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[2009/01/24]
 時間外選定療養費の導入効果に差

<時間外選定療養費の導入効果に差>

時間外選定療養費の徴収に踏み切る病院が増える中で、山形大病院は軽症患者が26%の減少、徴収率3.9%と一定の効果をあげている。一方、岡山赤十字病院は、岡山市の乳幼児医療費助成制度によって6歳未満の患者が時間外選定療養費対象外にされるなど、徴収率は48.8%の高率となった。

こうした状況を受け岡山赤十字病院は、小児科で「病院へのかかり方」に関するパンフレットの作成を進めるなど、時間外選定療養費の導入効果がさまざまであることが分かった。厚生労働省保険局医療課では、時間外選定療養費は、2004年時点で154病院(徴収額70円-2万150円)とし、患者の不利にならないよう適切な運用を求めている。

◆山形大病院 軽症患者の救急受診26%の減少

山形大医学部付属病院は、昨年6月に時間外選定療養費の徴収を開始した。08年6-12月までの軽症患者数は3156人で、対前年同月の4284人と比較して26%の減少になっている。それが、救急患者全体で見ても6カ月間で1154人、21.4%減少した。

山形大病院は、時間外救急患者について救急患者全体では減少傾向にあるが、午後10時以降の軽症患者の比率が高いことが、救急医療スタッフの負担を重くしていた。07年度実績で軽症患者が救急患者全体に占める割合は79.9%、約8割を占めていた。

こうした現状を打開するため同大学病院は、国立大学病院の先陣を切って「時間外診療特別料金・8400円」の徴収を決め、昨年6月から実施した。

同大学の嘉山孝正医学部長は、導入のコンセプトについて<1>重症救急患者が適切な治療を受ける権利を守る<2>若手医師など救急医療スタッフのモチベーションを上げる?ことを目的として挙げた。特に、救急対応については医師間の診療科の偏在が存在。嘉山学部長は、「若手の医師が報われない、割に合わないと感じるようなことを、少しでも取り除いてあげたい。委縮せず診療にあたれる業務環境を提供したい」と話した。

同学部長は、「時間外選定療養費の徴収は、健全な状況とはいえない。しかし、医療スタッフを守る責任が大学側にある」とも述べ、苦渋の選択だったとした。

さらに、同大学病院は、時間外選定療養費の徴収に関して病院共通の判断基準のほかに、各科の特徴を踏まえた判断基準を設定している。徴収から除外される病院共通基準は、<1>紹介状によって緊急受診の必要が明記されている<2>緊急検査、処置が必要<3>外来で死亡した者<4>入院の必要がある者<5>経過観察が必要な者<6>そのほか外来受診が必要と認められた者<7>診療科ごとの独自の判断基準に基づく者?と規定。

各科別では、例えば、内科では、<1>定期的な注射処置や、慢性疾患によって同院で通院治療中、胸痛、呼吸困難感、高熱を訴えて来院したが、検査の上、経過観察もしくは外来治療が可能であった場合<2>急に発症した胸痛、呼吸困難や、徐々に悪化している胸痛・呼吸困難に対して検査を行っても異常がなかった場合<3>動悸など脈の不整を訴えて来院したが、検査を行っても緊急処置は不要で経過検察が可能と判断された場合?などが盛り込まれた。これらは、患者の訴えを十分に考慮した形で判断基準に盛り込んでいる。このほか、外科系なども独自の判断基準を設定している。

◆岡山赤十字病院 時間外選定療養費の徴収率は約49%

一方、岡山赤十字病院は、昨年12月から時間外選定療養費の徴収に踏み切った。特に赤十字病院では、すでに徳島赤十字病院、前橋赤十字病院、山田赤十字病院が徴収を開始している。岡山赤十字病院は徳島赤十字病院と同額の3150円の徴収にした。しかし、同院の場合、社会保険事務局が、岡山市の乳幼児医療費助成制度に基づき6歳未満の患者については時間外選定療養費の徴収は不可との行政判断を通達した。

その結果、昨年の12月1日から今年1月9日までの実績では、救急患者総数4541人に対して選定療養費算定数は2214人、48.8%に上っていることが分かった。徴収されなかった患者の中で6歳未満の患者が76%を占め、最も多くなっている。

これまで同院では、2000年度から07年度までの間に救急外来患者数は2万5000人から4万人と増加しているのに対して、救急からの入院患者数は3300人から4000人の増加にとどまっていた。特に、軽症患者の時間外救急受診が増え、重症患者の治療に支障が見られる状況が発生した。こうした状況にかんがみ、近藤捷嘉院長は昨年12月から時間外選定療養費の導入を決断した。

<医師不足 医療圏格差は全国で2.6倍> 

日本政策投資銀行が医師不足問題についてまとめた調査結果によると、都道府県レベルばかりか、医療圏レベルでも医師数の地域格差があり、2004年度の新臨床研修制度導入後では格差がより広がっている実態が明らかになった。患者数の増加傾向は25年にピークに達すると推定され、患者人口当たりの医師数が現時点で多い東京都や沖縄県なども25年には医師不足になると予測している。

同行は、救急医療の現状と課題・対策を探るため、国の統計データを基に分析調査を実施し、「医師不足問題」に関する調査結果を公表した。

医師総数は増加し続けており、06年現在で約27万8000人となっている。ただ、人口当たりの医師数は先進諸国に比べて少なく、国内では地域格差が広がっている。

厚生労働省の統計データを基に人口当たりの推定患者数を求め受療率を検討すると、「10歳未満の小児」および「65歳以上の高齢者」の受療率が高い。都道府県別に推定患者数(外来、入院)を算出すると、東京都では人口当たりの患者数が少ないことに加えて、患者数当たりの医師数が多いことが分かった。一方、秋田県や山形県、岩手県、新潟県などでは、患者数が多く医師数が少なかった。

調査では、2次医療圏ごとに地域格差を検証するため、各都道府県内で人口当たりの医師数が最多の医療圏と最少の医療圏を比較検証した。

その結果、三重県や新潟県、静岡県、岐阜県、神奈川県などでは医療圏レベルでの格差は小さいものの、都道府県レベルでは医師数が少ないため、県全体で医師が不足している実態が浮き上がった。医療圏格差は全国平均2.6倍となっており、東京都や宮城県、愛知県は4倍を超えた。3倍を超える都道府県が多いことから、同行調査部では地域医療の充実度を評価するには医療圏レベルでの医師偏在に留意する必要があるとしている。

◆新研修制度で格差拡大 患者数は2025年にピーク

04年度に導入された新医師臨床研修制度による地域格差への影響を見るため、導入前後での医師数の増加率を検証した。その結果、導入後に多くの自治体で「医師数が減少傾向にある医療圏」が増えていた。また、こうした医療圏では医師数減少率も拡大した。

医師減少傾向が目立つ愛媛県、島根県、山梨県、高知県の4県について、医療圏ごとの動向を調べた結果、導入後に研修先として選ばれずに医師数が大幅に減少した医療圏が目立った。

人口推計の予測データに基づいて、少子高齢化の影響について検証した結果、患者数は05年現在の850万人から増え続け、25年の980万人でピークを迎えることが推定された
05年から25年までの20年間の推定患者数の推移について分析すると、05年現在の人口当たりの患者数が多い自治体ほど、将来的な患者数の増加率は低い。一方で人口当たりの患者数が少ない自治体では、患者数の増加率が高い傾向が見られた。

都道府県の医師数が今のままで推移すると仮定すると、人口当たりの患者数が多く、患者当たりの医師数が少ない秋田県や島根県などでは、症例的に患者当たりの医師数は増加する可能性がある。他方、現在患者当たりの医師数が比較的多い東京都や沖縄県などでは、患者の増加に伴い患者当たりの医師数の減少率が高まる。そのため、現時点で医師が充足している地域でも、将来的な人口動態を加味した医療提供体制の構築が求められそうだ。
同行では、新臨床研修制度の導入について、新制度が一部の地域で医師不足の原因となっている反面、研修内容の充実を図ることで研修医が集まり医師数が増えることもあるとし、研修病院の努力次第で地域格差が是正されるとの可能性を示した。

◆沖縄県 県・医療圏ともに医師数増加
病院群の連携・海外研修・県の支援が特徴

同調査では、地域格差が是正された好例として沖縄県の臨床研修制度について検証した。沖縄県では、新制度導入後も県レベルでの医師の増加率が高く、5つの医療圏でも医師数が増加傾向にある。研修内容の充実を図った結果、研修希望倍率は東京都に次いで全国第2位となっている。

 <1>病院群による研修制度<2>海外大学との連携<3>県の研修支援予算?が特徴だ。病院群には県立病院群、琉球大群、民間病院群「群星(むりぶし)沖縄」があり、複数の病院群で研修プログラムを展開することで、幅広い研修科目に対して質の高い指導医を確保することが可能となっている。
県立中部病院ではハワイ大との、群星沖縄ではピッツバーグ大との交流がそれぞれ研修プログラムの中に組み込まれている。海外研修事業については、県の予算も確保されている。

<フィリピン看護師派遣 北九州で説明会、人手不足緩和に向け出席多数>

医療現場での人手不足から、九州地区でもフィリピン人看護師や介護福祉士の採用に関心が集まっている。日本側調整機関の社団法人・国際厚生事業団(JICWELS)が小倉興産KMMビルで16日に開催した説明会は、午前が看護師、午後は介護福祉士に分けられて行われたが、いずれも60近くの機関や施設からの出席者があった。鹿児島や広島から駆けつけた医療関係者もいた。

JICWELSは13日から東京、大阪、名古屋で「フィリピン人看護師・介護福祉士受け入れ枠組みの概要に関する説明会」を実施。北九州市が福岡会場となった同説明会では、JICWELSの角田隆専務理事らが出席した。

日本側の受け入れ人数は当初2年間で合わせて1,000人。内訳は、看護師候補者が400人、介護福祉士候補者が600人とされており、今年についてはその各半数を受け入れる予定。いずれもフィリピン国内での有資格者で、看護師については海外医療機関での勤務も含め最低でも3年以上の実務経験があることが条件。介護福祉士については4年生大学の卒業生で、フィリピンの法令に基づいて政府から介護士と認定された者、または政府認定の看護学校を卒業した者とされている。

◆試験合格後の就労は半永久的
JICWELSの角田専務理事によると、日本側の反応はまずまずといったところで、看護師の受け入れ希望に限れば、東京と大阪で約150機関、名古屋では約50機関からの説明会出席があった。その多くは民間の医療機関という。

福岡も含めた4都市での説明会を終えたICWELSは、受け入れを希望する機関や施設からの応募を受け付けるが、締め切りは今月29日まで。その後、審査して3回に及ぶマッチングを行い、フィリピン人候補者と受け入れ機関の双方に脈があれば雇用契約を結ぶことになる。
ICWELS担当者によるフィリピン人候補者との事前面談時は、本人の了解を得てビデオ撮影する。これは、昨年8月に来日したインドネシア人の看護師・介護福祉士208人の求職者情報が日本の受け入れ側に逐一伝わらず、不満が残ったことへの配慮であり、フィリピン人の受け入れ希望機関はこのビデオも人選の参考材料にするという。

候補者は4月末から5月上旬にかけて訪日し、まずは日本語研修に励む。6カ月に及ぶこの研修には675時間が当てられ、個人差はあるものの小学校3〜4年生程度の会話能力を身につけることが期待されている。一定の日本語会話能力を有する者については、この規則は適用されない。また日本語研修後は生活習慣や職場適応研修に140時間、看護または介護導入研修にそれぞれ40時間が充てられることになる。

これらの研修はすべて、年明けに予定される日本の国家試験合格を目指す下準備ともいえる。合格者は日本の受け入れ先に半永久的にとどまって就労することができるが、不合格者は即時帰国しなければならない。しかし、次年度の国家試験に再度挑戦することは可能だ。
日本ではこれまで、外国人看護師は日本の看護師資格の取得を要件に、出入国管理および難民認定法の「医療」の在留資格で7年以内の研修目的での就労が認められており、いったん帰国すると再入国はできなかった。また、介護福祉士には該当する在留資格が存在せず、介護を目的とした入国や就労は認められていなかった。

日比経済連携協定(EPA)に基づく今回の試みは、従来の足かせを取り除くものであり、ホスピタリティー豊かなフィリピン人に対して、国家試験の合格を条件に日本での就労の道を開く。その期間には制限がなく、半永久的な就労を認める内容となっている。

ただ、フィリピン人を受け入れる日本の医療機関や施設には一定のコスト負担を強いられる。1機関の受け入れは、フィリピン人のメンタルヘルスケアの観点から2人以上、5人以下とされるが、求人申し込み手数料は受け入れ機関当たり3万1,500円、マッチングなどのあっせん手数料が1人当たり13万8,000円、フィリピン側の人材送り出し窓口であるフィリピン海外雇用庁(POEA)には1人当たり4万3,000円、滞在管理費は2万1,000円、そして日本語研修機関には1人当たり約36万円を支払う必要がある。

ある医療機関の関係者はNNAの取材に対して、「看護師や介護士の人手不足は非常に深刻だ。日本語は生活や職場でこなれてくるため、さほど心配していないが、この制度によると、実際の就労は1年先という気の長い話になる。雇用する側としては、諸手続きに要するコストや同僚の日本人スタッフと同じ水準の報酬保証といった点も気になる」と語った。

<既存小規模福祉施設へのスプリンクラー設置事業内容を説明 老健局>

厚生労働省老健局は21日の全国厚生労働関係部局長会議の厚生分科会で、新規事業の既存小規模福祉施設へのスプリンクラー設置事業について説明した。これは、消防法施行令の改正に伴い、本年から小規模の福祉施設にも設置が義務付けられることを受けたもの。設置費用を交付金の対象とした。既存の施設は11年度末までの経過措置が同施行令で認められていることから、交付金の支給は11年度までとなる。対象は既存の小規模福祉施設(延べ床面積275〜1000平方メートル)であって、交付金の対象になっている定員29人以下の小規模特別養護老人ホームと同介護老人保健施設、それに認知症高齢者グループホーム。交付金単価は1平方メートル当たり9000円。宮島俊彦老健局長は、各自治体の担当者に対し、「スプリンクラー設置に交付金を活用できることを関係者に周知し、早急な設置を図ってほしい」と要請した。


[2009/01/17]
 失業者の介護分野進出支援

<失業者の介護分野進出支援 厚労相、2万6千人に「雇用激震」>

舛添要一厚生労働相は16日、派遣切りによる失業者らに人手不足が深刻な介護分野で働いてもらうため、ハローワークに専門の職業相談コーナーを設け、介護福祉士などの資格取得を支援するための雇用保険給付を拡充すると発表した。

舛添厚労相は記者会見で「雇用のミスマッチを解消したい」と述べ、約2万6000人を介護職員として養成する考えを示した。

職業訓練中に受けられる雇用保険給付は通常1年間に限られるが、介護福祉士の資格を取得するには2年間の訓練が必要なため、給付期間を1年間延長する。雇用保険に未加入の場合は、最高12万円の生活費の貸し付けを受けられ、一定の条件で返還を免除する。

ハローワークに「福祉人材コーナー」を設け、介護分野で働きたい人のきめ細かい職業相談に応じる。

介護分野の未経験者を雇い入れた事業所に対しては、職員が1年以上定着すれば一人当たり50万-100万円の助成金を支払う。

また、厚労省は同日、医療・介護分野の雇用を拡大するためのプロジェクトチームを省内に設置した。

<問診5分ルールで開業医750億円減収>

医師が問診などに「おおむね5分超」を費やさないと外来管理加算(520円)を請求できないという08年度診療報酬改定で導入された「5分ルール」について、日本医師会は14日、医療機関への影響に関するアンケート結果を発表した。加算の算定回数は07年度より24・3%減り、約10万医院の開業医全体の収入減は年間748億円と推計している。1医院当たり75万円程度の減収となる計算。厚労省は開業医全体の減収を、年間240億円と見込んでいた。

外来管理加算は、開業医が問診やアドバイスだけをした患者の再診料に上乗せして請求する。厚労省は08年度から、病院勤務医の負担軽減策の財源を捻出(ねんしゅつ)するため、5分超の「丁寧な診察」でないと申請を受け付けない仕組みに変えた。

調査によると、「5分超」を満たせず加算対象患者が減った開業医は42・1%。要件を満たせず加算請求自体をやめた開業医は4・5%だった。加算は200床未満の中小病院も請求できるが、こちらも全体で57億円の収入減と試算された。日医は「5割近くの医療機関に影響が出ている」として、5分ルールの廃止を求めていく。

調査は08年11月、日医会員の中から診療所と病院の4342医療機関を抽出して実施。1972医療機関が応じ、回答率は45・4%だった。

(毎日新聞より)

<老人福祉事業の倒産、01年以降最悪に>

昨年1年間に全国で発生した特別養護老人ホームの運営などを手掛ける「老人福祉事業者」の倒産件数は26件で、比較可能な2001年以降、最悪だったことが1月14日、帝国データバンクの調べで明らかになった。帝国データでは、介護保険制度をビジネスチャンスととらえる企業などの新規参入が相次いだものの、06年の制度改正による給付対象の見直しや介護報酬の引き下げ、人件費増などにより、07年以降は体力のない事業者の淘汰(とうた)が急激に進んでいると分析している。

帝国データによると、老人福祉事業者の倒産件数は01−06年にかけて、低水準で推移していたが、07年には前年の3.3倍の23件に急増。昨年はこれをさらに3件上回り、01年以降最悪になった。

また、負債総額は78億9300万円で、07年の77億6100万円から1億3200万円増えた。7月の負債総額が43億700万円に上り、全体を押し上げた格好だ。

帝国データが集計した「老人福祉事業者」には、特養ホームのほかケアハウスなどの軽費老人ホーム、老人福祉センター、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設などを運営している場合が含まれている。また、05年4月以降は破産や民事再生などの法的整理に対象を限定しており、自主的な解散や「資金ショート」に伴う銀行取引停止などは含まれていない。

<外国人看護師・介護福祉士派遣で日比が覚書調印>

日本とフィリピン両国は12日、経済連携協定(EPA)に基づくフィリピン人看護師、介護福祉士の派遣と受け入れに関する覚書に調印した。覚書は同日午後マニラで、日本の受け入れ窓口となる国際厚生事業団とフィリピン海外雇用庁の代表が署名した。

調印を受けて、フィリピン側は来日希望者の募集を開始する。第一陣は看護師200人と介護福祉士300人を予定。日本は2年間で計1000人を受け入れる。4〜5月にも第一陣が来日する。EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士の受け入れは昨年夏に第一陣が来日したインドネシアに次いで2カ国目。

<都内の保険歯科医院、1日1軒ペースで廃業>

東京都内の保険歯科医院が、1日1施設のペースで廃院となっていることが明らかになった。今年1月1日付の東京歯科保険医協会の会報「東京歯科保険医新聞」によると、2007年度に新規開業した歯科医院は268施設。これに対し、保険診療を廃止した歯科医院は707施設。357施設の「遡及」があるが、残り350施設は廃院したとみられている。

同紙によると、都内の歯科医院は01年に1万施設を超え、06年まで微増してきたが、07年に初めて減少した。保険廃止の理由としては、▽経営不振▽移転▽法人化▽病気・高齢などによる開設者の変更−などが考えられるという。

同協会の役員で開業医の松島良次さんは、同紙のコラムで「最近では、歯冠修復・欠損補綴以外の自費診療と保険を一緒に行うと混合診療となり、保険分を否定されるようになってきている。これが徹底されるようになれば、保険廃止の数は今の2−3倍どころではないだろう」と指摘。「今年は混合診療の動きに注目する必要があり、東京の全歯科医が一丸となって厚生労働省と立ち向かわなければ死活問題になりかねない」と警鐘を鳴らす。さらに、これから開業を考えている歯科医らに向けて、「ひとつのテナントに何人かの先生方(歯科医)がユニット単位で独立採算し、受付やスタッフ・消毒室などは共有するオフィスシェアリングシステム」を提案。その上で、収益の分配方法に課題は残るものの、専門分野ごとに分かれて「小病院化すれば最高だ」としている。


[2009/01/07
 高齢者の長期入院 救急病院へのしわ寄せ防げ

<高齢者の長期入院 救急病院へのしわ寄せ防げ>

療養病床の再編は、救急医療に、思わぬひずみを生んでいます。“社会的入院”を排除したものの、自宅や施設に戻った高齢者が再び医療機関に送られると、病状安定後も受け入れ先が見つからず、ベッドが満床に。新たな急患を受け入れられないケースが増えているのです。事態の打開を図ろうと、大阪では、救急医療と療養病床の連携という試みが始まりました。

大阪市のほぼ中央、大阪城を間近に臨む国立病院機構大阪医療センターは、年間約1000件の救急患者を受け入れる。しかし、府民の命を預かる救急現場で、救急患者を受け入れられない事態が増えている。

「受け入れたくても、ベッドに空きがないから、受け入れられない」。救命救急センター診療部長、定光大海氏は苦渋の表情をにじませた。

同センターで「受け入れ不能」が増え始めたのは、平成18年12月から。19年度は年間1083人の救急患者を受け入れたが、対応を断ったケースも600件以上にのぼった。

背景にあるのは、救急病床での長期入院の増加だ。転棟・転院先が見つからず、入院が1カ月以上に及んだケースが22例、そのうち6カ月以上が2例あった(19年度)。
長期入院者の中には、自殺企図のある患者や脊椎(せきつい)損傷などの重症患者もいるが、医療依存度の低い寝たきりの高齢者も増えているという。

「例えば、夏になると急激に増えるのが熱中症のお年寄り。一人暮らしで、ヘルパーさんが家で倒れているのを発見し、救急車で運ばれてくる。熱中症自体は救急で扱う事案だが、処置をすれば病状は安定する。でも、転院先が見つからない。無理やり、自宅に帰しても、家族がいないから、また熱中症で運ばれてきてしまう。出すに出せず、長期入院になってしまう」。同センターの医療ソーシャルワーカーは、そう話す。

救急病院で治療を終えた患者の転院が、困難なのはなぜか。大きな要因に挙げられるのが、療養病床再編を含む医療費抑制策の一環として、国が18年7月に導入した「医療区分」だ。
医療区分とは、患者を医療の内容や身体機能(ADL)で区別し、診療報酬に差をつける制度。

「二次、三次救急から受け入れを要請されるのは、病状が安定している患者。診療報酬の低い医療区分1がほとんどなので、経営を考えると受け入れが難しい」と、東京都日野市の医療法人社団「康明会」の遠藤正樹事務局長は説明する。

康明会が運営し、療養病床96床をもつ日野田中病院でも、その傾向が顕著だ。同病院が、医療区分制度導入前の1年間(17年7月〜18年6月)に二次、三次救急から受け入れた入院件数は127件。ところが、制度導入1年後には99件(22%減)、2年後には72件(43%減)と、受け入れは加速度的に減っている。医療の必要性の比較的低い人を受け入れる医療機関がなくなっているわけだ。

遠藤氏は「二次、三次救急から受け入れた患者については、医療区分が低くても報酬を加算するなど、何らかの対策がなければ、状況は変わらない」と危機感を募らせる。

◆療養病床再編が、介護難民のみならず、救急難民まで生みかねないと、大阪では新たな試みが始まった。

大阪医療センターなど府内の三次救急医療機関の5病院と、療養病床をもつ22の慢性期病院が連携。脱水症状や肺炎などの軽症の高齢者や、急性期の治療を終えた患者を慢性期病院が引き受け、救急病院が軽症患者で満床になるのを防ぐ狙いだ。

三次救急と慢性期病院をつなぐコーディネーターが、患者の症状や空きベッドの状況など、双方の情報を集約。転院手続きを簡略化し、これまで7〜10日間かかっていた作業を1〜3日間で終える態勢を整えるという。

療養病床をもつ病院などで構成する日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、連携の意義について、こう話す。

「介護施設や在宅療養の高齢者が急変した場合、とりあえず、三次救急に運ばれているが、たいていの症例が、救急より療養病床が得意とする分野。医療区分の低い人を受け入れるのは経営的に厳しいが、22病院の空きベッドを有効活用することで、社会的な責任を果たしたい。療養病床の果たす役割を多くの人に認識してもらえれば、国の削減方針の見直しを求める声も自然と増えてくるのではないか」

(産経新聞より)

<09年度介護報酬改定の概要(1) 居宅介護支援・介護予防支援>

「居宅介護支援・介護予防支援」では、病院などとの利用者に関する情報共有、認知症高齢者や独居高齢者への支援、小規模多機能型居宅介護事業所との連携に対する加算などが新設される。

また、介護支援専門員(ケアマネジャー)1人当たりの担当件数が40件以上になった場合、全件数に逓減制を適用する現行制度を改め、40件を超える部分のみを対象に、逓減制を適用する仕組みに見直す。

介護事業経営実態調査によると、介護居宅支援の収支差率は05年にマイナス14.4%、08年にマイナス17.0%と悪化。また、ケアマネジャー1人当たりの利用者数は08年に平均26.9人となっており、標準担当件数の35人に近づけることについても、介護給付費分科会で論点となっていた。

特定事業所加算は、現行で「500単位/月」だが、(1)「500単位/月」、(2)「300単位/月」の2段階に分ける。厚労省の調査では、現行の特定事業所加算が算定できない理由として、「利用者のうち中重度者(要介護3-5)の割合が60%以上ではない」「常勤専従の介護支援専門支援員を3人以上配置できない」ことを挙げる回答も多かったことを考慮し、算定要件が変更される。

医療と介護の連携を強化するため、入院時や退院時に、利用者の情報を病院と共有した場合の評価として、医療連携加算と退院・退所加算が新設される。

医療連携加算は「150単位/月」で、利用者1人につき1回を限度とする。利用者が病院や診療所に入院する際、利用者に関する必要な情報を提供することが算定要件となっている。
退院・退所加算は2段階に分かれており、(1)が「400単位/月」、(2)が「600単位/月」に設定される。算定要件は、(1)が入院・入所期間が30日以下で、退院・退所に当たって、病院の職員と面談を行い、利用者に関する必要な情報の提供を求めることなどの連携を行った場合となっており、(2)は入院・入所期間が30日を超えて同様の連携を行った場合に適用される。初回加算を算定する場合は、退院・退所加算は算定できない。

ケアマネジメントを行う際、特に労力を要する認知症日常生活自立度が3以上の認知症高齢者、独居高齢者などに対する支援を行った場合の評価として、認知症加算「150単位/月」と独居高齢者加算「150単位/月」を新設する。

居宅介護支援を受けていた利用者が、居宅サービスから小規模多機能型居宅介護に移行する際に、居宅介護支援事業者が利用者についての必要な情報を、小規模多機能型居宅介護事業所に提供した場合などを評価する小規模多機能型居宅介護事業所連携加算「300単位/月」(介護予防支援も同様)も新設する。

また、ケアマネジメントで特に手間を要する初回(新規に居宅サービス計画を策定した場合および要介護状態区分の2段階以上の変更認定を受けた場合)について、初回加算を月当たり50単位プラスして、「300単位/月」とする(介護予防支援も同様)。
このほか、介護予防支援費を月当たり12単位プラスして、「412単位/月」とする。

<09年度介護報酬改定の概要(2) 訪問系サービス>

◆訪問介護
訪問介護では、短時間の訪問について加算を厚くする。身体介護(30分未満)は現行から23単位がプラスされて「254単位/回」となるほか、生活援助(30分以上1時間未満)は21単位プラスの「229単位/回」に改定される。

特定事業所加算は、訪問介護員などのキャリアアップ促進を念頭に、算定要件を見直す。
特定事業所加算は、(1)-(3)の3つに分かれているが、(1)は「体制要件」「人材要件」「重度要介護者等対応要件」のすべてに適合することが算定の条件。(2)は「体制要件」を満たし、「人材要件」の(1)または(2)に適合する必要がある=表=。(3)は「体制要件」と「重度要介護者等対応要件」の適合が条件となる。

(1)では所定単位数の20%を加算し、(2)と(3)はそれぞれ10%を加算する点については、現行のまま。
また、サービス提供責任者が、特に労力の大きい初回時と緊急時に対応した場合の加算を新設する。

初回加算は「200単位/月」で、サービス提供責任者が、新規に訪問介護計画を作成した利用者に、自ら訪問介護を行うか、他の訪問介護員に同行して訪問介護を行う場合に加算される。

緊急時訪問介護加算は「100単位/回」となっており、利用者やその家族などから緊急要請を受け、サービス提供責任者がケアマネジャーと連携し、ケアマネジャーが必要と認めて居宅サービス計画にない訪問介護(身体介護)を行った場合に加算される。

◆訪問看護
訪問看護では、長時間訪問看護加算「300単位/回」が新設される。算定要件は、特別管理加算の対象者に対し、1回につき1時間30分を超える訪問看護を行った場合、訪問看護の所定サービス費(1時間以上1時間30分未満)に加算する。

また、複数名訪問加算も新設される。2人の職員が同時に1人の利用者に訪問看護を行った場合、30分未満の場合は「254単位/回」、30分以上では「402単位/回」が加算される。加算は、複数の職員が訪問看護をすることについて、利用者やその家族などの同意を得なければならない。

算定要件は、(1)利用者の身体的理由により、1人の看護師による訪問看護が困難な場合(2)暴力行為、著しい迷惑行為、器物破損行為などが認められる場合(3)利用者の状況から判断して、(1)または(2)に準ずると認められる場合-のいずれかに該当する必要がある。
訪問看護におけるターミナルケアでは、医療保険との整合性を図るなどの観点から、算定要件の緩和と評価の見直しを行う。

ターミナルケア加算は、現行から800単位プラスとなる「2000単位/死亡月」に改定される。算定要件も変更され、▽死亡日からさかのぼって14日以内に2回以上ターミナルケアを実施している▽主治医と連携し、利用者やその家族などにターミナルケアの計画や支援体制を説明し、同意を得た上でケアを実施している-ことが必要となる。

◆訪問リハビリテーション
訪問リハビリテーション費は、これまで1日単位で算定していたのを、1回当たり「305単位」に変更する。20分間のリハビリを行った場合、1回として算定する。
また、介護老人保健施設(老健)で通所リハビリを受けている利用者が、通所できなくなっても、通所リハビリ終了後1か月以内に限り、その施設の配置医師がリハビリ計画を作成することで、スムーズに訪問リハビリに切り替えられるようにする。

このほか、短期集中リハビリテーション実施加算の評価を見直す。退院・退所日または認定日から起算して1か月以内の場合、「340単位/日」(週2回以上・1回40分以上)と現行から10単位プラスされるほか、1回の時間も「20分以上」から「40分以上」に変更となる。

◆居宅療養管理指導
居宅療養管理指導では、看護師が居宅療養している要介護者(要支援者)やその家族の療養上の相談に乗ることなどを評価する。

居宅療養管理指導費は、看護師が行う場合、「400単位/回」とする(准看護師が行う場合は所定単位数の90%で算定)。

薬剤師による居宅療養管理指導では、薬局の薬剤師が在宅利用者に指導する場合の居宅療養管理指導費は、当月の1回目の指導は1回500単位で現行通りだが、2回目以降は「300単位/回」から、「500単位/回」に変更される。

医師や歯科医師の指示によって策定した薬学的管理指導計画に基づき、利用者を訪問して管理指導を行い、関係職種への報告などを行った場合に算定となる(1か月に4回が限度)。
ただし、末期の悪性腫瘍の人または中心静脈栄養を受けている人は、月間8回を限度として算定できる(週間では2回まで)。また、病院・診療所の薬剤師が行う場合、月2回を限度とする。

居住系施設に入居する要介護者(要支援者)に対する居宅療養管理指導(薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士などに限る)について、移動などの労力が在宅利用者への訪問に比べて少ないため、評価を見直す。

居住系施設に入居している利用者の場合の居宅療養管理指導費は、病院や診療所の薬剤師が行う場合、「385単位/回」(月2回まで)となるほか、薬局の薬剤師が行う場合は「350単位/回」(月4回まで)に変更される。
管理栄養士が行う場合は「450単位/回」、歯科衛生士などが行う場合は「300単位/回」に変更する。

<介護報酬、さらなる引き上げを」−保団連>

今年4月から介護報酬を3%引き上げる改定案を厚生労働省の社会保障審議会が舛添要一厚労相に答申したことについて、全国保険医団体連合会(保団連)は、「答申は、政府・与党が昨年10月30日に決めた3%引き上げを前提にしており、これでは“介護崩壊”は食い止められない。すべてのサービスについて、さらに2%以上の報酬上乗せを行うよう要望する」との談話を発表した。

改定案について、保団連は「夜間業務負担やキャリア、地域差などには一定の評価を行っているが、通常のサービスは据え置かれている」と指摘。その上で、「サービスの高い施設の処遇を評価するだけでは、さまざまな要因で(報酬の高いサービスの提供に)対応できない施設が淘汰(とうた)され、結果的に介護サービスそのものがなくなる地域が生じる危険性が高く、“介護崩壊”を助長する恐れがある」として、通常のサービスを含め、さらに2%以上の引き上げを求めている。

また、介護保険制度の特徴として、「医療保険制度に比べ、報酬の引き上げが保険料や自治体負担に直結しやすい問題がある」ことを挙げ、「政府は『改定による保険料の上昇分について、2009年度は全額、10年度は半額を国庫負担する』としているが、09−11年度まで、改定による保険料上昇分のすべてを国庫負担すべき」と求めている。

このほか、今年4月から変更される「要介護認定基準」を取り上げ、「(変更によって)これまでと同じ状態であるにもかかわらず、要介護度が低くならないようにすべき」と指摘。06年の改定で、要介護1の区分支給限度額が下がったことを挙げ、「その結果、必要な介護が提供できなくなっている。そもそも現行の区分支給限度額の枠内では、必要な介護が十分に受けられない。それを公的に受けられるようにするため、区分支給限度額を廃止すべき」などと訴えている。


[2009/01/01]
 介護報酬改定

<介護従事者の定着につながるのか>

政府が示した新たな経済対策「生活対策」には、介護従事者の処遇改善のために来年度からの介護報酬3%引き上げ、賃金の月額2万円アップが明記されていた。これに対し、厚生労働省の社会保障審議会・介護給付費分科会(座長=大森彌・東大名誉教授)の委員は、「唐突に政治で決まった」「3%では足りない」などと一斉に反発した。介護現場では「本当に給料が2万円上がるのか」という期待が膨らむ中、厚労省は一律アップではないことの説明に追われる。今回の改定が果たして、介護職員の待遇改善と定着につながるのか-。

10月30日、麻生太郎首相は、新たな経済対策に関する政府・与党会議と、経済対策閣僚会議の合同会議を開催し、生活の場における安心の確保を目的とした「生活対策」を決定した。
生活対策では、介護従事者の処遇改善のため、来年度に介護報酬を3%引き上げる方針を示し、「月2万円アップ・介護人材を10万人確保」も明記している。一方で、報酬の引き上げに伴う介護保険料の急激な上昇を抑制する方針も示された。

これを受け、11月14日の介護給付費分科会で、大森座長は冒頭、事務局に「この分科会は介護報酬改定についてどういった立場で議論する場なのか」と説明を求めた。

これに対し事務局は、介護報酬の改定率は、政府が予算編成の過程で財政事情を考慮しながら決定してきたと説明。「分科会は政府で決定した改定率の範囲の中で、サービスごとの介護報酬の単位数などについて政府からの諮問を受けて答申を行うもの」と答えた。

また席上、日本医師会が全国老人保健施設協会と日本慢性期医療協会との連名で、「次期介護報酬改定率ならびに本分科会のあり方等に関する緊急要望」を提出。

要望書は、3%の引き上げについて一定の評価をしながらも、過去2回のマイナス改定と社会保障費の自然増分2200億円の削減について議論せずに示された3%の引き上げは、決定の根拠が乏しく、「焼け石に水」の感が否めないとしていた。

三上裕司委員(日医常任理事)は、「介護報酬改定はこの分科会で議論が取りまとめられると理解していたが、全く別次元から介護報酬改定率が公然と発表され、既定事実のように報道されることに強い失望を感じる」と訴えた。

介護報酬は2003年度の改定で平均マイナス2.3ポイント、06年度にはマイナス2.4ポイントの改定が行われた。

ほかの介護や医療関連団体もプラス改定は評価するものの、「3%ではとても足りない」との声明を発表している。

日医が示した意見書では、看護・介護職員(常勤換算)の1人当たり給与について、公務員(地方公共団体)と民間事業所職員とを比べると月額4-5万円の格差があり、公務員並みの処遇をするには、少なくとも4500億円以上の財源、5%以上の改定が必要としている。

◆一律「月給2万円アップ」ではない

「生活対策」が示された翌10月31日に開かれた「安心と希望の介護ビジョン会議」(座長=前田雅英・首都大学東京都市教養学部教授)では、厚労省老健局の鈴木康裕老人保健課長が「介護従事者の雇用形態、サービス、地域、(事業所の)規模ごとにかなり異なるので、一定の額が等しく皆さんに行く(還元される)わけではない」と説明。「介護報酬改定の中で、例えば、手厚い配置をしている場合、一定の有資格者を配置している場合について、きちんと評価する」と述べている。

しかし、11月28日の介護給付費分科会では、中田清委員(全国老人福祉施設協会副会長)が「現場に行けばどこでも、一律に2万円アップするのかという話題になる。期待にあふれていることは間違いない」と説明。その一方で、「2万円を一律に上げることは非現実だが、厚労省としてのスタンスを明らかにしておくべきではないか。分科会の議論と現場の期待感が大きくずれてしまい、責任問題になってしまう」と、現場での周知徹底が進んでいない実態を明らかにした。

大森座長も「大変な混乱になりかねない。早い時期に、何らかの対応をしてもらった方がいい」と続けた。

これに対し事務局は、「舛添大臣は国会答弁でも、一律2万円上がるという話ではないと説明しているが、一般には伝わっていない。何らかの対策を講じたい」と回答している。
介護報酬の改定率と併せて、年間の介護保険料も公表された。現行から全国平均で月額約180円アップし、4270円となる見通しだ。

3%の介護報酬引き上げと、高齢者の増加による介護給付費増も加え、保険料は本来なら月約250円程度上昇する計算になるが、政府の追加経済対策で1200億円規模の基金を創設し、保険料の一部を肩代わりすることなどによって、上げ幅は本来より約70円抑えられるという。
また、厚労省は12月20日、政府が来年1月5日召集の通常国会に提出する予定の「第二次補正予算案」で、「生活防衛のための緊急対策関係予算」として8986億円を計上することを発表した。このうち「介護従事者の処遇改善と人材確保等」が1680億円で、内訳は「介護報酬改定による介護従事者の処遇改善」が1154億円、「介護人材等の緊急確保対策の実施等」が526億円となっている。

介護給付費分科会では、介護従事者の処遇改善が実際に行われたかどうかを確認することについても議論された。

厚労省側は当初、各事業所が処遇について公表することに強制力を持たせたかったようだが、12月12日の介護給付費分科会での質疑応答では、プライバシー上問題があるといった指摘のほか、各事業所の給与水準を個別に公表するのではなく、団体が示すだけでいいのではないかなどの意見が出た。田中滋委員(慶大教授)は、情報公開が賃金や給与に偏り過ぎると、教育や出産・育児などの点で職員に配慮している事業者などは人材募集でアピールしにくくなり、「経営者の意識も変えてしまうのではないか」との懸念を示した。

これを受け事務局は、「2009年度介護報酬改定に関する審議報告案」について、事業者団体が公表の手引を作成するなどの取り組みを国が「支援していくことも重要である」との表現を「支援していくことも考えられる」に改めるなどの修正を行うことで、慎重に対応していく姿勢を示した。

12月26日には、社会保障審議会が介護報酬改定案を舛添要一厚生労働相に答申し、介護給付費分科会では、各サービスへの具体的な加算についても示された。一定の評価をする委員も不満を示す委員もいたが、重要なのは今回の改定によって介護職員の待遇が改善され、定着率がアップし、今後ニーズが増え続ける介護を担う人材を新たに確保していくことだ。

<見直しか、廃止か、国政の焦点に>

◆対立深める与野党

4月1日に始まった「後期高齢者医療制度」は、06年の通常国会で、自民、公明の与党が野党の反対を押し切って強行採決した「医療制度改革関連法」の柱の一つで、成立過程から与野党が激しく対立してきた。野党提出の「後期高齢者医療制度廃止法案」が今年6月に「ねじれ国会」の参院で可決され、衆院で継続審議となったが、臨時国会では審議はわずか1日しか行われず、来年の通常国会に持ち越された。政府・与党は「見直し」の姿勢を変えず、野党は「廃止」の一点で共闘する構えを見せており、対立をより深めている。

同制度は、施行前の段階で、新たに保険料を負担することになる75歳以上の後期高齢者の保険料負担を6か月間「凍結」するなどの措置を取ったほか、「長寿医療制度」へと呼称変更するなど、厳しい状況下での船出となった。

こうした中、施行直後の4月11日には、6万3000人余りに被保険者証が届いていないことが判明し、早くも問題が表面化した。また、保険料が初めて年金から天引きされた同15日には、全国の自治体や医療機関などの窓口に問い合わせや相談、苦情が殺到し、同制度に対する国民の不信感が一気に高まった。

国会では、民主、共産、社民、国民新の野党4党が5月23日、「(同制度は)国民の高齢期における適切な医療を確保するものではなく、同制度を廃止し、元の老人保健制度に戻すための措置を緊急に講じるべき」などとして、「後期高齢者医療制度廃止法案」を参院に共同提出した。同法案は6月6日の参院本会議で、野党の賛成多数で可決された。衆院では継続審議となったが、臨時国会での審議は11月19日のわずか1日のみで進展がないまま、来年1月5日に召集される通常国会での継続審議となった。

同制度について、麻生太郎首相は9月の所信表明演説で、「説明不足もあり、国民を混乱させた事実を認め、反省する」と、政府の責任を認めた。しかし、「制度をなくせば、(問題が)解決するものではない」として、現行の制度を軸にして今後1年をめどに「必要な見直し」を検討する意向を表明している。舛添要一厚生労働相も、麻生内閣発足に伴う閣僚会見で、「制度に関する検討会を立ち上げる」などとして、「見直し」の考えを明らかにしている。

一方、野党各党は、「後期高齢者医療制度の廃止を求める東京連絡会」が12月14日に東京都内で開いた「12・14後期高齢者医療制度の廃止を求める東京大集会」に出席。医療団体や高齢者団体など5000人を超える参加者を前に、厚生労働委員会などに所属する各党議員があらためて「廃止」の一点で与党を追い込む考えを表明しており、今後の国政の焦点の一つとなっている。

◆強まる各団体の反発

同制度は、75歳以上の国民が加入を義務付けられているほか、生活保護世帯を除き、子どもの扶養家族となっていた人や寝たきりなどで障害認定を受けた65-74歳も対象になっている。保険料は、毎月の年金が一定額以上あれば、介護保険料と共に天引きされるが、滞納すると国民健康保険と同様に保険証が取り上げられ、「資格証明書」が発行されるなどの制裁がある。

具体的な医療については、一人の患者に一つの「主病」を決めて一人の主治医が治療する「後期高齢者診療料」(月額6000円)などが定められている。

こうした医療内容などに対し、各地の医師会が制度の反対や撤回に加え、同診療料の届け出や算定の自粛を呼び掛けた。茨城県医師会が4月、「医療費抑制のため、年齢により人間の価値を差別する制限医療を目的にしている」などとして制度の撤回を要求したのをはじめ、35都道府県の医師会が「廃止」や「見直し」など現行制度に否定的な態度を表明している。

同制度への反発が強まる中、厚労相の諮問機関で診療報酬の改定などを協議する中央社会保険医療協議会(中医協)では6月、回復が見込めないと医師が判断した後期高齢者を対象に、同制度の一環として新設したばかりの「後期高齢者終末期相談支援料」の算定を当面「凍結」することを決めるなど、施行後に早くも見直しを余儀なくされた。

また、同制度で問題視されていた国保から移行した後期高齢者の保険料負担問題について、厚労省は6月4日、「全国平均で69%の世帯で保険料が減少した」との結果を公表した。しかし、全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)が同11日、国会内で記者会見し、病院や介護施設で患者らを対象に実施した聞き取り調査について発表。「保険料の軽減は約7%にとどまり、増加している人が4割を超えている」という全く反対の結果を示した。9月には、制度の影響で後期高齢者の外来(通院日数)が8.47%減ったとの調査結果を示し、高齢者の医療費が1割負担となった02年の「健康保険法改正」時の4.4%を大きく上回る「受診抑制」が進んでいるとして、制度の廃止を強く求めている。

さらに、全国の自治体にも同制度に「反対」する動きが進んでいる。中央社会保障推進協議会(中央社保協)の調べ(今年12月4日までの集計分)によると、同制度の廃止や見直しを求める意見書を採択したのは662議会で、昨年10月の約200議会から1年余りで3倍以上に急増している。この動きは、高齢化率が高い地方にとどまらず、東京都で62市区町村の8割を超える51市区町村で採択されたほか、日の出町では、全国で初めて後期高齢者の窓口負担の全額を負担することを決めるなどの動きも起きている。

 また、制度への不服審査請求を申し立てた人は、東京都の1000人余りを筆頭に全国で1万人を超えており、意見書採択を含め、こうした動きが今後もさらに広がるとみられている。

<高齢化率40%以上の自治体、2035年には4割超す>

国立社会保障・人口問題研究所は、市区町村別の将来推計人口を発表した。全国の高齢化率(65歳以上の割合)は現在21.5%だが、その約2倍にあたる40%以上の自治体が2035年には全体の4割を超える。首都圏とその近郊を除きほとんどの自治体で人口減が続き、高齢化が進むという。

05年の国勢調査結果をもとに世代別の出生・死亡、人口の流入・流出などに関する最近の傾向を当てはめ、35年までの状況を推計した。対象は12月1日現在の1805市区町村。

高齢化率が40%以上の自治体の割合は、05年は2.8%だが、35年には41.7%に跳ね上がる。最高は05年の群馬県南牧村53.4%から35年は同県神流町70.2%に、最低は東京都小笠原村の8.5%から福岡県粕屋町などの22.4%に上昇する。

75歳以上が25%以上を占める自治体も1.1%から50.1%へと急増が見込まれる。

人口減少の自治体は、00〜05年は69.0%で、30〜35年には97.9%にのぼる。05年から35年までの減少率が大きい順に(1)南牧村68.3%(2)神流町66.4%(3)高知県大豊町66.0%。人口の増加率では(1)富山県舟橋村43.4%(2)愛知県三好町33.6%(3)宮城県富谷町32.7%となっている。

市区町村ごとの推計結果は、同研同研究所のホームページ(http://www.ipss.go.jp/)で見られる。

<09年度予算案 政府88・5兆円を決定>

◆社会保障費は14%増

政府は12月24日、09年度当初予算案を閣議決定した。一般会計規模は一般会計88兆5480億円で過去最高規模。高齢化の進展に伴い社会保障費全体は14%増の24兆6522億円。

安定財源を確保した上で実施するはずだった年金の国庫負担の2分の1の引き上げ2・3兆円は特別会計の積立金(埋蔵金)を流用。年金・医療等の自然増の伸びを2200億円抑制するとしていた夏の概算要求基準(シーリング)については、埋蔵金1370億円のほか、政府が道路特定財源を組み替えて創設する「地域活力基盤創造交付金(仮称)」から600億円を拠出する。

(シルバー新報より)