
<介護の経営悪化 人件費上昇、報酬改定影響も>
特養ホームや訪問看護など介護サービスを提供する事業所の経営が、悪化傾向にあることが1日、厚生労働省が発表した「介護事業経営実態調査」によって分かった。人件費の伸びなどが要因。来年予定されている介護報酬改定に影響しそうだ。
調査は全国の介護事業施設の2割にあたる約2万4300施設を対象に4月に実施した。前回は平成17年に行われている。
前回に比べ利益率(収入に占める利益の割合)が大きく減ったのは、通所リハビリテーションで前回18%あったものが4%に。特養ホームが13%から3%、介護老人保健施設も12%が7%に、訪問看護でも5%が2%に落ち込むなど、事業所の経営形態を問わずほぼ全事業所で利益率が落ちた。
他産業と比べて福祉分野での有効求人倍率はこの数年、高率で推移しており、各施設が人材確保のために職員給与を上げたことが経営を圧迫することにつながったとみられる。
また調査からは、事業規模が小さくなるほど利益率が落ちていることや、人件費が高い東京都心部に利益率が低い事業所が多くみられることも分かった。
厚労省では「年末にかけて行われる介護報酬改定の論議の中で、大都市部の施設や小規模施設への経営をどのようにサポートしていくかが焦点の一つになっていく」と話している。
(産経新聞より)
<特養の収支が大幅悪化、人材難・賃上げで 厚労省調査>
介護サービス事業所の経営状況について、特別養護老人ホーム(特養)など施設を中心に収支が悪化していることが、1日に厚生労働省が公表した介護事業経営実態調査でわかった。
人材確保のために職員給与を引き上げたことなどが原因と見られ、東京23区など都市部での低迷が目立っている。同省は、調査結果を基に、来年度からの介護報酬を引き上げる方針。
調査は3年ごとに実施。15種類の介護サービスを提供する約2万4300施設・事業所に今年3月の経営状況を聞き、7195施設・事業所から回答を得た。
収入に占める利益の割合(利益率)は、特養は10・2ポイント減の3・4%、老人保健施設は5ポイント減の7・3%、通所リハビリは14・4ポイント減の4・5%だった。利益率が下がったすべてのサービスで、収入に対する給与費割合が上昇。介護、看護職1人あたりの給与額も、施設などで上がった。
また、東京23区内では、特養の利益率がマイナス4・0%、介護療養型医療施設が同6・9%となるなど、人手不足が激しい都市部の施設の経営難が目立った。
介護分野の07年の有効求人倍率は2・10倍(常用、パート含む)で、全職種(0・97倍)に比べて求人難が際立っている。
(読売新聞より)
<政管健保の運営が「協会けんぽ」に移行>
中小企業のサラリーマンらが加入する政府管掌健康保険(政管健保)の運営が1日、社会保険庁から公法人「全国健康保険協会」に移行し、「協会けんぽ」として再スタートした。不祥事が相次いだ「社保庁解体」の一環で、民間のノウハウを生かしてサービス向上を目指す。
小林剛理事長(元富士銀行常務)は同日午前、東京・市ヶ谷の同協会本部で「一人ひとりが変わらなければ組織は変わらない」と訓示した。
(読売新聞より)
<銚子市の市立総合病院390床、財政難で休止>
千葉県銚子市の市立総合病院(393床)が財政難のため、30日を最後に休止する。これだけの規模の自治体病院が行き詰まったケースはあまり例がない。市は医師不足を招いた国の施策を非難するが、市の経営姿勢こそ問題との指摘も出ている。
再建の見通しが立たない中、転院を強いられた患者から不満の声が噴出している。(社会部 小林直貴、千葉支局 木村勇、赤津良太)
◆医師激減「万策尽きた」
「頼りにしていたのに、転院先探しに困った人は多い。再就職が決まらない職員もいる。患者も職員も放り出された」。病院存続を求め、4万人以上の署名を集めた市民団体代表の金秋陸夫さん(62)は怒りを隠さない。
同病院では、7月初めに166人いた入院患者については、今月25日までに市内外の病院に転院してもらった。きょう30日には、16診療科のうち、外来診療を続けている小児科、眼科、精神神経科、脳神経外科の予約患者に「最後の診療」を行う。
大きな懸案として残ったのは、外来1000人を抱える精神神経科の患者の行き先だ。地域の受け皿が足りず、多くの患者に、医療機関名が空白のままの紹介状を渡す事態になっていた。「このままでは大量の医療難民が発生する」という患者の家族たちの声を受け、市は急きょ、県などの支援で10月から、精神科の民営診療所を病院内に暫定的に設置することにした。
同病院元職員の竹内龍雄さん(80)は脳神経外科に入院していた妻(78)を市内の民間病院に転院させた。「慣れた病院にいたかった。市はもっと早く手を打てなかったのか」と首をひねる。
95歳の母親が入院していた野口ひろ江さん(60)は納得いく転院先が見つけられず、今月13日から自宅で母親に付きっきりで介護している。「朝夕にチューブで入れる食事に6時間かかる」と野口さんは苦労を口にする。
市は今後、医療法人などに経営を代行させる「公設民営」や、民間譲渡での再開を目指すが、道のりは険しいとの見方が大勢だ。
◆市側主張 日大が医師引き揚げた 大学側反論 希望者がいない
「万策尽きた」。岡野俊昭市長は休止を発表した7月7日の記者会見でそう語り、日大の医師引き揚げが大きな要因と主張した。
同病院は日大医学部の関連病院で、2006年4月時点で常勤医35人中28人が日大出身だった。今年4月は13人中7人。日大出身者が2年で4分の1に減ったことが常勤医減に直結した。医師減少で患者も減り、収益は03年度の約37億円から07年度は約20億円に。
とどめを刺したのが「医師引き揚げ」と言う市は、04年に国が導入し、地方の医師不足を加速したとされる新臨床研修制度にも批判の矛先を向ける。
しかし日大の片山容一・医学部長は「引き揚げたのではなく、派遣期間を終えた医師の後任を補充できなかった。銚子に行きたい人が見つからなかった」と反論する。50以上ある関連病院への医師派遣は1〜2年単位で、本人の希望を優先するといい、「将来展望がない、との評判が立てば誰も希望しなくなる。市の責任こそ問われるべきだ」と指摘した。
市も、医師の手当引き上げや全国自治体病院協議会の紹介などの新ルート開拓を試みたが、休止への流れは止められなかった。協議会の紹介で昨秋着任した松井稔医師(44)は「経営努力を感じなかった。健康診断を重視するなど地域病院としての方向性を示す手もあった」と語る。
全国に約1000か所ある自治体病院の75%は赤字。伊関友伸・城西大准教授(行政学)は「自治体病院の崩壊が一気に進むとは思わないが、大学病院に頼ればいい時代でなくなった今、将来展望がなく、医師の待遇改善に消極的な病院から徐々に傾いていくのでは」と予測する。
◆新臨床研修制度
導入前は新卒研修医の多くが大学病院に残ったが、導入後は原則自由に研修先を選べるようになり、都市部の一般病院を選ぶケースが増えた。03年度は研修医の72・5%が大学病院に在籍していたが、05年度以降は40%台。人手不足となった大学病院が各地の病院に派遣していた医師を引き揚げ、地方の病院の医師不足を加速させたとされる。
(読売新聞より)
<介護報酬3%以上の引き上げ不可欠>
介護従事者の処遇改善や事業者の経営状況の打開、利用者が必要なサービスを受けられる介護保険制度の確立には、介護報酬の引き上げが緊急の課題として、全国保険医団体連合会(保団連)が「2009年介護報酬改定に対する要求」をまとめた。過去2回の改定が大幅な引き下げとなったことから、09年の改定では、介護報酬の3%以上の引き上げを求めており、舛添要一厚生労働相に近く提出する。
介護報酬は、03年にマイナス2.3%、06年に同2.4%(05年10月分を含む)と、過去2回の改定では、大幅な引き下げとなった。保団連では、「06年の『介護保険法改定』で、軽度者への介護給付が“制限”された影響も換算すると、マイナス10%以上になっている」と指摘し、こうした施策が「必要な介護の受給抑制をはじめ、介護従事者の離職による人材不足や事業所の経営難などを起こしている」などと批判している。
要求では、「必要な人材を確保し、安全で安心な介護を提供するには、介護報酬を少なくとも3%以上引き上げる必要がある」と強調。その財源については、「社会保障の理念に逆行する消費税ではなく、別途、財源を確保する」ことを求めている。
また、「05年10月から介護保険施設の居住費・食費が、保険給付から外され、窓口負担が拡大されたことで、年金額80万-266万円の世帯で月1万4100円の負担増になるなど、費用負担が必要な施設入所ができない状況が広がっている」として、居住費・食費を保険給付に戻すことを要求している。
さらに、国が進めている「療養病床削減計画」について、「国は、療養病床の入院患者の実態を見ていない。介護療養型医療施設が廃止されれば、医療を必要とする要介護者が医療や看護を受けられなくなる」と指摘。「介護療養型医療施設の廃止と医療療養病床の削減をやめ、原則として医療保険から給付すべき」と強調している。
このほか、「コムスン事件」を教訓に、営利法人による訪問看護事業所の開設禁止や通所リハビリテーションの「送迎加算」の復活なども求めている。
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