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[2008/10/31]
 介護報酬を3パーセント引き上げ

<介護報酬を3%引き上げ、プラス改定は初>

政府・与党は30日、深刻な介護分野の人手不足を解消するため、来年度から介護報酬を3・0%引き上げることを決めた。

プラス改定は2000年度の制度発足後初めて。これにより賃金を月2万円上げ、全国120万人の介護職の人数を約10万人増員させることを目指すとしている。

また、改定による介護保険料の急増を抑えるため、1200億円の国費を投入し負担増の一部を肩代わりする。同日発表された追加景気対策に盛り込まれた。

介護報酬は、03、06年度と連続して下げられたため、介護事業者の収入が増えず、給与が抑えられ、人手不足が深刻化していた。

引き上げによって市町村の介護保険料(65歳以上)は全国平均で月120円上がる見通し。このため国費を投入し、各市町村に基金を設置する。報酬改定による保険料増額分について、09年度は全額、10年度は半額を基金で肩代わりする。

40歳〜64歳の介護保険料も、市町村国民健康保険、協会けんぽ、一部の健康保険組合の加入者に対し、国費を使って負担軽減を図る。

(読売新聞より)

<介護ビジョン、第5回会合を開催>

介護をめぐる課題や今後の方向性(ビジョン)を話し合うため、舛添要一厚生労働相が設置した「安心と希望の介護ビジョン会議」(座長=前田雅英・首都大学東京都市教養学部教授)の第5回会合が10月31日、厚労省内で開かれた。この日は、「介護従事者の処遇改善のための緊急特別対策」について意見交換したほか、2人の委員が政策提言(プレゼンテーション)を行った。フリーディスカッションでは、「訪問介護の家事援助」が議論になった。

1日の前回会合では、介護の在り方について各委員が意見を述べるプレゼンテーションを実施。今後の課題として、人手不足が深刻な介護職員の待遇改善や、要介護状態になっても暮らせる住宅の確保などが挙げられた。

今回は、古川静子委員(日本化薬メディカルケア・デイサービス部長)と堀田聰子委員(東大社会科学研究所特任准教授)のプレゼンテーションを冒頭に予定していたが、30日に政府・与党が介護報酬の3%引き上げを決定したため、急きょ変更。プレゼンテーションに先立ち、「介護従事者の処遇改善のための緊急特別対策」を議題とした。

2009年4月から介護報酬を3%引き上げる趣旨について、厚労省の吉野隆之介護保険課長は「介護職員と他職種との間に賃金の差があるため、介護従事者が離職し、人材の確保が難しい状況にある」と説明。介護報酬の引き上げに伴う介護保険料の急激な上昇を抑制するため、09年度は改定による上昇分の「全額」を、10年度は「半額」を国庫が負担するとした。

具体的には、3%に相当する2000億円強の半額に当たる1200億円程度を国庫で負担。09年度に800億円、10年度に400億円を充て、保険料の負担を軽減する。65歳以上の「第1号被保険者」の保険料分は市町村に設置した基金を経由して、40-64歳の「第2号被保険者」の保険料分は保険者団体などを経由して交付する。

説明に対し、委員から「3%のアップが介護職員に還元されるのか」「介護職員の賃金が上がったかどうかを検証するシステムが必要」などの意見が出た。また、介護サービスの無駄を省いて効率化を図る必要性を指摘する声もあった。

鈴木康裕老人保健課長は「一定額が(すべての介護事業者・従事者に)等しく行く(還元される)わけではない」と述べ、▽介護従事者の手厚い配置 ▽有資格者の配置 ▽地域 ▽雇用形態 ▽サービス内容―などによって、賃金の上昇幅がそれぞれ異なる可能性があることを示唆した。

続いて、古川委員と堀田委員が、今後の介護の在り方についてプレゼンテーションを行った。古川委員は、介護の質の向上を確認するシステムの必要性などを指摘。堀田委員は、介護職員がやりがいを持って働き続けられる仕組みづくりの必要性などを訴えた。

フリーディスカッションでは、太田差惠子委員(NPO法人パオッコ理事長)が、料理や買い物など訪問介護の家事援助が制限されることを懸念し、ボランティアが代行できるような仕組みの整備が先決だとした。この発言に対し他の委員からは、「介護サービスの利用者への教育が必要」「できることは自分ですべき」「(利用者の)欲求はエスカレートする」など、多くの反対意見がぶつけられた。

一方、31日の会合で厚労省は、前回までの委員らの発言を整理した「参考人・委員からの主な意見」を示した。これは、▽地域での生活を支えるための仕組みづくり▽介護従事者の処遇改善▽地域力の向上―などに分けて個別の論点が挙げられており、「介護サービスの提供」という観点から整理されている。

舛添厚労相は「(介護サービスを)受ける側からの一本線はないのか」と述べ、介護サービスを提供する側の視点だけでなく、利用者の視点からも考える必要性を指摘した。

次回の会合では、これまでの議論を踏まえて厚労省側が「たたき台」を示し、次々回に報告書を取りまとめる予定。

<介護報酬引き上げなど社会保障分野の対応も>

政府・与党が30日にまとめた追加経済対策には、人々の身近な暮らしにかかわる社会保障分野の対応も多く含まれている。
介護では、低賃金、人手不足が目立つ介護職員の確保策として、09年度に介護事業者の収入となる介護報酬を3%引き上げる。00年度の介護保険制度発足以来、原則3年に1度改定される介護報酬は03、06年度はいずれも減額されており、プラス改定は初めて。

介護給付費は報酬の3%アップで約2100億円(うち国庫負担約550億円)増える。政府は勤続年数が一定以上の職員を雇用したり、人員体制が手厚い事業所に報酬を加算することで、職員の平均月額賃金の2万円アップや、介護職員(120万人)の10万人増を目指す。

一方、報酬を3%引き上げると保険料も上昇し、65歳以上の人なら平均月額(4090円)が120円増となる。このため1200億円の基金を準備し、09年度はアップする120円分全額を補てんするほか、10年度も半額の60円分を補助する。40〜64歳の負担増分も同様に補助する。
子育て支援では、現在5回分の補助しかない妊婦健診の費用(平均1回約9000円、総額約12万円)について、妊娠から出産までの望ましい健診回数とされる14回分を無料化するといった対応を盛り込んだ。

雇用をめぐっては、年長フリーターを正社員として雇う中小企業を対象に、初年度に50万円、2年目と3年目に25万円ずつ給付し、3年で計100万円を支給するほか、雇用保険の保険料率を09年度に限り引き下げる。

(毎日新聞より)

<総合周産期センターの15施設が常勤医6人以下 厚労省の緊急調査>

厚生労働省は10月28日、救急搬送された妊婦が8病院に受け入れを拒否された問題を受け、全国75の総合周産期母子医療センターを対し緊急実施した医師数の調査結果を公表した。調査は医療法基準に照らし、週32時間以上勤務の研修医も「常勤」とカウント。

電話による聞き取りによる27日時点で集計した結果、常勤医は都立墨東病院を含め15施設が6人以下、38施設が9人以下だった。同省は「病床数や非常勤医とも関係するが、常勤が10人いないと当直が回らないのではないか」としている。

<「個別リハビリ提供に特化した短時間の制度」創設を提案> 

厚生労働省は30日の社会保障審議会介護給付費分科会に、通所リハビリテーションにおいて「個別リハビリ提供に特化した短時間の制度」創設を提案した。

医療保険ではリハビリに特化した短時間の外来でのリハビリが中心で、通所リハビリでも「2時間以上〜3時間未満」など比較的短い時間の算定割合が多く、集中的にリハビリが行われている一方で、介護保険の通所リハビリでは「お預かり」機能が不可分であり、「6時間以上〜8時間未満」の算定が多いのが実情。

そこで医療保険における個別リハビリ提供時間との格差を埋め、特に退院時など医療保険から介護保険に移行した場合に、集中的かつ個別に実施するリハビリの仕組みを見直すことが必要として「個別リハビリ提供に特化した短時間の制度創設」を求めたもの。


[2008/10/23]
 報酬引き上げへ1200億円

<報酬引き上げへ1200億円=介護職員の待遇改善>

政府・与党は22日、2009年度の次期介護報酬改定で介護報酬を引き上げるため、月内にまとめる追加経済対策に約1200億円を計上する方向で調整に入った。他の業種と比べて賃金が低く、離職率が高い介護職員の待遇改善を目指す。計上する約1200億円は、介護報酬引き上げに伴って本来なら負担増となる介護保険料の肩代わり分に充当し、被保険者の負担が急に増えないよう激変緩和措置を講じる。

介護報酬は介護事業者に支払われるサービスの対価。原則として3年ごとに改定されており、2000年度の介護保険制度導入以降、03年度にマイナス2.3%、06年度に同2.4%(05年10月改定分を含む)と過去2回連続で引き下げられてきた。追加経済対策に約1200億円が計上されることで、介護報酬は初めて引き上げられる公算だ。

(時事通信より)

<産科の補償制度、加入率は93.8%>

来年1月からスタートする「産科医療補償制度」への分娩機関(病院・診療所、助産所)の加入率が10月17日現在、93.8%にとどまっていることが、制度を運用する日本医療機能評価機構(坪井栄孝理事長)の調べで分かった。

病院・診療所では全国の2836施設(日本産婦人科医会調べ)のうち2694施設が加入し、加入率は95.0%。これに対し、助産所で加入しているのは全426施設(日本助産師会調べ)のうち365施設で、加入率は85.7%にとどまっている。

都道府県別に加入率を見ると、100%に達しているのは15道県で、最低は兵庫の83.5%。8割台にとどまっているのは兵庫をはじめ、千葉(84.2%)、大阪(86.6%)など8府県だった。

産科医療補償制度は、分娩が原因で重度の脳性まひを発症した際、介護費用などを補償するもので、来年1月の出産から適用される。具体的には、▽出生体重が2000グラム以上かつ在胎週数33週以上▽身体障害者1・2級相当の重症児―といった基準を満たす場合に総額3000万円を給付する。財源には、制度に加入する分娩機関が支払う一分娩当たり3万円の掛け金を充てる。

厚生労働省や同機構では、「分娩機関が制度に加入していないために補償を受けられない事態は防ぐべきだ」として、全分娩機関に加入を呼び掛けている。
ただ、10月20日以降に加入した施設では、補償の適用時期が原則とし

て来年4月以降に順次、ずれ込むという。このため、同機構では「制度が使えなくて困るのは患者さん。ぜひ早期に加入してほしい」と話している。

<車いすタイプの階段昇降機など5品目を給付対象に>

厚生労働省の「介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会」(座長=山内繁早稲田大学人間科学学術院特任教授)は21日、布団からの起き上がり装置など5品目の福祉用具と、1項目の住宅改修を新たに介護保険の給付対象とすべきとする意見で合意した。来年度からの報酬改定に合わせ、具体化される見込みだ。

新たに追加すべきとされた製品は、レンタルでは、布団の下などに置いて使用する「起き上がり補助装置」、認知症高齢者がベッドから離れたことを知らせる「離床センサー」、車いすタイプの「階段昇降機」の3品目。入浴・排泄関連製品が対象となる購入品目では、便も吸引出来る「自動排泄処理装置」、「入浴介助用ベルト」の2品目。また、開口部を広くするために引き戸を新たに設置する工事も対象にする。

起き上がり補助装置は、通常の寝具の下に置き、モーターで背上げを行う。布団や一般のベッド、ハイ・ローだけの介護ベッドに組み込むことで、高価なスリーモーターの介護ベッド並みの自立支援の効果が得られるのが検討理由だ。

(シルバー新報より)

<有料ホーム「定員9人以下」5倍に>

厚生労働省が16日に公表した2007年社会福祉施設等調査結果で、有料老人ホームの数は06年調査よりも35%増加して2671カ所に、定員・在所者数も20%以上増加していることが明らかになった。中でも伸びが著しいのが定員9人以下の小規模な有料老人ホームだ。06年度の老人福祉法改正で有料老人ホームの定義から人数要件が撤廃されたことの影響と考えられる。06年に45施設だったのが221施設へと5倍近くの増加となった。

調査は07年10月、老人・障害者・児童・生活保護など86種類の社会福祉施設のほか、障害者自立支援法による15種類の障害福祉サービス事業所を対象に実施。集計対象施設数は2万892。障害者施設については06年10月に自立支援法が全面施行されてから初めての調査となる。

(シルバー新報より)

<年金老人ホーム:不信の余波、入居者に 全国21カ所、売却進む>

◆「退去は大変、残るも不安」

年金保険料を年金給付以外に使わないとの政府方針のもと、厚生年金保険料をつぎ込んで作られた全国21カ所の老人ホーム(入居者約500人)の売却が着々と進められている。物件引き渡しから5年間は老人ホームとして運営が義務付けられるが「いつまで住み続けられるのか」と不安を訴える入居者もいる。年金不信解消策の一環とはいえ、人生設計の変更を迫られる高齢者も出始めている。

「今後についてはまだ暗中模索。親方日の丸でのんびりしていたがまさか、こんなどんでん返しがあろうとは夢にも思わなかった」

北九州市のJR黒崎駅近くにある「ハートピア北九州(現在はニューハートピアに変更)」に入居中の70代の女性は嘆いた。入札を知ったのは昨年12月だった。

女性は夫を亡くし体調に不安があったため人づてに聞いて7年前に入居した。一時金は60万円、月々の費用は13万円で6畳と台所、トイレ、収納がついた部屋で暮らしてきた。ハートピアにはホテルやレストランもあり、人の出入りが多い。敷地が広く、周囲を見渡せる立地が気に入っていた。健康型の老人ホームのため要介護状態になれば退去しなければならないが、入居者の平均年齢は80歳を超え「終(つい)のすみか」の様相。本来は禁止されている訪問介護サービスを利用している人もいたという。

「近くの厚生年金病院の売却話が数年前に持ち上がり、話題になったが、まさか自分の老人ホームが売却されるとは」

落札は今年3月にあった。事業者は福岡県内で有料老人ホームやケアハウスなどを運営する社会福祉法人で、落札額は5億3000万円。7月から住宅型有料老人ホームとして運営を始め、すでに約10人が新しく入居している。夜間の警備員や栄養士、調理師などスタッフが減った以外に変化はないが、1日760円の食費は今後倍近くになる予定。女性の負担は月約2万円増えるという。

女性は市内にあった自宅を処分したため、今年に入って有料老人ホームやケアハウスなどを見て回ったが、入居一時金だけで数百万円から1000万円以上かかる有料老人ホームは高くて入れない。高齢者専用賃貸住宅にも問い合わせているが、決断できないでいる。「ぎりぎりまでここにいるか、思い切って別のところに移るか腰が定まらない。せめてもう少し早く知っていたら」と悔やむ。

老人ホームを含め年金保険料が使われた社会保険庁保有の施設302カ所は合理化の対象で、独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)」にすでに移管されている。売却は2010年3月までに終える予定で、約200カ所が売却済みだ。

老人ホームは21カ所のうち、10カ所が落札され、ほとんどは老人ホームなど関連施設を運営している法人などの手に委ねられた。

愛媛県伊予市の愛媛厚生年金休暇センターの場合は、伊予市が今年1月に落札した。市は32部屋に入居者4人しかいないことから、入居者の同意を取り付け、付近の老人施設に移ってもらった。別用途での活用を検討しているという。

RFOは「老人ホームは売却条件に配慮しており、これまで落札したところで問題が起きたとは聞いていない。落札額は機構の運営に必要な経費を差し引き、国庫に納める」と話している。

◆04年、制度改正で「廃止・売却」決まる

年金資金による老人ホーム建設は、1954年の厚生年金保険法成立時までさかのぼる。国民から集めた保険料をハコモノ建設に活用することには議論があったが、国会論戦では「年金受給者の利便を増すことができる」との意見が多数を占めた。実際に建設が始まったのは61年からだ。

80年代以降は民間事業者による類似サービスが提供され、年金資金で作られた福祉施設の撤退が進み、85年を最後に自立した高齢者を対象にした老人ホームの建設は原則取りやめられた。

その後、年金資金で作られた大規模年金保養基地(グリーンピア)の経営破綻(はたん)が相次いで発覚。04年の年金制度改正では「年金福祉施設は5年をめどに廃止・売却する」ことが決まり、整理を担当する独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)」が作られた。

ただし、厚生年金病院(10カ所)▽社会保険病院(53カ所)は、RFOに移管されたものの地域医療の低下を招きかねないとの理由から売却などの方針が定まっておらず、介護付き老人ホーム(1カ所)はRFOへの移管も決まっていない。

(毎日新聞より)

<オンライン請求義務化撤廃を 三師会が共同声明>

日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会は22日、2011年度からのレセプトオンライン請求義務化について、撤廃を求める共同声明を発表した。共同声明では、「レセプト請求を例外なくオンラインに限定し、医療機関等に新たな投資と負担を強いようとしている」と指摘。「ITを活用することで国民や医療現場により良い医療や環境を提供しようとするものではなく、強引に行う必然性はまったくない」と国の方針を批判した。

その上で、「レセプトイオンライン請求の完全義務化が進められれば、地域に根差して医療を担ってきた医療機関等を撤退に追い込み、地域医療崩壊に拍車をかけることは明らかである」と訴え、レセプトオンライン請求義務化の撤廃とレセプトオンライン請求を医療機関等の自主性に委ねることを求めている。
三師会は同日、舛添要一厚生労働大臣などに共同声明を提出した。


[2008/10/14]
 訪問リハステーションの新設目指す

<訪問リハステーションの新設目指す―リハ病院・施設協会>

日本リハビリテーション病院・施設協会が10月11日、東京都内で開いた「2008年度第1回リハビリテーション研修会」で、浜村明徳会長が「介護報酬改定の動向」をテーマに講演、介護保険制度での訪問リハステーションの新設などを訴えた。

浜村氏は、この20年間のリハビリテーションの変化について、「住民の身近にリハの提供施設が増え、回復期リハ病棟の数が約1000病棟、約4万5000床になるなど、必要な患者へのリハの提供量が格段に増えた」と評価した。

一方、今後の課題として、急性期・回復期・慢性期に対する総合的で一貫したリハの提供や、在宅における維持期リハの提供体制の整備などを挙げた。

中でも、在宅における訪問リハの重要性を強調。訪問リハ専従者の養成や訪問リハの運用システムの整備、訪問リハ提供拠点の整備によって、「退院、退所直後、あるいは生活機能の低下時に、適切かつ迅速に提供される訪問リハの普及を図る」との構想を示した。
訪問リハの提供拠点の整備について、浜村氏は、単独型の訪問リハステーションの創設に意欲を見せ、「日本リハビリテーション病院・施設協会としては、独立した訪問リハのステーションがあってもいいのではないかと考えている」と述べた。

訪問リハステーションの実現に向けた行動計画については、「現在は周囲の理解も、われわれ自身の(訪問リハステーションの運営に向けた)体制も十分でない。09年の介護報酬の改定で提案するのは難しい」「12年の診療報酬、介護報酬同時改定での、訪問リハステーションの制度創設を目指す」と語り、09年の介護報酬改定では、まず「訪問リハ拡充を図る」との方針を述べた。

同協会は、9月18日に開かれた第53回社会保障審議会介護給付費分科会に対して提出した要望書で、訪問リハの拡充について、▽病院・診療所・老健・訪問看護ステーションなど訪問リハ提供拠点の拡充▽在宅主治医と訪問サービス側の連携方法の確立▽訪問サービスを提供するPTやOT、STの養成機関の整備と教育研修体制の充実―などを訴えている。

◆「回復期・維持期の繋ぎ」重要
続いて栗原正紀常務理事が、「回復期・維持期の繋ぎ」をテーマに講演。「病棟での回復期リハから、地域での維持期リハへの円滑な移行が重要」と訴えた。回復期リハ病棟の医療スタッフと、地域での介護サービスの窓口となるケアマネジャーとの連携が、「現状では十分とは言えないのでは」と指摘。相互に情報交換の場を作り、信頼関係を構築していく必要性を訴えた。

<介護保険制度の現状と課題、厚労省課長が講演>

後期高齢者医療制度の見直しや来年4月の介護報酬改定など、高齢者の医療や介護を取り巻く環境が変化する中、医療経済フォーラム・ジャパンは10月9日、東京都内で「高齢者の医療と介護〜介護報酬の行方を中心に高齢者への医療のあり方を探る」をテーマにシンポジウムを開いた。厚生労働省老健局老人保健課長の鈴木康裕氏が、「介護保険制度の現状と課題」と題して基調講演を行った。

鈴木氏は、介護保険制度が発足した2000年以来、高齢者の数の伸びと並行して、被保険者の数が約25%の伸びを見せる一方で、要介護認定を受けた人の数が約107%増加した点を指摘。「(要介護認定を受けた人の数は)2倍以上となっており、明らかに高齢者数の伸びを上回る。介護保険サービスが急速に普及し、これまで(サービスの利用に)手を挙げなかった人が手を挙げるようになっているということだと思う」と述べた。また、「(制度が発足した2000年度の実績では)介護保険の総費用が3.6兆円だったのに対し、08年度予算では7.4兆円となっている」と、財政規模の拡大を指摘した。

さらに、施設サービスの利用者数が2000年4月の52万人から07年9月には82万人と、6割程度の伸びを見せる一方で、居宅サービスの利用者数が97万人から263万人と、2.5倍以上になっている点を指摘。「施設から在宅へ、という流れがある」との認識を示した。
また鈴木氏は、「現在80代の人は、戦中・戦後に思春期を迎え、ある意味でとても我慢強く、グループでのケアも比較的受け入れやすい素地を持つ。だが、これからの高齢者は、一対一の、『個』のサービスしか受け入れないと思う」との見方を示し、「サービスの提供の在り方や、コストの掛かり方が変わってくる」と述べた。

今後、急速に高齢化が進むと考えられる首都圏をはじめとする都市部においては、「高齢者の『住まい』が大きな課題になる」と指摘。土地が少なく、地価も高いなどの問題があるため、「従来通りのモデルによる対策は通用しない」と、使われなくなった公共施設の活用の必要性も示唆した。

介護人材の確保については、若い男性職員の確保の必要性を強調。介護人材の約7割を占める女性のさらなる活用、高齢者や外国人の活用の必要性も示唆した。このほか、サービス付き高齢者住宅の整備、訪問看護サービスの拡充の必要性などを指摘した。
さらに、鈴木氏は介護ビジネスの将来性についても指摘。1990−2000年の10年間における産業別の国内総生産額の伸び率は、全産業平均が11.1%なのに対し、社会保障分野は56.1%との統計を示した上で、「社会保障分野の財政負担が増えているということかもしれないが、マーケットのパイが増えているということでもある。これからの10年、20年、30年の間、平均年2―3%の確実なマーケットの拡大が見込まれる産業は、(介護ビジネスの)ほかにあまりないと思う」と語った。

続くパネルディスカッションでは、財務省主計局主計官の太田充氏、日本医師会会長の唐澤祥人氏、慶大大学院教授の田中滋氏らをパネリストに、介護の財源確保の在り方や、医療・介護現場の現状などについて意見交換が行われた。


[2008/10/02]
 介護経営悪化

<介護の経営悪化 人件費上昇、報酬改定影響も>

特養ホームや訪問看護など介護サービスを提供する事業所の経営が、悪化傾向にあることが1日、厚生労働省が発表した「介護事業経営実態調査」によって分かった。人件費の伸びなどが要因。来年予定されている介護報酬改定に影響しそうだ。

調査は全国の介護事業施設の2割にあたる約2万4300施設を対象に4月に実施した。前回は平成17年に行われている。

前回に比べ利益率(収入に占める利益の割合)が大きく減ったのは、通所リハビリテーションで前回18%あったものが4%に。特養ホームが13%から3%、介護老人保健施設も12%が7%に、訪問看護でも5%が2%に落ち込むなど、事業所の経営形態を問わずほぼ全事業所で利益率が落ちた。

他産業と比べて福祉分野での有効求人倍率はこの数年、高率で推移しており、各施設が人材確保のために職員給与を上げたことが経営を圧迫することにつながったとみられる。

また調査からは、事業規模が小さくなるほど利益率が落ちていることや、人件費が高い東京都心部に利益率が低い事業所が多くみられることも分かった。

厚労省では「年末にかけて行われる介護報酬改定の論議の中で、大都市部の施設や小規模施設への経営をどのようにサポートしていくかが焦点の一つになっていく」と話している。

(産経新聞より)

<特養の収支が大幅悪化、人材難・賃上げで 厚労省調査>

介護サービス事業所の経営状況について、特別養護老人ホーム(特養)など施設を中心に収支が悪化していることが、1日に厚生労働省が公表した介護事業経営実態調査でわかった。
人材確保のために職員給与を引き上げたことなどが原因と見られ、東京23区など都市部での低迷が目立っている。同省は、調査結果を基に、来年度からの介護報酬を引き上げる方針。
調査は3年ごとに実施。15種類の介護サービスを提供する約2万4300施設・事業所に今年3月の経営状況を聞き、7195施設・事業所から回答を得た。

収入に占める利益の割合(利益率)は、特養は10・2ポイント減の3・4%、老人保健施設は5ポイント減の7・3%、通所リハビリは14・4ポイント減の4・5%だった。利益率が下がったすべてのサービスで、収入に対する給与費割合が上昇。介護、看護職1人あたりの給与額も、施設などで上がった。

また、東京23区内では、特養の利益率がマイナス4・0%、介護療養型医療施設が同6・9%となるなど、人手不足が激しい都市部の施設の経営難が目立った。

介護分野の07年の有効求人倍率は2・10倍(常用、パート含む)で、全職種(0・97倍)に比べて求人難が際立っている。

(読売新聞より)

<政管健保の運営が「協会けんぽ」に移行>

中小企業のサラリーマンらが加入する政府管掌健康保険(政管健保)の運営が1日、社会保険庁から公法人「全国健康保険協会」に移行し、「協会けんぽ」として再スタートした。不祥事が相次いだ「社保庁解体」の一環で、民間のノウハウを生かしてサービス向上を目指す。

小林剛理事長(元富士銀行常務)は同日午前、東京・市ヶ谷の同協会本部で「一人ひとりが変わらなければ組織は変わらない」と訓示した。

(読売新聞より)

<銚子市の市立総合病院390床、財政難で休止>

千葉県銚子市の市立総合病院(393床)が財政難のため、30日を最後に休止する。これだけの規模の自治体病院が行き詰まったケースはあまり例がない。市は医師不足を招いた国の施策を非難するが、市の経営姿勢こそ問題との指摘も出ている。

再建の見通しが立たない中、転院を強いられた患者から不満の声が噴出している。(社会部 小林直貴、千葉支局 木村勇、赤津良太)

◆医師激減「万策尽きた」

「頼りにしていたのに、転院先探しに困った人は多い。再就職が決まらない職員もいる。患者も職員も放り出された」。病院存続を求め、4万人以上の署名を集めた市民団体代表の金秋陸夫さん(62)は怒りを隠さない。

同病院では、7月初めに166人いた入院患者については、今月25日までに市内外の病院に転院してもらった。きょう30日には、16診療科のうち、外来診療を続けている小児科、眼科、精神神経科、脳神経外科の予約患者に「最後の診療」を行う。

大きな懸案として残ったのは、外来1000人を抱える精神神経科の患者の行き先だ。地域の受け皿が足りず、多くの患者に、医療機関名が空白のままの紹介状を渡す事態になっていた。「このままでは大量の医療難民が発生する」という患者の家族たちの声を受け、市は急きょ、県などの支援で10月から、精神科の民営診療所を病院内に暫定的に設置することにした。

同病院元職員の竹内龍雄さん(80)は脳神経外科に入院していた妻(78)を市内の民間病院に転院させた。「慣れた病院にいたかった。市はもっと早く手を打てなかったのか」と首をひねる。

95歳の母親が入院していた野口ひろ江さん(60)は納得いく転院先が見つけられず、今月13日から自宅で母親に付きっきりで介護している。「朝夕にチューブで入れる食事に6時間かかる」と野口さんは苦労を口にする。

市は今後、医療法人などに経営を代行させる「公設民営」や、民間譲渡での再開を目指すが、道のりは険しいとの見方が大勢だ。

◆市側主張 日大が医師引き揚げた 大学側反論 希望者がいない

「万策尽きた」。岡野俊昭市長は休止を発表した7月7日の記者会見でそう語り、日大の医師引き揚げが大きな要因と主張した。

同病院は日大医学部の関連病院で、2006年4月時点で常勤医35人中28人が日大出身だった。今年4月は13人中7人。日大出身者が2年で4分の1に減ったことが常勤医減に直結した。医師減少で患者も減り、収益は03年度の約37億円から07年度は約20億円に。

とどめを刺したのが「医師引き揚げ」と言う市は、04年に国が導入し、地方の医師不足を加速したとされる新臨床研修制度にも批判の矛先を向ける。

しかし日大の片山容一・医学部長は「引き揚げたのではなく、派遣期間を終えた医師の後任を補充できなかった。銚子に行きたい人が見つからなかった」と反論する。50以上ある関連病院への医師派遣は1〜2年単位で、本人の希望を優先するといい、「将来展望がない、との評判が立てば誰も希望しなくなる。市の責任こそ問われるべきだ」と指摘した。

市も、医師の手当引き上げや全国自治体病院協議会の紹介などの新ルート開拓を試みたが、休止への流れは止められなかった。協議会の紹介で昨秋着任した松井稔医師(44)は「経営努力を感じなかった。健康診断を重視するなど地域病院としての方向性を示す手もあった」と語る。

全国に約1000か所ある自治体病院の75%は赤字。伊関友伸・城西大准教授(行政学)は「自治体病院の崩壊が一気に進むとは思わないが、大学病院に頼ればいい時代でなくなった今、将来展望がなく、医師の待遇改善に消極的な病院から徐々に傾いていくのでは」と予測する。

新臨床研修制度 

導入前は新卒研修医の多くが大学病院に残ったが、導入後は原則自由に研修先を選べるようになり、都市部の一般病院を選ぶケースが増えた。03年度は研修医の72・5%が大学病院に在籍していたが、05年度以降は40%台。人手不足となった大学病院が各地の病院に派遣していた医師を引き揚げ、地方の病院の医師不足を加速させたとされる。

(読売新聞より)

<介護報酬3%以上の引き上げ不可欠>

介護従事者の処遇改善や事業者の経営状況の打開、利用者が必要なサービスを受けられる介護保険制度の確立には、介護報酬の引き上げが緊急の課題として、全国保険医団体連合会(保団連)が「2009年介護報酬改定に対する要求」をまとめた。過去2回の改定が大幅な引き下げとなったことから、09年の改定では、介護報酬の3%以上の引き上げを求めており、舛添要一厚生労働相に近く提出する。

介護報酬は、03年にマイナス2.3%、06年に同2.4%(05年10月分を含む)と、過去2回の改定では、大幅な引き下げとなった。保団連では、「06年の『介護保険法改定』で、軽度者への介護給付が“制限”された影響も換算すると、マイナス10%以上になっている」と指摘し、こうした施策が「必要な介護の受給抑制をはじめ、介護従事者の離職による人材不足や事業所の経営難などを起こしている」などと批判している。

要求では、「必要な人材を確保し、安全で安心な介護を提供するには、介護報酬を少なくとも3%以上引き上げる必要がある」と強調。その財源については、「社会保障の理念に逆行する消費税ではなく、別途、財源を確保する」ことを求めている。

また、「05年10月から介護保険施設の居住費・食費が、保険給付から外され、窓口負担が拡大されたことで、年金額80万-266万円の世帯で月1万4100円の負担増になるなど、費用負担が必要な施設入所ができない状況が広がっている」として、居住費・食費を保険給付に戻すことを要求している。

さらに、国が進めている「療養病床削減計画」について、「国は、療養病床の入院患者の実態を見ていない。介護療養型医療施設が廃止されれば、医療を必要とする要介護者が医療や看護を受けられなくなる」と指摘。「介護療養型医療施設の廃止と医療療養病床の削減をやめ、原則として医療保険から給付すべき」と強調している。

このほか、「コムスン事件」を教訓に、営利法人による訪問看護事業所の開設禁止や通所リハビリテーションの「送迎加算」の復活なども求めている。


[2008/10/02]
 介護経営悪化

<介護の経営悪化 人件費上昇、報酬改定影響も>

特養ホームや訪問看護など介護サービスを提供する事業所の経営が、悪化傾向にあることが1日、厚生労働省が発表した「介護事業経営実態調査」によって分かった。人件費の伸びなどが要因。来年予定されている介護報酬改定に影響しそうだ。

調査は全国の介護事業施設の2割にあたる約2万4300施設を対象に4月に実施した。前回は平成17年に行われている。

前回に比べ利益率(収入に占める利益の割合)が大きく減ったのは、通所リハビリテーションで前回18%あったものが4%に。特養ホームが13%から3%、介護老人保健施設も12%が7%に、訪問看護でも5%が2%に落ち込むなど、事業所の経営形態を問わずほぼ全事業所で利益率が落ちた。

他産業と比べて福祉分野での有効求人倍率はこの数年、高率で推移しており、各施設が人材確保のために職員給与を上げたことが経営を圧迫することにつながったとみられる。

また調査からは、事業規模が小さくなるほど利益率が落ちていることや、人件費が高い東京都心部に利益率が低い事業所が多くみられることも分かった。

厚労省では「年末にかけて行われる介護報酬改定の論議の中で、大都市部の施設や小規模施設への経営をどのようにサポートしていくかが焦点の一つになっていく」と話している。

(産経新聞より)

<特養の収支が大幅悪化、人材難・賃上げで 厚労省調査>

介護サービス事業所の経営状況について、特別養護老人ホーム(特養)など施設を中心に収支が悪化していることが、1日に厚生労働省が公表した介護事業経営実態調査でわかった。
人材確保のために職員給与を引き上げたことなどが原因と見られ、東京23区など都市部での低迷が目立っている。同省は、調査結果を基に、来年度からの介護報酬を引き上げる方針。
調査は3年ごとに実施。15種類の介護サービスを提供する約2万4300施設・事業所に今年3月の経営状況を聞き、7195施設・事業所から回答を得た。

収入に占める利益の割合(利益率)は、特養は10・2ポイント減の3・4%、老人保健施設は5ポイント減の7・3%、通所リハビリは14・4ポイント減の4・5%だった。利益率が下がったすべてのサービスで、収入に対する給与費割合が上昇。介護、看護職1人あたりの給与額も、施設などで上がった。

また、東京23区内では、特養の利益率がマイナス4・0%、介護療養型医療施設が同6・9%となるなど、人手不足が激しい都市部の施設の経営難が目立った。

介護分野の07年の有効求人倍率は2・10倍(常用、パート含む)で、全職種(0・97倍)に比べて求人難が際立っている。

(読売新聞より)

<政管健保の運営が「協会けんぽ」に移行>

中小企業のサラリーマンらが加入する政府管掌健康保険(政管健保)の運営が1日、社会保険庁から公法人「全国健康保険協会」に移行し、「協会けんぽ」として再スタートした。不祥事が相次いだ「社保庁解体」の一環で、民間のノウハウを生かしてサービス向上を目指す。

小林剛理事長(元富士銀行常務)は同日午前、東京・市ヶ谷の同協会本部で「一人ひとりが変わらなければ組織は変わらない」と訓示した。

(読売新聞より)

<銚子市の市立総合病院390床、財政難で休止>

千葉県銚子市の市立総合病院(393床)が財政難のため、30日を最後に休止する。これだけの規模の自治体病院が行き詰まったケースはあまり例がない。市は医師不足を招いた国の施策を非難するが、市の経営姿勢こそ問題との指摘も出ている。

再建の見通しが立たない中、転院を強いられた患者から不満の声が噴出している。(社会部 小林直貴、千葉支局 木村勇、赤津良太)

◆医師激減「万策尽きた」

「頼りにしていたのに、転院先探しに困った人は多い。再就職が決まらない職員もいる。患者も職員も放り出された」。病院存続を求め、4万人以上の署名を集めた市民団体代表の金秋陸夫さん(62)は怒りを隠さない。

同病院では、7月初めに166人いた入院患者については、今月25日までに市内外の病院に転院してもらった。きょう30日には、16診療科のうち、外来診療を続けている小児科、眼科、精神神経科、脳神経外科の予約患者に「最後の診療」を行う。

大きな懸案として残ったのは、外来1000人を抱える精神神経科の患者の行き先だ。地域の受け皿が足りず、多くの患者に、医療機関名が空白のままの紹介状を渡す事態になっていた。「このままでは大量の医療難民が発生する」という患者の家族たちの声を受け、市は急きょ、県などの支援で10月から、精神科の民営診療所を病院内に暫定的に設置することにした。

同病院元職員の竹内龍雄さん(80)は脳神経外科に入院していた妻(78)を市内の民間病院に転院させた。「慣れた病院にいたかった。市はもっと早く手を打てなかったのか」と首をひねる。

95歳の母親が入院していた野口ひろ江さん(60)は納得いく転院先が見つけられず、今月13日から自宅で母親に付きっきりで介護している。「朝夕にチューブで入れる食事に6時間かかる」と野口さんは苦労を口にする。

市は今後、医療法人などに経営を代行させる「公設民営」や、民間譲渡での再開を目指すが、道のりは険しいとの見方が大勢だ。

◆市側主張 日大が医師引き揚げた 大学側反論 希望者がいない

「万策尽きた」。岡野俊昭市長は休止を発表した7月7日の記者会見でそう語り、日大の医師引き揚げが大きな要因と主張した。

同病院は日大医学部の関連病院で、2006年4月時点で常勤医35人中28人が日大出身だった。今年4月は13人中7人。日大出身者が2年で4分の1に減ったことが常勤医減に直結した。医師減少で患者も減り、収益は03年度の約37億円から07年度は約20億円に。

とどめを刺したのが「医師引き揚げ」と言う市は、04年に国が導入し、地方の医師不足を加速したとされる新臨床研修制度にも批判の矛先を向ける。

しかし日大の片山容一・医学部長は「引き揚げたのではなく、派遣期間を終えた医師の後任を補充できなかった。銚子に行きたい人が見つからなかった」と反論する。50以上ある関連病院への医師派遣は1〜2年単位で、本人の希望を優先するといい、「将来展望がない、との評判が立てば誰も希望しなくなる。市の責任こそ問われるべきだ」と指摘した。

市も、医師の手当引き上げや全国自治体病院協議会の紹介などの新ルート開拓を試みたが、休止への流れは止められなかった。協議会の紹介で昨秋着任した松井稔医師(44)は「経営努力を感じなかった。健康診断を重視するなど地域病院としての方向性を示す手もあった」と語る。

全国に約1000か所ある自治体病院の75%は赤字。伊関友伸・城西大准教授(行政学)は「自治体病院の崩壊が一気に進むとは思わないが、大学病院に頼ればいい時代でなくなった今、将来展望がなく、医師の待遇改善に消極的な病院から徐々に傾いていくのでは」と予測する。

新臨床研修制度 

導入前は新卒研修医の多くが大学病院に残ったが、導入後は原則自由に研修先を選べるようになり、都市部の一般病院を選ぶケースが増えた。03年度は研修医の72・5%が大学病院に在籍していたが、05年度以降は40%台。人手不足となった大学病院が各地の病院に派遣していた医師を引き揚げ、地方の病院の医師不足を加速させたとされる。

(読売新聞より)

<介護報酬3%以上の引き上げ不可欠>

介護従事者の処遇改善や事業者の経営状況の打開、利用者が必要なサービスを受けられる介護保険制度の確立には、介護報酬の引き上げが緊急の課題として、全国保険医団体連合会(保団連)が「2009年介護報酬改定に対する要求」をまとめた。過去2回の改定が大幅な引き下げとなったことから、09年の改定では、介護報酬の3%以上の引き上げを求めており、舛添要一厚生労働相に近く提出する。

介護報酬は、03年にマイナス2.3%、06年に同2.4%(05年10月分を含む)と、過去2回の改定では、大幅な引き下げとなった。保団連では、「06年の『介護保険法改定』で、軽度者への介護給付が“制限”された影響も換算すると、マイナス10%以上になっている」と指摘し、こうした施策が「必要な介護の受給抑制をはじめ、介護従事者の離職による人材不足や事業所の経営難などを起こしている」などと批判している。

要求では、「必要な人材を確保し、安全で安心な介護を提供するには、介護報酬を少なくとも3%以上引き上げる必要がある」と強調。その財源については、「社会保障の理念に逆行する消費税ではなく、別途、財源を確保する」ことを求めている。

また、「05年10月から介護保険施設の居住費・食費が、保険給付から外され、窓口負担が拡大されたことで、年金額80万-266万円の世帯で月1万4100円の負担増になるなど、費用負担が必要な施設入所ができない状況が広がっている」として、居住費・食費を保険給付に戻すことを要求している。

さらに、国が進めている「療養病床削減計画」について、「国は、療養病床の入院患者の実態を見ていない。介護療養型医療施設が廃止されれば、医療を必要とする要介護者が医療や看護を受けられなくなる」と指摘。「介護療養型医療施設の廃止と医療療養病床の削減をやめ、原則として医療保険から給付すべき」と強調している。

このほか、「コムスン事件」を教訓に、営利法人による訪問看護事業所の開設禁止や通所リハビリテーションの「送迎加算」の復活なども求めている。