と話している。
◆地域で深刻化する看護師不足
山口リハビリテーション病院によるインドネシア人看護師の受け入れは、深刻化する看護師不足への対策の一環。
同病院を運営する医療法人和同会の重高博之理事によると、看護師の新規採用は2006年ごろから特に難しくなり始め、ここ2-3年は、離職者の穴を埋めるのがやっとの状態。
これまで新卒看護師の獲得も試みてきたが、大学病院など急性期病院への志向が強く、リハビリテーションなどの回復期や、慢性期をメーンに扱う同病院を希望するケースは多くはない。看護師に就職先をあっせんする看護協会の「ナースバンク」に問い合わせても、条件に見合う案件は数少ない。
医療現場を去った「潜在看護師」の獲得もあまり期待はできない。「いったん燃え尽きてしまったら、よほどのことがないとカムバックしてくれないだろう」と重高さん。
現在の診療報酬は、看護師をどれだけ確保できているかが病院の収入に直結する仕組み。近い将来、看護師に関する基準が引き上げられるのではないか、といった観測も飛び交っている。とはいえ、人数だけそろえたとしても、ハイレベルなスキルを身に付けた看護師がいなければ、病院運営上の選択肢の幅が狭まりかねない。
それだけに、優秀な看護師をどれだけ獲得できるかは、病院サイドにしてみれば今後の生き残りを左右しかねない大問題だ。
同病院が看護師の確保策を検討しているタイミングで、インドネシアと日本両政府がEPAを締結した。日本の資格取得を支援し、頼れる戦力に育て上げることができればと、候補者の受け入れ施設として名乗りを上げた。
◆異国の風土になじめるか
インドネシア人の看護師候補者は入国後、海外技術者研修協会が実施する日本語研修を約半年間にわたって受ける。資格取得までの在留期間は3年で、国家試験は3回まで受験できる。在留期間内に資格が取得できなければ、帰国しなければならない。
また、受け入れ側は、看護師養成所の臨地実習受け入れ病院並みの体制が整備されていることが前提。その上で、看護師の人数など7項目の要件を満たす必要がある。
同病院では、仲介役を担う国際厚生事業団(JICWELS)によるマッチングの結果、2人の受け入れが決まった。候補者たちは8月7日に来日し、現在、日本語や日本の風習などについて学習している。早ければ来年2月にも同病院で勤務を始め、働きながら資格取得を目指す。
受け入れに当たって重高さんは、「インドネシアの人たちはお年寄りを大切にすると聞いている。サービス面で不安は感じていない」と話す。
最大の懸念は、候補者たちが異国の風習や風土になじめるかどうかだ。せっかく来日した候補者が志半ばで帰国してしまえば、一人当たり数十万円の受け入れ費用がふいになるというリスクもはらんでいる。このため受け入れサイドにとっては、候補者たちへの支援が重要になる。
支援策の一環として、同病院では地元大学が開講する日本語や生活文化に関する講座の受講を勧めているほか、地域住民の自宅でのホームステイなどの企画もある。
候補者たちのサポートを担当する下川貴世さんは、「資格取得に専念できるように、公私にわたって支えていきたい」と話している。
◆高卒職員の資格取得支援も
同病院では、看護師を志す高卒者を発掘し、入職後に資格取得を支援する試みも検討している。同病院を運営する和同会では、看護師の養成学校を開設する構想があり、採用後は同校への入学を促す。今後は、奨学金の支給などの支援策を検討する。
「どこまでできるかは分からないが、できる限りバックアップしたい」と重高さん。
既存の養成所からの獲得が困難なら、自分たちで養成しようという発想だ。重高さんは「リハビリテーション看護の重要性が叫ばれている。この分野には急性期にない魅力がある」とアピールしている。
<広島市:介護保険料など1300万円を誤徴収>
広島市は8日、介護保険料と後期高齢者医療保険料のべ1373人分、計約1300万円の8月特別徴収予定分で誤徴収するミスが判明したと発表した。原因は事務処理ミス。年金からの天引きは8月15日付けだが、天引き処理は既に終えているため、変更ができないという。
8月の特別徴収開始分は6月時点のデータで構成するが、データを社会保険庁などに送るために県国民健康保険団体連合会に提出する際、誤って5月のデータを提出した。
ミスによって、1373人分の転出者や死亡者などの特別徴収が中止できず、過徴収する可能性がある。ただ、のべ1004人の死亡者は年金支給が停止している可能性が高く、天引きはないとみられる。過徴収分は判明次第、還付するという。
また、8月分から介護保険料の特別徴収(年金からの天引き)を始める予定だった転入者ら2719人についてもデータのミスで特別徴収を開始できず、口座振替などの普通徴収を行う。
(毎日新聞より)
<公立病院改革は独法化ですすめるべき>
8月2日、北海道・札幌市で開かれた「公立病院改革セミナー」(全日本病院協会北海道支部など主催)で、総務省の公立病院改革懇談会の座長を務めた長隆氏は基調講演で「公立病院の経営は独立行政法人の非公務員型に収斂していくと思う。」と述べたと小樽ジャーナル(8月3日)は伝えた。病院改革の事例をいくつかあげる中で、小樽市の新病院建設計画を取り上げ、「市民病院の存在が必要かどうか、道は市に指導力を発揮できていない」と追求したとも報じた。
小樽市立病院は2つの市立病院を再編し、新病院建設計画を進めている。総務省の示す「公立病院ガイドライン」のうち病院継続のボーダーラインとなる「病床利用率3年連続70%以下と病院の資金不足比率20%以上に該当し、数値目標をクリアすることは到底困難」とされているため、病院改革プランは小樽市の崩壊へ直結すると懸念する(小樽ジャーナル5月23日)。公立病院のうち7割以上が赤字を抱えているという経営状況から見れば小樽市が突出した事例ではないことを示している。
◆経営の自由度を担保する独法化
厳しい公立病院経営を強いられる地方にあって、長野県では、8月5日、県立5病院の経営のあり方を議論してきた「県行政機構審議会」で独立行政法人に移行することが適当とする報告をまとめ、9月中にも村井知事に答申することを決めた(信濃毎日8月6日)。審議会の委員らは予算や人事面で制約を受け、経営の自由度が乏しいとして独立行政法人化を主張したもの。
神奈川県病院事業庁は本年3月に「県立病院のあり方検討委員会」報告書をまとめた。報告書によると、県立6病院(指定管理者制度を導入した汐見台病院を除く)を一般地方独立行政法人(非公務員型独立行政法人と同意)に移行すべきとする結論をまとめた。神奈川県立病院は、平成17年度、18年度の2年間で経常収支黒字を達成しているものの、累積欠損金は平成18年度末で、約178億円ある。
病院の老朽化から機器の更新など設備投資が必要であり、今一層の経営改善が求められるため、独立行政法人化に踏み切る方向性を示した。報告書で、「地方公営企業法の全部適用は地方公共団体の財務、組織、人事管理等を定める地方自治制度の基本的枠組みからの自由度に制約があること、管理者を完全に独立した執行機関とすることは困難」なことをあげ、具体的には、医師、看護師など人材確保を困難にしている点を突いた。
一般地方独立行政法人では柔軟で弾力的な病院経営が可能であること、7対1看護配置への対応、院内の24時間保育の実施、定型的な事務の外部委託化、経営状況を勘案した人事、予算の運用など弾力的に実施できると独立行政法人化の長所をあげた。
◆非公務員型を後押しする総務省
なお、総務省で開かれていた「公立病院改革懇談会」のまとめた「公立病院改革ガイドライン」(平成19年12月)の「経営形態の見直し」の中で「地方公営企業法の全部適用」では、「事業管理者は人事・予算に係る権限が付与され、より自律的な経営が可能だが、経営の自由度拡大の範囲は、地方独立行政法人に比べ限定的」であり、「経営形態の見直し契機とした民間的経営手法の導入が不徹底に終わりがち」であることが強調された。
一方、非公務員型地方独立行政法人化は、「地方独立行政法人法により独立行政法人を設定し、経営を譲渡する地方公共団体が直営で事業を実施する場合に比べ、予算・財務・職員定数・人事などの面で自律的・弾力的な経営が可能となり、権限と責任が明確で、・・・積極的に地方独立行政法人化への移行について検討するべき。」と地方独立行政法人化を勧める。
7月末日に改訂された「公立病院改革ガイドラインQ&A」(改訂版)では、公務員型の地方独立行政法人にふれて、行政改革推進法では一般地方独立行政法人を推進することとされていること、医療観察法第16条に基づく指定入院医療機関の指定を受ける以外は、公務員型は想定していないと言明している。
「公立病院に関する財政措置のあり方等検討会」資料によると、公立病院約1000病院のうち、地方公営企業法全部適用は251病院(平成19年3月現在)。地方独立行政法人化は公務員型が6病院、非公務員型が5病院。指定管理者制度の導入は44病院。民間譲渡が19病院となっている。
<医師給与の初任給調整手当を改定>
人事院が11日行った国家公務員の給与勧告で、国の医師の給与を特別改善することが勧告された。これは、国の医療施設における勤務医の確保が重要な課題となっている中で、国の医師の給与が民間病院や独立行政法人国立病院機構に勤務する医師の給与を大きく下回っていることから、若手・中堅医師の人材確保のために初任給調整手当を改定し、年間給与を平均で約11%引き上げ、独立行政法人国立病院機構並みとするというもの。2009年4月1日から実施する。国家公務員一般職の2008年度給与は、月例給とボーナスともに現行水準に据え置く。
<ディスポタイプでない穿刺器具の使用状況を公表 厚労省>
厚生労働省は微量採血のための穿刺器具の取り扱いに関する調査結果を公表した。針の周辺部分がディスポーザブルタイプでないものの使用実態を調査したもので、調査対象器具31種類について、病院や診療所など医療施設のほか、市町村が健康保険組合が実施した保健事業、看護師等養成所や臨床検査技師養成所などの7日現在の使用状況を集計した。医療施設のうち、病院では調査対象8923病院中、43%にあたる3829病院がディスポーザブルタイプでないものは使用していなかったが、37%にあたる3283病院はディスポーザブルタイプでないものを、針は交換したが器具を複数人に使い回すという不適切な使用していた。針を交換せずに複数人に使用していたケースはなかった。
<新たな施設基準「看護機能強化型特養」創設などを提案 日看協>
日本看護協会は4日、「2009年度介護報酬改定に関する要望書」を厚労省老健局長宛に提出したことを公表した。来年度の介護報酬改定に関する要望書については、日看協は7月7日に日本訪問看護振興財団、全国訪問看護事業協会との3団体共同で、厚労省に提出した。
日看協が単独で提出した今回の要望書では、前回提出した「療養継続看護管理料(仮称)」などの要望とは別に、新たに特別養護老人ホームでの手厚い看護・介護体制や外部からの訪問看護サービスの利用を可能にすることなどを求めた。 |